「ブランクが長くても、薬剤師として復職できる?」
「薬剤師として復職したいけど、ブランクがあるからどうしよう」
子育てがひと段落した、育休明けにママ薬剤師として復職したい、数年のブランクがあるけど、また薬剤師として働きたいなど、薬剤師の資格を活かして復職したいと思う人は多いでしょう。
「ブランクがあると復職が難しい」というイメージを持たれやすい薬剤師ですが、3年以上のブランクがあっても、薬剤師として復職することはじゅうぶんに可能です。
今回は復職に必要な事前準備や、薬剤師としての復職を成功させるコツを紹介します。
薬剤師として一刻も早く活躍したい!という人は「ブランクがある薬剤師が復職を成功させるコツ」を参考にしてみてくださいね。
実際に『公務員薬剤師』として働いてみたいという人は「公務員薬剤師への転職を目指す際の注意点」の項目から読んでみてくださいね!
Contents
ブランク期間がある薬剤師も復職できる
他の職業に比べ、薬剤師はブランクがあっても復職しやすい職業です。
なぜなら、国家資格である薬剤師しか携われない仕事が数多くあるからです。
たとえば、多くの薬剤師が活躍する調剤薬局や調剤薬局では、薬剤師しか販売できない商品や業務が多く存在します。
よって、薬剤師はブランクがあっても復職しやすいでしょう。
薬剤師業界における「ブランク」の規準は約2年
薬剤師が働く業界において「ブランク」とされる期間の基準は約2年です。
なぜなら2年に1度、保険制度や医療制度が大きく変わるからです。
ときには日々の業務内容を見直さなければならないほどに、大きく制度が変わる年もあるでしょう。
制度変更に応じて知識を更新する必要があるため、保険制度や医療制度の変わる2年という期間が1つのブランクの基準とされています。
ブランクが1年半以内だと、「再就職や復職がしやすい」といわれている
1年半以内のブランクであれば、再就職や復職にそれほど支障はないと考えて大丈夫です。
ブランク前にある程度の勤続年数があれば、1年半で知識や技術はそれほど失われません。
仮に忘れていることがあっても、現場で仕事をしつつ、勉強するうちにすぐ感覚を取り戻せるでしょう。
1年半以内のブランクなら、ブランク前の知識や経験を活かしやすいので、再就職や復職はしやすいです。
ブランクが1年半~3年以内だと、「新人と同等に扱われる」可能性がある
1年半〜3年のブランクは新人と同等に扱われる可能性が高いです。
ブランクが3年近くある場合、業務において全く知らない内容が出てくる可能性があるからです。
診療報酬が2回改定されている場合、初めて聞く加算が追加されることもあるかもしれません。
約3年のブランクがあると、業務において知らないことも増えるため、新人と同等の知識レベルと判断される可能性もあるでしょう。
ブランクが3年以上だと、「即戦力」として採用されるのは難しい
3年以上のブランクは薬剤師として即戦力になるのは難しいでしょう。
薬剤師としての業務を離れている時間が長いほど、忘れている知識も増えます。
基本的な業務内容を忘れた場合、調剤や服薬指導を任されるまでに時間がかかるかもしれません。
必然的に周りのサポートが必須となるため、3年以上のブランクがある場合は即戦力を募集している応募に通ることは難しいでしょう。
ブランクのある薬剤師が「復職が難しい」と感じる不安要素3つ
ブランクがある薬剤師が「復職が難しい」と不安を感じる要素は大きく分けて以下の3つです。
- 【働き方】仕事とプライベートを上手く両立して働けるか
- 【人間関係】復職する職場で良好な人間関係を築けるか
- 【知識面】ブランクが長く、薬や制度に関する知識が追いつくか
次の項目では3つの不安要素を解消するポイントを見ていきましょう。
復職する薬剤師が「働き方」を選ぶポイント
求人に応募する前に「自分にとって最適な働き方はどんなものか?」を真剣に考えましょう。
正社員、パート、派遣それぞれの就業形態で求められることは異なります。
たとえば休職前、正社員で働いていたとしても、その時とは状況が違うはずです。
復職する際の「働き方」を選ぶポイントを解説します。
1.ブランク期間が短く、すぐにバリバリ働きたいなら「正社員」
ブランクの期間が短く、「すぐに責任のある仕事をしたい」という希望があるのなら、正社員を選びましょう。
調剤薬局やドラッグストアはもちろん、病院や製薬会社などでも正社員であれば求人を出している可能性も高いです。
今後のキャリアアップを見据えて働くことも可能なため、フルタイム勤務が可能であれば、正社員を選択しても問題ないでしょう。
2.まずは自分のペースで無理なく仕事を再開しやすい「パート・アルバイト」
ブランク期間が長い場合はパートやアルバイトがおすすめです。
ブランク期間が長いほど忘れている知識なども多く、復職に関しての不安も多いはずです。
パートやアルバイトであれば就業時間も自分に合う範囲で調節可能で、勤務後の勉強時間も確保しやすいでしょう。
不安があるのなら、まずは無理のない範囲で働けるパートやアルバイトを選択し、勉強しながら感覚を取り戻すことを優先しましょう。
3.即戦力として高時給で働くなら「派遣社員」
高時給で働きたいなら、派遣社員がおすすめです。
派遣の就業先は人員不足で忙しい場所である可能性が高いでしょう。
よって、派遣社員に求められる人材はどんな仕事でも任せられる人です。
即戦力として期待されると、仕事へのやりがいにつながるため、知識や経験に自信がある人は派遣社員も選択肢の1つでしょう。
4.将来的に正社員として働きたいなら「紹介予定派遣」
将来的に正社員として働きたいなら、紹介予定派遣を選びましょう。
ブランクの期間に関わらず、休職直後に正社員として勤務するのは思っている以上に大変かもしれません。
特に子育て中に復職した場合、慣れない仕事と子育てを1度にこなすのは誰でも難しいものです。
就業予定派遣で1度、派遣社員として勤務すれば、職場の雰囲気や人間関係などを知ることができるため、自分のペースもつかみやすくおすすめです。
復職したい薬剤師が「働きやすい職場」を選ぶポイント
復職したい薬剤師が「働きやすい職場」を選ぶポイントは以下の3つです。
- 薬剤師の数やベテラン薬剤師が多く、勤務中でも質問しやすい職場を選ぶ
- できるだけ、以前勤めていた業種と同じ仕事を選ぶ
- 教育制度や研修制度が充実している職場を選ぶ
ポイント1.薬剤師の数やベテラン薬剤師が多く、勤務中でも質問しやすい職場を選ぶ
質問しやすい職場を選ぶことは復職後の働きやすさに直結します。
ブランクがある場合、勤務中に疑問や不安を抱えることも多いでしょう。
薬剤師1人が1日に処理する処方箋の枚数は約40枚が目安だといわれています。
処理すべき処方箋の数に対して、勤務する薬剤師の人数に余裕があるかどうかを事前に確認しておきましょう。
ポイント2.できるだけ、以前勤めていた業種と同じ仕事を選ぶ
復職する際は病院・調剤薬局・ドラッグストアの中で業種は変えないようにしましょう。
同じ薬剤師とはいえ、業種が変わると仕事内容も大きく変わります。
復職前とは全く異なる業種を選んでしまうとこれまでの知識が活かしにくく、全く分からない業務をゼロから覚える可能性もあります。
ポイント3.教育制度や研修制度が充実している職場を選ぶ
ブランクが長く、忘れている知識が多い場合は、教育制度や研修制度が充実している職場を選びましょう。
教育や研修制度が全くないという薬局も珍しくなく、その場合業務中の空き時間や帰宅後に自力で勉強の時間をとらなければなりません。
たとえば、支店が多く、全国展開しているような薬局を選ぶと社員数が多いため、研修制度が整っている場合が多いでしょう。
ブランク年数別!知識面に不安がある薬剤師が復職前にやっておくべきこと
ブランク期間ごとに分けて、知識面に不安がある薬剤師が復職前にやっておくべきことを紹介します。
ブランクが1年半~3年以内の薬剤師が復職前にやっておくべきこと
ブランクが1年半~3年以内の薬剤師が復職前にやっておくべきことは以下の通りです。
- ブランク期間中に承認された「新薬」を確認しておく
- 日経DI(ドラッグインフォメーション)を確認し、ブランク期間の業界の流れを押さえる
- 2年に1度行われる『保険制度や法改正』の内容を確認しておく
1.ブランク期間中に承認された「新薬」を確認しておく
ブランク明けのための勉強として新薬の確認は必須事項です。
日本では1年間に約100種類もの新薬が販売されていて、中には今までにない新たな作用を持つ新薬もあります。
「薬の効能が分からない」「服薬指導で飲み方を説明できない」と業務中に慌てないように、職場で採用されている新薬はまとめて勉強しておきましょう。
2.日経DI(ドラッグインフォメーション)を確認し、ブランク期間の業界の流れを押さえる
日経DI(ドラッグインフォメーション)を毎月購読するのがおすすめです。
ブランク期間の医療や薬剤業界の変化が幅広く学べるため、復職に向けた独学には最適でしょう。
新薬の情報や新たな加算など、現場を離れると入手しにくい情報を得られます。
月ごとの特集やコラム、服薬指導に直接活かせるクイズなどの内容も充実しているため、定期的に読み、知識をアップデートしておきましょう。
3.2年に1度行われる『保険制度や法改正』の内容を確認しておく
保険制度や法改正の内容、特に診療報酬改定を把握しておきましょう。
診療報酬改定とは、保険制度から支払われる「診療報酬」が医療の進歩や世の中の経済状況とかけ離れないように、定期的に見直される仕組みです。
診療報酬や調剤報酬などは2年に1度のペースで見直しが行われ、ルールが改定されるため、復職前に変更点を押さえておく必要があります。
ブランクが3年以上の薬剤師が復職前にやっておくべきこと
ブランクが3年以上の場合、社会生活を離れていた期間も長いです。
3年以上のブランクがあると「即戦力」とみなされるのは難しいため、薬に関する知識はもちろん、服薬指導も見直しておきましょう。
働いていた時の記憶に頼りすぎず、どんどん新しい情報にアップデートしていくことが大切です。
1.基礎的な薬学知識を復習しておく
薬理学・病態・代表的な副作用などの基礎的な薬学知識は必ず復習しておきましょう。
診療報酬が改訂されていくのに比べ、基礎の調剤技術や薬学知識は変化が少ない部分です。
しっかりと頭に入っていれば、簡単な服薬指導であればすぐに落ち着いてできるでしょう。
基礎がきちんと理解できていれば、新しいことを覚えるのもスムーズです。
2.処方薬の情報を伝える「服薬指導」の基本をおさらいしておく
「服薬指導では何を伝えるべきか」という基本の部分からのおさらいしましょう。
いきなり患者様の前に立つと、知識があっても思うように説明できないものです。
長いブランク期間があると、なおさら緊張するかもしれません。
家族や身近な人に相手になってもらい、確認事項や押さえておくべきポイントを考えながら練習しておきましょう。
3.勤務先で取り扱う医薬品や新薬を中心に薬に関する知識を整理する
薬に関する知識を勉強する際は、勤務先で取り扱っている医薬品を中心に整理するのがおすすめです。
薬の種類が多岐にわたる場合、採用医薬品は就業場所によって異なり、近くの病院の診療科目によっても、よく取り扱う医薬品は変わります。
勤務先でよく出る医薬品などはあらかじめリサーチしておきましょう。
薬の知識を学び直すのは時間がかかるので、休職期間中にe-ラーニングなどを利用してコツコツ勉強しておくと安心です。
ブランクがある薬剤師が復職を成功させるコツ
ブランクがある薬剤師が復職を成功させるコツは以下の3つです。
- 自分に合った職場を見つける
- 働く上で譲れない条件を明確にする
- 転職エージェントを活用し、効率的に自分に合う求人を見つける
コツ1.自分に合った職場を見つける
自分に合った職場であれば、スムーズに復職後しやすいでしょう。
ブランクの期間や働く人の性格によって、自分に合う職場環境は異なります。
「アットホームな環境で働きたい」「社員数が多く、業務に余裕がある職場で働きたい」など、自分にとって働きやすい環境なのかを確認しましょう。
コツ2.働く上で譲れない条件を明確にする
譲れない条件が明確だと、復職は成功しやすいでしょう。
たとえば、「勤務先が自宅に近い」「有給取得しやすい」「教育制度が整っている」など勤務条件に優先順位をつけることが大切です。
勤務条件に優先順位があると、求人に迷った際も最善の選択をしやすいでしょう。
コツ3.転職エージェントを活用し、効率的に自分に合う求人を見つける
自力で求人を探すのには限界があります。
特に育児や介護などがある場合は、求人先の情報収集や条件比較を家事の合間ですることになるかもしれません。
就職活動は時間がかかるため、効率よく進めるのが難しいでしょう。
転職エージェントを活用すれば、非公開求人も見つけやすいので、効率的に自分に合う求人を見つけられます。
ブランクがある薬剤師の復職におすすめのサイト3選
ブランクがある薬剤師の復職におすすめのサイトは以下の3つです。
1.親身になって相談にのってもらいやすい「マイナビ薬剤師」
マイナビ薬剤師は相談しやすいキャリアアドバイザーが多数在籍しています。
復職への不安が大きい場合、仕事に対する考え方や子育てとの両立、今後のキャリア形成など悩みも多いでしょう。
マイナビ薬剤師なら転職支援の実績が豊富なので、プロの視点で的確なアドバイスがもらえます。
2.最短即日で求人を紹介してもらえる「薬キャリエージェント」
薬キャリエージェントはできるだけ早く復職したい人におすすめです。
薬キャリエージェントなら、最短即日で最大10件の求人を紹介してもらえます。
「時間をかけずに職場を探したいけど、ミスマッチが心配」という人も多いでしょう。
薬キャリエージェントでは希望の条件に合わない場合、コンサルタントが職場と直接交渉してくれるため、効率的に最適な復職先を見つけやすいです。
3.個別相談や教育制度が整っている「ファルマスタッフ」
ファルマスタッフは大手薬局チェーンである日本調剤株式会社のグループ会社です。
よって、ファルマスタッフは復職支援はもちろん、日本調剤の教育ノウハウを活かした教育サービスが充実しています。
薬剤師として現場を離れると、どこから勉強をすればいいのかも分からなくなってしまうものです。
ブランクが長いので、復職活動をしながら知識も身に付けたいという人におすすめでしょう。
ブランクがある薬剤師が復職する際の注意点
ブランクがある薬剤師が復職する際の注意点は以下の3つです。
- 以前働いていた時のプライドは捨てる
- ブランク期間を気にしすぎない
- 早く働きたいからと無理をしすぎない
注意点1.以前働いていた時のプライドは捨てる
休職前はバリバリ働いていたという場合でも、その時のプライドは捨てましょう。
医療業界は変化が速いため、ブランク期間に現場から離れていた分、周りから教えてもらうことも増えます。
復職後は焦りすぎず、いったんプライドは置いて、復職後の環境に慣れるように専念しましょう。
注意点2.ブランク期間を気にしすぎない
ブランク期間を気にしすぎるのは逆効果です。
復職後の向上心と努力次第で、薬剤師としてのスキルアップは何歳からでも可能でしょう。
どのような休職理由でも、期間中にしかできなかった経験や気づきがあるものです。
たとえば、ブランク期間中に身に付けたスキルや知識を整理しておくと、面接で休職中のことを聞かれても安心でしょう。
注意点3.早く働きたいからと無理をしすぎない
早く以前のように働きたいと思っても、最初から無理をするのは禁物です。
たとえば、早く働きたいからといって通勤が大変な勤務先を選ぶ、無理をしてフルタイムで働くなどです。
最初に無理をしすぎると、結果として職場に迷惑をかける可能性もあります。
最初は少し余裕を持って働ける条件でスタートしましょう。
復職したい薬剤師に関するQ&A
復職したい薬剤師に関するQ&Aは以下の通りです。
Q1.ブランクが20年以上あっても薬剤師として復職できる?
長期間のブランクがある人でも薬剤師としての復職は問題ないでしょう。
長期間のブランクがあるなら、事業拡大のための増員を目的に募集を行っている企業などに絞って応募するのも1つの方法です。
また、「未経験者も歓迎」「ブランクがある方歓迎」などの記載がある求人を選ぶのもおすすめでしょう。
Q2.復帰予定のママ薬剤師が育休中にしておくべき勉強はある?
職場で扱われていた医薬品の復習や、育休中に発売された新薬の勉強をしておきましょう。
医薬品の種類は数年で大きく変わらないので、復習しておくとスムーズに業務を開始できます。
新薬の勉強は日経DIを読んでおくと、より現場に近い情報を得られるのでおすすめです。
Q3.ブランクがあるママ薬剤師が復帰しやすい職場ってどんな特徴がある?
先輩ママ薬剤師が多い、産休や育休からの復職率が高いなど、育児や子育てに理解のある職場がベストです。
ママ薬剤師が子育てと仕事を両立させるには、周りの協力が必要不可欠でしょう。
子どもの発熱による急な欠勤には、働く人の理解がないと大変です。
育児に理解のある職場やママ薬剤師が多いと助け合いながら働けるので、仕事と家庭を両立させやすいでしょう。
まとめ
- ブランクがある薬剤師でも復職できる
- ブランクがある薬剤師は復職の際に、働き方、職場、知識面の3つで不安を抱えている人が多い
- ブランクがある薬剤師は希望条件を明確にし、転職エージェントを活用すると効率的に復職しやすい