「人手不足で辞められない」
「転職先が決まっても、職場にどう退職理由を伝えれば円満退職できるかわからない」
薬剤師の方が円満退職するためにすべきアクションを、在職中から退職日まで、コツとともに紹介していきます。
スムーズな退職のためのコツやトラブル回避方法を知って、退職への不安を解消していきましょう。
Contents
薬剤師が退職を考える理由でもっとも多いのは「人間関係」
薬剤師はどんなときに退職を考えるのでしょうか?
2020年の日経メディカルOnlineに登録する会員対象の「退職理由に関する意識調査」によると、退職理由としてもっとも多かったのは「人間関係」という結果が出ています。
(画像出典:日経メディカル)
この調査は薬剤師に限ったものではありませんが、人間関係に悩み退職を考える薬剤師が多いといえます。
薬剤師が退職を考えたときにまずすべきこと
退職を考えたら、まず「退職する考えが間違っていないか」「いまが本当に辞めるタイミングか」などを、慎重に判断する必要があります。
判断するための基準をみていきましょう。
1.なぜ退職したいのか気持ちを整理する
まずは「辞めたい理由」「将来なりたい自分」を明確にしましょう。
なぜなら、そこに「本当に今、退職すべきなのか」という問いの答えがあるからです。
たとえば「薬剤師として、在宅療養する人を支えたい。そのために、訪問指導にも力を入れている薬局で働きたい」などの理由が挙げられます。
2.退職以外で解決の方法がないか考える
今の職場で解決策が見つかりそうなら、退職を急ぐ必要はありません。
なぜなら、新たな職場に移ることで、人間関係の構築やキャリアの積み直しが必要になるといったマイナス面もあるからです。
もし、あなたの悩みが職場の人間関係であれば、部署を異動することで問題を解決できるかもしれません。
3.転職活動を実際にはじめてみる
実際に転職活動をはじめてみるのも、判断するには効果的な方法です。
転職エージェントは、登録すると自分の経歴に見合った求人を紹介してもらえます。
求人を紹介されることで自分の市場価値を知ることができ、実際の転職をイメージしやすくなるでしょう。
また、今以上の求人が見つからなければ、今の会社にとどまる選択もできます。
薬剤師がスムーズに退職するための6STEP
薬剤師がスムーズに退職するための手順を、6つのSTEPで詳しくみていきましょう。
- 退職時期を決める
- 上司にミーティングのアポをとる
- 退職の意思を伝える
- 退職届・退職願を提出する
- 引継ぎ・残務処理などを行う
- 退職する
STEP1.退職時期を決める
退職の意思を伝えるタイミングは、民法上、2週間前であれば問題ないとされていますが、円満退職を望むならば、2か月前には申し出るようにしましょう。
なぜなら、人員確保や引き継ぎ作業を行うのに、2週間では時間が足りず、周りのスタッフに迷惑を掛けることになってしまうからです。
たとえば、3月末で退職を考えているなら、1月中には退職の意思を伝えるといいでしょう。
STEP2.上司にミーティングのアポをとる
上司にアポイントをとる際には「少しお時間よろしいでしょうか?」とシンプルに声をかけましょう。
「今後のことでお話があるのですが」と退職をにおわせるような声のかけ方は、周りのスタッフに「退職するのでは?」と勘づかれ、その後の仕事がしづらくなる可能性もあるので避けた方がいいでしょう。
上司が忙しそうなときは、メールでアポイントを取っても問題ありません。
メールの内容は、あくまで「時間を作ってほしい」という内容までにとどめ、退職の意思は口頭で伝えるのがマナーです。
STEP3.退職の意思を伝える
退職の意思を伝える際には、「退職」は自分の中の決定事項であるという前提で話すことが大切です。
なぜなら、「検討」「相談」といった表現では、あなたに迷いがあると判断されて引き留めに遭いやすいからです。
曖昧な表現や回りくどい表現は、相手に退職の意思が伝わりにくいばかりか、悪い印象を与える可能性があるので避けましょう。
STEP4.退職届・退職願を提出する
退職願・退職届の提出に関する規則は、会社によって異なります。
「退職願」は口頭で伝え、書類の提出が不要な場合もあります。
退職願、退職届のどちらが必要となるか、また、提出のタイミングも会社の規則や慣習に合わせましょう。
- 退職願:退職を会社側に「願い出る」ための書類。会社の承諾前であれば撤回することも可能。
- 退職届:自分の退職を会社に「通告する」ための書類。提出したら撤回することはできない。
STEP5.引継ぎ・残務処理などを行う
会社に残るスタッフや後任者に迷惑がかからないように、最後まで責任を持ってフォローするのも、あなたの大切な任務です。
事前に引き継ぎ内容のリストアップや書類を整理しておくと、スムーズに業務を進められます。
職場独自のルールや、患者や業者に対する個別の対応方法など、実務を通して学んできた内容も、一緒に伝えられるとよいでしょう。
STEP6.退職する
退職まであと10日前後となったら、これまでお世話になった人や取引先へ挨拶に回ります。
特に重要な取引先には後任者と共に出向き、引き継ぎも兼ねて挨拶するのが、望ましいでしょう。
退職当日は、支給されていた物の返却や受け取りがあります。
たとえば、返却するものとして、社員証や健康保険被保険者証、ユニフォームなどがあります。
会社から受け取るものは、薬剤師免許証や離職届、雇用保険被保険者証などが挙げられます。
薬剤師が円満退職するために注意したいこと3つ
円満退職のためには、注意しなければいけないことがいくつかあります。
失礼な退職にしないためにも、チェックしておきましょう。
- 退職時期は慎重に見極める
- 退職理由で不満はNG
- 退職日は上司と話し合って決める
注意点1.退職時期は慎重に見極める
円満退職を実現するためには、会社に迷惑が掛からない時期を選ぶことも重要です。
時期に関わらず、常に忙しい職場もあるかもしれませんが、多くの場合、風邪が流行しやすい冬が繁忙期となります。
このような繁忙期をさけ、3月や12月といった後任が見つけやすいタイミングが、退職の時期としてふさわしいでしょう。
注意点2.退職理由で不満はNG
退職理由で会社への不満を伝えるのはできるだけ避けましょう。
なぜなら、仕事内容、給与面等の不満の場合「改善するから」と引き止めにあう可能性が高いからです。
また、不満をならべて職場に波風をたてたまま退職すると、次の職場に悪影響を及ぼす可能性もありえます。
「人間関係が悪いから」→「チームで動けるような職場で働きたい」など、ポジティブな言葉に置き換える努力をしてみましょう。
注意点3.退職日は上司と話し合って決める
転職先の入社時期に合わせて、退職日を相談すること自体に問題はありませんが、伝え方には注意が必要です。
「○月末日で退職いたします」では、自分の都合ばかり押し付けているようで、印象がよくありません。
よい例として「○月末日をもって、退職させていただきたいと考えております」など、相手への気遣いも忘れずに、歩み寄る姿勢で話を進めるのが理想的です。
薬剤師が退職するときに考えられるトラブル例と対処法3つ
薬剤師が退職するときによくあるトラブル例と、その対処法をみていきましょう。
トラブル例1.悪質な引きとめにあい、退職できない
人手不足の職場でよくみられるのが、引き留めにあうケースです。
「給料を上げるから辞めないで欲しい」と交渉を持ちかけられる、退職届を受理してもらえず、手続きが進められないといったケースなどがあります。
対処法:退職代行サービスを頼る
原則、退職の申し入れから2週間が経過すれば退職が可能であり、会社側が社員を強制的に引き留めることはできません。
なぜなら、民法上、正社員の雇用契約は「解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する」と定められているからです。
あまりにも引き留めがしつこく、悪質な場合は、退職代行サービスの利用を検討すべきでしょう。
関連記事:会社にバレない!悩みゼロ!退職代行サービスのおすすめ業者で安心退職
トラブル例2.残業代などが払ってもらえない
その他のトラブルとして、残業代が支払われないというものがあります。
単純なミスの可能性もありますが、会社側が意図的に支給しない悪質なケースもあります。
不当な理由で残業代が支払われない場合には、まずは直接交渉することになるでしょう。
対処法:直接交渉後、弁護士に相談する
退職金のトラブルに関しては、はじめに支給条件を満たしているかチェックしてから、支払われない理由を聞いてみましょう。
その際、タイムカードなどの証明となる資料は、しっかり準備しておきます。
労働基準監督署に申告しても改善されず、どうしようもない場合は「弁護士に相談する」といった方法を取る場合もあります。
トラブル例3.退職までに消化しきれない有休を買い取ってもらえない
有給の残日数を計算して引継ぎなどのスケジュール組みを自分で調整できるのがベストですが、退職のスケジュールによっては有給が消化しきれないこともあります。
会社に有給の買い取りを求める人もいますが、上司や会社が認めないケースも考えられます。
対処法:原則有給の買取は認められていない
雇用主には、労働者にきちんと休みをとらせ、給料の不安なく心身の疲れを回復させる義務があるため、有給の売買は原則禁止となっています。
しかし、労働基準法を上回る有給が付与されており退職時に消化しきれないという場合は、買取が認められることもあります。
会社によっては、有給につい就業規則で定められている場合もあるので、確認してみましょう。
退職した薬剤師が理想の転職先を見つけるためのコツ
退職後、どんな職場に再就職できるのかも、薬剤師としてのキャリア形成において重要です。
理想の職場をみつけるために、転職活動の際のコツをみていきましょう。
コツ1.転職エージェントを利用する
転職エージェントを利用すれば、希望条件にあった求人の紹介や比較、面接の日程調整や採用率アップのためのアドバイス、条件交渉など、充実のサポートが無料で受けられます。
効率的に転職活動を進めたいのであれば、転職エージェントの利用が断然おすすめです。
編集部おすすめの転職エージェントは「薬剤師におすすめの転職エージェント」の項目で紹介しますので、参考にしてください。
コツ2.コミュニケーション能力を磨く
薬剤師の年収アップのために重要な技術の1つが、コミュニケーションスキルです。
患者へのわかりやすい説明や丁寧な対応はもちろん、職場の良好な人間関係を築くためにもコミュニケーションスキルを磨き続ける努力が求められるでしょう。
コミュニケーションスキルは面接でも重要視されるポイントなので、転職を成功させる上でも有利に働きます。
コツ3.転職したい企業の研究をする
企業研究をすると、採用側がどんな人材を求めているか把握できます。
入職後のミスマッチを防ぐためにも、企業研究は必須の工程といえます。
具体的な方法として、まず、気になっている企業の情報を集め、次に企業の将来性や方針を理解します。
そして、得られた情報を自分の希望条件と照らし合わせ、志望動機や自己アピールに活かしましょう。
薬剤師におすすめの転職エージェント
転職エージェントを利用する、といっても数多くあるエージェントの中から選び出すというのは難しいことです。
どこにするか悩む方のために、ここでは、編集部オススメの転職エージェントを3つ紹介します。
自分に合った転職エージェント選びの参考にしてください。
1.人材最大手リクルートエージェント運営「リクナビ薬剤師」
「リクナビ薬剤師」は転職のプロである、リクルートエージェントが運営する薬剤師に特化した転職サービスです。
求人数は、非公開求人を含めると約6万件。
薬剤師業界に詳しいキャリアアドバイザーが、あなたの代わりに条件交渉してくれるので、妥協せずに、好条件での転職を叶えられます。
2.はじめての転職に心強い味方「マイナビ薬剤師」
はじめての転職で登録したサービス、ナンバー1を誇るのが「マイナビ薬剤師」です。
プロの視点で、採用担当者の心に響く履歴書の書き方や、添削アドバイスなど、充実したサービスが受けられます。
また、全国に拠点を持っているので、地方への転職や慣れない土地での職場探しでも、安心してサポートを受けられます。
3.薬剤師以外への転職なら「リクルートエージェント」
薬剤師に限定しない職場探しなら、まずは国内最大級の求人数を誇る「リクルートエージェント」に登録しておきましょう。
非公開求人だけで、なんと10万件。
幅広い選択肢の中から、あなたの希望条件にあった職場がきっと見つかります。
業界に精通した専任のアドバイザーによるマンツーマンのサポートを活かして、ライバルに差をつけ、採用枠を勝ち取りましょう。
関連記事:使う前に知っておきたい!リクルートエージェントの本当の評判|注意点と活用のコツ
薬剤師の退職に関するQ&A
薬剤師の退職に関する、よくある疑問を解決していきましょう。
Q1.薬剤師が退職する際、退職金が出ない場合はある?
すべての会社で、退職金が支給されるとは限りません。
ボーナス支給と同じように、退職金制度も会社の判断に任されているため、制度がなくても違法ではありません。
退職金が無いかわりに「給料が高い」「福利厚生が充実している」といった場合もあります。
生涯年収を高くしたければ、退職金の有り無しにこだわるのではなく、給料のよい職場へ転職するのが賢い選択といえるでしょう。
Q2.退職理由は包み隠さず伝えなきゃダメ?
退職する理由について、すべてを詳細に伝えなくてはいけない、といった法律上のきまりはありません。
正直に話すことで、かえってトラブルになりそうな時は、本音の部分は出さずに「一身上の都合」とした方が無難な場合もあります。
Q3.薬剤師として転職するなら、退職後よりも在職中に転職活動する方がよい?
一旦離職してしまうと「収入がなくなる」「年金の切り替え手続きが面倒」などのデメリットがあります。
多くの場合、退職してしばらくは、自由な時間を満喫できるのですが、だんだんと焦りが出てきます。
スピード重視で転職活動を進めてしまうと、企業研究もおろそかになり、ミスマッチが起こりやすくなります。
これらの理由から、在職中に転職活動を進めた方がよいといえるでしょう。
まとめ
- 薬剤師が退職を考えたとき、まずはなぜ退職したいのか整理する
- スムーズに辞めるためには、退職時期の調整や退職理由の伝え方に注意が必要
- 悪質な引きとめに合うようであれば、退職代行サービスの利用も検討しよう