「会社に貢献しているはずなのに給料が上がらない」「収入が増えた気がしない」こう感じている方も多いはずです。
ここでは、給料が上がらない理由や、給料を上げるためのアクション・細かいコツなどを詳しくみていきます。
Contents
給料は上がらないのが一般的?日本の平均給与の推移
(参考:国税庁「民間給与実態統計調査」)
2009年から2011年にかけて、リーマンショック・東日本大震災などの影響から日本の平均年収は落ち込みましたが、2019年にかけては上昇傾向にありました。
しかし、2020年より新型コロナウイルス感染拡大が本格的にはじまり、平均年収にも影響がでています。
実際「日本労働組合総連合会」の調査では、「コロナウイルス感染拡大の影響で賃金が減少する」と答えた人が全体の約3割にものぼるという結果もでています。
全体平均でいうと給料が上がってきているとはいえますが、コロナ禍に入ったこともあり収入が増えていると肌で感じられることはありません。
給料が上がらない理由4つ
肌で感じることはないものの、数字の上では給料が上がっているはずの日本。
ではなぜ給料が上がらないと感じる人が多いのでしょうか。
企業や業界の事情、個人のスキル、社会的な動きなどから原因をみていきましょう。
給料が上がらない理由1.会社の事情
企業が給与を上げない・上げられない事情としては、以下の理由が考えられます。
- 会社の業績が振るわなかったから
- 経済的の先行きが不透明なため
- 経営方針的に人件費をおさえたいから
もちろん、会社自体の経営が上向きで無ければ社員への還元はありません。
経済の不透明さを理由に、人件費を削り会社の運営に回すという方針の企業も多いです。
給与が上がらない理由2.業界の性質
給与はきちんと上がっているのに低いように感じているのであれば、勤めている業界・職種の年収が平均と比べて低い可能性もあります。
国税庁の「民間給与実態統計調査結果(令和元年)」をもとに、平均年収額をランキングでまとめると以下のようになります。
業種 | 平均給与 | |
1 | 電気・ガス・熱供給・水道業 | 819万円 |
2 | 金融業・保険業 | 571万円 |
3 | 情報通信業 | 533万円 |
4 | 製造業 | 475万円 |
5 | 建設業 | 450万円 |
6 | 複合サービス事業 | 423万円 |
7 | 医療・福祉 | 414万円 |
8 | 学術研究・専門・技術サービス業
教育、学習支援業 |
391万円 |
9 | 運輸業・郵便業 | 390万円 |
10 | 不動産業・物品賃貸業 | 378万円 |
11 | 卸売業・小売業 | 318万円 |
12 | サービス業 | 308万円 |
13 | 農林水産・鉱業 | 219万円 |
14 | 宿泊業・飲食サービス業 | 194万円 |
もし自分の年収と比べて平均程度・それ以上であるなら、きちんと業種相応の給料はもらっているといえます。
給料が上がらないのではなく、業種柄妥当な額に収まっているといえるのかもしれません。
給与が上がらない理由3.個人の意識
給料が上がらない人は、以下のような特徴があります。
- 会社への貢献度が低い働き方をしている
- 明確な「評価基準」をクリアできていない
- 自己評価と他己評価に違いがある
- 給与を上げるための具体的なアクションをしていない
給料は「会社への貢献度の指標」とも言われており、会社としては結果を出している社員へ対応が手厚くなるのは明らかです。
会社によっては明確な昇給基準を設定している場合もあり、それをクリアできていなければもちろん給料が上がることはありません。
年次が上がるだけで給料も上がる時代は終わり、自分で給与を上げるアクションを起こす流れがきているのです。
給与が上がらない理由4.社会的な動き
企業の形や人々の生活様式を変えるような大きな社会の動きも、社員の給料に大きく影響を与えます。
給料に直結する社会的な動きは以下のようなものが考えられます。
- 物価の上昇
- 終身雇用制度の崩壊
- 労働組合の衰退
給与が上がっても物価も同時に上がっているため、給与が上がっているように感じられないのは大きな要因です。
また、昔は終身雇用制度・年功序列が当たり前だったため「長く務める=給料が上がる」が基本でしたが、現在は転職が当たり前の時代になり、実績・スキルでしか給料を上げられません。
給料が上がらないなら労働組合でストライキ、という流れも、現在は労働組合自体の数も減り、給料の問題は個人の問題となっています。
給料が上がらないときの対処法1|転職する
給料が上がらないときの対処法として、まっさきに思い浮かぶのは転職ではないでしょうか?
実際、人材サービス大手「doda」の調査によると、転職理由の2位に「給与に不満がある」が入っており、給料が原因で辞めることはかなり一般的といえます。
(画像出典:doda「転職理由ランキング2019<総合>」)
現職で給料アップが見込めない・給料がもともと低い業界で働いているなどの場合には、転職しなければ給料は上がりません。
給料が上がらないことを理由に転職する際の注意点3つ
転職は効果的な方法とはいえ、いくつか注意しておきたいポイントがあります。
1.必ず給料が上がるとは言い切れない
2.給料以外の面もよく考えて転職先を選ぶ
3.今よりも大変な仕事になる可能性がある
ひとつづつ見ていきましょう。
1.必ず給料が上がるとは言い切れない
転職したからといって、必ず給料が上がるとは限りません。
厚生労働省の平成30年の調査によると、転職者全体のうち給料が変わらないとしたのが27%、減少したのが34%という結果がでています。
また、20代前半では給料が上がったと答えたのが48%だったのに対して、50代前半になると26%となり60代前半では14%。
年代が上がればあがるほど、転職で給料は上がりにくくなっていくのがわかります。
転職活動の仕方や転職時の年齢、社会的な経済状況によっては必ずしも給料が上がるとは言い切れないことを覚えておきましょう。
2.給料以外の面もよく考えて転職先を選ぶ
給料を上げたいからと言って、企業の給料面ばかり見ていても自分に合った企業は探し出せません。
給料面は魅力的でも、職務内容が難しい・ハードワークである場合は入社できても続かない可能性があります。
まずもって、「給料を上げたい」から転職している人に対して企業は以下のような懸念を抱くため、印象は良くありません。
●他に給料の良い会社が見つかったらすぐに転職するかもしれない
●自分はもっと給料をもらうべきという自尊心だけが強く、自己中心的な働き方で会社に悪影響を与えるかもしれない
給料を上げるために転職するとはいっても、給料面以外も考慮して転職先を見つけましょう。
3.仕事内容のハードルが上がる可能性がある
給料が高い職業の特徴として、求められるスキルが高い・拘束時間が長い・仕事量が多い・責任が重いなどが考えられます。
給与が上がることで求められる要素も増え、今行っている業務よりもハードルの高い職務に就く可能性があります。
現在の仕事内容に満足しているのであれば、給料が不満であってもよく考えて転職するかどうかを見極めましょう。
給料を上げる転職の仕方とコツ
転職して給料を上げるには、以下のような転職の仕方をする必要があります。
給料を上げる転職の仕方
- 同業種へ即戦力として採用される
- 給料水準が高い異業種へ転職する
- 専門性の高い(資格等が必要な)業種へ転職する
異業種で転職先を探すのであれば、業界的に景気の良いところを探してみるといいでしょう。
給料を上げる転職のコツ
- 転職エージェント・サイトなどの転職サービスを利用する
転職エージェントを利用して転職をすると、年収がアップする傾向にあります。
実際、「リクルートエージェント」は、利用して転職した人のうち6割以上が年収アップに成功しています。
給与交渉も任せられ、交渉力のあるアドバイザーが多く在籍しており、転職のすべての悩みを相談できます。
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給料が上がらないときの対処法2|交渉する
査定の時期に、会社と「給与を上げてほしい」と交渉して給料を上げてもらうことも可能です。
日本ではまだ一般的な方法とはいえませんが、年功序列制や終身雇用制度などがないアメリカでは交渉は普通です。
「言わなくとも行動を示せば」と思う方もいるかもしれませんが、会社側は「言わないなら不満はない」ととらえている可能性もあります。
方法さえ間違えなければ、交渉は給料を上げる有効な手段です。
給料が上がらないことを交渉する際の注意点3つ
交渉する際は気を付けたいポイントがいくつかあります。
間違った交渉の仕方をすると、給料があがるどころか退職というリスクにさらされてしまうので気を付けましょう。
1.働きはじめてすぐの交渉はNG
2.交渉タイミングは慎重に見極める
3.まずは直属の上司だけに交渉する
1.働きはじめてすぐの交渉はNG
給料の交渉は、交渉できる実力と実績があることが前提です。
入社してすぐは、会社側もあなたの力量をはかり切れていないため、交渉に入っても成功する可能性は低いでしょう。
また、「なんの成果もあげてないのに交渉だけする」という悪い印象を持たれ、その後の交渉もしにくくなるうえ上司からの評価に悪影響を及ぼすこともあります。
2.交渉タイミングは慎重に見極める
交渉のタイミング選びは、交渉するうえで一番気を付けるべきことです。
相談する相手の都合や会社の業績、いまの自分の置かれている状況などを考え、最良のタイミングを探る必要があります。
給料の交渉をすることは当然の権利ですが、「お金の話はデリケートな話題」と心得て動きましょう。
詳しいベストなタイミングについては、次の「給料を上げる交渉の仕方とコツ」で解説していきます。
3.まずは直属の上司だけに交渉する
最初の交渉は、直属の上司にのみに行いましょう。
給料の話はデリケートであり、多くの人に知られて良い話題ではありません。
あなたが給料について交渉していることは、できるだけ噂にならないほうがスムーズに交渉が進みます。
交渉の相手が多いとそれだけ情報が洩れる危険性も高くなります。
まずは直属の上司に相談したうえで、その上、またその上へ、と段階的に話を進めていくのが無難です。
給料を上げる交渉の仕方とコツ
給料を上げるためのコツと、交渉に入るベストなタイミングをみていきましょう。
給料を上げる交渉のコツ
- 「○月までに○%の成長を達成したら給料を上げてほしい」など明確な基準を出す
- 自分個人のためではなく、チーム・会社に貢献していることに交渉の重点を置く
- 真剣さを伝えるため必ず対面で交渉する
明確に数字をだすことで、向こうも上げるか上げないかの判断をしやすくなります。
自分が給料を上げたいからではなく、あくまでもチーム・会社に貢献するために働いているスタンスで交渉に臨みましょう。
交渉のベストなタイミング
- 査定時
- 会社の業績が好調なとき
- 自分が大きく会社に貢献した直後
逆に、会社の業績が下がっているときや自分が失敗してしまったときなどは、絶対に避けましょう。
給料が上がらないときの対処法3|副業する
本業の給料を上げられないのであれば、副業をして副収入を得ることで収入を増やす方法もあります。
リーマンショック後、副業を解禁する企業が増え、政府も「働き方改革」の改正などで柔軟な働き方の発展を進めています。
(関連記事:サラリーマン副業解禁の流れはいつから?解禁企業事例と副業の実態)
副業は現実的な収入アップ方法といえるでしょう。
ただし、就業規則で副業を禁止している企業で、内緒で副業を行うことは避けましょう。
(関連記事:副業禁止は絶対?考えられるリスクと安全に副収入を得る方法)
副業で副収入を得る際の注意点
副業を解禁している企業でも、大きく副業の範囲を超えたり公序良俗に反するような副業は問題視されます。
副業を行う際の注意点をみていきましょう。
1.本業に支障をきたさない範囲におさめる必要がある
2.確定申告の必要がでてくる
3.休む時間が減ってしまう
1.本業に支障をきたさない範囲におさめる必要がある
本業の収入あってこその副業ですので、いくら多くの収入を得たくても、本業に支障をきたすような無理な働き方はNGです。
副業に精を出しすぎたせいで疲れが残り、本業でミスをして社内の立場が危うくなってしまった、という事態になりかねません。
副業を行う際は本業に支障をきたさない範囲ですすめましょう。
2.確定申告の必要がでてくる
副業での年収が20万円を超えた場合は、確定申告が必要になります。
単純に計算して月2万以上継続的に稼ぎたいのであれば、申告の必要があることになります。
申告漏れがあると追徴課税や悪質な場合は刑事罰などを被る可能性もありますので、確実に申告しましょう。
※2020年現在は新型コロナウイルスの影響で、期限を区切らずに、柔軟に確定申告書を受け付けています。
3.休める時間が減る
副業は基本的に本業が終わった後や休日に行うことになるため、自分で自由に使える時間というものは減ってしまいます。
家族と同居している場合は、家族と過ごす時間を副業に充てなければいけません。
身体を休める時間も減ってしまうので、体調などに悪影響がでることもあるります。
労働時間や労力に見合った副収入が得られるのか、副業を選ぶ際は慎重に選びましょう。
(関連記事:多忙な会社員におすすめの副業|月10万円の副収入を稼ぐ方法)
自分に合った副業を選ぶコツ
どんな副業をやるべきかわからないときに、参考にしたい基準は以下の通りです。
副業を選ぶ際の基準
- いくら稼ぎたいのか
- 副業にどれくらい時間がさけるのか
- 使えるスキル・ツールがあるのか
また、自分の性格的に会っている副業を知りたい方は「副業診断」がおすすめです。
\あなたにおすすめの副業を6タイプから診断!/
タイプ別に仕事の探し方などもまとめていますので、参考にしてください。
給料が上がらないときの対処法4|フリーランス/起業
「一人で成果を上げたい」「会社員として雇われている以上、給料は上がらない」と感じる人は、フリーランスになったり・起業したりする方法もあります。
独立すれば給料の裁量は自分次第ですので、事業が成果を上げれば正社員よりもはるかに多い収入を得ることがでるでしょう。
反対に、実力が足りなければ大幅に収入が減る可能性もあるため、紹介した対処法の中では一番リスキーな方法です。
しかしながら、今後は「個の時代」と言われフリーランスや起業という働き方が広がっていく動きがあります。
「会社に給料を上げてもらう」ではなく「自分で収入を増やしていく」方を選ぶのも、選択肢の一つです。
(関連記事:副業で起業する「プチ起業」のメリットと起業におすすめの副業3選)
「給料が上がらない」に関するQ&A
給料が上がらないときによくある、疑問についてみていきましょう。
Q1.「給料が上がらないとモチベーションも上がらない」というのは甘え?
結論、甘えではありません。
実力をだしきって、成果もあげて会社へ貢献しているのに給料が上がらないのであれば、モチベーションが下がるのも当然のことです。
こういった場合はモチベーションをあげる努力よりも、給料の良い転職先を探す努力をする方がより自分のためになります。
ただし、お伝えしたように会社に貢献していない・成果を上げていないのであれば、給料が上がらないのは当然です。
自分の努力不足が原因なら、どこに転職しても給料は上がりません。
Q2.給料が上がらないのは違法?
違法ではありません。
最低賃金は設定されていますが「昇給させなければいけない」という法律はなく、最低賃金を下回らなければ上げる必要はないということになります。
ただ違法になるケースもあり、たとえば就業規則で「昇給が確実」とされているのにもかかわらずそれが守られていない場合は違法です。
まずは就業規則で、給料を上げることについて言及していないか確認してみましょう。
まとめ
- 日本の平均の給料はあがっているとはいえ、さまざまな理由から収入が増えていると肌で感じることはない
- 給料を上げるには、「転職」「交渉」の二つの方法があり、単純に収入を上げるなら「副業」「起業」という方法がある
- 年功序列制・終身雇用制度が崩壊したいま、給料をあげるには自分から何らかのアクションを起こすことが必要