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副業マッチングサービス「lotsful」代表に聞く、「副業」でキャリアを充実させるコツ

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2022年7月に厚生労働省による「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定され、企業に対して副業容認のための情報公開が促されるなど、ますます活発化している副業市場。そうした流れの中で、会社員として仕事を続けながら他社で副業人材としてキャリアを積む人が着々と増えています。新しい働き方に注目が集まる一方で「自分の経験やスキルは他の会社では通用しないのでは?」と不安になり、挑戦したくても一歩を踏み出せない方も多いのでは。今回は、副業案件のマッチングによって個人と企業をつなぐサービス「lotsful(ロッツフル)」代表の田中みどりさんにインタビュー。副業にまつわる最新動向と、副業をする際に気を付けたいポイントなどを聞きました。

「人材不足」と「キャリア不安」を、副業で解消

——コロナ禍の影響で、「副業」を取り巻く環境はどんどん変化していると感じます。田中さんはどのように見ていますか?

やはり、リモートワークが普及したことで、場所や時間に捉われない働き方ができるようになったのはとても大きな変化でしたね。

少し前の話ですが、2020年7月には大手IT企業による「副業人材100名採用」の取り組みも話題になりました。この時期から、企業側に「外部の知見をフレキシブルに活かそう」という考えが一気に広まっていったと感じます。

私たちが運営している副業マッチングサービス「lotsful」でも、コロナ以降でご利用いただく企業様・個人様の数が各段に増えました。

——改めて、「lotsful」がどんなサービスなのか教えてください。

「lotsful」は、キャリアアップしたい個人と人材募集中のベンチャーをはじめとする企業を副業でマッチングするサービスです。2019年の立ち上げ以来、大企業が副業を解禁したことなどをきっかけに、おかげさまで順調に事業が拡大しました。現在は、700社以上にサービスをご利用いただいています。

——サービスを立ち上げた背景についても、詳しく知りたいです。

日本にとって、労働力人口の減少は今後ますます深刻な問題です。企業側にとっては人材を確保するのが難しくなってくるでしょう。

一方で、大企業に務める方を中心に「今の仕事には満足しているけど、今後のキャリアが不安」と「このまま会社にとどまるのはリスクが大きいのではないか」と、自分のキャリアをどう広げていくかに漠然とした不安を抱えている人も多いんです。

日本は海外と比較すると、平均転職回数がとても少ないという事実もあります。つまり、キャリアの可能性を広げるための挑戦機会になかなか出会えない、考えていても動いていない方がたくさんいるということ。

そこで、転職というハードルを越えなくとも実ビジネスの経験が広がり、留まっているノウハウを企業も享受できる「副業」という働き方でマッチングできたらいいのではないか?と考えたのが「lotsful」です。個人にとってのキャリア成長と、企業にとっての事業成長の両方を実現できる、そんな機会を生み出していきたいと考えています。

副業を始める前に、自分の「スキル」を棚卸ししてみよう

lotsful田中さん

——現在、副業案件ではどのような人材のニーズが高いのでしょうか?

大きく2つの傾向があります。一つは、事業開発など新しいビジネスを立ち上げる部署で、その事業領域に詳しい知識や経験を持つ人、ゼロから事業の企画立案をした経験のある人。もう一つは、デジタル人材です。ウェブマーケティングや広い意味でのDX推進に知見がある人は、企業側にもかなり必要とされていますね。

「副業をしたい」と考えたときに、企業側が一部の事務作業を切り出して外注するクラウドソーシングを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか? もしくは、フリーランスに多いエンジニア職やクリエイター職でないと副業が難しいと思っている人もいるかもしれません。ですが、現在はビジネス系職種のニーズも増えているんですよ。

——続いて、副業を始めるときのポイントを教えてください!

まずは、自分が社会に提供できる「スキル」を確立させることが一番です。副業人材を受け入れる企業側からすると、やっぱりその領域のプロフェッショナルにお願いしたいと考えますからね。

ただ、こうお伝えすると、立派な経歴をお持ちでも「自分に大したスキルなんてない……」と自信を持てずにいる方がとても多いんです。実際に、「lotsful」登録者の方からも「自分の経験を社外でどのように活かせるかアドバイスがほしい」といった相談をよく受けます。この場合、自分のスキルをきちんと認識・言語化できていないケースがほとんどだと感じます。

——自分のスキルを言語化するためには、具体的にどのようにしたらよいでしょう?

まずは、自分ができていること、やってきたことを振り返ってみてください。さらに、それが現職での仕組みの中だからできたのか? 副業先でも再現できるスキルなのか? を分析してみることが大切です。

現職で「当たり前」にやっていることは、実はなかなか言語化できないもの。でも、第三者から見ると「そんなことができるなんてすごい!」と思われる仕事ってたくさんあるんです。

だからこそ、「他者の視点」を取り入れて考えるのは重要だと思います。自分ひとりで分析するのが難しければ、友人や転職エージェントなど、周りに相談してみるのもいいかもしれません。

lotsful画面

幅広い分野の副業案件が充実。
出典:https://lotsful.jp/

——なるほど! 周りの力を借りるのはいいですね。すぐに実践できそうです。

私は、「自分の経験やスキルは、ところ変わればさらなるバリューになる」とよくお伝えしていて。

こんなことは大したスキルじゃない、自分の市場価値なんてそんなにない……そう思っていても、そのスキルを必要としてくれる場所はあるはずです。逆に棚卸しの結果、やっぱり自信を持てるスキルがないと感じたら、副業はせずに現職で思いっきり頑張って経験を積む期間をつくるのもいい選択だと思いますよ!

副業先企業とうまくお付き合いをするために大切なこと

——副業を始めてから気を付けるべきポイントもお聞きしたいです。本業とのタイムマネジメントに悩む人が多い印象ですが、どうすればいいでしょうか?

最初は特に、副業の仕事をするためにどのくらいの時間が必要かを見積もるのが難しいですよね。そこでおすすめしたいのは、まず時間の「バッファ」を持つこと。

初めは、自分が捻出できる時間の7~8割を目安に案件を受けるのがよいと思います。小さく成功体験を積みながら、ペースをつかんでいけるとよいでしょう。

時計

——具体的なアドバイスありがとうございます! そのほかにもポイントがあれば教えてください。

副業先での、最初の1ヶ月をどのように過ごすかは肝心です。そのときに意識したいのは、副業先が求めていることをきちんと理解することと、それに対して自分がどのように貢献できるか期待値調整を行うことです。

企業側としては、副業人材にある程度の即戦力を求めているので、まずは必要な情報を自分からどんどん取りに行けるといいですね。

そのうえで、先方の要望に対して「ここまではできるけどこれは難しいかも」と感じたら、遠慮せずに、はっきりとお伝えしたほうがよいでしょう。副業先では、プロとして価値を発揮できることが大前提ですが、率直なコミュニケーションは信頼関係の構築にもつながります。

副業での勤務が軌道に乗った後は、先方の要望を汲み取り、いかに率先して動けるかが大切になってきます。企業側も、自社の社員でなく副業人材に仕事をお願いするのだから、今までにはない視点やアイデアを求めているケースが多いんです。指示待ちではなくて、自分で先を見て自発的に行動できる人は、副業人材としてすごく評価されていると感じます。

自律的なキャリア形成ができる人を増やしたい

——「lotsful」というサービスを通して、今後どのような社会を実現していきたいですか?

人生100年時代と言われる中で、雇用形態に捉われずに、自らのキャリアを自律的につくれる人を増やしたいと思っています。合わせて企業側には、働き方や組織づくり、人材採用の考え方をアップデートしていける取り組みもできたらと考えています。

「lotsful」にご登録いただいている方の約9割が現役の会社員。自分が培ってきたスキルをベースに、「もっとできることを増やしたい」「新しい挑戦をスモールスタートでやってみたい」と、キャリアを前向きに考える人を応援していきたいんです。そういう方々に真っ先にご活用いただけるサービスになれるよう、もっともっとがんばっていきたいですね。

先日、「lotsful」では『副業の先輩にきく!』と題したオンラインセミナーを開催しました。参加者の皆さんからも事前に多くの質問が集まり、副業に対する注目度の高さを再認識したんです。

副業を始めたいと思っていても、「はじめの一歩が踏み出せない」「案件の探し方がわからない」と不安に思う人もまだまだたくさんいるのではないでしょうか。今後は、そういった方々が安心してキャリアの可能性を広げられるように、積極的に情報を発信していけたらと思います。

lotsful

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村尾唯
Writer 村尾唯

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