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令和の中学受験にワーママは参戦可能か?6年生は「日曜は授業が9時間、授業料160万超!」の世界

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教育格差、という言葉を見るたびに気になる我が子の教育。「習いごとや塾はいつから?」「小学校・中学受験ってワーママでもできる?」……疑問は尽きませんよね。この連載では、小・中学受験をテーマにした小説「天現寺ウォーズ」「御三家ウォーズ」の作者で2児の母である佐野倫子が、取材や実体験をもとに、働くママから寄せられた疑問について一緒に考えていきたいと思います。

かつての中学受験とは様相が違う!?令和の受験

この時期になると、ニュースで目にする機会が増える「中学受験」。首都圏では1月中旬の埼玉県の入試を皮切りに、下旬の千葉県、そして21日からの東京都や神奈川県の入試に向かってボルテージが上がっていきます。

今回の記事は、前後編として「中学受験、共働きの家庭も参戦可能?」「先輩ワーママが苦労した中受難関ポイントはココ!」をテーマにお届けしたいと思います。

読者の皆様の中には、ご自身も中学受験を経験された方もいらっしゃるでしょう。198090年代は中学受験生人口が増加した時期なので、その経験をもとにお子さんの中学受験を検討するという方が多いもの。私自身もそうでした。 

……ところが、その頃の経験や記憶だけをもとに、安易に中学受験に挑戦すると、少々勝手が違うというのが私の偽らざる実感です。インスタのDMで寄せられたお悩みをご紹介しましょう。

令和の中学受験にワーママは参戦可能か

Q.39歳で、10歳の息子と7歳の娘がいるワーママです。夫婦で会社員なので忙しいのですが、保育園や学童の力を借りてなんとかやっています。長男は4年生から大手中学受験塾に入りました。私も夫も中学受験を経験しているので、イメージはある程度できていました。ところが始めてみると、驚くほど手がかかる……。安易に足を踏み入れてしまったことを少々後悔しています。撤退も視野に入れていますが、決断もできず。皆さんはどのようにモチベーションを保っているのでしょうか?

今回のご相談、とってもよくわかります(涙)。相談者さまのような声は、実際私の周囲にあふれています。とくに、難関中学校を目指すSAPIXや早稲田アカデミーなどの塾に通うと、まず膨大な教材整理や進度の速さに親子で苦戦しがち。

たとえば、我が家も通うSAPIXの場合。授業時間に関しては、4年生は週2回、1回3時間。5年生は週3回、1回3時間。6年生は週3回、1回4時間程度(土曜日の、志望校別特訓授業は5時間)。春休み、夏休み、冬休みは1週間~20日間程度の季節講習6年生ではゴールデンウィーク特訓、後期は志望校別日曜特訓(サンデーサピックス、通称SS。9時間を超える授業)があります。

授業料は概算ですが、4年生で60万円程度、5年生で70万程度、6年生で160万程度。交通費や参考書代、飲食代、模試代を加味すれば、必要経費はもう少し高額になります。また、最近では低学年でスタートする場合も多く、その場合はさらに1年につき30万円程度かかるでしょう。 

この出費と、拘束時間、勉強時間は、親である私たちに大いなる難問をつきつけます。

「果たしてコレ、コスパはどうなの……? 労力に見合う成果はある? そもそも、ここまでする中学受験の目的は何だっけ?」と。

中学受験の「目的と負担」を知ることが近道

令和の中学受験にワーママは参戦可能か

なによりも親御さんがいちばん心配するのは、お子さんに過剰な負荷がかかっていないか、ということでしょう。塾がない日も、復習や宿題に充てるので、小学生にとって生半可な学習量ではありません。そこまでして、メリットはあるのか。

個人的には、大学受験を考えたとき、自由なカリキュラムを組める中高一貫校は有利だろうと感じています。進学校は、英語の授業時間を大幅に増やしたり、6年分の授業を5年で終わらせ、最終学年の高3では大学受験のための演習に充てたりと、各校が特色を打ち出しています。 

一方で、もし大学受験の結果「だけ」を目標にするならば、オール公立でも達成できる可能性は充分にあります。予備校を上手に使えば、在籍する高校に関わらず、テクニックを磨くことができるからです。この場合のメリットは圧倒的に授業料の安さ。公立中学校から公立高校に進学した場合と、私立中高一貫校に進学した場合は、毎年50万円から80万円ほどは違いが出るでしょう。学費を抑えて、塾や習い事、短期留学などに投資することも可能です。

私立のメリットは、近い価値観やビジョンを持つ仲間を得られること

それでもあえて、私立を選ぶメリット。それは生徒の「当たり前」が、ご家庭の価値観に近い学校を選べること、ではないかと私は考えています。 

たとえば100人中1人が東大に行く学校と、30人が行く学校では、あきらかに生徒の「当たり前」が異なります。前者で東大を志すならば、有益な塾情報や入学後の明確なイメージを持つために、情報を収集するところから始まります。30人行く学校は、周囲の勉強へのテンションも高いため、自分一人で頑張る、というよりもある程度仲間と頑張れる。ライバルがどのくらい、どこで勉強しているのかという情報も入るので、モチベーションを保ちやすいと言えます。

同様に、スポーツを頑張りたい子、留学を視野に入れている子、音楽を志す子……目標に近い学校を選択すれば、同じ志やビジョンを持つ仲間と環境を得ることができるのです。6年間同じ学校で学ぶことで、深い友情を築き、一生の友人を得る可能性は単純に高まります。子どもの可能性と環境に投資する、というのが中学受験の基本的なスタンスになるでしょう。

一方で、前述したように、決して安くはないお金と労力、時間がかかるのが令和の中学受験。無理をして、あまりにも家族全員に負担がかかるならば得策ではありません。冷静にバランスシートを検討して、納得してから始める。無理が過ぎると思ったら、視野を広く持ち、高校受験に切り替える。その冷静さと賢さは忘れずに、頑張りたいですね。 

次回、後半では「中学受験に挑戦しよう!」と決めた方に向けて、リアルな6年生の生活と、ワーママがどのように乗り越えたかについて共有できればと思います。

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佐野倫子
Writer 佐野倫子

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