Paranaviトップ お仕事 起業/独立 「Enamor」が大人気のかじえりさん、ブランドもYouTubeも「メイクが楽しくなった!」が私の原動力/【インタビュー前編】

「Enamor」が大人気のかじえりさん、ブランドもYouTubeも「メイクが楽しくなった!」が私の原動力/【インタビュー前編】

SHARE

Xでシェア Facebookでシェア LINEでシェア

「発信型メイクアップアーティスト」として、多方面で活躍する「かじえり」(梶恵理子)さん。彼女は一児のママでもあります。自身が経営する会社でプロデュースするコスメブランド「Enamor(エナモル)」は、国内外でベストコスメを受賞するなど、瞬く間に人気ブランドに成長。YouTubeチャンネルは登録者数約44万人(2025年8月時点)にのぼります。「メイクの楽しさをより多くの人に伝えたい」というかじえりさんの、美容の仕事にかける想いや、子育てとの両立の日々についてお話を聞きました。

メイクの悩みを解決するコスメを発売

――「Enamor」のアイシャドウやチークなどが大人気だそうですね。

2025年上半期は、日本と香港の両方で「@cosme」のベストコスメアワードを受賞(※)しました。正直、これだけ評価していただけるとは予想もしてなかったですし、驚きの方が大きいです。自分の会社(株式会社Dcyua)で本格的にコスメをやっていこうと、「ニュアンスカラーアイズ」を発売したのが2022年。それから今まで、本当にあっという間でした。海外展開も夢ではありましたが、こんなに早く叶うとは思っていませんでした。

(※)日本……@cosme上半期新作ベストコスメアワード2025 上半期新作価格別賞 ミドルプライス部門 チーク 第1位/上半期新作 ベストチーク第2位。香港……@cosme 香港美妝大賞 上半年新秀/@cosme STORE Best Hits 綜合賞 人氣賞 第3位・第4位

――なぜ女性たちに支持されていると思いますか。ブランド作りでこだわっているところを教えてください。

一番は、可愛いだけじゃない「実用性」の部分です。女性が普段生活している中で感じる、「こうなったらいいのに(でも、できない)」といったメイクのジレンマを解決できる商品を提案するようにしています。例えば、「ベースメイクってつけたてはいいけど崩れてくるのがイヤ」という女性の悩みに向き合うことから誕生したのが、ファンデーションや化粧下地の「ライトフィット」シリーズ。日中、時間が経ってくると皮脂と混ざって、「崩れるのではなく、ちょうどいいツヤ感になる」ように開発しました。

私自身がそうなんですが、ついつい手に取るコスメってちょっと地味だけど実用的な商品だったりしませんか。職業柄、普段から色々なブランドの商品を試す機会がある分、そう実感することが多くて。だからEnamorでは、ベーシックで使いやすく、さらに仕上がりが可愛くて、トレンド要素も入っていて……といったところを兼ね揃えた商品を出していきたいと思っています。

あと、Enamorはケースをどれも同じ形にしていて、これも実用面でのこだわりです。私が出張や帰省、旅行と移動が多く、荷物がかさばるのがすごくストレスだったから、ポーチの中でびしっと整列するようにしました。ヘアメイクさんからもすごく好評です(笑)。

Enamor

市販のプラスチックケースに綺麗に収まるコンパクト感

YouTuberだから、使い方まで発信できる

――一方、YouTubeの「KAJIERI CHANNEL」では、インフルエンサーのかじえりさんとして、メイクのコツやおすすめのコスメを紹介しています。わかりやすい説明と正直な語り口だから視聴者も共感する、という印象です。

私が掲げている「発信型メイクアップアーティスト」は、自分の顔に自分でメイクをすることで、よりたくさんの人にメイクの楽しさを届けるのが仕事です。その原点は、コンプレックスを抱えていた学生時代の自分をメイクが変えてくれたこと。夜な夜なメイクを練習して、鏡の中の自分がアップデートしていく瞬間にすごくワクワクしたし、自信を取り戻すことができました。

かじえり

撮影/大内カオリ

そこから、自分のメイクの方法などをブログで紹介するようになり、現在はYouTubeやインスタグラムなど、使うメディアは変わりましたが、根本にある気持ちはずっと同じ。視聴者の方からの「メイクが楽しくなった!」といったコメントが何よりの原動力ですし、もっと頑張ろうという気持ちになります。

「Enamor」の商品についても、私がYouTuberとして動画で使い方を直接伝えられるっていうのはすごく大きい。単にPRするだけではここまで売れていなかったと思います。他社にはない強みだし、「買った後に使い方までわかる」からこそ、より喜んでもらえているのかなと。一方で、自社商品の紹介ばかりになると視聴者さんのニーズからはズレてしまうので、投稿内容のバランスは常に意識しています。逆に、コスメ開発を通して得た知見を動画づくりにも活かしていて、そこは他の人と違うポイントだなと考えています。

日本のコスメの魅力を海外にも伝えたい

――コスメブランドの経営者、YouTuber、そして1児の母と大変お忙しそうですが、普段どのように活動されていますか。

この間、どうすればうまく両立できるのかずっと試行錯誤してきて、最近ようやく方向性が見えてきたところです。振り返ると、出産したのが2022年1月末。その2カ月後の3月にアイシャドウを発売。そして翌2023年の夏には店舗販売を開始と、さまざまな出来事が同時進行で重なってどんどん忙しくなっていきました。人材が足りないから募集をかけてチーム体制を構築しようとか、商品が売れたら売れたで今度は追加発注のリードタイムや支払いのことも考えないといけないとか、常に新しい課題に直面しつつ、手探りで経営を学んでいった感じです。

ブランドが想像以上のスピードで成長していく中で、昨年は、YouTubeの更新があまりできなくなってしまい、すごく苦しい時期もありました。Enamorがヒットしたのって、YouTube活動を続けて自分で発信力を高めてきたからでもあるのに、ブランド経営が忙しくてYouTubeがおろそかになるのは本末転倒というか、これじゃ全然意味がないなと。

そこで、それぞれの時間をちゃんと確保するため、今年の4月からタイムスケジュールの新たなルールを決めました。平日のうち、月火水は経営者として、社内ミーティングや取引先との商談の予定を集中的に入れる。木金はインフルエンサーとしてYouTubeやインスタの撮影をする。また、平日夜6時以降と土日は母親業のために使う。従来は色んな予定がごちゃごちゃに入っていたのが、明確に線引きしたことで、タスク管理の面も改善したと思います。

――「Enamor」の今後の夢や目標を教えてください。

今年から海外でも展開するようになり、改めて、日本のコスメやビューティをもっと盛り上げていきたいなと感じています。最近では、海外コスメの品質もすごく良いですし、勢いのある斬新なプロモーションにも驚かされます。それを強く感じるからこそ、日本コスメももっとできることがあるという気持ちです。香港でも「Enamor」の実用性が支持されているので、そういう日本ブランドならではの良さを積極的に伝えていければと。

今はメイクアップが中心ですが、「女性をきれいにして、気分を上げる」アイテムということなら、将来的にはスキンケアやヘアケア、ボディケアなどにも興味があります。想像以上に伸びしろがある会社。今はまだまだ序章という感じですが、経営者として会社の基盤をしっかり整えられれば、その先いつか、日本を代表するブランド会社になるというのは決して夢ではないと信じています。

かじえりさんInstagram

SHARE

Xでシェア Facebookでシェア LINEでシェア

Keyword

岡部 のぞみ
Writer 岡部 のぞみ

VIEW MORE

Page Top