仕事内容が思っていたものと違ったり人間関係で辛いことがあったりすると、派遣期間中でも「辞めたい」と思う方は多いはず。
「派遣の仕事を辞めるには誰に言うべき?ベストなタイミングは?」
「契約期間中にやめることは可能?」
辞めたいと思ったとき、派遣を辞めるためには何をどうすべきなのでしょうか?
今回は、派遣先を円満に辞めるための正しい手順や、派遣期間中でもやめることができる正当な方法などをまとめました。
Contents
派遣先を辞めたい場合は、まず派遣元の派遣会社に相談を!
派遣先を辞めたい場合は、まず雇用主である派遣元の人材派遣会社に「辞めたい」意志を伝えましょう。
派遣社員の場合、派遣先の会社とではなく派遣元と雇用契約をむすんでいるため、雇用主は派遣会社ということになります。
派遣会社は人材派遣のプロ。企業と人材間の調整を行うのが仕事です。
もちろん「辞めたい」という相談への対応にも慣れています。
「辞めたい」というのは決して悪いことではないので、派遣会社の担当者に思いのたけを伝えましょう。
最初に派遣先に「辞めたい」と伝えるとトラブルになる可能性も
派遣会社を通さずに、派遣先に直接「辞めたい」と伝えてしまうと、トラブルになる可能性があります。
派遣先の会社は人材派遣会社と「人材を派遣する」という契約をむすんでいます。
派遣先としては、契約を結んでいる人材派遣会社からの連絡でないと対応のしようがないのです。
派遣先を困らせずスムーズに退職するには、まずは派遣会社に「辞めたい」と伝えましょう。
派遣が辞める主なパターンは「契約満了」と「契約期間中に退職」の2つ
派遣を辞める主なパターンは、以下の2つです。
- 契約期間満了で、契約更新をしない
- 自己都合による、契約期間途中での退職
契約期間満了で辞めたい場合、契約を更新しないことを面談などで伝えることで辞めることができます。
反対に派遣契約期間中に途中退職することは、原則認められていません。
しかし、ある条件を満たし派遣先・派遣元ともに了承が得られれば辞めることも可能です。
次の項目で、派遣先を契約期間中に辞めるための条件を見ていきましょう。
派遣は「やむを得ない理由がある場合」に限り、契約期間中に辞めることが可能
派遣社員は、民法で「やむを得ない事由がない限り契約期間中に退職することはできない」と定められています。
逆に言えば、「やむを得ない正当な理由」があれば派遣契約期間中だとしてもいつでも辞めることが可能だということです。
ちなみに、就業規則で退職の申し出期間などを定めている企業もありますが、それは正社員(無期雇用)がのみが対象という場合が多いです。
あくまでも派遣社員の雇用主は人材派遣会社。退職に関するルールは、派遣先の就業規則ではなく派遣会社に確認しましょう。
契約期間中に辞めても罰則・罰金の可能性は低い
契約期間中に辞めたとしても、会社から罰則・罰金を被る可能性はとても低いです。
なぜなら、労働基準法では「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」とされており、実害の有無にかかわらず、あらかじめ違約金を定めておくことが認められていません。
違約金や損害賠償があることで、労働者の退職の自由が制限されないように法律で定められているのです。
「やむを得ない」と判断される可能性が高い”正当な”理由3つ
では、契約期間中に辞めることが認められる「やむを得ない理由」とはどんなものを指すのでしょうか。
やむを得ない理由の、具体的な例を紹介します。
理由1.家庭の事情
家族の病気や高齢化にともなう介護などは、正当な理由として認められることが多いです。
自分しか見る人が居ない場合は、緊急的に仕事を辞めざるを得ません。
家庭の事情はとてもセンシティブで個人的な問題のため、派遣元・派遣先ともに納得する理由と言えます。
理由2.病気・体調不良
働いている本人が体調をくずし、治療が必要で出社が困難な場合も、やむを得ない理由です。
病気やケガなどの身体的なものに含め、ハラスメントなど職場の労働環境がもとでわずらった精神的な病気も該当します。
体調不良のスタッフを無理やり働かせる会社はありません。
病気も個人的な問題のため、やむを得ない理由と認められやすいです。
理由3.避けられない引っ越し
家族の転勤などで、急に避けられない引っ越しが発生することもあります。
通勤が困難で、これまでと同じ場所で働けなくなるのは、派遣期間中に辞める正当な理由と言えるでしょう。
引っ越しなど物理的に出社が困難になる場合も、やむを得ないと認められる可能性が高いです。
知っておきたい契約期間中に辞めることで起こり得るリスク
やむを得ない理由で辞めるとなれば、それは仕方のないこと。
しかし、派遣社員が契約期間中に辞めることは原則的には認められていないため、派遣先・元ともに影響が出てしまうのは確かです。
どんなリスクが考えられるか、あらかじめ知っておきましょう。
人材派遣会社からの信用の低下
派遣元の人材派遣会社からの信用が低下してしまうことは避けられません。
派遣会社は派遣先の企業と「人材を派遣する」契約を結んでいます。
顧客と言える派遣先の企業からの信頼を落とさないためにも、契約期間満了まで働くスタッフを優先的に紹介するのは当然のことと言えます。
今後も同じ派遣会社から仕事を受けたい場合には、契約期間中の退職がネックになる可能性もあることを理解しておきましょう。
とは言え、辞めること自体は仕方のないことです。
評価には普段の勤務態度も加味されますので、「契約期間中に退職した」だけで信用は低下しませんので安心してください。
周囲への影響
スタッフがやめると、派遣会社は別のスタッフを探し、再び企業に紹介する必要があります。
契約期間中の退職は人材が動く時期とずれるため、後任の選定が困難な場合もあるのです。
また、辞めるタイミングによっては、後任への引継ぎを案件の中途半端な段階で行うことになります。
やむを得ない理由での退職は仕方がなく、後任のことは辞める方には関係のないことですが、迷惑をかけてしまうことは事実です。
後任が見つからないまま退職になる可能性も視野に入れ、引継ぎのマニュアルを作成するなどできる限りの対応をしておきましょう。
どうしても契約期間中に辞めたい場合|相談のコツ
では、やむを得ない理由以外でどうしても契約期間中に辞めたい場合は、どうすべきでしょうか。
そういったときも、一度派遣会社に相談してみましょう。
普段の勤務態度に問題が無ければ、「契約期間中に辞める」こと自体で派遣会社にとがめられることはありません。
大切なのは「なぜ辞めたいと思っているのか」という理由で、理由さえ伝えれば派遣会社はあなたといっしょに対応を考えてくれるでしょう。
ここでは、派遣会社へ相談する際のコツを紹介します。
1.人間関係で悩んでいる場合
仕事を辞めたいと思う理由の1位は「人間関係」だと言われています。
退職の意志が固いのであれば、状況を詳しく説明し「これ以上あの職場に勤めるのは困難」ということをはっきり伝えましょう。
しかし、感情的に「あの人の仕事のやり方が嫌いです」「職場の雰囲気が苦手です」と伝えても、好みの問題ととらえられ、まともにとり合ってもらえない可能性があります。
「円滑なコミュニケーションを取ることが不可能なため、業務を継続することが難しい」など、あくまで、その人の業務態度が原因で自分の業務が物理的に妨げられているという観点から意見をまとめることが重要です。
「苦手・嫌いだから」ということを理由にしないよう気を付けましょう。
また、人間関係がストレスになり体調を崩している場合は、契約期間中に辞めるやむを得ない理由と認められます。
ポイント:言われたこと、やられたことはメモしておく
職場でされた行為や言われたことは、日付とともにメモをとっておきましょう。
どんな仕打ちを受けてきたかが伝わりやすく、不当な扱いを受けている証拠になるので、辞めるという意思が通りやすくなります。
明らかにパワハラ、セクハラなどのハラスメントを感じている場合も、メモが有効になります。
2.仕事内容が苦手・合わない場合
スキル不足などから、仕事が合わないと感じ辞めたいと思うこともあります。
スキル不足が原因で派遣先から苦情が入らない限り、派遣元は退職の申し出を受けてくれない可能性が高いです。
働き出してすぐの場合は、慣れるまでがんばってみるのも一つの手です。
どうしても辞めたい場合は、「スキル不足のため、業務内容が難しいと感じている。派遣先からも注意を受けており、迷惑をかけるまえに辞めたい」など、派遣先に迷惑をかけていることを強調して伝えてみましょう。
3.仕事量・残業が多い
仕事量が多い、契約外の残業が多いなど、労働環境に問題があり「辞めたい」と思うこともあります。
契約前に聞いていた仕事とあまりにも違いがある場合、派遣先の契約違反となるので速やかに派遣元に伝えましょう。
「業務量が多く、残業時間も契約書に合った目安時間を〇時間以上超している。このままでは健康に不調をきたしかねない」など、契約当初と過度に相違がある点を具体的に伝えるのがベストです。
人材派遣会社が派遣先と交渉・抗議をしても改善がみられない場合は、契約期間中でも辞められる可能性が高いです。
また、長時間労働などで体調に悪影響があった場合は、契約期間中に辞めるやむを得ない理由と認められます。
派遣の仕事を辞めたいときの注意点3つ
派遣の仕事を「辞めたい」と思ったときに、気を付けたい注意点を見ていきましょう。
「辞めたい」気持ちを伝えるタイミングなどが、スムーズな退職につながります。
1.辞めたい意志が固まったら1ヶ月前までには申し出る
退職の申し出は、1ヶ月前までには伝えるようにしましょう。
また、契約書に「辞める〇ヶ月前までに申し出るように」と記してある場合は、それにそって申し出ます。
無期雇用の場合、民法上は2週間前の申し出でも退職可能ですが、雇用期間が契約で定められている派遣は、原則として期間満了をむかえないと辞めることができません。
そのため、退職の意志が固まったら早めに申し出るのが、スムーズな退社につながります。
2.無断欠勤・連絡の無視などはNG
「辞めたいと伝えづらい」
「派遣会社に相談しても話を聞いてくれない」
「派遣先の改善がみられない」
こういったときは、仕事が嫌なって無断で休みたくなることもあります。
しかし、無断欠勤や音信不通の状態になるのは厳禁です。
派遣元・派遣先、ともに迷惑をかけるのはもちろんですが、何よりあなたの今後の立場が悪くなってしまいます。
どうしても辛いときも、必ず休む連絡は入れるようにしましょう。
3.円満に辞めたいなら「契約期間満了」を待って辞めるのがベスト
一般的な派遣の辞め方は、契約期間満了で次回更新をしないパターンです。
円満かつトラブルなく辞めるには、この方法を選ぶのがベストと言えます。
とはいえ、「契約期間中に辞める」というやむを得ない選択をしなければいけないこともあります。
「契約期間満了まではがんばればスムーズに辞められる可能性が高い」ということも覚えておきましょう。
派遣を辞める前にやっておきたいこと2つ
派遣を辞める前に、考えておきたいことや知っておきたいことがあります。
後悔の無いように、辞める前から準備をはじめておきましょう。
1.辞めたあとの必要な手続きを把握する
派遣先だけでなく、派遣元の人材派遣会社も辞める場合は、いくつか手続きを知っておく必要があります。
- 雇用保険(失業保険)を受け取るために必要な書類の受け取り
- ハローワークへの申請
- 健康保険・年金の申請 など
「辞める」こと自体で手がいっぱいになり、辞めてから必要な手続きを確認するという人も多いです。
ですが、全ての申請をするには意外と時間がかかったり、失業保険の給付には待機期間があったりするので、辞める前にある程度調べておくのがおすすめです。
失業保険が、いつから・いくらもらえるか詳しい計算方法を知りたい方は「失業保険、【いくらを、いつからもらえる?】金額と期間の計算方法」の記事に目を通してみてください。
2.次の就職先はどうするか決めておく
「無計画に仕事をやめて、意図せず無職に……。」ということがないように、次の就職先に目星をつけておきましょう。
探す方法は、主に次の3つです。
- 派遣元に次の仕事の紹介を受ける
- 別の派遣会社に登録する
- 正社員になるため転職する
円満退職や正当なやむを得ない理由での退職の場合、そのままの派遣会社でもスムーズに次の仕事を紹介してもらえるでしょう。
ただ、派遣先ではなく派遣会社やその担当者との相性が悪いと感じるのであれば、他の派遣会社の利用を検討するのも一つの手です。
また、この機会に正社員(無期雇用)を目指すという手もあります。
「一人での転職活動が不安で自信が無い……」という場合は、転職のプロにアドバイスをもらいながら転職活動が行える「転職エージェント」の利用がオススメです。
自分に合った会社を見つけたい方へ|オススメの紹介会社4つ
自分にぴったり合った職場で働くためには、以下の会社への登録がオススメです。
1社ずつ、詳しく紹介していきます。
オススメ1.リモート・週3、4勤務の仕事を探している女性向け!プロオンラインワーカー
「仕事が途切れずに、安定収入を得たい」
「でもなるべくリモートワークや時短勤務で働きたい……」
そんな人におすすめなのが、プロオンラインワーカーというサービスです。
プロオンラインワーカーでは、派遣ではなく業務委託で働けるので、リモートや在宅勤務、週3,4勤務など、あなたの希望の働き方を叶えられます。
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オススメ2.IT系・モノづくり系に強い|パーソルテクノロジースタッフ
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求人はリモート相談可能な案件もあり、求人の種類はITエンジニア、WEBクリエイティブ、機電エンジニアなどの職種に特化しています。
エンジニア経験のあるキャリアアドバイザーも在籍しているので、キャリア相談がしやすい環境が整っています。
オススメ3.充実したスキルアップサポートが魅力|テンプスタッフ
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スタッフサービスは求人数が業界イチで、日本最大級の110,000件以上を取り扱っています。
また求人の種類も豊富で、オフィスワーク、介護・看護、製造業・物流・軽作業など、ほぼすべての職種をカバーしています。
求人数・種類ともに他社と比較して圧倒的な多さなので、選択肢を広げるためにもとりあえず登録しておきたい派遣会社です。
派遣の仕事を辞めたいときのQ&A
最後に、派遣の仕事を辞めたいと思ったとき、多くの人が感じる「辞め方」についての疑問を見ていきましょう。
Q.派遣会社に「辞めたい」と伝えるのは、メールでもOK?
直接会って、口頭で「辞めたい」伝えるのがベストな選択と言えます。
「表情」や「声色」で、メールでのテキストコミュニケーションだけでは伝わりにくいあなたの本気度が伝わります。
メールのみでは、軽くあしらわれてしまう可能性が高いでしょう。
ただ、アポをとるだけならメールでも問題ありません。
「少しお話したいことがあるので、お時間いただけると幸いです」など、アポのメールでは話があるということだけ伝えましょう。
Q.派遣でも有給休暇を使って辞めることができる?
有給休暇の取得は、雇用形態に関わらずすべての労働者に与えられた権利です。
有給休暇の取得には、以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 雇用されて6ヶ月が経っていること
- 算定期間の8割以上の出勤があること
この条件を満たしていれば誰でも取得できるので、派遣社員でも有給を消化して辞めることはできます。
派遣元となる人材派遣会社を辞めない場合、有給はそのまま引き継がれるので次の派遣先で使うことができます。
派遣先が変わるだけであれば、無理に有給を消化する必要はありません。
また、派遣会社の中には、次の派遣先が決まるまでの「空白の期間」を有給でおぎなうところもあります。
派遣会社を変える気があるのであれば、早めに有給消化を申し出ましょう。
まとめ
- 派遣の仕事を辞めたいと思った場合は、派遣元の派遣会社に申し出る
- 派遣は原則として契約期間中の退職を認められていないが、やむを得ない理由がある場合は退職できる
- 円満に辞めたいのであれば、契約期間満了で辞めるのがベスト