Paranaviトップ お仕事 資格/勉強 ワーママ、自身の大学院検定料を振り込むために訪れた銀行で「お嬢様の合格をお祈りします」と言われて取った行動とは?

ワーママ、自身の大学院検定料を振り込むために訪れた銀行で「お嬢様の合格をお祈りします」と言われて取った行動とは?

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こんにちは!作家・教育ジャーナリストの佐野倫子です。「アラフィフになって働きながら&育児と並行して大学院に通ってみたい」というふんわりとした思いつきをリアルにするまでの顛末を書きたいと思います。4回目は、「超短期決戦、受験準備編」です。

>>前回のエピソードはこちら

レベルの差を感じながら対策ができないもどかしい日々

「大学院に通ってみたい」とあれこれ調べ、東京大学大学院情報学環教育部という機関に目標を定めたのは、前回のエピソードの通り。書類選考と面接が1月と2月にあるとわかっていましたが、日々の母業と仕事に忙殺され、秋になっても対策をすることができませんでした。

「まずい……このままではまずい」と思い、社会情報学やメディア研究の本を読んではいましたが、それもおそらく他の受験生からすれば大学受験で中学生の教科書を読んでいるようなもので、基礎の基礎。とても試験対策というレベルではありません。

しかしそもそも、勉強の量や研究計画書の質という意味では現役東大生の皆さんには敵うはずがありません。ではどういう作戦が有効か?と考える46歳。これはもう社会人経験というやつに頼るしかありません。

まずは自分のキャリアと成果を棚卸しする必要があります。20代から30代は出版社や広告制作部署で、記事や広告を作成していました。メディアで働くことを通して、社会やメディアに対して感じたことや矛盾、課題を、自分なりに解き明かしていきたいというのが出発点でした。

それは学術の世界では取るに足らない、ささいなことだという気持ちがありましたが、出発点は大切にしたほうがいいのではという気がしてきました。無理して浅い知識で武装するよりも、幼稚だとしても自分が握っているものを掘り下げて磨いたほうが近道なのではないかと思ったのです。

社会人として戦い方を変更!キャリアの棚卸で武器を探す

それからは、とにかく学術関連の本を読みながら、自分がこれまで考えてきたことを書きだして、それがどのように大学院で深められるかについて説明する準備をしました。

とは言え、日々のあれこれに追われて、週末に数時間まとめて書いてみるのが関の山。ただ、意識はできるだけそちらに向けて、ちょっとした隙間時間に耳学習をしたり、ニュースや記事を読んで考えたことをメモしたりという工夫だけはしていました。

そしてあっという間に年末年始のお休みに……!書類選考のための一式提出は、1月14日~17日でした。(2026年は大きくスケジュールが前倒しとなっています。ご興味がある方はこちらをご確認ください)付け焼刃だけれども、諦めて何もしないのはきっと後悔すると思い、年末年始の3日間だけは本気で対策をしよう!と誓った私。

家族にも「ママは3日だけ受験生に変身します……ごめん!」と宣言。学部を卒業した早稲田大学の図書館に籠り、朝から晩まで論文や専門書をひたすら読みながら学習計画書や願書を作成しました。普通の図書館にはない専門書が揃っているので、国会図書館や大学の図書館はぜひ利用してください。

私は全て手探りだったため、とりあえずネットで調べると、大学院入試用の予備校に通ったという体験談も出てきます。でも残念ながら、数十万のお金と時間を自分に投じるのは難しい状況。予備校のお金は、子どものサピックス代にとっておかねば……。

日頃は自分のことは後回しになりがちな40代。仕事に打ち込んでいますが、その時間は自分のためというよりは、誰かのために頑張る感覚です。加えて母業はいわばマネージャー、ボクシングでいえばセコンド役。家事も育児も、大事なミッションだからこそ、自分のことは後回しにしがちですよね。

そうした中で、腰を据えて対策する時間は限られたものでした。だからこそ、たった3日という超短期間だとしても、自分の学びのためだけに集中できるのは、とても豊かで贅沢な時間でした。

大学院に行きたいと思った理由の、本当のところはこれだったのかも……。そんな風に思いながら、私は思う存分本を読み、ひいひい言いながらも願書と計画書を書き上げたのでした。

最後に検定料を振り込むために銀行の窓口に行くと「お嬢様の合格をお祈りしています」と、五角=合格鉛筆をいただきました……!「いえ、自分のなんです」とは言えない46歳、「はいっ!ありがとうございます!」と御礼を伝えて、きこきこママチャリを漕いで帰宅しました。

——次回は、最後の難関、面接についてレポートします!

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佐野倫子
Writer 佐野倫子

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