地方移住が注目されています。
今回は、Iターン(アイターン)の就職・転職について、その魅力と注意するポイントを紹介します。
Iターンして地方での新しい働き方を考える人は必見です。
Contents
「Iターン」とは出身地とは異なる地方に移り住むこと
Iターンとは、出身地とは別の地方に移り住むことを意味する言葉です。
とくに都市部で生まれ育った人が都会ではなく田舎に移住することを指します。
このほか移住を指す言葉はいくつかあります。
Uターン……生まれ育った地元(地方)を離れて都市部へ移住・就職し、その後故郷に戻り就業すること。
Jターン……生まれ育った地元(地域)から近い地方都市へ移住し、就業すること。
Iターン転職・就職のニーズが高まる背景
首都圏のビジネスパーソンの中では「故郷や地方への転職・移住意向」が高まりをみせています。
Empowered JAPAN実行委員会の調査によると、「『新しい生活様式』(withコロナ)の影響で、故郷や地方への転職・移住に関して以前よりも前向きに考えるようになりましたか」という質問に対し、約半数のビジネスパーソンが前向きに考えるようになったと回答しています。
とくに、20代の60%、30代の58%が前向きに考えるようになったと回答し、働き盛りの世代の地方への転職・移住意欲がこの環境下で高まっていることをうかがえます。
この結果にきっかけを与える背景を見ていきましょう。
コロナ禍で新しい生活様式が広がった
ひとつ目のきっかけが「新しい生活様式」の影響です。
日常では、手洗いうがい、マスクの着用や手指の消毒、そしてソーシャルディスタンスなど感染症対策の徹底が求められています。
働き方ではテレワークや時差通勤などが導入され、オンラインで可能な業務はオンラインで行われるようにシフトしました。
このような生活様式が定着しつつある中で、家で多くの時間を過ごすようになり、都市部で暮らす意味を考える人が増えたとされています。
政府が推進する「働き方改革」の一環でテレワークが普及した
政府が進める働き方改革関連法案とは、労働に関する現存の8法を改正するための法律の通称で2019年から徐々に試行されています。
働き方改革で目指しているのは、労働力不足の解消です。
これを目指して働く人が個々の事情に応じて多様で柔軟な働き方を選べるよう対策を進めています。
その具体策のひとつにテレワークがあります。
テレワークの普及により、会社がある都市部の近くに居住しなくても、自分の好きな別の場所に住みながら働くことが可能になりました。
人口の高齢化が進み、家族の介護や看護をする人が増えた
Iターンを決意するのは、自分の意思だけではない場合もあります。
日本の高齢者人口は年々増加しています。
総人口に占める高齢者人口は28.1%と過去最高の割合です。
これに伴って、祖父母や義理の親など身近な人の介護や看護が必要になり、移住を決意するという人も増えています。
Iターン転職・就職の魅力
では、Iターン転職、Iターン就職の魅力はなんでしょうか。
都会の暮らしで感じるストレスがなくなる
高層ビルが立ち並び、人が多く集まる都市部では日常的にストレスを抱えている人が多いと言われています。
都会ならではのスピード感や華やかさに疲れ、ストレスを感じてる人もいるでしょう。
また都市部での子育てに不安を抱く人もいるかもしれません。
地方にIターンすることで解消されるストレスがあります。
また、地方には山や海など自然に囲まれた環境がありますが、自然とのふれあいはストレスホルモンを減少させる効果が期待できるといいます。
子育て環境が整っている
都市部では待機児童の問題が深刻です。
このことが女性の仕事復帰の妨げになっていることも事実です。
厚生労働省のまとめによると、全待機児童の63.3%は首都圏や近畿圏など都市部に集中しています。
地方では待機児童が都市部ほどなく、仕事しながら子育てしやすい環境が整っています。
自由に遊べる場所も多く、子どもを育てる環境としても安心です。
人と人との関わりを大切にするコミュニティでは若年層や子育て家庭を街全体で受け入れてくれることが多く、Iターンでも安心できる場合が多いでしょう。
生活コストが削減できる
都市部と地方とを比べると、地方の方が生活コストが低く抑えられる要素が豊富です。
たとえば食費で比べてみると、地方には産直市や地元スーパーで新鮮かつ旬の食材を安く購入できることが多くあります。
また、地方では農家や漁師などから多く採れた(獲れた)野菜や魚などの食材を分けてもらえることも多く、食費も下がる傾向にあります。
地方が物価が安いとは言い切れませんが、トータル的に生活コストが抑えられる傾向あるといえるでしょう。
通勤ストレスが解消できる
地方に移住すると通勤時間を減らせるので、通勤ストレスが解消されます。
なぜなら、地方在住の場合マイカー通勤の人も多く、電車通勤でも通勤ラッシュがない場合が多いからです。
通勤時間のストレスを解消できることで、時間にゆとりが生まれ、心にもゆとりがもてるようになります。
通勤ストレスが減ると、仕事へのモチベーションが上がることも期待できるでしょう。
Iターン転職・就職の注意点3つ
移住で後悔することがないよう、Iターン転職・就職における注意点を見ていきましょう。
注意点1.収入が減る可能性がある
都市部で働いていたときの収入と比較して、Iターン後に収入が減る可能性を予測しておきましょう。
仕事を変える場合、地方では都市部と同じ条件で仕事を探しても給与面で下がることが多くあります。
フリーランスの場合も、案件が都市部に集中していることが多く、これまでと同じように受注ができないかもしれません。
このことを頭に置いておくと、たとえば「副業を検討する」「自分で食べ物を育てて支出を減らす」など対策を立てることができます。
注意点2.田舎ならではの付き合いが増える
都市部に比べて地方は人と人の結びつきが強いと言われています。
引越した先の自治会に加入したり、学校や地域の世話役を任されたりと、都市部にはない人との付き合いが発生することもあるでしょう。
人との関わりが得意ではない人にとっては苦痛になることもあるかもしれません。
しかし、一方で地方の暮らしならではの郷土文化に触れたり、自然災害等で困ったときに助け合えるといった良い点もあると言えます。
注意点3.都市部と比較して求人数が少ない
求人数や職種、業種も都市部と比較して少ない傾向にあります。
公開されている求人数は少ないですが、一方で地方独自の産業や風土に合った仕事があるのも事実です。
地元産業に携わる仕事では地域貢献しながら働くことを実感できるでしょう。
また、企業に属さずフリーランスで仕事を受注するという働き方もあります。
自分にあった働き方を模索しましょう。
Iターン転職・就職を成功させるには
Iターン転職・就職を成功させるためのコツを紹介します。
キャリアをまとめておく
Iターンに関わらず、就職や転職の際にはそれまでのキャリアをまとめておく必要があります。
自分がどんなことができるのか、どんな仕事に関わってきたを分かりやすく整理しておくのがおすすめです。
Web系の仕事をしている人にとって、特にあると良いものに「ポートフォリオ」があります。
ポートフォリオとは、自分が手掛けた仕事についてファイルにまとめたものを指します。
これはWeb以外の業種の人にも同じで、自分の能力や実績などキャリアをまとめておくことが大切です。
面接時にプレゼンに説得力を持たせ、後押しになります。
Iターンしたい地域の産業を調べる
地方によって主な産業は異なります。
漁業が主要な地域、林業、農業、観光業が盛んな地域などさまざまです。
主要な産業は、あなたがIターンした後に就く仕事と密接に関わる可能性があります。
行政の支援体制を調べる
IターンやUターンなど移住を支援するため、さまざまな自治体が移住支援の制度を設けています。
移住してからの生活を想像して、あると良いサービスから選ぶこともできます。
一例だけ紹介します。
住まいに関わる助成をしている自治体
- 例:北海道赤井川村、福井県池田町、島根県飯南町、岡山県備前市など
子育てに関わる助成をしている自治体
- 例:静岡県清水町、熊本県南阿蘇村、山口県萩市など
交通に関わる助成をしている自治体
- 例:鳥取県日野町、山梨県都留市、岐阜県郡上市など
※ただし、助成金など支援内容は年度ごとに変わる可能性があります。詳しくは行政の公式HPをご確認ください。
Iターン先で仕事を見つける方法
Iターンする地域で転職・就職先を見つける方法は以下のとおりです。
Iターン就職をゼロからサポートしてもらえる「転職エージェント」
転職エージェントは、転職のプロが企業と求職者のマッチングをしてくれる転職サービスです。
転職のプロが自分に合った案件を提案してくれ、応募の際に必要な書類作成などもアドバイスしてくれます。
希望を踏まえて条件の交渉もしてもらえるため、自分に合った企業を見つけたい人におすすめです。
Iターン目的で仕事を探すならリクナビNEXTが一番おすすめ
Iターン転職を考えているなら、大手転職サイトのリクナビNEXTがおすすめです。
なぜならリ国内最大級の求人数を誇るので、あなたの希望する地方の仕事も取り扱っている可能性が高いからです。
「Iターン転職しようかな」とぼんやりと考えている人も、とりあえず登録してどんな求人があるかチェックしてみましょう。
ハローワーク
ハローワーク(公共職業安定所)は、国が運営する職業紹介所です。
人材を探している企業に対し、求職者を紹介することが主な業務で、全国各地に設けられています。
求人の紹介はもちろん、自己分析のサポートや職業訓練に関する相談、紹介状の発行などが主な業務です。
今の仕事を辞めて失業手当をもらう予定がある場合、必ずハローワークに行く必要があります。
▼退職後に求職手当をもらう方法を知りたい方は、失業保険のもらい方は5STEP!退職後に申請して受け取るまでの流れ をチェックしてください。
就職サイト・転職サイト
就職(転職)サイトは、転職エージェントとは異なり、ウェブ上で求人情報を求職者が自分で選んで応募するサービスです。
民間が運営する就職サイト、転職サイトでは公開案件を確認することができます。
希望する求人が見つかったら、自分で応募書類等を作成し、試験を受ける必要があります。
転職エージェントに比べて求人数は少ないですが、自分のペースで仕事を探したい人におすすめです。
クラウドソーシング
インターネットが普及し、地方と都市も関係なくパソコンがあればできる仕事というのも増えてきています。
クラウドソーシングとは、企業がウェブ上で不特定多数(crowd)に業務委託することです。
時間や場所にとらわれない働き方を希望する個人(仕事を受注したいワーカー)と企業(仕事を発注したいクライアント)をマッチングしてくれるため、居住地で仕事を選ばず、仕事探しができます。
Iターン就職・転職に関するQ&A
Iターン就職・転職に関する良くある質問をまとめました。
Q1.Iターンしたい地域を見つけるにはどうしたら良い?
Iターンする地域を見つけるには、まずIターンをする目的に合った地域を探すことから始めましょう。
例えば、山の近くで静かに仕事がしたいと考えている場合、森林資源が豊かでインターネット環境が整っている自治体はどこか、を探します。
お子さんがいる家庭の場合は、子育て世帯向けの賃貸住居がある自治体、また子育てにかかる経費を助成する制度がある自治体から調べましょう。
候補の自治体が決まったら、一度訪れてみることをおすすめします。
SNSを活用して、Iターンの転職・就職に成功した人の情報を得るのも有用です。
Q2.Iターン転職をするのに適した人とはどんな人?
Iターンを考えるきっかけとなるタイミングはさまざまありますが、就職後5年、10年という節目がターニングポイントとなる方が多いようです。
また、お子さんがいる場合、子どもが小学校へ上がるのを前に子育て環境を整えたいと考える人もおられます。
特に若い世代では、QOL(クオリティオブライフ)=生活の質を大切にする傾向にあり、都会の喧騒を離れて自分らしく生活や子育てができる場所へIターンを決意しています。
また、フリーランスで仕事が受注できる方にも働く場所を問わないIターンは向いています。
このことからIターン転職に適した人は次の人といえます。
- 落ち着いた環境で子どもを育てたいと考える20~40代の子育て世帯
- ある程度スキルや実績を積んだIT系フリーランス
まとめ
- Iターン就職・転職を希望する人は増えている
- Iターンで就職・転職を検討する際は注意点も必ず確認しよう
- 転職エージェントやクラウドソーシングで仕事を見つけられる