超高齢社会の中、ニーズが高まっているのが介護士の仕事です。
やりがいも大きいこの業界に転職したいと考える人も増えています。
ここでは、介護職について、仕事内容や転職の際のポイントを紹介。
介護の仕事に就きたいと考えるあなたを応援する各種制度も分かりやすく説明します。 Contents
『介護士』として働く人は大きく分けて2種類
介護士と呼ばれる仕事には大きく分けて2種類あります。
資格がなくてもなれる介護士と、国家資格を持つ「介護福祉士」の2つについてそれぞれ説明します。
1.資格なしでもなれる『介護士』
1つ目は、介護の仕事に携わる人の総称としての『介護士』です。
実は、介護士の仕事は無資格でもできます。
ただし、無資格で働く場合は携われる業務が限られます。
無資格の介護士に任される業務は職場によって異なるため、もし無資格で介護の仕事に就く場合はあらかじめ仕事内容を確認しておくと安心です。
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2.介護のプロフェッショナルとして働く『介護福祉士』
『介護福祉士』を指して介護士と呼ぶこともあります。
介護福祉士は、一般的な介護士の実務経験を積んだ人が受験資格を持ち、試験に合格して取得できる国家資格です。
資格取得には、2~4年の養成施設で知識や技術の習得をするか、3年以上の実務経験および実務者研修修了後、国家試験に合格する必要があります。
介護福祉士を取得すると、できる仕事の幅が広がり、介護のプロとして待遇の向上やキャリアアップが見込めます。
あらゆる現場でリーダーとして動くことを求められるため、介護を専門職として極めたい人におすすめです。
介護士の主な仕事内容
介護士の仕事は、具体的に以下の3つに分類できます。
仕事内容1.身体介護
サービス利用者の身体に直接触れる介護業務を身体介護と呼びます。
具体的には、食事介助、入浴介助、移動介助、排泄介助などがあり、無資格で行うことができます。
ただし、介護施設等であれば無資格でも身体介護業務につけますが、訪問介護事業所で働く場合は介護資格がないと身体介護に該当する業務はできません。
仕事内容2.生活援助
生活援助とは、サービス利用者や家族が行えない日常生活の家事を介護士が代行することを指します。
たとえば、食事の支度、配膳、洗濯、掃除(利用者の生活スペースに限る)、必要な物品の買い物などがこれにあたります。
生活補助は基本的に無資格でできます。
仕事内容3.その他相談やサポート
身体介護、生活援助のほかにも、介護施設ではレクリエーションを一緒に楽しむなど、サービス利用者の気分転換やストレス解消などのケアも必要です。
また、利用者の相談相手はもちろん、その家族と介護に関する相談したり、今後の介護の方針を決めるなどのコミュニケーションも大切な仕事です。
介護士が働く場所
介護士の働く場所は主に以下の3つがあります。
働く場所によって仕事内容も若干異なり、資格が必要とされる場合もあります。
働く場所1.介護施設
介護職の多くが介護施設で働いています。
一つずつ見ていきましょう。
介護付き有料老人ホーム
民間企業が運営している入居型の介護施設です。
入居型のため、24時間365日の介護サービス提供を行います。
公営の老人ホームと同様に基本的な身体介護、生活援助が基本です。
特別養護老人ホーム
入居介護施設で「特養」と略して呼ばれます。
主に都道府県や地方自治体の行政や外郭団体が運営母体です。
入居対象は65歳以上で常時介護を必要とする要介護3以上という場合が多く、自宅での生活が困難な高齢者が優先的に入所します。
食事介助や排せつ介助などの身体介護が多く、サービス利用者のからだに直接触れて介護ケアすることが多いため介護の資格が活かせる職場です。
グループホーム
認知症の高齢者など介護が必要な人がサポートを受けながら少人数で共同生活を送る施設を指します。
食事や排せつ、入浴や着替えなどの身体介助がメインですが、一緒に日常生活を送るような形でサポートします。
認知機能が低下する利用者に合わせたコミュニケーションを行うため、相手の精神状態や感情をくみ取って接するスキルが必要です。
デイサービス、デイケア
デイサービスやデイケアは、自宅に住む要介護認定を受けた人が1日または半日通所し、食事やレクリエーションへの参加、リハビリなどを受ける介護施設です。
家にこもりがちな在宅の高齢者が外出するきっかけになり、利用者同士や職員とのコミュニケーションを図れます。
また、利用者の家族の介護負担も軽減されるというメリットもあります。
デイサービスでの仕事は直接的な介護のほか、レクリエーションの企画・運営、利用者の送迎など多岐に渡るのが特徴です。
働く場所2.病院・診療所
病院で働く介護士は看護師の補助や入院患者の入浴介助を行います。
近年では高齢者向けの療養型病院も増えているため、レクリエーションの企画・運営を任されることもあります。
他の介護施設とは違い、医療現場の業務が経験できるため、介護士として知識や経験を積みたい人に適任です。
働く場所3.利用者の自宅
訪問介護は一般的にホームヘルパーと呼ばれ、訪問したサービス利用者の自宅で業務にあたります。
ケアマネージャーの指示のもと、利用者の状況に合わせて掃除、洗濯、料理などの家事全般のほか、入浴、排せつ、日用品の買い出しなどを行います。
サービス利用者が日常生活を送りやすくするための生活援助を行うことが特徴です。
介護士の平均年収は約290万円
介護士の平均月収は約24万円、年収は約290万円です(厚生労働省 平成30年賃金構造基本統計調査)。
他の業種と比較して高い水準とは言えませんが、介護福祉士や社会福祉士などの有資格者はこれよりも給与額が高くなる傾向にあります。
無資格・未経験でも介護士に転職できる理由
介護が必要な高齢者の増加に伴い、宿泊型施設や訪問介護など介護サービスの幅も広がっており、介護士の活躍の場は多様化する傾向です。
こうした背景もあり、介護の現場では無資格・未経験の人も積極的に採用する流れが加速しています。
しかし、有効求人倍率で見ると3.9と高く、介護士に転職したいと考える人にとっては売り手市場です。
このほか、無資格・未経験でも転職が可能な理由2つを紹介します。
理由1.無資格者は適性を重視して採用されるから
経験や資格がなくても、介護士としての適性があるかどうかが重要視されます。
たとえば、無資格者の採用の場合、人柄やコミュニケーション力などの適性があるかが1つの採用基準になります。
資格がなくてもできる仕事はたくさんあり、また資格は必要になったときに取ることができます。
理由2.働きながら資格を取得し、スキルアップできるから
資格がなくても介護士の仕事はスタートできますが、「知識や技術を習得したい」という人は働きながら資格取得が可能です。
介護福祉の仕事に初めて就く人が最初に受講するのが「介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)」です。
通信学習と通学とを併用して130時間のカリキュラムを経たあと、修了試験に合格すると最短1ヶ月で取得できます。
さらに経験を積めばケアマネージャー(介護支援専門員)や国家資格である介護福祉士など、専門性が高く実務経験が必要な資格も取得できます。
介護職が向いている人の特徴
次に挙げる人柄や性格の人は、介護職に向いています。
特徴1.思いやりと忍耐力がある人
介護の仕事で大切なのが、サービス利用者やその家族の立場になって物事を考えることです。
体調面や精神面で不安定なこともある高齢者や障がいのある人と接する際には、思いやりの心が必要です。
ときには身体的、精神的に辛いこともあるでしょう。
そんなときにも感情をコントロールし、任された仕事をやりきる忍耐力がある人が向いています。
特徴2.観察力と判断能力がある人
介護士は、利用者の様子を見て体調は問題ないか、言動に異変はないかなど常に観察する必要があります。
表情や何気ない会話の中で、利用者やその家族がどういった要望を持っておられるか、不安や悩みを引き出し聞くことが大切です。
また、聞いた内容を踏まえてサービスの改善などに繋げられる判断能力も介護士に求められます。
特徴3.体力に自信がある人
多くの人は「介護は体力的にきつい仕事だ」と考えている人も多いかもしれません。
確かに、介護士の仕事は、入浴や排せつの介助や移動の援助など利用者の体重を支える場面が多く、腰を痛めることもあります。
立ち仕事も多いため、体力があった方が良いでしょう。
ただし、近年では移動用リフトや介護ロボットなど便利なツールを利用したり、介護スキルを身につけることで肉体的負担は軽減できるため、体力がなくても仕事を諦める必要はありません。
特徴4.人とのコミュニケーションが好きな人
介護の仕事は人と接することが多い仕事です。
同僚やサービス利用者のほか利用者の家族などさまざまな人とコミュニケーションをとりながらの業務になります。
「困っている人の役に立ちたい」「嬉しそうな顔を見ると自分も嬉しい」という気持ちを持てる人にとってはやりがいのある仕事です。
特徴5.気持ちの切り替えができる人
人と接する時間が長い分、ずっと向き合い続けると疲れてしまいます。
ストレスをため込まないよう、上手に息抜きをすることが大切です。
仕事中と仕事終わりのオンオフを切り替えて、深く悩まない姿勢でいることが介護士を続けるコツです。
介護士への転職で成功するヒント
介護士への転職を成功させるために、何を心掛けると良いのでしょうか。
ヒント1.どんな働き方をしたいか具体的にイメージする
自分の希望に沿った働き方をするにはどうしたらいいか、小さくてもいいのでひとつずつ挙げましょう。
たとえば、勤務時間で見てみます。
宿泊型の施設や病院では夜間の見守りや緊急時の対応のために夜勤が必要です。
夜勤をした場合、夜勤手当が支給されますが、体力的にきついと感じる人もいるでしょう。
そう感じる人は、夜勤がなく日勤が基本となる訪問介護やデイサービスが適していると言えます。
こうした働き方に関する勤務条件があれば具体的に洗い出し、それが叶う勤務先を探すことが必要です。
ヒント2.情報収集を入念にする
焦って転職先を決めるのは禁物です。
転職を検討している施設や会社について情報収集をしっかりしましょう。
そのためには、応募先を1つに絞る前にいくつかピックアップしたうえでポイントを絞って比較すると違いが分かりやすいと言えます。
未経験の業界であれば、業界全体のことも調べる必要もあります。
転職を成功させるためには、時間がかかってもしっかり情報収集を行いましょう。
ヒント3.自己分析と職務経歴書で今後のビジョンを明確にする
介護職に転職する場合は、特に自己分析が重要と言えます。
それまでの職務経歴を整理することで「なぜ介護職へ転職を考えたのか」「どんな面が介護士に向いていると思うか」などが面接でスムーズに話せるからです。
介護職を未経験の場合、自分が介護士を目指す理由や介護に対する想いなども必ず聞かれます。
過去をしっかり振り返り、どんな仕事をしていて、今後どうなりたいかビジョンを描いておくことが大切です。
ヒント4.スムーズに介護職へ転職したいなら『介護職員初任者研修』を受けておく
「介護職員初任者研修」を取得するとよりスムーズに転職できます。
介護職員初任者研修は、介護業界で働きたい人が受ける研修として最初に受けるもので、受講には特に規定がなく誰でも受けられます。
無資格でも転職はできますが、介護職員初任者研修を習得していることで転職先の候補が広がり、より自分の希望条件に合う職場を見つけやすくなります。
介護士を目指す人を応援する制度
介護士を目指す人を応援する制度もあります。
事前に確認しておきましょう。
制度1.これから介護福祉業界で働く人に最大20万円を支援「介護職就職支援金貸付事業」
未経験でこれから介護福祉業界で働く人を対象に、最大20万円を支援する制度が令和3年度からスタートします。
職業訓練として指定の研修を修了する場合、貸付を受けられるという内容です。
研修修了後、2年間福祉の現場で働くことで返済が全額免除されます。
転職先として介護職を考える人の参入を促す制度で、運営主体は各都道府県のハローワークと社会福祉協議会が担っています。
制度2.再び介護現場へ復帰する人の再就職を応援する「再就職準備金貸付事業」
介護職として知識や経験を持つ人が再び介護の仕事に就く際にかかる費用を貸付する制度です。
介護の仕事に復帰するためにかかる費用を最大40万円貸付できます。(貸付には条件あり)
介護士として2年間従事することで返還が全額免除されるので、家庭の事情などで一度介護職から離れた人が復帰する際に後押しになります。
制度3.介護の現場スタッフの処遇アップと職場環境改善をする事業所を支援する「介護職員処遇改善加算」
介護職員処遇改善加算は、介護の現場で働く介護士の賃金アップや職場の環境・制度のために国から事業所に支給される手当のことです。
キャリアパス整備と職場改善に取り組んでいる事業所には手当の加算率が高くなるように設計されています。
たとえば、キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲのすべてを満たし、さらに職場環境の要件を満たすと、職員1人当たり月額37,000円相当が加算されるという仕組みです。
介護職員特定処遇改善加算が新設
2019年10月に「介護職員等特定処遇改善加算」が新設されました。
技術や経験がある介護職員の処遇改善を目的に介護報酬をさらに加算して支給する制度です。
勤続10年以上の介護福祉士が主な対象です。
介護の現場は人手不足が問題となっており、現場で働く介護士の賃上げをして処遇を改善することが求められています。
従来の処遇改善加算に加え、介護職員等特定処遇改善加算は長く働いてもらうことを目指した制度と言えます。
制度4.介護のプロを目指す人を支援する「介護福祉士等修学資金貸付制度」
介護福祉士および社会福祉士の資格取得を目指して特定の養成施設または実務者研修養成施設に在学する人を対象に、就学資金を貸付ける制度です。
資格取得を経て就労し、一定期間就労すると借入金の返還を免除されます。
各都道府県の社会福祉協議会を通じて申請が可能です。
介護士・介護職に転職したい人におすすめの転職エージェント5つ
介護士に転職したいあなたにおすすめの転職エージェントを紹介します。
いくつかに登録して情報収集に役立てましょう。
転職エージェント1.きらケア
介護士に特化した専門の転職アドバイザーがあなたの希望にマッチする求人先を提案してくれます。
大手なので、求人数も転職実績も豊富なのが特長です。
アドバイザーは求人を熟知しており、人間関係や施設の雰囲気に関する情報も聞くことができます。
初めて転職する人、転職活動のサポート体制が整っているエージェントを探している人におすすめです。
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転職エージェント2.ウェルクルーエージェント
介護職、ケアマネージャー、生活相談員などの介護系専門職を中心にリハビリ系職種、送迎ドライバー、施設管理者など幅広い職種を扱うのが特長です。
希望条件や希望の働き方を踏まえて最適な求人を紹介してくれます。
転職先が決まったあとも、独自の「WellCrew Support」制度によってサポートを受けられます。
たとえば、入職後のキャリア・労務相談はもちろん、マッサージ、エステにかかる費用、こどものおむつ代の補助など他にはない支援が受けられます。
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転職エージェント3.MC-介護のお仕事
介護の資格を持つプロのキャリアコンサルタントスタッフが対応してくれます。
非公開の求人が豊富で、転職を検討する候補が決まったら積極的に希望条件について交渉してくれるため、決定までスムーズです。
業界からの信頼度が高く、口コミ実績もNo.1。
非公開案件が豊富で、転職コンサルタントに相談しながら自分の希望に合った条件の応募先をしっかり検討したい人におすすめのサービスです。MC-介護のお仕事で求人を確認する
転職エージェント4.ファーストナビ介護
介護福祉業界の経験者や有資格者向けの転職エージェントが「ファーストナビ介護」です。
利用者の多くが40‐50代で、年収UPや仕事内容を変えたい人に最適なエージェントです。
関東の1都3県、関西、東海などの大都市圏の案件が全体の75%を占めています。
求人数は他に比べて多いとは言えませんが、介護福祉に特化した案件だけを扱っており、持っている資格に合わせて求人検索ができます。ファーストナビ介護で求人を探す
転職エージェント5.ケアキャリサーチ!
ケアキャリサーチ!は、未経験から経験者まで幅広く案件を扱う転職エージェントです。
関東・甲信越、関西エリアの案件がメインで、最短3日で案件を紹介してくれます。
83.5%という高い内定率を誇り、在職中の忙しい人でも転職活動がスムーズにすすむよう整っているサポート体制が特長です。
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介護士への転職失敗を防ぐための注意点
介護士への転職を失敗しないための注意点を見ていきましょう。
注意点1.離職率が高くないか
介護士の仕事と一口に言っても、職場の環境は施設ごとに異なります。
異様に離職率が高い職場は、人間関係が悪かったり、労働環境が悪いなどの理由が潜んでいます。
離職率が高い職場の特徴として以下が挙げられます。
求人を見る際に合わせてチェックしましょう。
離職率が高い施設を見分ける方法
- 常に求人が出ている(いつも人手が不足している)
- 近隣の同じ職種と比較して給与が極端に高い
- 職員の対応が悪い・職員同士のコミュニケーションが少ない
- 施設の清掃が行き届いていない
- 求人票に時間外手当に関する記載がない
注意点2.雇用条件を確認しておく
転職する前に、雇用契約を結ぶ際に渡される「労働条件通知書」をしっかり確認しましょう。
労働条件通知書には、契約期間や契約更新の有無、就労場所、業務内容、労働時間、賃金、退職に関する事項が記載されます。
まれに、求人に記載があった仕事内容とは違う業務をさせられるケースがあります。
事前に聞いていた内容と異なる部分があったら条件が合わないと交渉を行うか、採用を辞退するかを決めなければいけません。
転職したあとに後悔しないよう、しっかりと書類に目を通しましょう。
介護士への転職に関するQ&A
介護士への転職に関するQ&A をまとめました。
Q.興味があるが在職中。転職エージェントに相談できる?
在職中に転職エージェントに相談することは可能です。
転職を成功させるには、在職中から少しずつ準備を始めることをおすすめします。
なぜなら、収入が途絶えると焦りが生じ、転職がうまくいかない場合があるからです。
自己分析や情報収集からスタートする人が多いが、このときに転職エージェントにも登録すると良いでしょう。
キャリアコンサルタントと話すことで意見を整理したり、介護職を志す理由が明確化するためです。
未経験や無資格から介護士を目指す人にとって、特に第3者と話すことで同期や将来ビジョンを整理できるはずです。
まとめ
- 介護士は今売り手市場。未経験・無資格でも求人が豊富になる
- 国からも人材確保を応援する制度が数多くある
- 介護士への転職を考えるなら転職エージェントに複数登録がおすすめ