どんなにやりたくない仕事でも、「このまま我慢して続けるべきか」「やりたくない仕事から逃げる道を選ぶべきか」を判断するのはとても難しいことです。
ここでは、やりたくない仕事を任されたときの対処法や、転職など逃げることを選ぶときの判断基準などをまとめました。
「上司から頼まれたら断れない」「やりたくない気持ちは甘えだ」とストレスを抱えすぎてしまう前に、あなたにとって最善の方法を見つけましょう。
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木村 好珠
Konomi Kimura
木村 好珠
Konomi Kimura
Profile
精神科医、漢方医、産業医、健康スポーツ医。現在精神科医として常勤する傍ら、都内企業の産業医、ブラインドサッカー日本代表のメンタルアドバイザーを行なっている。レアル・マドリード・ファンデーション・フットボールアカデミーやMIFAサッカースクールのメンタルアドバイザーとしても活動中。
※この記事で紹介する転職サービスは、パラナビ編集部が厳選したおすすめのサービスです。
Contents
あなたはどれ?仕事を「やりたくない」と感じる原因
人によって「この仕事やりたくないな……」と思う原因は違います。
原因をつきとめることで、より良い対処法が見つかるかもしれません。
自分がなぜ「仕事をやりたくない」と思うのか、原因を見つめ直してみましょう。
原因1.仕事自体に悩みや不満がある
仕事をやりたくないと感じる原因として考えられるのは、第一に仕事に関して悩みがある場合です。
仕事自体に悩みや不満があるケース
- 人間関係が良くない(苦手な上司や同僚がいる)
- 業務内容に苦手意識がある
- 職場環境や給料・休暇日数などの働く条件などへ不満がある
- 仕事が単調すぎる(スキルアップが見込め無い)
仕事関係の悩みは、異動や時間経過で改善するものがも多いです。
仕事を変えずに環境を変えることが難しい場合は、転職などの手段で環境を変える必要があります。
原因2.自分のスキル不足のせいで仕事が辛い
社会人になりたてなど、職場で働き始めて間もない頃は、自分のスキル不足から仕事をやりたくないと感じることもあります。
スキル不足のせいで仕事が辛いケース
- 仕事のレベルが高すぎて、何をやりがいにしたらいいのかわからない
- 仕事のフィードバックややり直しが多く、スムーズに進まない
- 他の人と比べ自分が劣っているように感じ、自信が持てない
自分のスキル不足からくるストレスで、ネガティブな気持ちが強くなり、挑戦することが怖くなっていきます。
その結果、やりたくない仕事が増えていくのです。
先輩からアドバイスをもらったり、自分で勉強したりと、日々努力して自信をつけることが第一歩といえるでしょう。

木村先生
とくにできないことには目が向いてしまいがちですが、「これは出来るぞ」と思う自分の得意なことに目を向けてみましょう。
原因3.仕事以外に悩みがある
仕事がやりたくないと思う原因は、仕事に関わる不安や不満だけではありません。
私生活での悩みも、仕事へのモチベーションに大きく関係します。
仕事以外に悩みがあるケース
- 育児や介護に時間をとられ、仕事との両立が難しい
- 家のローンや通院費など、出費が多く経済面が不安
- 家族、恋人、友人など、親しい間柄の人との関係が上手くいっていない
家族間の問題は、自分一人で抱え込まず、家族全員で協力して進められるよう助けを求めることが大切です。
家族の問題は仕事よりも優先順位が高く、場合によっては働き方を変える(転職する)必要もでてきます。
原因4.精神面・体調面に不安がある
心身の不調から、仕事をやりたくないと感じることもあります。
精神面・体調面に不安があるケース
- 体調不良が原因で満足な仕事ができない
- 残業などで睡眠不足が続いて頭がさえない
- 仕事に行くこと自体が大きなストレスになっている
精神的な不調は、そのままにしておくと身体の不調へとつながり、最終的には「うつ病」を患う可能性もあります。
うつ病は気の持ちようでどうにかできるものでありませんので、手遅れになる前に専門機関を受診しましょう。
やりたくない仕事を任されたときの対処法
どんなにやりたいと思える職種に就いたとしても、仕事をしていくうちに「自分の業務と関係ないから」「一度やったとき失敗したから」などの理由で「やりたくない仕事」が出てきてしまうものです。
やりたくない仕事をふられたときどうすべきか、対処法をみていきましょう。
1.やったときのメリットを考える
やりたくないと感じると、その仕事の嫌な面にばかり気持ちが向いてしまいます。
まずは、やりたくない仕事を行ったことによって、自分にとってどんなメリットがあるかを考えてみましょう。
やりたくない仕事で得られるメリットの例は以下のようなことが考えられます。
- 今後自分がやりたいことを実現するのに必要なスキルが身につく
- 業務を進めていく(キャリアアップしていく)には必要な経験ができる
- 汎用性・将来性の高いスキルが身につく
- 転職の際に有利になるスキルが身につく
「自分の将来にとって意味のある仕事だ」と思えるのであれば、どんなにやりたくない仕事であっても挑戦してみるべきでしょう。
必要なことだと思うと、やりたくない仕事も前向きに取り組むことができます。
2.とりあえず「15分間」取り組んでみる
「やりたくない」と思ったら、まずは15分間だけ取り組んでみましょう。
人間の集中力は15分程度しか持たないといわれており、とりあえずその時間だけ本気で取り組んでみるのです。
頭で考えているときは「やりたくない」と思っていたことも、実際にやってみると「意外とできる」と感じることは大いにあります。
15分間取り組んだら適度に休憩をはみ、無理せずに仕事を進めてみましょう。

木村先生
その答え、実は”まずはやってみる”ことなんです。
これは、心理学で「作業興奮」と言われる効果で、科学的にも証明されています。
3.つまづいたら助けを求める
つまづいて上手くいかないときは、1人で考えてもどうしようもできない場合が多いです。
上手く進まないことはストレスになり、余計にやりたくない気持ちが強くなってしまいます。
「とりあえず始めてはみたけどうまく進まない」ときは、投げ出す前にまわりに助けをもとめましょう。
助けを求める際はやみくもに聞くのではなく、あらかじめ自分なりに疑問点を整理しておくのがオススメです。
自分の現状が把握できるうえ、聞き漏らしをせずにスムーズに疑問点を解決できます。
やりたくない仕事を断った方が良いケース
やりたくなくてもまずは受け入れてみることが大切ですが、中には受け入れず断ったほうが良いケースもあります。
断った方が良いのは、以下のようなケースです。
- 自分のタスクが多く、頼まれた仕事の期限に間に合わないとき
- 「自分だけ」雑務が多いなど、仕事内容にかたよりがあるとき
- 締め切りが近い、一番面倒な部分だけ振ってくるなど、明らかに条件が悪い中で仕事を任されたとき
自分のタスク状況によっては、頼まれた仕事が期限に間に合わないこともあります。
間に合わないとわかっていながら自分の仕事を削ってまで受けるのは無責任ですし、相手のためにもなりませんので、断りましょう。
また、2や3の場合は、嫌がらせの可能性があります。
仕事の任され方に正当性を感じない場合は、勇気をもって断ることが大切です。
やりたくない仕事を穏便に断る方法3つ
仕事を断るときは、「断ってしまうと評価に響く?」「嫌われてしまうかも」と思ってしまいがちです。
断ることは悪いことではなく、正当な理由があれば当たり前のことです。
「やりたくない仕事を断った方が良いケース」でも紹介した通り、状況によっては相手にとっても断った方が良い場合もあります。
「やりたくない仕事だから断る」と思われないために、上手な断り方を知っておきましょう。
上手な断り方1.いったん保留にする
緊急でない場合は「タスクを確認してまた連絡します」と伝え、いったん返事を保留にする手があります。
すぐに答えが出せないときや、断り方を考えたいときに使える方法です。
「前向きに検討した結果、タスクの関係上無理だった」となれば、断っても相手も嫌な気持ちになりません。
上手な断り方2.代替案を示す
断るときはただ断るのではなく、代わりに自分ができそうなことを提案してみましょう。
例えば、
- 今日は厳しいですが、来週以降であれば対応できそうです。
- すべては時間的に厳しそうですが、この段階までならできます。 など
代替案をしめすことで、相手もあなたにどこまで頼むか、そもそも頼まない方がいいのか判断しやすくなります。
ただ、できないことはできないと言い切らないと中途半端になり相手を混乱させますので、できないことははっきりと伝えましょう。
上手な断り方3.「難しい」と判断した理由を説明する
「仕事を受け入れることができない」と判断した理由を、自分の抱えているタスク状況などを含めきちんと説明しましょう。
仕事内容をよく知る相手なら、具体的にどんな業務を行っているか説明すれば「仕方がない」と納得してくれるはずです。
そのためには、常に自分がこなしているタスクの状況を把握する癖をつけましょう。
「今自分にどれくらい余裕があるのか」を常に把握し、逆に余裕があるときは進んで手伝うなど、持ちつ持たれつの仲を保ちましょう。

木村先生
たとえば、プライベートで予定を断る時も、「残念だけど、この日は空いてない」と伝えるより、「〇〇の予定がある」の一言を加えた方が相手も納得しやすいです。
日本の「言葉少なく空気を読む」文化は奥ゆかしくもありますが、ときに人間関係に誤解を生むこともあるので、とくに大事な関係の場合ははっきりと理由まで明確にしましょう。
やりたくない仕事を続ける?転職する?5つの判断基準
やりたくない仕事でも続けていくべきか、今すぐ辞めるべきか、その判断は難しいものです。
ですが、中には明確に転職を考えるべきケースもあります。
続けるべきか辞めるべきか、判断するための5つの基準をみていきましょう。
1.やりたくないことが仕事の大半を占めていないかどうか
やりたくないことが仕事のごく一部でしかも頻度が低いのであれば、「経験を積む」と割り切ってやり続けるのが無難です。
しかし、やりたくないことが仕事の大半を占めており、しかも日常的に続くとなれば、転職を考えるのも妥当といえます。
毎日のようにやりたくない仕事があると、仕事へのモチベーションが落ち、精神的にストレスを抱えてしまいます。
精神的に辛くなる前に、転職を検討してみましょう。
2.転職時に年齢がネックにならないかどうか
将来的に転職を考えたとき、年齢がネックにならないか考えてみましょう。
たとえば第2新卒や20代は、転職時に実績やスキルを求められないことが多いため、未経験の業種へもチャレンジしやすいといえます。
一方で、30代を過ぎると培ってきたスキルや経験から「即戦力になるか」で判断する採用が多いため、未経験の異業種に挑戦しづらくなります。
30代を過ぎて未経験の業種にチャレンジしたい人や、自分のスキルを活かせる仕事を見つけたい人は、転職のプロに相談してみるのもオススメです。
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3.スキルアップが望めるかどうか
やりたくない仕事でも、経験することで自分自身が成長できそうなら続けるべきですが、得られそうなスキルが無いと感じる場合は、今の会社に固執する必要はありません。
また、やりたくない仕事をしているときは「仕方なくやっている」というネガティブな思いが強く、自ら学ぶという姿勢になりにくいです。
どうしても「やりたくない」という苦手意識を払しょくできない場合はスキルアップも見込めないので、転職など環境を変える選択をしましょう。
4.近い将来をイメージできるかどうか
2、3年後などの近い将来、自分がその職場で働いている姿がイメージできるかどうかも重要な判断ポイントです。
「やりたくない仕事はやり続けているが、他の仕事も任されるようになっている」など前向きにイメージすることができれば、やり続けても問題ないでしょう。
逆に「やりたくない仕事ばかりして時間だけ経っていそう」というネガティブなイメージや、「やりたくなさ過ぎて想像するのもいや」という嫌悪感すら感じるイメージなのであれば、転職すべきといえます。
5.精神的・肉体的に限界がきていないか
精神的・肉体的に限界が来ているのであれば、仕事を続けるのは危険です。
とくに、以下のようなうつ病の症状が出ている場合は、速やかに今の仕事から逃げ治すことに専念しましょう。
(画像出典:厚生労働省 みんなのメンタルヘルス)
パワハラなどのハラスメントで辞められない、辞めたいと言いづらい場合は、退職代行など第三者の手を借りるのも一つの手です。
関連記事:言いづらい退職の申し出を切り出すコツ|どうしても言えないときの対処法
やりたくない仕事を辞めて転職する際に気を付けたい注意点4つ
やりたいと思える仕事に転職するまえに、転職に関する注意点を把握しておきましょう。
注意点1.やりたくない仕事から完全に逃げることはできない
どれほどやりたい仕事についても、やりたくない仕事は完全になくなることはありません。
仕事をしていくうちに「自分の業務と関係ないから」「一度やったとき失敗したから」などの理由で「やりたくない」「苦手意識がある」仕事が出てきてしまうものです。
また、昔難なくできていたのに年を重ねるにつれやりたくないと感じるようになる仕事や、逆に若い頃やりたくないと思っていた仕事がやっていくうちに好きになる場合もあります。
やりたくないことを避け続けながら経験を積むことは、不可能に等しいことを頭に入れておきましょう。
注意点2.勢いで辞めない
やりたくない仕事から逃げるために、後先を考えず勢いのまま辞めることは危険です。
前準備も無くタイミングも考えずに退職を決めると、後悔するケースが多いからです。
転職には時間がかかり、辞めるタイミングなども重要なので、慎重な判断が必要になります。
ただ、精神的・身体的に限界が来ている場合は、タイミングなどは考えずにすぐに辞めるべきです。その場合も、まずは上司に相談したり、医療機関の受診をお勧めします。
注意点3.できれば辞める前に転職先をみつけておく
転職活動は、辞める前から始めた方がメリットが多いです。
在職中に転職活動をはじめるメリット
- 収入源が途絶えない
- 仕事をしない時期「ブランク」が生じない
- 転職しない選択もできる
仕事をしながらだと転職活動に思うように時間がさけないことが多いですが、キャリアに合った求人を紹介してくれる転職エージェントサービスを利用すれば、両立しやすくなります。
関連記事:転職アドバイザーおすすめの転職エージェント18社を徹底比較|業種・サービス別にランキング
注意点4.不安なときは自分一人で判断せず転職のプロに相談する
「やりたくない仕事とはいえ、今辞めるべきかわからない」
「転職した方がキャリア形成には役立つ?」
など、転職に関する悩みは1人で判断できないことが多いもの。
悩んだら、転職のプロである転職エージェントへ相談してみるのがオススメです。
たとえばリクルートエージェントは1977年の創業以来、累計54万人の転職をサポートしてきた転職のプロ。
業界を知り尽くしたキャリアアドバイザーから求人の紹介はもちろん、応募書類の添削・面接対策のサポートまで受けることができます。
とくに転職するのがはじめての方は、客観的な意見をもらうためにも、プロに相談するのがベストでしょう。
やりたくない仕事に関するQ&A
仕事をやりたくない仕事と感じたときに、よく迷ってしまう疑問について解決していきます。
Q1.やりたくない仕事から逃げるのは甘え?
甘えかどうかは以下のような基準を参考にしてみましょう。
- 逃げるのが甘えといえるケース
例:仕事が自分のためになるとわかっているのに、ただ「めんどくさい」という理由から敬遠している - いますぐ逃げるべきケース
例:ストレスから体調が悪く仕事に集中できないが、同僚はがんばっているのに自分だけ辞めることはできないと感じている
逃げる=甘えと感じるのは、人の目や会社からの評価が一番大切になってしまっているからです。
そもそも個人で置かれている状況は違い仕事をやりたくないと感じる理由も違うため、周りと同じ基準で自分を判断することは難しいです。
仕事をやるうえで一番重要なのは、自分が「できるか、やりたいと思えるか、成長できるのか」ですので、自分の意志を尊重し、判断しましょう。

木村先生
その場合の「やりたくない」は自分の防衛本能です。しっかり休憩をとって、もう一度考えてみましょう。
Q2.いくら「やりたくない仕事」でも3年は勤めるべき?
結論、「3年以内に辞めない方がいい」というのは嘘です。
たしかに3年間で得られるスキルもありますし、辞めることで失うチャンスもあります。
ですが、周囲からの圧力や判断によって辞めるタイミングを見失うのはもったいないです。
勤務年数で判断するのではなく、「やりたくない仕事を続ける?転職する?5つの判断基準」で紹介したような判断基準で考えてみましょう。
まとめ
- 仕事をやりたくないと思う理由は人それぞれ
- やりたくない仕事を任されたときは、とりあえず取り掛かってみるのがやり切るコツ
- やりたくない仕事を続けるか転職するかの判断基準は、自分のためになるかならないか
木村先生
本当はやりたかった仕事が、人間関係のせいでやる気を無くしてしまうのは勿体ない!
そのやる気のなさは、自分の問題なのか、それとも他人の問題なのか、一度立ち止まって考えてみてください。