退職を検討している際に、とくに気になるのが失業保険です。
「いくらもらえるの?」
「そもそも失業保険だけで生活できる?」
この記事では、このような不安を解消するとともに、失業保険を受給するための受給資格について解説します。
受給資格があるのに受給できないパターンもありますので、今受給を考えている人は参考にしてみてください。
記事監修とコメント

みとみ ちかこ
Mitomi Chikako
みとみ ちかこ
Mitomi Chikako
Profile
FPブライト代表 女性の人生とキャリアを応援する「お金と仕事の専門家」ファイナンシャルプランナー(CFP®日本FP協会)&キャリアコンサルタント。大学卒業後、化粧品メーカー、外資生保険会社、IT企業を経て独立。現在は、金融商品を販売しない独立系FPとして、執筆・講師・相談業務を行う。「女性が輝ける人生100年安心設計」のお手伝いをしている。
ホームページ:https://securelife100.info/
Contents
失業保険をもらうために、知っておきたい受給資格
失業保険は、会社に勤めていれば無条件にもらえるわけではありません。
退職後に失業保険をもらうためには一定の条件が必要ですので、まずは自分に受給資格があるのかをチェックしてみましょう。
受給資格の条件
- 一定期間以上の雇用保険の加入が必要
- 就職可能な能力があり、求職活動活動を行っている
失業保険の受給資格の条件については以下の項目でさらに詳しく紹介します。
※ちなみに「失業保険」は正式名称ではなく、雇用保険内の「失業給付金」のことを指します。
資格1.一定期間以上の雇用保険の加入が必要
失業保険を受給する場合、一定期間以上の雇用保険の加入が必要です。
必要な雇用保険の加入期間も、退職理由により変わるので注意が必要です。
- 自己都合の退職の場合・・・雇用保険に12ヶ月以上加入しているのが条件
- 会社都合の退職の場合・・・雇用保険に6ヶ月以上加入しているのが条件
上記が、失業保険受給のための雇用保険加入期間条件になります。
資格2.就職可能な能力があり、求職活動活動を行っている
失業保険を受給する条件は心身ともに健康で、「就職可能な能力がある」「ハローワークで認定される」点が条件です。
失業保険を受給する条件は、以下の通りです。
受給する条件
- 心身ともに健康で就職できる環境にあること、
- 積極的に就職する意思があること
- 仕事を探しているのに見つからないこと
失業保険を受給するにはまず、ハローワークに離職票などを持って求職の申込みを行い受給資格の決定を受けなければなりません。
その後、7日間の待期期間を経て、受給ができるようになります。
また4週間に1回はハローワークを訪れ、求職活動の報告して失業の認定をもらうことになります。
4週間毎に失業の認定が行われなければ、失業保険は継続してもらえないので注意が必要です。(※1)
自宅でかんたん最短1日!「求職活動実績」の作り方
求職活動実績と言えば、管轄のハローワークに赴いて相談をしたり、実際に見つけた求人に応募したりするというイメージがありますが、実は在宅でもすぐに実績を作ることは可能です。
インターネットでの求人検索は、前述の通り活動実績とはみなされません。
しかし、インターネットでの求人に応募することは求職活動として認められており、ハローワークに出向くことなく活動実績を作れます。
この求人応募については合否は関係なく、あくまで「求人に応募した」ということが活動実績として認められるため、最短1日・自宅で求職活動実績を作ることが可能です。
※実績を作るには転職活動のなかで、希望の求人に応募する必要があります。
実績の作り方1.転職サイトに登録する
では、まず求職活動実績を作るために、転職サイトへ登録しましょう。
次の項目で詳しく説明しますが、実績を作るには人材募集に応募する必要があります。
もしあまり登録先に悩みたくないという人におすすめのサイトは国内最大級の転職エージェント、リクルートエージェントです。
豊富な求人数を誇るので、実績を作りたい人には一番おすすめの人材会社です。
実績の作り方2.企業の人材募集に2社応募する
次に、転職サイトで見つけた人材募集に2社ほど応募しましょう。
1社への応募につき実績1回となるので、2社への応募で求職活動2回とみなされます。
採用合否は問われないので、気になる求人を見つけたら、積極的に応募してみましょう。
書類選考後の面接も考えて、必ず希望にそった企業に応募しましょう。
※転職サポートが必要ない人は、求人サイトのリクナビNEXTがオススメです。
実績の作り方3.『失業認定申告書』に応募した企業を記入する
次に、応募した企業名などを失業認定申告書に記入しましょう。
どのような求職活動を行ったかを選んで記入しますが、応募した企業名や応募日のほか、インターネットや電話などどのような方法で応募をしたか、職種などを記入します。
このうち、応募の結果について記入する欄がありますが、この部分は「選考結果待ち」と記入して提出すれば良いでしょう。
これで、失業認定をしてもらうための求職活動実績となります。

みとみさん
求職活動の実績は、認定日の前日までに終わらせなくてはなりません。
前回の認定日から今回の認定日の前日の報告となるので、認定日当日に慌てて、ネットで応募しても間に合いませんので注意。
失業保険がもらえないかも?知っておきたい5つのケース
受給資格はあっても、失業保険がもらえないケースもあります。
ここで解説する失業保険がもらえない5つのケースを確認し、失業保険がもらえないケースをなくすようにしましょう。

みとみさん
失業保険の申請には「離職票」が必要になります。
退職時に会社へ「離職票」を出してもらうように忘れずに伝えましょう。
ケース1.雇用保険の加入期間が少ない
先述したように、失業保険を受給するには、一定期間雇用保険に加入している必要があります。会社員ばかりでなく、派遣やパートも条件によっては対象となります。
給与明細で「雇用保険」が天引きされていれば、加入していることになりますのでチェックしてください。
チェックすること
- (1)自己都合の退職の場合・・・
退職前2年間に雇用保険に12ヶ月以上加入している - (2)会社都合の退職(特定受給資格者)(※2)(※3)
特定の自己都合(特定理由離職者)の退職の場合 ・・・
退職前1年間に雇用保険に6ヶ月以上加入している

みとみさん
「特定受給資格者」とは、倒産や解雇、リストラなど会社都合で退職した人のことです。
また「特定理由離職者」とは、契約更新されない、配偶者の転勤や両親の介護などやむおえない理由で退職した人などです。
詳細は「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」で確認してください。
これらに該当した場合は、給付制限がなく給付日数が手厚くなることがありますので、退職理由は会社へしっかり伝えましょう。
転職などで、離職した会社の雇用保険の加入期間が12カ月に満たない場合でも、前職との空白期間が1年未満であれば通算して2年間に、12カ月あれば条件を満たすことになります。
自己都合退職は失業保険がもらえない事態を防ぐためにも、雇用保険加入期間に注意しながら退職を行いましょう。

みとみさん
今までは、自己都合による退職の場合、3ヵ月の給付制限(雇用保険を受給できない期間のこと)がありました。
しかし2020年10月1日以降に退職した場合、給付制限が2ヵ月に短縮され、ひと月早く、失業保険が受け取れるようになりました。
ケース2.失業保険を受給中にパートやアルバイトをしている
失業保険を受給中にパートやアルバイトをする場合はいくつか注意点があります。
注意点
- 7日間の待機期間は、失業状態であることが必要なので、一切の仕事はできない。
- 週の所定労働時間が20時間以上で、週の勤務日数4日以上の場合は「就職」とみなされる。
時間数や収入額によって減額されたり、働いた日は失業保険がもらえず先送りされたりします。
パートやアルバイトをする場合は、事前に管轄するハローワークに問い合わせましょう。

みとみさん
パートやアルバイトなどをしたにもかかわらず「失業認定申告書」に申告しなかった場合は、不正行為とみなされ、以降の失業保険が支給されません。
それまで受給した失業保険を返しさらに2倍の罰金(3倍返し)を支払うことになる場合もあります。
ケース3.年金受給者
年金受給者も失業保険が受給できますが、60~64歳の場合、失業保険を受給すると「特別支給の老齢厚生年金」が受給できなくなります。
65歳以上の場合は、「高年齢者求職給付金」と呼ばれる一時金に近い失業保険が支給され年金と併用が可能です。
ケース4.倒産・解雇・契約解除での退職
倒産、解雇のような急な離職で次の準備もできない状態で離職させられた場合、「特定受給資格者」として失業保険が受給できます。
仮に自己都合で退職しても、有期雇用契約で3年以上雇用されていた状況で、契約の非更新などで離職した場合も、正当な理由の自己都合の「特定理由離職者」に該当します。
契約途中解雇や雇い止めのパターンも同様です。このような場合には、離職日以前に被保険者であった期間が6ヶ月以上あれば「特定受給資格者」として認定してもらえます。
ケース5.転職活動をしない・できない
転職活動をしない・できない人の場合、受給には条件があります。
失業保険は「働く意欲のある人」をサポートするシステムです。
求職活動などの就職活動を行わなければ、原則として失業保険は受給できません。この場合の「求職転職活動」に関しては後述します。
では転職活動や求職活動ができない人はどうなるのかを解説していきましょう。
結婚して家事に専念する、学業に専念する、自営業になるなどの場合
これらの理由で就職するつもりがない場合、原則、失業保険はもらえません。
妊娠、出産、育児(3歳未満)や介護、病気やケガですぐに働けない場合
延長申請をしておけば、働ける環境になった時にもらえます。
退職日の翌日から一年間で、働くことができない状態が30日以上続いた場合は、「受給期間延長」の手続きを行うことで、失業保険を受給を先延ばしができます。
申請する期間は、退職日の翌日から4年間の間ですが、延長の申請が遅いと失業保険の所定給付日数の全てを受給できない可能性があります。
30日以上働くことができなくなった場合には、できるだけ早期に延長申請をしましょう。原則の受給期間である1年を延長手続きして、合計4年まで受給可能にできます。
現時点で出産後に働くかどうか決まっていない人でも、延長申請を行えば受給可能になりますですので、手続きを行うことをオススメします。
失業保険をもらうメリット
失業保険はもらった方がお得と思われがちですが、実はそうではありません。
失業保険受給をもらうメリットやデメリットをしっかりと把握し、失業保険の受給の有無を検討していきましょう。
メリット.経済面での安心感が得られる
失業保険でもらえる金額は、前職の給料の約45%~80%になります。
再就職が決まるまで、経済面での安心感を得られるのはメリットです。
その期間に、自分のやりたい仕事をじっくりと考えられます。
また失業保険をもらいながら、ハローワークで転職活動をサポートしてもらえるので、この点は大きなメリットと言えるでしょう。
失業保険を受け取るまでの5つのステップ
失業保険は、退職後にハローワークへ申請しないともらえません。
ここでは失業保険を受けとるための5ステップを解説していきますので、ポイントを押さえて確実に失業保険がもらえるようにしましょう。
STEP1.申請に必要なものを用意する
まずは失業保険をもらうために必要なものを用意します。必要なものは以下の通りです。
失業保険をもらうための手続きには上記が必要ですので、忘れないようにしてください。
STEP2.ハローワークへ失業保険の申請に行く
失業保険申請の準備ができたら、現住所管轄のハローワークに失業保険の申請に行きます。
求職申込書に記入して窓口で面接を受けましょう。スムーズに手続き行うためにも、事前にハローワークの受付時間を調べておくことが重要です。
またハローワークは比較的午前中の方が空いているので、午前中を利用していくこと点をオススメします。
住民票と現住所が違う場合
失業保険の受給手続きは、基本的に住民票を管轄するハローワークで行います。
現住所と住民票が違う場合には、住民票を現住所に移しておかなければなりません。
どうしても住民票が移せない事情などがある場合には、現住所に住んでいる証明が必要になります。
郵便物の写しやアパート契約書の写しなどが証明になりますが、スムーズに受給申請を行うためにも、住民票は現住所に移して写しておくこと点が重要です。
STEP3.雇用保険説明会に出席する
失業保険をもらうには、雇用保険説明会に出席しなければなりません。
7日間の待機期間を経て、失業保険申請後1~3週間後に雇用保険説明会に出席します。
STEP4.失業認定日を経て、失業状態が認定される
説明会出席後、第一回の失業認定日に失業と認められると、約4~7日後に失業保険が口座に振り込まれます。
自己都合退職の場合、失業認定から2ヶ月間の給付制限があるので注意しましょう。自己都合退職の場合は、この給付制限期間経過後に失業保険が振り込まれます。
STEP5. 4週おきに失業の認定を受けに行く
失業認定を受けた後は、求職活動を行いながら4週間に1回のペースでハローワークの窓口を訪れ、失業の認定をもらいます。
これを怠ると、失業保険がもらえない可能性があるので注意しましょう。

みとみさん
指定の認定日に行けない場合は事前にハローワークに相談することが大切です。
たとえば下記のような場合は、事前にハローワークに相談しましょう。後日、証明書等の提出が必要になります。
・就職関連(就職、採用の面接や採用試験など)
・国家資格や検定試験(国家資格や検定試験、ハローワーク指導の講習受講など)
・冠婚葬祭(本人の結婚、親族の葬儀、子どもの入学・卒業式など)
失業保険をもらうデメリット2つ
失業保険をもらうと発生するデメリットもあります。
ここでは失業保険をもらうデメリットを2つ解説していきますので、その点を踏まえて失業保険をもらうか検討しましょう。
デメリット1.失業期間が長いと再就職しにくい
求職活動は、失業期間が短い方が有利と言われています。
失業保険をもらいながらじっくりのんびりと求職活動をやっていると、その分面接では不利になりますので注意しましょう。
また不規則な生活を続けてしまうと心身のバランスが崩れ、働く意欲や就職活動自体に力が入らなくなるようなケースもありえます。

みとみさん
失業期間が長いと就職の面接では、必ずその理由やどう過ごしたかなどの質問を受けます。
面接官には、無理にとりつくろわず働く意欲をアピールしましょう。
資格取得などがあればいいですね。教育訓練給付金制度を利用して資格取得にチャレンジするのもオススメです。
デメリット2.失業保険をもらうと、雇用保険の加入期間がゼロになる
失業保険をもらうと、雇用保険の加入期間がリセットされます。
失業保険は、雇用保険の加入期間が長いほど受給日数が増えます。雇用保険の加入期間は、前職からの空白期間が1年以内であれば、通算が可能です。
しかし一度失業保険を受給すると、それまでの加入期間がリセットされます。
一度加入期間がゼロになると、再就職先を退職した場合、その後に貰える失業保険は少なくなります。

みとみさん
失業保険を受給中でも、健康保険料や国民年金保険料を支払わなくてはなりません。
それまで加入していた会社の健康保険を継続する任意継続被保険者を利用するか、市区町村の国民健康保険に加入する必要があります。
任意継続被保険者制度を利用する場合は、退職後20日以内に手続きする必要がありますのでご注意。
早めに就職を決めて再就職手当をもらおう
失業保険の申請をしていて、早めに就職が決まった場合、「再就職手当」がでます。
失業保険を満額もらう前に、早期の再就職をすすめる奨励金のような手当金です。
自己都合で退職した場合、2ヶ月の給付制限がありますので早めに就職を決めで「再就職手当」を目指しましょう。
「再就職手当」をもらうための8つの条件
早めの再就職で「再就職手当」をもらうためには8つの条件があります。
以下にその条件を記載しますので、「再就職手当」をもらおうと考えている場合には、しっかりと確認をしておきましょう。
再就職手当の条件
- 失業保険の申請後、7日間の待機期間後の再就職に該当する
- 失業保険の残りの支給日数が1/3以上残っている
- 再就職先が、前職と密接な関係でない
- 自己都合退職の場合、待機期間終了後一ヶ月間はハローワークや就職紹介事業社経由からの紹介で再就職する
- 再就職先で1年以上雇用される見込がある
- 原則、雇用保険の被保険者となる
- 受給資格決定前からの内定ではないこと
- 過去3年以内に再就職手当や就職支度手当の支給を受けていない

みとみさん
再就職手当金は、再就職日までの失業保険の残日数が多ければ多いほど高くなります。
早めに就職するほど手当金が多くもらえることになります。
たとえば、
「所定給付日数:90日 残日数:60日 基本手当日額:5,300円の場合」
支給残日数が2/3以上なので、222,600円となります。
基本手当の所定給付の残日数によって、もらえる金額が違ってきます。
◎支給残日数が2/3以上 基本手当日額×所定給付日数の残日数×70%
◎支給残日数が1/3以上 基本手当日額×所定給付日数の残日数×60%
【編集部おすすめ】退職後の費用に不安がある人におすすめのサービス1つ
「退職したあとの生活費が不安だな……」
「そもそも本当にちゃんと給付されるの?」
先ほども紹介したように失業保険は通常3ヶ月しかもらえませんが、条件によっては20ヶ月以上の給付金をもらえる可能性があります。
いま退職後の生活費が不安に感じている人におすすめなのが、退職コンシェルジュです。
なぜなら、退職コンシェルジュの「社会保険給付金サポート」というサービスでは、給付金がもらえるかどうかを無料でプロに確認できるからです。
以下の条件に当てはまる人で、不安な人はぜひ相談してみてくださいね。
(1)年齢が20歳~54歳
(2)退職日が本日から『30日以上、90日未満』
[例] 1/15申し込み場合…
①1/31退職予定の方は30日きってるためNG、②4/31退職予定の方は90日を超えているのためNG、③2/15〜4/15退職予定の方はOK
(3)現時点で転職先が決まっていない
(4)社会保険に1年以上加入している(保険証参照)
(5)使用可能な有給日数が4日以上ある
受給の流れを詳しく見る
まとめ
- 失業保険の受給資格・もらえないケースをしっかり確認しておく
- 失業保険のメリット・デメリットを理解しておく
- 失業保険よりも、「再就職手当」をもらうことも視野にいれておく
参考サイト
《コロナ関連の特例をチェック!管轄のハローワークにおたずねください》
※1
高齢(60歳以上)であること、基礎疾患を有すること及び妊娠中である受給者の方は郵送による認定手続きあり。求職活動の実績基準も緩和。(参考)
※2
新型コロナウイルス感染症の感染予防を理由として、やむを得ず離職した方は「特定受給資格者」とし、基本手当の所定給付日数が手厚くなる場合があります。(参考)
※3
新型コロナウイルス感染症等の影響に対応した給付日数の延長に関する特例について
みとみさん
すぐに応募できるように、事前に履歴書や職務経歴書の準備をしておきましょう。
履歴書用の写真も、第一印象を決める大きなポイントなので好印象のものを準備しましょう。