勤めている企業が「ブラック企業かもしれない」と思ったことがある人も多いでしょう。
ホワイト企業と呼ばれる優良企業がある一方で、労働者を劣悪な環境で働かせるブラック企業が多く存在するのも事実です。
今回はブラック企業の特徴を整理し、現状を抜け出す方法や優良な企業を見分けるポイントを紹介します。
ブラック企業に就職したかもしれないと悩んでいる人は「ブラック企業で働いているかも?と思った時の対処法」に目を通してみてくださいね。
Contents
「ブラック企業」といわれる会社の定義
「ブラック企業」の一般的な定義は以下の3つです。
- パワハラの横行や残業の賃金不払など、会社全体のコンプライアンス意識が低い
- 社員にきついノルマや長時間労働を課している
- 社員に対し、上記の状況下で過度の選別を行っている
ブラック企業の特徴
ブラック企業の特徴は以下の通りです。
- 労働基準法に違反する「長時間残業」が当たり前
- 年休が10日間付与されているのに、まったく有給休暇がとれない
- 休日出勤が多い
特徴1.労働基準法に違反する「長時間残業」が当たり前
ブラック企業では労働基準法に違反する長時間残業が当たり前になっています。
なぜなら経営者や上司のコンプライアンス意識が低く、それを問題視していないからです。
法定労働時間や時間外労働時間は労働基準法によって以下のように定められています。
- 法定労働時間:1日8時間、週40時間までが基本
- 時間外労働時間:上限に規制があり、月40時間で年間360時間まで
よって、これ以上の長時間残業は違法といえるでしょう。
特徴2.年休が10日間付与されているのに、まったく有給休暇がとれない
ブラック企業では付与されている有給休暇をまったく取れないケースがあります。
なぜならブラック企業は慢性的な人員不足なことも多いからです。
働き方改革法案が成立し、年間10日以上有給休暇が付与されている社員は年間で最低5日以上の有休を取得する権利が認められています。
有休申請が認められない企業はブラック企業といえるでしょう。
特徴3.休日出勤が多い
休日出勤が多いこともブラック企業の特徴でしょう。
場合によっては休日出勤分の割増賃金を支給しない企業もあります。
労働基準法では36協定と呼ばれる時間外労働規定により休日労働について定めがあります。
よって、36協定を締結している場合は行政官庁に届け出た場合のみ法定休日での休日労働が認められています。
休日出勤が続き、労働分の賃金が得られない会社はブラック企業の可能性が高いでしょう。
賃金に関する特徴3つ
賃金に関する特徴は以下の3つです。
- 時給換算をしたときに基本給が最低賃金額を下回る
- 働いた分の残業代が支払われない
- みなし残業制を理由に残業代が支払われない
特徴1.時給換算をしたときに基本給が最低賃金額を下回る
時給換算すると基本給が最低賃金額を下回る場合はブラック企業の疑いがあるでしょう。
1か月の給料を時給換算する方法は以下の通りです。
- 1か月の賃金合計額から時間外や通勤手当などを引く
- 1で出した数字を会社の年間所定労働日数で割る
- 2で出した数字を1日あたりの所定労働時間の8時間で割る
たとえば東京都の最低賃金時間額は1,013円なので、これよりも低い額は違法です。
「努力」や「やりがい」など抽象的な言葉を並べ、労働に見合う賃金を支払わない企業はブラック企業の疑いがあるでしょう。
特徴2.働いた分の残業代が支払われない
ブラック企業では働いた分の残業代が支払われないケースが多くあります。
たとえば以下のようなケースは注意しましょう。
- 変形労働時間制を理由に従業員を定額で働かせ続ける
- 管理職にしたので残業代は発生しない
しかし、労働基準法では会社が残業代を支払わないのは法律違反です。
ブラック企業の言い訳に惑わされず、正しく判断しましょう。
特徴3.みなし残業制を理由に残業代が支払われない
みなし残業制度とはあらかじめ賃金に一定時間分の残業代を支払う制度です。
たとえば雇用契約書に「残業月20時間を含む」とあれば、その時間内の残業代は賃金に含まれています。
会社にはみなし残業の超過分の賃金を支払う義務があるので、超過分の残業代はすべて請求しましょう。
働く環境に関する特徴3つ
働く環境に関する特徴は以下の3つです。
- 離職率が高い
- パワハラやセクハラなどの嫌がらせがある
- 達成できないノルマを押し付けられる
特徴1.離職率が高い
ブラック企業の離職率は高いことがほとんどです。
なぜならブラック企業は簡単に社員を解雇したり、劣悪な環境下で働かせたりするからです。
引き継ぎの余裕もなく辞める人が多く、会社も状況を改善しないままで人員をすぐに補充するために新しい社員が育ちません。
人が辞める悪循環が続くので、常に社員が入れ替わっているような状況になるでしょう。
特徴2.パワハラやセクハラなどの嫌がらせがある
ブラック企業ではパワハラやセクハラなどの嫌がらせが常態化している場合が多いです。
なぜなら労働環境に問題があるために人員に余裕がなく、即戦力を欲しがる傾向があるからです。
社員に過酷なノルマを課し、クリアできなければパワハラをして排除するような傾向もあるでしょう。
特徴3.達成できないノルマを押し付けられる
達成できないようなノルマを押し付ける傾向はブラック企業でよくみられます。
なぜならノルマを達成できない社員を叱責し、ほかの会社では通用しないと思い込ませるからです。
人のいない場所でなく、わざわざ朝礼などほかの社員が見ている場所で叱責するケースも多いでしょう。
同僚に相談するよりも、多数の企業を知るプロの転職アドバイザーや同業他社の人に相談すると自分の会社を客観的に判断できるでしょう。
ブラック企業で働いているかも?と思った時の対処法4つ
ブラック企業で働いているかもと思った時の対処法は以下の4つです。
- 公共機関に相談する
- 心身ともに辛い状態が続くなら、退職する
- 慰謝料や未払いの残業代を請求する
- 対処法4.働きやすい会社に転職する
対処法1.公共機関に相談する
勤め先がブラック企業かもと心配な人は公共機関に相談しましょう。
「労働局」と「労働基準監督署」は公共機関の代表的な相談先です。
各都道府県ごとに相談窓口が設置されているので、ネットや電話から問い合わせてみましょう。
対処法2.心身ともに辛い状態が続くなら、退職する
ブラック企業に心身ともに辛い状態が続くなら、退職もひとつの手です。
なぜなら辛さばかりが大きな職場では幸せな生活や自分の成長が望めないからです。
今の環境のままじっと耐える日々が続くと、心身の病気にかかってしまうおそれもあります。
現状から抜け出すには「退職」を選んでもよいでしょう。
対処法3.慰謝料や未払いの残業代を請求する
プラック企業に慰謝料や未払いの残業代を請求し、解決する方法もあります。
自分で会社に請求すれば費用は一切かかりません。
しかし、交渉のために心身ともに手間と労力がかかるでしょう。
一方で弁護士に依頼すると費用がかかる分、請求額を取り戻せる確率が上がります。
費用が気になる人は着手金0円の「完全成功報酬」の弁護士事務所や無料相談サービスがある弁護士の利用がおすすめでしょう。
対処法4.働きやすい会社に転職する
ブラック企業で苦しんでいるのなら、働きやすい会社に転職して解決を目指しましょう。
なぜなら会社に改善を求めても、すぐに変わることは期待できないからです。
今の会社に対する違和感や不満は、新しい会社選びの基準にすることもできます。
心機一転、転職で環境を変えるのもよいでしょう。
入社前にブラック企業を見分けるポイント5つ
入社前にブラック企業を見分けるポイントは以下の5つです。
- 常に求人募集をしていないか
- 求人票の雇用条件が詳細に書かれているか
- 社員の口コミを確認する
- 求人票に曖昧な言葉が多く、仕事内容が分かりにくい
- 入社前に社内を見学させてもらう
ポイント1.常に求人募集をしていないか
常に求人募集をしている会社は、ブラック企業の可能性があります。
なぜなら離職者が多く、労働環境の悪い会社だと推測できるからです。
ブラック企業の求人は高待遇や好条件が記載されていることも多いですが、実態と異なる場合がほとんどでしょう。
面接後すぐに内定が出る、内定承諾を執拗に催促してくるなどの場合、ブラック企業が疑われます。
ポイント2.求人票の雇用条件が詳細に書かれているか
求人票に雇用条件が詳細に書かれているかをチェックしましょう。
なぜなら、基本給と残業代が書かれてない会社は違法労働が行われているブラック企業の可能性があるからです。
残業代の不払いやみなし残業制を悪用している会社は雇用条件を曖昧にしている場合もあります。
面接時には給与面や手当の有無、休日などの項目を事前に確認しましょう。
ポイント3.社員の口コミを確認する
良さそうな会社が見つかったら、社員の口コミを事前に確認しておきましょう。
なぜなら入社前にはわからない、実際の職場環境を知ることができるからです。
口コミをチェックしておけばプラック企業がどうかを推測しやすく、入社後のギャップが少なく済むでしょう。
ただし口コミの状況が現在と違う可能性があります。
不満がある社員が悪意を持って口コミを書いているケースもあるので、すべてを信じないようにしましょう。
ポイント4.求人票に曖昧な言葉が多く、仕事内容が分かりにくい
求人票に曖昧な言葉が多く、仕事内容がわかりにくい会社はブラック企業かもしれません。
なぜならアピールできる実績や客観的な長所がないために、曖昧な言葉でごまかしているからです。
「若手が活躍中」や「アットホームな社風」、「やりがいある仕事ができる」などの言葉には要注意です。
1度聞いただけでは業務内容が想像できない職種なども誰にでもできる作業や不人気な業務である可能性があるので気をつけましょう。
ポイント5.入社前に社内を見学させてもらう
入社前、できれば最終面接前には社内を見学させてもらいましょう。
なぜなら社内の様子を見れば、実際に自分が入社した後のイメージがしやすいからです。
社内見学では社員が疲弊して暗い表情ではないか、職場が殺伐としていないかなどをチェックしましょう。
社内見学の段階で少しでも違和感があるならブラック企業の可能性を考え、入社は慎重に検討しましょう。
ブラック企業の特徴に関するQ&A
ブラック企業の特徴に関するQ&Aは以下の通りです。
Q1.会社がブラックすぎると思ったらどうしたらいい?
会社がブラックすぎると思ったら、できるだけ早く辞めましょう。
なぜならしんどさを我慢して心身を壊してしまっては、仕事を続けられなくなるからです。
「実家に帰らなければならなくなった」や「次の就職先が決まっている」など、会社が引き止めにくい理由を伝えましょう。
どうしても辞められない、未払い残業代を請求したいなどの場合、弁護士に依頼する方法も有効です。
Q2.中小企業はブラック企業が多いからやめておけと言われるけれど本当?
日本にある企業の約95%以上が中小企業です。
よって、ブラック企業=中小企業と誤解されやすいですが、実際は企業規模だけではブラック企業かどうかは判断できません。
なぜならブラック企業は中小企業、大企業問わずに存在しているからです。
たとえば、以下のような企業はブラック企業になりやすい可能性があるでしょう。
- 労働組合がない家族経営の会社
- 下請けをしていて、中間業者から無茶な要求されている会社
- コンプライアンスを順守する意識が低い会社
- 企業利益を優先しすぎる会社
社員を過酷な労働環境に追い詰めるブラック企業は企業の規模だけで決まるわけではないといえるでしょう。
まとめ
- ブラック企業は中小企業だけとは限らない
- ブラック企業だと気が付いたら、公共機関や第3者に相談してみる
- ブラック企業で無理に働き続ける必要はない