介護士の平均年収は、ハードな仕事のわりに低いと言われています。
しかし実際には、地域や資格の有無、働く施設によってかなり年収が変わるため一概に低いわけではありません。
今回は、条件別の介護士(介護職)の平均年収を徹底的にまとめました。
これから年収を上げたいという人は「年収を上げる方法はおもに3つ」から目を通してくださいね。
Contents
資格を持たない介護士の平均年収はおよそ367万円
介護の現場では、資格を持たなくても働くことができます。
厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、無資格で働く介護職の人の平均年収は約367万円です。
※年収・・・1年間で事業主から従業員に支払われるお金を総合したもの。 税金・社会保険料が引かれる前のボーナス込みの金額を指します。
介護福祉士の平均年収はおよそ440万円
介護福祉士とは、介護に関する専門の国家資格を取得した人を指します。
介護福祉士の平均月収は約338,340円、ボーナスとして月給1か月分が年に一回支給される場合、年収は440万円です。
この平均年収を見てわかるとおり、同じ介護の現場で働いていても、資格を持つ人と持たない人とでは平均年収が大きく違うことが分かります。
資格・地域・勤続年数・施設別にみる介護士の平均年収を徹底比較
介護の現場で働く人によって平均年収は変わるのでしょうか。
資格の有無、地域、勤続年数、働く施設といった条件を比較しながら見ていきましょう。
【資格別】介護士の平均年収
福祉に関する資格は国家資格の介護福祉士以外にもいくつかあります。
それぞれ比較して見てみましょう。
資格名 | 平均取得時間 | 合格率 | 平均給与(円) | 平均年収 |
---|---|---|---|---|
介護福祉士 | 3年 | 70% | 338,340 | 4,398,420 |
社会福祉士 | 福祉系大学で4年、または実務経験4年にくわえ、一般養成施設に1年以上通う | 29% | 359,380 | 4,671,940 |
介護支援専門員 | 5年以上かつ900日以上の実務経験があり、18日間の実務研修を受ける | 17% | 380,210 | 4,942,730 |
介護福祉士 | 6ヵ月 | - | 311,690 | 4,051,970 |
介護職員 | 3~4ヵ月 | - | 310,560 | 4,037,280 |
保有資格なし | - | - | 282,290 | 3,669,770 |
※平均年収:平均給与額×12+ボーナスとして1ヵ月分の給与を加算して計算
※参照:日本資格取得支援
難関資格である「介護支援専門員(ケアマネージャー)」を筆頭に、国家資格の「介護福祉士」や「社会福祉士」といった資格を有する人の方が平均年収が高いことがわかります。
【勤続年数別】介護士の平均年収
一般的に会社員や公務員は、勤続年数が長くなるにつれて給与も上がりますが、介護職でも同じなのでしょうか。
勤続年数別の平均年収を見てみましょう。
勤務年数 | 平均給与 | 平均年収 |
---|---|---|
1年 | 283,480 | 3,685,240 |
3年 | 291,010 | 3,783,130 |
5年 | 296,930 | 3,860,090 |
10年 | 326,830 | 4,248,790 |
15年 | 348,530 | 4,530,890 |
20年以上 | 390,960 | 5,082,480 |
※参照:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」
※勤続年数別(処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している事業所)の場合
※平均年収:平均給与額×12+ボーナスとして1ヵ月分の給与を加算して計算
勤続年数別に見てみると、ほかの業種と同様に勤続年数が長くなるほどに平均年収額も上がっています。
しかし、社会全体でみると勤続年数による較差は男性に比べて女性は比較的小さく、女性の比率が多い介護福祉業界でも勤続年数による給与の伸び率は低いといえます。
【都道府県別】介護士の平均年収
年収は働いている都道府県によっても違ってきます。
平均年収ベスト3
- 東京都 402,6万円
- 神奈川県 388,1万円
- 愛知県 386万円
平均年収ワースト3
- 長崎県 288,4万円
- 山形県 291,8万円
- 佐賀県 292,2万円
※参照:厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」
都道府県別に見る介護職員の平均年収(男女合計)では、東京都が402,6万円で全国で一番高い給与、一方で全国で一番低い金額は長崎県の288,4万円でした。
地域によって物価や不動産価格、最低賃金などが違うこと、また介護保険料や介護報酬が違うことで給与額に影響しているものと考えられます。
【施設別】介護士の平均年収
介護士が働く現場は実にさまざまです。
では、働く施設ごとに年収の違いはあるのでしょうか。
事業所の形態 | 平均月給(円) | 平均年収(円) |
---|---|---|
特別養護老人ホーム | 350,430 | 4,555,590 |
介護老人保健施設 | 338,920 | 4,405,960 |
訪問介護事業所 | 306,760 | 3,987,880 |
通所介護事業所 | 280,600 | 3,647,800 |
グループホーム | 287,770 | 3,741,010 |
※参照:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」
※平均年収:平均給与額×12+ボーナスとして1ヵ月分の給与を加算して計算
特別養護老人ホームや介護老人保健施設が他の施設に比べて年収が高いことがわかりました。
高齢者が入所する施設なので24時間体制のケアが必要になり、夜勤をした場合は夜勤手当がつきます。
通所介護事業所(デイサービス)は高齢者が日中に自宅から通う施設なので、夜勤はなく給与は比較的低めです。
給与が高いところを選ぶ人がいる一方で、家庭の事情で夜勤がない方が働きやすいという理由でデイサービスを選択する人もいます。
介護士の年収は低い?他の職業との比較
令和元年に発表された「平成30年分民間給与実態統計調査」の結果によると、給与所得者全体の一年の平均給与(年収)は441万円です。
男女別にみると、男性545万円、女性293万円なので、比較すると介護福祉士の平均年数は男性全体の平均より低く、女性全体の平均よりは高い結果と言えます。
ボーナスの有無も関わるので一概に高い・低いとは言えませんが、給与所得者全体の中で高いと言われている「電気・ガス・熱供給・水道業(平均年収:819万円)」「金融業・保険業(平均年収:571万円)」「情報通信業(平均年収:533万円)」といった業種よりは100万円程度低い結果となっています。
介護士の給料が低い理由
介護士の給料が低い理由は、介護報酬の中から給料が出ているからです。
介護事業全体が40歳から保険料を支払う介護保険料でまかなわれているため、もともとの予算がそう多くはありません。
そのため介護職の基本給は、ほかの職業よりも低い傾向が続いているのです。
今後、介護士の給料は上がるの?将来性は?
今後、介護士の給料は上がることが期待されています。
なぜなら2019年10月にできた「介護職員等特定処遇改善加算」にて、10年以上勤続している介護福祉士であれば月8万円相当の処遇改善を行うとしているからです。
勤続10年というと介護職のベテランやリーダーに対しての処遇改善となり、長く勤めている人の給与をアップすることで人材不足を解消しようとしています。
処遇改善加算後は介護職員全体の平均月収は1万8,000円ほど増えているので、今後の給料増にも期待してよいでしょう。
介護士が年収を上げる方法3つ
職場への不満もあり、転職を検討している人もいるかもしれません。
一方で、今の職場に満足している人も、職場を変わることなく年収を上げる方法がないかと考えたことはありませんか?
年収を上げる一つの方法として、介護とは違う未経験の職種にチャレンジすることもできます。
ここでは、さまざまな方法からそれぞれの状況に合った年収UPの方法を3つ紹介します。
あなたに合った方法で年収UPを目指しましょう。
年収を上げる方法1.いまの職場でキャリアアップを狙う
まず、職場を変えることなく年収をUP指すには、キャリアアップを目指すしかありません。
キャリアをつんでいくにはいろいろな方法がありますが、介護職であれば資格をとることなどが考えられるでしょう。
キャリアアップのためにできることを2つ紹介します。
キャリアアップ作戦1.リーダーや管理職を目指す
介護士がキャリアアップするためには、リーダーや管理職を目指しましょう。
なぜなら管理職は責任が大きくなる反面、その分給与が上がるからです。
たとえば常勤介護職員の平均月収は管理職でない人だと30万8,000円ほどですが、管理職になると34万4,000円ほどに上がります。
サービス提供責任者は、経験が少ない方でも実務者研修以上の資格があると比較的目指しやすいでしょう。
キャリアアップ作戦2.資格をとる
資格が必要な介護福祉士の平均給与は、資格を持っていない人に比べて月収で約5万6,000円も高くなります。
月額でこれだけの差があるのであれば、給料アップのために介護福祉士の資格取得は必須であるといえるでしょう。
受験資格を得るためには4年間の実務経験が必要となるので、要件を満たすまでのあいだに「介護福祉士実務者研修」を修了するなど、計画的にすすめれば無資格のときよりも段階的に給与を上げることができます。
- 資格取得のための補助制度があることも
実務者研修や介護福祉士などの資格取得のための費用を、勤務先の事業所が補助してくれる場合もあります。
職員の資格取得は、介護職員処遇改善加算が多く取れるなど事業者としてもメリットがあるので、応援してくれるはずです。
また、市区町村の社会福祉協議会で資格取得のための貸付制度もあり、条件を満たせば返済が免除され実質自己負担なしで資格取得することができます。
資格取得の前には、一度確認してみるといいでしょう。
年収を上げる方法2.別の施設へ転職する
介護士が年収を上げるには、別の施設へ転職する方法もあります。
なぜなら介護士の昇給や各種手当の基準と額は、施設によってさまざまだからです。
ハローワークで求人情報を参照するよりも、転職サイトや転職エージェントを活用した方がより細かい点まで労働条件を把握できるでしょう。
転職サイトのキャリアアドバイザーのサポートを受け、自分にとって条件の良い施設を見つけて転職した方が、時間をかけずに年収を上げられる可能性があります。
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「WellCrewAgent (ウェルクルーエージェント)」は介護や福祉職のための転職サイトです。
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年収を上げる方法3.思いきって他の職種に転職する
介護職は勤続年数を重ねても大きく年収が増えることは見込めません。
介護士の給料水準が国の処遇改善加算などで改善傾向にあるとはいっても、給料を大きく上げるにはまだまだ時間や制度の拡充が必要です。
待遇改善を待つよりも、異業種へ転職する方が効率的に給料を上げられる可能性もあり、現実的といえるでしょう。
他業種に転職を考えるあなたにおすすめの転職エージェントを紹介します。
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介護士の平均年収に関するQ&A
介護士の平均年収についてよくある質問をまとめました。
Q.無資格から資格をとる場合はどういうステップを踏めばよい?
介護の仕事は資格がなくてもできますが、必要な知識を身に付けて業務範囲を広げるためには、資格の取得が望ましいです。
はじめの資格として「介護職員初任者研修」から始めましょう。
介護職員初任者研修は受験資格は特になく、130時間の講義や演習を修了し試験に合格することで取得できます。
この資格を取得すると、訪問介護での身体介護業務ができるようになり、資格手当が支給されることも少なくありません。
介護職員初任者研修は、介護福祉士実務者研修や介護福祉士などの上位資格取得の入り口でもあるため、キャリアアップにもつながるでしょう。
まとめ
- 介護福祉士の平均年収は約440万円、無資格の介護士は367万円
- 資格の取得で段階的に年収もUPする
- 年収をUPさせるにはキャリアアップや転職が有用