気温がぐっと下がるこの季節。手足の冷えや肩こり、なんとなくの疲れを感じる人も多いのではないでしょうか。そんなときに注目したいのが「温活(おんかつ)」。体を内側から温めることで、巡りを整え、免疫や代謝もサポートしてくれる心強い習慣です。
しかし「温める」といっても、ただ温かいスープを飲むだけでは足りません。東洋医学の考え方「薬膳(やくぜん)」では、食材それぞれに体を温める・冷やすといった性質があるとされ、それを「五性」と呼びます。この五性を知って食材を選べば、体質や季節に合った、ムリのない温活ができるのです。今回は、温活について学んでいきましょう。
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薬膳の「五性」とは?
薬膳では、食材を次の5つに分類します。それぞれ、温めるほうから熱性・温性・平性・涼性・寒性の順番です。
寒い季節は「温性」や「熱性」の食材を中心に、バランスを見ながら取り入れるのがポイント。ただ温めるだけでなく、自分の体に合う“ちょうどいい温かさ”を見つけていくことが大切です。
食材の温性クイズ!
ここでは、クイズ形式で食材の温性を当ててみてください!
クイズ① どちらが温性の食材でしょう? A:えび B:カニ

正解は…… Aの「えび」!
えびは、薬膳では代表的な温性食材。体を温め、血の巡りをよくし、腎(じん)の働きを補うとされています。冷えによる腰痛や足のだるさにも◎。冬の鍋やスープに入れると、味わいも深まり体の芯から温まります。
一方のカニは、実は寒性。体の熱を冷ます働きがあり、暑い時季やのぼせを感じるときには良いのですが、寒い冬に食べすぎるとお腹を冷やす原因に。同じ甲殻類でも、性質はまったく違うのです。
クイズ② どちらが温性の食材でしょう? A:かぼちゃ B:なす

正解は…… Aの「かぼちゃ」!
かぼちゃは穏やかに体を温め、胃腸の働きを助けてくれる温性の野菜。冷えやすい女性には特におすすめで、エネルギー不足を感じるときにも力をくれます。βカロテンやビタミンEも豊富で、血流を促し、乾燥対策にもぴったり。
一方のなすは、寒性の代表格。夏の暑さや体にこもった熱を冷ます働きがあり、夏バテ防止には最適ですが、寒い季節には食べすぎ注意です。冬になすを食べるなら、味噌炒めや煮びたしなど油や味噌(温性)と組み合わせると、バランスが取れます。
クイズ③ どちらが温性の飲み物でしょう? A:紅茶 B:緑茶

正解は…… Aの「紅茶」!
紅茶は発酵の過程で性質が変化し、体を穏やかに温める温性の飲み物です。同じ茶葉から作られる緑茶は「涼性」で、体の熱を冷ます作用が強め。冷え性の人が冬に緑茶ばかり飲むと、知らず知らずのうちに体を冷やしてしまうこともあるのです。
朝や休憩時には、シナモンや生姜を加えた「スパイス紅茶」もおすすめ。香りがよく、巡りを促してくれるので、寒い日には心も体もホッと温まります。
以下に【五性・体への作用・代表的な食材】を分類しました。ぜひうまく活用してみてくださいね!
- 熱性(強く温める):唐辛子、にんにく、羊肉
- 温性(穏やかに温める):しょうが、ねぎ、鶏肉、えび
- 平性(中庸・どちらでもない):米、じゃがいも、しいたけ
- 涼性(穏やかに冷ます):緑茶、豆腐、白菜
- 寒性(強く冷ます):トマト、なす、スイカ、カニ
薬膳の温活を続けるコツ

温性の食材を意識しすぎて、「温めるものばかり食べればいい」と思われがちですが、薬膳の考え方はバランスです。体がほてる、のぼせる、イライラする――そんなときは、少しだけ「涼性」を取り入れてクールダウンを。反対に、冷えやだるさを感じるときは、温性・熱性を中心に。たとえば、こんなメニューを組み合わせると、薬膳的にも理想的な「ぽかぽか献立」になります。
- えびのしょうが炒め
- かぼちゃのポタージュ
- シナモン入り紅茶

また、食事と同じくらい大切なのが休息。体が冷える原因のひとつに、「エネルギーを使いすぎる」ことがあります。夜はぬるめのお風呂でしっかり温まり、深呼吸をしてリラックス。眠っている間に、食べたもののエネルギーが全身に行き渡ります。
薬膳の魅力は、「食べ物を通じて自分の体と対話できること」。今日はなんとなく冷えるな、疲れているな――そんな小さなサインを見逃さず、その日の気候や気分に合わせて、食材を選んでみてください。
冷えは“敵”ではなく、体が「もう少し温めてね」と教えてくれるサインです。体の声に耳を傾けながら、えびの旨味、かぼちゃの甘み、紅茶の香りを楽しむ。そんな時間が、冬の温活を心地よいものにしてくれます。










