「管理薬剤師って資格がなくてもなれる?」
「管理薬剤師と薬局勤務の薬剤師ってどんな違いがあるの?」
じつは管理薬剤師になるために特別な資格は不要です。
薬剤師としてキャリアアップするために、管理職ポジションである『管理薬剤師』を目指す人も多いでしょう。
管理薬剤師になると現場やチームのリーダーとして、より責任ややりがいのある仕事をするチャンスが増えます。
またスキルや経験を活かし、年収UPも期待できるでしょう。
今回は最短で管理薬剤師になる方法や、成功するコツを紹介します。
管理薬剤師を目指している人は「管理薬剤師になる方法」を参考にしてみてくださいね。
Contents
「管理薬剤師」は企業や薬局などで配置が義務化されている
管理薬剤師は薬事法に基づき調剤薬局・ドラッグストア・病院・製薬メーカーなどの企業において、拠点ごとに設置が義務付けられている責任者のことをいいます。
新たな資格の取得は必要ありません。
企業の管理職のようなイメージで、薬剤師の資格があれば誰でも目指せます。
特別な資格がなくても、「管理薬剤師」になれる
特別な資格がなくても管理薬剤師になれます。
ただし、かかりつけ薬局の管理薬剤師になるには「実務経験5年以上必要」と日本薬剤師会が示しています。
必須の実務経験の定めはありませんが、実務経験を求められるのが一般的です。
薬剤師としての経験を積み、管理薬剤師に必要な知識やスキルを学びたい人は公益社団法人が主催する管理薬剤師向けの研修会に参加してみましょう。
「管理薬剤師」と薬局や病院に勤務する「薬剤師」との違い
「管理薬剤師」と薬局や病院に勤務する「薬剤師」との違いは以下の通りです。
- 資格手当や管理職手当があるので、平均年収が高い傾向にある
- 薬機法第7条により、副業が禁止されている
- 重要な仕事を任されることが多く、仕事に対する責任が重い
違い1.資格手当や管理職手当があるので、平均年収が高い傾向にある
管理薬剤師は一般的な薬剤師より高収入が見込めます。
なぜなら、管理薬剤師は通常の薬剤師業務に加えて管理業務があり、給与には管理職手当や資格手当が上乗せされるからです。
実際、管理薬剤師になると医薬品の品質や在庫管理の業務以外に、従業員の指導や管理などの役割も増えるでしょう。
業務や役割が増える分、一般的な薬剤師よりも平均年収は高くなる傾向があります。
違い2.薬機法第7条により、副業が禁止されている
管理薬剤師は公益性の高い一部の副業を除き、副業が認められていません。
なぜなら、管理薬剤師は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)により、就業先以外での薬局の管理やその他薬事に関わる実務をしてはいけないと定められているからです。
ただし、都道府県知事の許可を得て、学校薬剤師や薬剤師会の事業など公益性の高い仕事であれば兼業は可能でしょう。
違い3.重要な仕事を任されることが多く、仕事に対する責任が重い
管理薬剤師は一般的な薬剤師業務に加えて「従業員の監督」「医薬品等の管理」の2つの業務を担うため、責任は大きくなります。
従業員が医薬品の適切な使用方法を理解して説明ができるか、法令遵守しているかなど他の薬剤師や従業員の指導と教育をする役割があります。
医薬品の品質維持のための温度・湿度管理、使用期限の管理、在庫の管理なども担うため、果たすべき役割には責任が伴うでしょう。
「管理薬剤師」の主な仕事内容と勤務地
管理薬剤師の仕事内容は大きく分けて以下の2つで、厚生労働省によって定められています。
- 医薬品の管理
- 従業員の監督
ただし、法律によって定められている業務以外に加えて、勤務地ごとに管理薬剤師がおこなう仕事は異なります。
次の項目で勤務地ごとの仕事内容を見ていきましょう。
勤務地1.薬局の責任者として働く「調剤薬局・保険薬局」の場合
薬局での管理薬剤師としての仕事内容は、医薬品の管理や実務に加えて、経営や人材育成に関わるなど勤務先により様々です。
調剤業務や服薬指導など、他の薬剤師と同じ業務を行うこともあれば、従業員をまとめるリーダー的役割や薬局の経営を任される場合もあるでしょう。
勤務地2.知識を活かし、店長やオーナーをサポートする「ドラッグストア」勤務の場合
ドラッグストアでの業務内容は調剤薬局と同じですが、健康食品やサプリメントなどの一般医薬品の管理も必要になります。
薬剤師以外のスタッフが多く在籍するため、管理薬剤師は知識のある専門職としての役割を期待されるでしょう。
勤務地3.管理薬剤師の配置義務がない「病院勤務」の場合
病院では管理薬剤師の法的な設置義務はありません。
しかし病院では治療のために高度な薬品を取り扱うことがあり、薬剤管理をより慎重に確実に行うための知識やスキルが必要です。
病院内では「薬剤部長」「薬局長」という肩書で、管理薬剤師と同じ役割を担うばあいもあるでしょう。
勤務地4.製薬メーカーなどの「企業」勤務の場合
企業の管理薬剤師は、製薬会社の本社や支社、工場、倉庫などの勤務が多く、調剤業務がありません。
薬剤の在庫管理・品質管理業務が主ですが、勤務先により医療従事者からの問い合わせ対応・分析業務・新薬の情報管理の仕事が含まれることがあります。
企業勤務だと土日祝日休みはもちろん、暦通りで休める場合が多いため、仕事とプライベートを充実させやすいでしょう。
勤務地5.商品の品質管理をする「工場」勤務の場合
管理薬剤師は医療用医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器や試薬を製造する工場にも設置が義務付けられています。
工場内での管理薬剤師の業務内容は薬品の管理が主ですが、製造過程の監督や各種許可申請や事務手続きの仕事が含まれることもあるでしょう。
管理薬剤師になるメリット3つ
管理薬剤師になるメリットは以下の3つです。
- 薬剤師としてのキャリアアップにつながる
- 年収がUPしやすくなる
- やりがいのある仕事を任せてもらいやすい
メリット1.薬剤師としてのキャリアアップにつながる
管理薬剤師になって経験を積むと自分の実績となり、今後のキャリアアップにつながるでしょう。
一般の薬剤師業務に加えて、医薬品の幅広い知識・正しい薬品の管理法・経営や法律に関する知識・人材育成の能力も身につけるチャンスがあります。
メリット2.年収がUPしやすくなる
管理薬剤師になると役職手当として月に3~6万円上乗せされるのが一般的です。
よって、管理薬剤師になると、年収UPを見込みやすいです。
管理薬剤師は一般の薬剤師業務に加えて、管理業務も行うため、経験やスキルを増やすチャンスが多いでしょう。
メリット3.仕事に対して、より大きなやりがいを感じられる
管理薬剤師の仕事は責任が重い分、大きなやりがいを感じられます。
たとえば、管理薬剤師として薬局の運営に携わると調剤スキル以外に、経営者としての視点が身につくでしょう。
管理職としての役割を果たしたり、新たなスキルが身に付いたりするとそれに伴い、満足感を得るチャンスがあります。
管理薬剤師になるデメリット3つ
管理薬剤師になるデメリットは以下3つです。
- 仕事の負担が大きい
- 休みが取りづらい
- 薬剤師として副業ができない
デメリット1.仕事の負担が大きい
管理薬剤師になると管理業務の負担が増えて責任は大きくなります。
疑問点がある時には管理者である自分が中心となり、問題を解決しなければならないからです。
たとえば薬剤の管理方法で不明な点がある時でも、自分で調べて確認し判断することになります。
よって薬剤師としての責任が重くなるので、負担感が増すこともあるかもしれません。
デメリット2.休みが取りづらい
管理薬剤師は一般薬剤師に比べて、休みがとりにくい場合があります。
管理職の立場なので他のスタッフの急な休みの時や人手不足の時に、対応しなければなりません。
シフト調整ができないと、代わりに自分が出勤して穴埋めするときもあるでしょう。
よって、一般薬剤師と比較すると休みが取りづらいと感じることもあるかもしれません。
デメリット3.薬剤師として副業ができない
管理薬剤師は薬機法により薬事に関わる副業は禁止されています。
ただし、公益性の高い副業や都道府県知事の許可がある場合を除きます。
副業をしたいと思ったら、まずは勤め先の就業規則を確認しましょう。
「管理薬剤師」の仕事が向いている人の特徴
「管理薬剤師」の仕事が向いている人の特徴は以下の通りです。
- 薬剤師の資格を持ち、実務経験が3年~5年以上ある
- スキルや知識を存分に活かして仕事をしたい
- チームや現場のリーダーとして責任のある立場で働きたい
- キャリアアップをしながら、年収を上げていきたい
- 人とコミュニケーションを取るのが得意
管理薬剤師になる方法2つ
管理薬剤師になる方法は以下の2つです。
- 今の仕事で昇進して、管理薬剤師の役職に就く
- 管理薬剤師として採用してもらえる会社に転職する
管理薬剤師になるために特別な資格は不要です。
実務経験を3年から5年以上積み、よりスキルアップしたい、年収を上げたい薬剤師におすすめでしょう。
方法1.今の仕事で昇進して、管理薬剤師の役職に就く
就業中の職場で昇進して、管理薬剤師を目指せます。
薬機法により管理薬剤師の配置が義務付けられている勤務先なら、管理薬剤師の欠員が出た場合、後任が必要です。
よって、勤務する社員の中から任命される場合もあるでしょう。
昇進して役職に就くためには薬剤師としての知識・スキルを研鑽し、勤務態度・人間関係を良好に保つ努力も大切です。
方法2.管理薬剤師として採用してもらえる会社に転職する
管理薬剤師としてのポジションを募集している求人に応募して、転職を機に管理薬剤師になることもできます。
薬剤師としての実務経験があると応募できる場合が多いため、管理薬剤師にチャレンジしたい人にはおすすめの方法です。
勤務先によって管理薬剤師の業務内容は異なるので、仕事内容、求められる役割、労働条件などの詳細を確認して転職活動をすすめましょう。
管理薬剤師として転職したい人におすすめな転職サイト5選
管理薬剤師として転職したい人におすすめな転職サイトは以下の3つです。
キャリアアドバイザーを活用することで、応募者を限定した非公開求人と公募の公開求人の中から最適な求人を選んでもらえます。
よって、希望に合った管理薬剤師の求人を見つけやすいでしょう。
1.創業20年で転職支援経験が豊富な「アプロ・ドットコム」
アプロ・ドットコムは高収入求人を多く保有しており、求職者の要望とマッチするよう積極的に企業と交渉してくれます。
中でも中小企業とのパイプがあるため、非公開の高収入求人を紹介してもらえることがあり、収入UPを期待したい方におすすめです。
2.厚生労働省の認可があり!求人数で選ぶなら「ジョブテポ」
ジョブデポ薬剤師は、8万件以上の求人数を誇る日本最大級の薬剤師求人サイトです。
多数の求人を保有しており、質の高いコンサルタントに無料で相談できるので希望の条件に合う求人を提案してもらえますよ。
3.転職後の定着率95%を誇る「お仕事ラボ」
お仕事ラボでは転職後の定着率95%以上の高水準を満たしており、利用満足度は90%以上を保っています。
専任のコンサルタントが求職者の要望を細部までヒアリングするため、マッチングにズレが少なく希望通りの転職ができます。
サイト内検索で「管理薬剤師/店長」を選択すると、1,500件の求人があり案件も豊富です。
4.薬剤師専任のキャリアアドバイザーが最適な求人を見つけてくれる「マイナビ薬剤師」
マイナビ薬剤師では薬剤師専任アドバイザーが面談を通して求職者のニーズをチャッチし、豊富な案件の中から条件に合う転職先を紹介してくれます。
たとえば「月収や年収・手当・職場の雰囲気・休日について」など、求職者の知りたい情報を直接企業に確認したり条件交渉もしてくれるので、確かな情報を元に転職先を検討することができます。
5.求人数が業界トップクラス「リクナビ薬剤師」
リクナビ薬剤師は求人数業界トップクラスの転職エージェントで非公開求人も多数保有しており、求職者の希望を叶える提案をしてもらえます。
薬剤師専任キャリアアドバイザーがヒアリング・事前調査・条件の交渉などを通して、転職活動をサポートしてくれます。
就業後の満足度アップにもつながり、安心して転職活動ができます。
管理薬剤師を目指す際の注意点
管理薬剤師を目指す際の注意点は以下の2つです。
- 薬剤師の人数が極端に少ない勤務先を選ばない
- 雇用条件をあらかじめ確認しておく
注意点1.薬剤師の人数が極端に少ない勤務先を選ばない
店舗に1人しか薬剤師がいない場合、一般の薬剤師業務に加えて管理業務も一人で担当します。
よって「負担が大きくなる、休暇が取りにくい」などのマイナス面が多く、注意が必要でしょう。
管理薬剤師が一人で勤務する店舗もあるので、転職前に薬剤師の配置人数、業務内容、職場環境の確認をしておくことが大切です。
注意点2.労働条件をあらかじめ確認しておく
転職前に業務内容と労働条件をしっかり確認しておく必要があります。
たとえば役職手当のなかに残業手当が含まれるケースがあり、労働条件の細かな部分にも注意が必要です。
管理薬剤師と言っても勤務先により担う業務は異なるため、業務内容と労働条件が見合うものかを事前に調べておくとよいでしょう。
管理薬剤師に関するQ&A
管理薬剤師に関するQ&Aは以下の通りです。
Q1.パート勤務でも管理薬剤師として働ける?
パート勤務の薬剤師でも十分な勤務時間を確保できれば、管理薬剤師として働けます。
たとえばパート勤務で管理薬剤師になった場合「役職手当・残業代はつくのか」「責任を負う範囲や職務内容は」という詳細の確認が必要です。
ただし管理薬剤師は責任者として管理業務も担うため、短時間勤務で役割を果たすのは難しくフルタイムに近い働き方になるでしょう。
Q2.週の勤務時間が30時間以内でも、管理薬剤師として働ける?
管理薬剤師になるための資格はなく、求められる勤務時間の定めはありません。
管理薬剤師は薬局等の運営・監督・指導をする管理職の立場です。
一般的にはフルタイムと同じように一日あたり8時間(一週あたり40時間)以上勤務することが求められるでしょう。
Q3.管理薬剤師として働いていると、転職で有利になるってホント?
管理薬剤師としての経験があると転職の際に有利になります。
管理薬剤師としての実績があると「即戦力がある・管理能力がある」と評価され、好条件の求人につながりやすいからです。
管理薬剤師として働くことで「知識・スキル・管理能力」が身につ付き、経験が高く評価されることでしょう。
Q4.管理薬剤師として働くのはやっぱり大変?
管理薬剤師になると責任が増えるので、業務の負担を1人で抱え込まないことが大切です。
たとえば他のスタッフとコミュニケーションをとり、仕事の分担や業務改善をすると、経験ややりがいにつながるでしょう。
管理の仕事が増えるため大変ですが、仕事の進め方を工夫をして負担感を減らすことは可能です。
まとめ
- 管理薬剤師になるには転職するのがおすすめ
- 管理薬剤師になるために特別な資格は不要だが、勤務地によって一定の実務経験が必要
- 管理薬剤師を目指すなら、実務経験を3年以上積んでおく