「フリーランス」と聞くと、時間や場所にとらわれずに自由に働けるイメージを抱く人も多いでしょう。
将来的にはフリーランスとして活躍したいと思う人もいるかもしれません。
じつは一言で「フリーランス」といっても、活躍する領域はさまざまです。
たとえば、IT分野で働くフリーランスの人々は「フリーランスITエンジニア」と呼ばれています。
今回は株式会社フォスターネットが運営する、フリーランスITエンジニア専門のエージェントサービス「フォスターフリーランス」に携わる4名の方にインタビューを実施。
ビジネスマネジメント部 キャリアサポート課の矢島さん、森さん、中西さん、経営企画室の田畑さんから、フリーランスITエンジニアとして働く魅力や成功の秘訣を伺いました。
取材先

株式会社フォスターネット
Fosternet Inc.
株式会社フォスターネット
Fosternet Inc.
Profile
株式会社フォスターネットが運営する、フリーランスITエンジニア専門のエージェントサービス。
1996年にサービスを開始し、サービス登録者数は約20,000名。
2003年には、フォスターフリーランスの前身である「スキルサーフィン」をリリース。
20年以上にわたり、「ITエンジニアと働くパートナー」として、1人1人に合った最適なサービスを提供している。
Contents
ニーズの異なる悩みにも、最善の提案ができる存在でありたい
――まず最初に、20年以上の運営実績をお持ちの御社の強みを教えてください。
森さん:私たちはウェブサイトを用いた、フリーランスの登録型マッチングサイトの運営において、老舗企業だと自負しております。
とくに「エンタープライズ系」とよばれる、大手企業や公的機関などの比較的規模が大きいクライアントの案件も多く保有しており、案件のバリエーションに富んでいる点が強みです。
――御社で最も活躍されているフリーランスの方の年代分布を教えてください。
森さん:基本的には30代~40代です。
とくにミドル~ハイエンドといわれる案件の取り扱いが中心のため、35歳~45歳の方とのお取引が多いです。
現在の実績ベースだと、20代が15%、30代が35%、40代が40%、50代が10%程度の割合で推移しています。
――日々、幅広い年代の方とお話をするかと思いますが、フリーランスITエンジニアとして働く方は、どのような悩みや不安を抱えていると感じますか。
森さん:当然ですが、年代によって悩みや不安は異なります。
20代では、フリーランスとして案件を獲得できるかという不安や、キャリア形成に悩む方が多いです。
30代だと、結婚やお子様の誕生、マイホームの購入などの大きなライフイベントに紐づいた悩みが中心です。
40代になると将来を見据え、正社員登用を目指した方がいいのかと相談されることもあります。
――そういったフリーランスの方に対する、「ライフイベント」へのサポートはございますか。
森さん:働く方の金銭面や生活面での「安定」をサポートすることを意識しています。
たとえば、事前のカウンセリングで希望年収をうかがったり、就業時間の要望に合わせて調整をしたりしています。
――金銭面や生活面における不安は、これからフリーランスになる方にとっては解消したいところですよね。
ライフイベントというと、女性の場合は「妊娠や出産」も含まれるのかなと思います。
近年では女性のフリーランスITエンジニアの方も増えているかと思いますが、御社ではいかがでしょうか。
矢島さん:弊社でも多くの女性フリーランスITエンジニアの方が活躍しています。
実際に、「お子さんのお迎えのために時短勤務をしたい」「なるべく自宅から通いやすい職場で働きたい」などの相談を受けています。
その際はフリーランスの方と企業様との間に入り、双方にとってベストな形を目指した交渉を行っています。
フリーランスとして成功する秘訣は「自分自身のスキルを客観視すること」
――「フリーランスには定年がなく、年齢制限もない」といわれていますが、フリーランスITエンジニアとして長く働き続ける秘訣はありますか。
森さん:フリーランスITエンジニアとして長く働き続ける秘訣は2つあると思います。
1つ目は、自分のスキルセットを客観的に把握し、世の中のトレンドにアンテナを張り続けることです。
2つ目は、ベーススキルの補強とサブスキルの強化に取り組むことです。
――詳しくお聞かせください。
矢島さん:IT業界は技術とトレンドの移り変わりが早い業界のため、何もしないと取り残されてしまいます。
自分の強みを確立して、新しい情報は常にキャッチアップし、サブスキルをどんどん身に付けていく姿勢が必要です。
――サブスキルはやはり、自分で見つけていくしか方法はないのでしょうか。
矢島さん:自分で見つける方法も1つですが、案件に関連したほかのスキルセットを体得する方法があります。
ほかのスキルセットに対して、「どれだけ興味を持って取り組めるか」が大切だと思います。
――そういったサブスキルを身につけるコツはありますか?
矢島さん:現状のスキルセットを整理し、理想とのギャップを見つけることです。
私たちは普段、多くの方のスキルシートを拝見するので、相談者の理想像に近い方の経験してきたプロセスを参考に、必要なサブスキルを提案しています。
フリーランスITエンジニアに求められるのは「自分の強みをアウトプットできる力」
――会社員ITエンジニアとして働く方の中には、将来的にフリーランスとして活躍したいと考える方も多いかと思います。
フリーランスITエンジニアの働き方が向いているのはどのような方でしょうか。
森さん:自分の強みをアウトプットする力がある方です。
たとえば、経歴書や情報公開ツールのQiita(キータ)などで自分の技術を公開し、積極的に企業へアピールしていく方法があります。
矢島さん:反対に、「読書」はアプトプットのアピール材料としてはおすすめしません。
なぜなら、企業側には「読書」だけでは実際のスキルが見えづらいからです。
とくに初めてフリーランスになる方や、スキルチェンジを目指す方は、自分の技術が企業側に分かるような形でのアウトプットをおすすめします。
――少し答えにくい質問かもしれないのですが、フリーランスとしての独立はやめたほうが良い方はどのような方でしょうか。
森さん:ITエンジニア歴が1年未満の方だと、案件の紹介が難しい場合があります。
矢島さん:現状何かテクニカルな仕事をしているなら、約3年はそこでベースのスキルを身に付けた方がより活躍しやすいと考えています。
なぜなら、エンジニア経験のない方がフリーランスとして未経験でできる案件をこなしても、スキルが身に付きづらい案件が多いので、数年後も同じ仕事をしている状態に陥りやすいからです。
――やはり、最低でも3年ほどはベーススキルを身に付けた方が仕事を受注しやすいということでしょうか。
矢島さん:3年が明確な数字とは言い切れません。
しかし、それくらいの経験を積んだ人のほうが、好条件の案件を受注しやすい傾向があります。
――反対に「もうすでに経験もスキルもあるぞ」という方がフリーランスになる際は、何から準備したらいいでしょうか?
森さん:会社員として経験を積んできた人ほど、まずは自分の保有スキルを客観的に把握することが重要です。
なぜなら、会社員の時に受けた評価と、フリーランスとして独立後に周囲から受ける評価のあいだにはギャップが起きやすいからです。
自分のスキルを客観的に見つめることで、理想と現実の差を埋めやすくなります。
あとは、フリーランスとして独立すると、ローンが組みにくくなったり、転居しづらくなったりする可能性があるので、事前に資金確保や手続きを済ませておくと良いと思います。
中西さん:あとは迷ったらやはり1度、弊社に来ていただきたいですね。
人によっては、フリーランスエージェントには相談しにくいと感じる方もいますが、気軽に相談してもらえたら嬉しいです。
――最後に、御社が2021年4月と5月に2種類の新サービスをリリースなさったと伺いました。それぞれのサービスの特徴を教えてください。
田畑さん:私たちは2021年4月に現役ITフリーランスの方向けのオンライン学習支援サービス「FOSTER ACADEMY(フォスターアカデミー)」をリリースいたしました。
また、同年5月にはスタートアップ企業様に特化したマッチングサービス「FOSTER SYNC(フォスターシンク)」をリリースいたしました。
これら2つのサービスを通して、私たちが長年培ってきたノウハウを活かし、ITフリーランスの方を含むより多くのITエンジニアの方の活躍の場を増やしたいと考えています。
――まずは、「FOSTER ACADEMY(フォスターアカデミー)」の特徴を教えてください。
田畑さん:「FOSTER ACADEMY」は今現在、そして今後より需要を増していくであろうDX領域のスキルを身に付けていただく為のオンライン完結型学習支援サービスです。
すでにご活躍されている25歳から45歳の現役ITフリーランスの方をメインに対象とさせていただいております。
ご参画されている現場で働きながら、約3ヶ月間のうちに60時間~ 80時間ほどのボリュームのプログラムをE-learningにて学んでいただく構成となっております。
ただ、学習内容には演習も組み込まれているので、進めていただくペースによって多少の幅があると考えています。
長年エージェントサービスを提供する中で、現役ITフリーランスの方の更なるステップアップにつながる『外部サービスの必要性』を感じてきました。
当該サービスは弊社が自らそのサービスを提供することで、「ITフリーランスという生き方そのものを支援させていただきたい」という想いから発足しました。
ですので、当該サービスには受講料免除制度を設けており、ご条件を満たしていただければ無償での受講が可能な設計となっております。
――なるほど。「FOSTER ACADEMY(フォスターアカデミー)」を利用すると、仕事を続けながら、約3ヵ月間で効率的にスキルUPできるのですね。
一方で、5月にリリースした「FOSTER SYNC(フォスターシンク)」にはどのような特徴があるのでしょうか。
田畑さん:「FOSTER SYNC」は、スタートアップ企業様に特化したITフリーランスマッチングサービスです。
テクノロジーの進化が著しい中、社会的な課題を解決する意識を持ち、最先端のテクノロジーやサービスを生み出していこうという情熱にあふれる、スタートアップ企業様の存在は社会に欠かせないと考えています。
しかし、多くのスタートアップ企業様が「調達ラウンドを終えた後の人材採用に悩んでいる」というデータが多数あります。
また、実際に弊社がお付き合いしてきたスタートアップの顧客の方からも多くの声をいただきました。
私たちはこのサービスを通して、スタートアップ企業様のサービスに興味がある方はもちろん、その理念や社会的意義に共感する優秀なITフリーランスの方と、即戦力を求めるスタートアップ企業様の架け橋になれたらと考えています。
FOSTER SYNCでは、自社のサービスや理念をスタートアップ企業様にアピールていただける構成となっております。
スキルマッチはもちろん、自社のカルチャーに合う人材との最適な出会いを提供できる場にできたらと考えております。
――2つのサービスはIT業界の人材不足の解消はもちろん、スキルアップしてさらに活躍したいITフリーランスの方へのサポートにも繋がるサービスですね!
田畑さん:そう考えています!
創業から25年以上ITエンジニアの方々を支え、ノウハウを培ってきた私たちだからこそ実現できたサービスだと思っております。