Paranaviトップ お仕事 働き方 編プロ代表×サロン経営、そして福岡移住。 軽やかに生きる、池田園子さん流・仕事と人生の楽しみ方

編プロ代表×サロン経営、そして福岡移住。 軽やかに生きる、池田園子さん流・仕事と人生の楽しみ方

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フリーライターからウェブメディア編集長を経て、編プロの代表に。さらに、大学進学とともに上京して以来17年間住んだ東京を、ふらっと離れて単身福岡へ……。充実した福岡ライフを満喫しながら、仕事はほぼリモートでこなしているという池田園子さん。社長業のかたわら、「一の腕サロン」という今までにない発想のサロンを立ち上げるという新たな挑戦を続けています。「好き」を突き詰めて仕事にし、キャリアの形も変えていく。その柔軟性は、行き先を決めずにいつも全力で人生を楽しむ姿につながっていました。

散歩中、突然のひらめきから福岡へ移住

――フリーライターから編集プロダクション「プレスラボ」の代表になるまで、どのような流れでキャリアを辿ってきたのでしょう?

新卒から2年間楽天に勤めた後、ITベンチャーへ転職し、2012年にフリーライターとして独立しました。いろいろな媒体でお仕事はしていたのですが、たまたまライターとしてお仕事をしていたうちの一つである「DRESS」というウェブメディアで編集長をやってみないかとお声がけいただいたんです。大人の女性の生き方をテーマにしている「DRESS」は、池田さんに合うんじゃないかって。それまで編集経験はあったものの、編集長なんて初めての大役に正直少し戸惑いはあったものの、飛び込んでみることに。結果、2016年から2020年まで4年間、編集長として働くことになりました。

DRESS」も成長し、軌道に乗ってきたころ、今度は、自分が編集者・ライターとしてときどき仕事をいただいていたプレスラボという編プロから「新たに代表となってくれる人を探している」というお話をいただいたんです。編集長業務と同様に、それまでは経営側に立つなんて考えもしなかった大役。迷った末、今回も飛び込んでみようと思ったんです。

――編集者から経営者への転換に難しさはなかったですか?

私は起業ではなく、会社を引き継いだ形でしたが、それでも編集業務とは全然違う仕事なので、慣れるまでは大変でした。会社単位での予算管理や仕事の采配など、個人での仕事とは性質が違うので。

さらに、代表に就任してすぐにコロナ禍に突入というハードな出来事もありました。取材案件が一時的にがくんと減ったときもあり、最初の1年間は売り上げが芳しくなかったですね。でも、2021年には、法人顧客が営業ツールに使うような事例取材や人材採用案件などが増えたこともあり、売り上げも過去最大規模になり、復活を遂げることができました。

――編集プロダクションの経営をしながら、福岡に移住されたきっかけは?

福岡の友人とカラオケ付きのバルへ行った時

福岡の友人とカラオケ付きのバルへ

クライアントはおもに東京の企業ですが、自分自身が現場に赴くことはあまりありません。また、幸い営業をしなくても、お問い合わせや紹介いただく案件だけで売上が立っている状況です。toB向けの案件が多く、営業するよりクライアントの要望に誠実にお応えすることが重要だと考えています。2020年12月にはオフィスも廃止して、フルリモートになりました。そんな状況にあって、2022年3月に移住したのですが、きっかけは1月1日にいきなりひらめいてのことでした。

――どんなひらめきだったんでしょうか

そのときはパートナーの住む大阪にいたのですが、彼は医師という職業柄、大晦日も元旦も出勤だったので、私はひとりで過ごしていました。朝の新鮮な空気を吸いながら、散歩をしていて「あっ、引越ししたいな」と突然降りてきたんです。そして、その日にはもう物件探しを始めていました。居住地の候補は、福岡、神戸、大阪の3カ所。その後にちょうど占い師の方に見てもらう機会があり、最終的には福岡に決定。生まれてから18年間は岡山で過ごし、大学進学で東京に出てきて17年間たっていたので、そろそろ1カ所にとどまるのは限界だったのかも知れません(笑)。

――福岡に移った後、さらに「一の腕サロン」というサロンも開業していますね。「一の腕」という目のつけどころが編集者らしいなと思いました。

手の平から肘までを「一の腕」というのですが、ライターや編集などの仕事をしていると、タイピングでよく使うのもここで、すごく疲れる部位です。「DRESS」時代にお会いしたイメージコンサルタントの方の本に一の腕に関する記述が出てくるのですが、自分でマッサージしてみると本当に気持ちよくて。

そこから独学でマッサージ法を開発して、商標も取りました。まだまだ収益にはなっていませんが、いずれメソッドを教材として電子書籍などで出していきたいですね。

パートナーとは「月に10日だけ一緒」だから心地よい

パートナーと大阪で過ごしている時、池田園子さん

パートナーと大阪で食事

――現在、パートナーの方は大阪にお住まいとのことですが、遠距離恋愛なのでしょうか?

月に10日間は大阪に行って、残りの20日間は福岡で過ごしています。7年程前に前の夫と別居して以来、筋金入りの一人暮らしではあったんですが、今もパートナーは日中仕事で出かけているので、一人暮らしのような感じです。出会って2年ぐらいですが、自分がまだ東京にいたときも同じように、月の3分の2は東京、3分の1は大阪で過ごしていました。

お互いに、月に10日間だけ一緒だからこそ楽しく過ごせるという考え方が一致しているんです。ずっと一緒だと馴れ合いにもなってしまうし、お互いへの感謝の気持ちも薄れてしまう。それだったら、距離を置いて相手の大切さを感じるようにしておくのがいいかなと思っていて。

――近すぎると居心地が悪くなってしまうのは、あるあるですよね。遠距離かつ仕事でもあまり接点のなさそうなパートナーですが、どのように出会ったのですか?

きっかけは、格闘家の青木真也さんのVoicyに私が何度かゲストとして登場させてもらっていて、青木さんを好きな彼がそれを聞いていてくれたことです。個性的でときにびっくりする発言もする青木さんの相手をしている私に関心を持ったようで、その後に私のTwitterをフォローしてくれて、やりとりするようになったんです。私のnoteも見てくれて「この人しかいない」と思ったそうです(笑)。当時、彼は中部地方に住んでいたのですが、Twitterでやりとりする中で、お互い町中華好きだとわかり、私が「いつか町中華行きましょう!」と言うと、リアルに東京まで会いに来てくれたんです。

――すごい情熱的! そうして、距離を置いてパートナーでいるということで、お互いにルールにしていることはありますか?

心がけているのは、できるだけ毎日話すことですね。毎晩、オンライン通話をしています。自分が夜に用事があるとか、彼が当直の日は別にして、だいたい毎日15分から長い時は30分間ほど何気ない会話をしています。どうってことのない話なんですけど、それが大切なのかも。

――結婚はないという感じですか?

お互いバツイチということもあり、法律上の結婚には興味がないのはもちろん、事実婚にも興味がなくて、口約束で関係が続いている感じですね。どちらかが子どもが欲しければまた違うと思うのですが、お互いに子どもは要らないと思っているので、結婚の必要がないという感じです。自分が大阪に行く以外に、彼も3〜4カ月に一度は福岡に来てくれるので。お互いにやりたいこともあるなかでは、これくらいの頻度がちょうど楽ですね。居心地いいです。 

カレンダーには空きを作っておきたい

――福岡にいる時は、自分の時間を充実して過ごされていると思いますが、いろんなことをどんな時間配分でしていますか?

一の腕サロンは、休日か平日の夜だけで、プレスラボの仕事が入っていないときに予約を受け付けています。サロンに関してはインプットやSNSでの発信も入れて、毎日30分から1時間ぐらいです。

プレスラボと一の腕サロン以外に、「めぐるね白金」という自分が住んでいる白金エリアを中心に、気に入ったお店やスポットを紹介するローカルメディアも立ち上げて発信しています。こちらは月に1、2つ取材に出かけるぐらいなので、そんなに忙しくはないです。それ以外にも自分個人で受けているお仕事もありますが、カレンダー上にはなるべく空きを作っておきたいですね。

行きつけ「博多okatteふじコ」での食事

近所の友人と近隣のグルメ開拓をするとか、身体のメンテナンスに行くとか、趣味の相撲観戦とか、細々したことも入ってきたりもして、結構埋まってしまうのですが、仕事をあまり詰め詰めにすると自分の気持ちも余裕がなくなってきてしまうように感じてしまうんです。フリーランスを始めたばかりのころ、時間のある限りできるだけ仕事を入れていた時期があって、お金は稼げていたのですが趣味も何もできなくて……。なんのために生きているのかと虚しくなってしまったんですよね。

――空きがあることで、さらに未来につながることができそうですね。今後、やりたいことなどはありますか?

まず、一の腕サロンは自分で作り上げたものなので、いつかは商材にまで落とし込んで広めていきたいという気持ちはあります。“揉む”って直接、肌にも触れられるし、信頼関係もできますよね。簡単にできますし。

先日も福岡のメディア関係者6人に各15分ほど体験をしてもらったのですが、すごく好評でした。ゆくゆくは、一家庭に一人、一の腕を揉む人がいれば家庭円満にもなっていいなと(笑)。

それ以外は、自分が引き継いだ分、2008年にできたプレスラボを長続きさせることも目標ですね。創業者がやり手なので10年は超えたのですが、次は20年続くまで頑張らないと。

池田園子さん

一の腕マッサージを天神屋台「あほたれーの」店主さんに施術

――一家に一人、一の腕、語呂もいいですね(笑)。好きなことに軽やかに挑戦する姿に勇気づけられます。なかなか、やりたいことがあってもいろんなハードルで思いとどまってしまう人も多いと思うので。

私自身、先のことはあまり考えずに始めてしまうというのもありますが、やりたいことって実はあまりお金をかけなくてもスタートできるんです。例えば、私が東京時代にやっていたこども食堂もそうです。一人暮らしなので、作りたい料理を作ると、どうしても余ってしまう。欲しい人がいたらおすそ分けしたいという考えだったんです。なので、容器代ぐらいしかかかってなかったんですね。

一の腕サロンもHPは7万円で制作してくださる方がいて、いろいろ設備も含めて10万円ほどしかかかっていません。まだまだペイできてなくても、新しい出会いも広がって楽しいです。そんなにお金をかけなくても意外とやり始められるというのを知っていただきたいですね。

池田 園子(いけだ そのこ)●編集プロダクション「プレスラボ」代表。1986年、岡山県生まれ。中央大学卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者・ライターに。その後「DRESS」編集長を務め、現職。持続可能なビジネスを行う企業や個人の取材を続けている。

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小野アムスデン道子
Writer 小野アムスデン道子

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