1度しかない大切な人生のうち、約30%を占めるのが「仕事」といわれています。
日々働く中で、「今の仕事が特別イヤではないけど、もっと自分に合った働き方ができたらいいのに…。」と思った経験はだれしも1度はあるでしょう。
『働き方』と一言で言っても、会社員に限らず、契約社員、派遣社員、自営業、フリーランスなど様々です。
ご自身もフリーランス経験があり、現在はIT起業家・フリーランス向けのエージェントサービス「ITプロパートナーズ」で事業責任者を務める田中さんにインタビューを実施。
フリーランスとして働く魅力と、成功に必要なエッセンスを伺いました。
Contents
取材先 株式会社Hajimari Hajimari Inc. 株式会社Hajimari Hajimari Inc. Profile 株式会社Hajimariが運営する、IT起業家・フリーランス向けのお仕事紹介サービス「ITプロパートナーズ」。 週2、3日から働ける案件が多く、高単価の案件が豊富。 利用企業は3,000社を超え、トレンド技術を積極的に取り入れる企業様の案件を多数保有。 「自立した人材を増やし、人生の幸福度を高める」をビジョンに掲げ、IT起業家・フリーランスの自立をトータルサポートしている。
自立した人材を増やし、人生の幸福度を高める
――貴社を含め、複数のフリーランスITエンジニア向けのサービスはあるかと思いますが、貴社の最大の強みを教えてください。
田中さん:ユーザー様にとって弊社の強みは大きく分けて2つあります。
1つ目は、高単価の案件が多い点です。
弊社では直接クライアント様とやり取りを行う案件(直エンド案件)が全体の9割近くを占めています。
SESと呼ばれる仲介会社を原則挟まず、弊社のエージェントとクライアントが直接やり取りをすることでマージンが少なく済みます。
結果として、ユーザー様が受け取る報酬額を増やせている背景があります。
2つ目は、週2、3日から稼働できる案件の紹介数が多く、柔軟な働き方を実現しやすい点です。
案件の比率としては週3日以下で稼動できる案件が全体の約4割、週4日以下で稼働できる案件比率は全体の約8割を占めています。
近年の新型コロナウイルスの影響もあり、リモートで働ける案件数も大幅に増えているため、働く場所が柔軟な案件をご紹介できています。
――週2、3日から就業できると、非常に働きやすいですよね。貴社が週2、3日から就業できる案件を多く取り揃えている理由を教えていただけますか。
田中さん:私たちは、「自立した人材を増やし、人生の幸福度を高める」というビジョンを掲げており、創業当初から「起業家やフリーランスの方の自己実現を支援したい」と考えています。
私たちはせっかく起業を実現しても、事業が黒字化するまでの生活資金の確保に悩み、多くの方が夢や創業当初から行っていた事業を断念する状況を見てきました。
また弊社代表の木村が成功報酬型の求人サービス「Green(グリーン)」を運営していた際、優秀な人材を採用できないと悩む企業の方から、多くのご相談をいただきました。
そこで週2、3日から就業できる案件を提供することで、企業様の人材ニーズに貢献しつつ、ユーザー様が生活と両立した形で、自己実現に向けた挑戦を後押しするご支援ができるのではないかと考えました。
――実際に、貴社経由で受注していた方で起業なさった方はいらっしゃいますか。
田中さん:もちろんたくさんいらっしゃいます。
起業準備中のユーザー様の方はもちろん、すでに事業展開をしていて、事業のかたわら生活費を得ている方も多いです。
「生活に必要な最低限の収入を確保しながら、自身の起業や事業準備を進行できる」というのは弊社のサービスの大きな特徴です。
――利用者の方のスキルやご経験は様々かと思いますが、週2、3日から就業可能な案件を受注しやすいのはどのような方でしょうか。
田中さん:週2、3日から就業できる案件を受注しやすい人の特徴は3つあります。
1つ目は高い技術力や高い専門スキルをお持ちの方です。
具体的に申し上げると、求められている技術やスキルを、限られたリソースの中で発揮することで企業の事業や経営に関する課題解決に貢献できる人です。
当然、企業側は即戦力としてフリーランスを登用なさるので、フルタイムでの参画でなくても、高いパフォーマンスの発揮が求められます。
2つ目は自己研鑽に長けていて、対応できる業務の幅が広い方です。
スキルや市場感はもちろん、時代やニーズに合った技術・アウトプットは何かを考え、逆に企業に対してアドバイスができる人は重宝されます。
また、対応できる業務や知見の幅が広いほど、クライアントへの価値提供の幅は広がり、案件の受注しやすさが上がる傾向にあります。
3つ目はビジネスマンとしての高い基礎力がある方です。
たとえば、報連相(ほうれんそう)を適切に行なえることや、コミット力やコミュニケーション力の高さなどが挙げられます。
フリーランスの方々の中にはチームでの成果を上げることやビジネスコミュニケーションを重要視していない人も多いかもしれません。
しかし、企業側はフリーランスを組織の一員として扱うため、一般的なビジネススキルは当然のスキルとして求める傾向にあります。
実際、アウトプットを示し、成果を出すことにフォーカスして業務に取り組める方は企業側からの評価も高く、中長期的に活躍している方が多いです。
フリーランスとして成功する秘訣は、「これを成し遂げたい」という強い目的意識をもつこと
――フリーランス向けのエージェントサービスを利用する場合、どのような点に注意すると、自分に合ったサービスを見つけられるのでしょうか。
田中さん:フリーランス向けのエージェントサービスを利用する場合、以下の2点に注意すると良いかもしれません。
- エージェントの対応スピード
- エージェントの知識量
業務委託案件の特徴は、「意思決定のスピードが早い」点です。
たとえば、昨日まで募集していた案件でも、翌日になると募集が終了しているケースは珍しくありません。
よって、エージェントの対応スピードが遅いと、案件に参画するチャンスを失う恐れがあります。
また、エージェントが案件に関連した技術の概念を理解し、一定の知識を有していることが大切です。
知識が少ないエージェントの場合、条件面でしかマッチングをしていない案件を勧められる可能性があり、フリーランスとして最適なキャリアプランを築けなくなる恐れもあります。
利用者のなかには、他のサービスでの面談時にエージェントの知識量に不安を感じて、弊社へご相談にいらっしゃる方も少なくはありません。
――貴社のサービスを利用して、収入アップを目指すコツなどはなにかございますか。
田中さん:大前提として、過去に参画した案件で高い評価を得ていることが重要です。
なぜなら、スキルや経験を再現性のある状態で担保することが、次の報酬交渉の判断材料になるからです。
また収入を上げ続けるためには、市場のニーズを把握し続ける必要もあります。
特に、市場で緊急度や重要度が高い領域のスキルを意識的に身に付けると、ニーズに対して価値提供できる人が少ない市場を狙いやすくなるので、案件の報酬自体が自然と高くなり、収入アップを目指しやすいかもしれません。
ただ、トレンドの変遷は激しいので、何か1つ得意領域を持っていると、信頼につながると思います。
――貴社では、専属エージェントの方が働き方をサポートしてくださると伺いました。
具体的にどのようなサポートをしていただけるのでしょうか。
田中さん:とくに、ユーザー様との面談に力を入れています。
面談では希望条件だけではなく、ユーザー様の意思や自己実現から逆算をしたキャリア面談を心がけています。
近年ではフリーランスという働き方が世の中に認知されつつあり、フリーランスになるべきか、転職すべきかと悩む方からも多くのご相談をいただきます。
その際は、無理に独立を勧めるのではなく、将来的な独立を視野に入れた『転職』を勧めるケースもあります。
転職すべきかフリーランスになるべきかというご相談は、フリーランスの実情を知る私たちだからこそ、最適なアドバイスができると考えています。
――フリーランス経験が未経験の方からは、とくにどんなご相談を受ける機会が多いのでしょうか。
田中さん:やはり、案件の成約確度や収入面に関するご相談が多いです。
参画先の決定については市場からのニーズが高い技術をお持ちだと、比較的進めやすいかもしれません。
ただ私個人としては、独立して案件を見つけられる自信がない方や、スキルアップのためだけでフリーランスを検討している方は、無理にフリーランスになるべきではないと考えています。
――「無理にフリーランスを目指す必要はない」とのことですが、フリーランスと会社員の両方をご経験なさった田中さんが思う「フリーランスITエンジニア」として働く魅力はどのような点でしょうか。
田中さん:実力があれば、自由にやりたい仕事を獲得できる点です。
フリーランスになると、望んだものを望むかたちで手に入れやすいことは事実だと思います。
▲ITプロパートナーズを運営する株式会社Hajimariの東京本社
また、最終的には自分で意思決定をする機会が増えるので、幸福度も高いかもしれませんね。
収入も会社員と比較して、控除項目がなくなる分、手取り額は増える場合が多いと思います。
一方でフリーランスにはそういったメリットだけではなく、様々なシーンで個人としての責任を求められ、人によっては辛いと感じられる側面も沢山あります。
ときには、思っていたよりも出費がかさみ、手元に残る現金が少なくなったり、場合によっては訴訟問題に巻き込まれたりする場合もあります。
だからこそ、「フリーランスとしてこれを成し遂げたい」という強い目的意識が必要だと思います。
人によって様々ではありますが、何かしらの「頑張れる動機」があると、苦しい時を踏ん張ったり、乗り越えたりできるかもしれません。
案件紹介にこだわらず、自立支援につながるなら、どんどんチャレンジしていきたい
――最後に、今後の展望を教えていただけますか。
田中さん:ITプロパートナーズの事業部としての展望は、案件のご紹介といったマッチングのご支援に留まらず、自立支援に必要な領域へ進出していきたいと考えております。
現在は「職種の横展開」を軸とし、すでに人事フリーランス領域に特化した「人事プロパートナーズ」財務領域のCFO人材支援「Financeプロパートナーズ」などは、ローンチ済みです。
また、先日は企業の抱える幅広いマーケティングニーズに対応できる「マーケティングプロパートナーズ」のβ版をリリースしました。その他職種の展開準備も進めている段階です。
私たちは事業部として「挑戦者の自立を支え、自己実現にあふれた世界を創る」と言うミッションを掲げており、そこに通じるものであれば積極的にご支援したいと思っています。
たとえば、企業の創業支援や、弊社経由で案件に参画していた方の事業への投資、M&Aのご提案など、事業観点でのご支援も進めています。
また弊社の新規事業やメディアの立ち上げ、サービスのテコ入れなどで、創業当初から沢山のフリーランスの方にご支援いただいています。
私たちは、成し遂げたいことに向かってチャレンジするユーザー様のためになるなら、案件の紹介に限らず、トータルでサポートしたいと思っています。
――実際、最初に描いた構想はどこまで進んだのでしょうか。
田中さん:「やっとスタート地点に立てた」という状態で、割合で言うと、約10%~20%です。
市場が徐々に、ITプロパートナーズのような事業を受け入れつつあり、上場企業でも少しずつですが、外部人材の登用が進んでいます。
――進捗率は「約10%~20%」とのことですが、貴社が感じている具体的な課題などを教えていただけますか。
田中さん:ITフリーランスエンジニアの文脈だけにはなっていますが、課題は多くあります。
たとえば、若いうちにフリーランスになる方は厚生年金を支払いません。
よって将来的には国民年金のみの月約7万円を受給します。
月約7万円は、会社員を定年まで続けられた方の受給額と比較すると、約8万円の差が発生しますが、この事実は意外と知られていません。
お金の知識とサービスは、フリーランスの方へサービスを提供している立場として伝える責任があると思っています。
また、フリーランスは46歳を過ぎると、急に案件が見つかりづらくなります。
ITフリーランスは「若手」と「ベテラン層」の2極化が激しく、どうしても、若手でバリバリ動く方への企業からのニーズは高い一方で、46歳を超えると一気に案件が見つかりづらくなるという面があります。
弊社では、新卒採用サービス「intee(インティ)」という教育観点のサービスはご用意があるので、今後は活躍するベテラン層の方をご支援するサービスも拡充し、幅広い層をサポートできたらと考えています。
加えて、フリーランスは横の人とのつながりや接点を持ちづらい部分もあるので、コミュニティを作ることも視野に入れています。
案件紹介にこだわらず、自立支援につながるような文脈であれば、今後もどんどんチャレンジしていきたいと思っています。
▲ITプロパートナーズを運営する株式会社Hajimariの東京本社
貴社のサービスを通して、より多くのフリーランスが活躍できるチャンスが増えていきそうで、今後の展開が楽しみです。
本日はありがとうございました。