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「ふたり会議」運営・あつたゆかさんに聞く“逃げ恥”的な話し合える夫婦になるコツ

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人気ドラマ「逃げ恥」のみくりさんと平匡さんのような、対等に冷静にお互いの意見を伝え合い、解決していく夫婦のあり方に憧れる人も多いかもしれません。でも、実際にはなかなか言い出せない、話し合いができない、と悩みを抱える人も多いのではないでしょうか。結婚後にパートナーと不仲になってしまいがちな現状に課題を感じ、カップル・夫婦の対話を支援するWebサービス「ふたり会議」を開発した株式会社すきだよCEOあつたゆかさんに、夫婦の話し合いに大切なことを聞きました。

パートナーとずっと仲良くいられる仕組みづくりを

ふたり会議画面

LINE上でカップルの話し合いが簡単にできる。 出典:ふたり会議

――あつたさんが2019年9月に立ち上げた「株式会社すきだよ」、とても印象的な社名です。どのような想いで起業されたのですか?

誰もがパートナーとずっと仲良くいられる仕組みづくりをしたいと思ったのが始まりです。私は夫が大好きで、結婚生活を毎日楽しく過ごしています。でも、周りから「仲が良いのは最初のうちだけ」なんて言われることがあったり、飲み会でパートナーのグチを聞くことが多かったりして。人生を共に歩む大切な同志なのに、どうして世の中の夫婦は不仲になってしまいやすいんだろう? と疑問を持ったんですよね。

パートナーと出会うまでの恋活・婚活サービスはたくさんあるのに、2人の関係性を維持するサービスは今までほぼありませんでした。いなら、私がつくってしまおう! と起業したんです。

――ご自身のパートナーを想う気持ちや身近にある課題が原体験となり、起業に至ったのですね。具体的にどのような事業を手がけているのか気になります!

「すきだよ」の事業は大きく2つあります。1つ目は、パートナーシップを学ぶコミュニティ『ふたりの教室』の運営です。家庭内での悩みは身近な人にほど打ち明けづらく、また2人だけで解決しようとしても意見のぶつかりあいになってしまう場合もありますよね。そこで、オンラインで多様な人が集まり、相談し合える場をつくりました。現在、90名を超えるメンバーで楽しく学び合っています。

2つ目は、カップルの話し合いをサポートするWebサービス『ふたり会議』の開発と運営です。「お惣菜や冷凍食品に頼るのはあり?」「子どもは欲しい?」など、日常生活から出産・育児などライフイベントのことまで、質問に「はい」か「いいえ」で答えるだけで2人の理想の結婚生活や価値観が見えるようになっています。

将来の話ってなかなか切り出しづらいですし、自分自身でそこまで深く考えたことがなかったという人も多いです。『ふたり会議』をパートナーと話し合うきっかけにしてほしいなと思っています。

――将来のライフプランを話し合いたいけどなかなかうまくいかない、という声はよく聞きます。はい・いいえでカジュアルに回答できるツールがあれば、ハードルが下がりそうですね!

『ふたり会議』は気軽に使ってもらえるツールを目指しました。もしお互いの回答が異なっても、その背景を聞き合うことでより深い話し合いにもつなげられます。自分の正直な気持ちを話せて、相手に受け止めてもらえるとすごく安心するし、パートナーへの感謝の気持ちが大きくなりますよね。ユーザーさんからも、「意見が違っても、2人で建設的な話し合いができた」「話し合うことでパートナーとの絆が深まった」と言ってもらえることが多く、嬉しいですね。

仕事も家事も育児も共に担うのが“令和型パートナーシップ”

「ふたり会議」あつたゆかさん

――なんでも話し合えるカップルは理想ですよね。ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』のみくり・平匡さん夫婦も、フラットにお互いの想いを伝え合う姿が視聴者から支持されていました。

まさに、みくりさんと平匡さんは令和における理想のパートナーシップだと思います! ドラマの2人は、お互いの得意分野に応じて家事を分担したり、双方が大変なときには外部サービスも利用したり。スキンシップも、「ハグの日」を提案するなどお互いに意思確認をしながら進めていっているんですよね。「夫婦とはこうあるべき」に捉われず、お互いの気持ちを知ること、伝えることを大切にして方針を決めているのが特徴的です。

――なるほど。お互いの意思を都度確かめ合う、というのがポイントなんでしょうか?

そうですね。夫婦のかたちって、昔と今とでは違う点が多いです。昭和の高度経済成長期では「男は仕事、女は家庭」と役割が固定化されている家庭が主流だったのが、現代では社会で活躍する女性がたくさん生まれ、共働き世帯も増えました。結婚生活が仕事や家事・育児をそれぞれ任せ合うスタイルから、仕事も家事も育児も共同経営をするスタイルに変化してきています。それに、今は子どもを持つタイミングや、そもそも持つ・持たないを決めることも含め、多様な選択肢が存在する時代。絶対的な正解がないからこそ、お互いの人生をどう歩んでいきたいのか丁寧にすり合わせていく必要があるんです。

――パラナビ読者はまさに社会へ進出し、仕事もプライベートも頑張りたい人が多いです。同時に、結婚生活や出産育児をキャリアと両立できるか、と不安の声もよく聞かれます。

『ふたり会議』のユーザーからも、仕事と家庭の両立についての悩みの声は多いですね。女性にとっては、ライフイベントに合わせて柔軟な働き方ができることと同じくらい、自分の叶えたいキャリアをパートナーに理解・応援してもらうことが必要不可欠だなと思います。

話し合いのコツは“手段”の前に“理想”を共有すること

「ふたり会議」あつたゆかさん

――パートナーと建設的に話し合うための具体的なコツを伺っていきたいと思います!

話し合いでもめてしまいがちなパターンが、お互いの意見を押し付け合ってしまうことです。例えば、仕事が忙しいときに相手が家事をやってくれないと、ついイライラしてしまうこともありますよね。そこで、「なんで家事をやらないの?」「少しくらい手伝ってよ!」と感情をぶつけてしまう気持ちはわかるのですが、相手からすると攻撃されたような気持ちになってしまいます。

――まさにあるあるな場面ですが、意見の押し付けにしないためにはどうすればいいのでしょう?

表面的なリクエストだけでなく、「なぜ」の部分をしっかり伝えると良いと思います。今の自分がどういう状況で、何に困っていて、これから何をやりたいのか。「デザインの勉強がしたいから、家事の時間を勉強に充てたいと思っているんだ」とか、「プレゼンの成功がかかっていて最近仕事が忙しいから、家事をするのがしんどいんだよね」というふうに、まずは前提にある背景や自分の気持ちを相手に話してみてください。

その上で、「私の仕事も忙しくなってきていて、夜遅く帰ることも増えてきたから家事の分担を見直したいなと思ってるんだけど、どうかな?」など、「私はこう思うけど、あなたはどう思う?」と自分の気持ち+提案のセットで伝えることが大事です。

――前提を共有して提案形式にすることで、パートナーに自分の想いがより伝わるんですね。

ただ、2人とも幸せになれないと意味がありません。単に自分の要望を押し通すだけでなく、相手の想いも尊重することが必要です。そこでもう1つ大切なのが、2人がどういう状態でいられるのがベストなのか、理想の生活や働き方をすり合わせること。

「お互いに仕事をがんばって、応援し合える家庭」を目指すなら、家事代行を頼んだりお惣菜を買ってきたりして家事の負担を減らすなど、2人の目的に合わせた問題解決ができるといいですよね。「家事をパートナーにやってもらう」のはあくまで手段の1つであって、目的ではないはずです。手段からではなく、まず理想や目的を共有できると、2人で一緒に解決策を考えていけるようになると思います。

――自分の意見だけを押し付けず、一緒に解決をしていくことの大切さがわかりました。でも、もしお互いの理想が大きく違っていた場合は「私たち合わないのかな」と不安になってしまいそうですが……。

やっぱり「どうしてそう思うのか」と、背景を聞いてみることに尽きるのではないでしょうか。相手の意図や目的を知ることができると、適切な対策が打てますよね。家族も親友も、自分と価値観がなにもかも一致する人なんていないじゃないですか。意見が違うこと自体は全然悪いことではないんです。

――違うことは悪いことではない、と聞くと安心します。

小さなことからでも、お互いのモヤモヤを吐き出したり、一緒に問題解決したりする習慣をぜひつくってほしいなと思います。なんでも話し合えるカップルを増やせるように、私も仕組みづくりやサービス開発にますます力を入れていきたいですね。みなさんの話し合いがうまくいき、2人で幸せな人生を築いていけるように応援しています!

あつたゆか●株式会社すきだよ代表取締役。サイボウズ株式会社にてマーケティングに3年携わり起業。「結婚は墓場」「仲が良いのは数年だけ」などの言葉に違和感を抱き、「誰もが大切な人とずっと幸せでいられる社会をつくる」をビジョンに、家族・パートナーシップに関する社会課題を解決し、ふたりらしい生き方を支援する。7万人以上の夫婦・カップルが利用する対話ツール「ふたり会議」や、パートナーシップを楽しく学べるコミュニティ「ふたりの教室」を運営している。

カップルの話し合いを支援するサービス『ふたり会議』

 

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村尾唯
Writer 村尾唯

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