Paranaviトップ お仕事 働き方 パラキャリだからこそ「1+1=3になれる」。ライター・りょかちさん流の“差別化キャリア戦略”

パラキャリだからこそ「1+1=3になれる」。ライター・りょかちさん流の“差別化キャリア戦略”

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大手IT企業で正社員として働きながら、ライターとしてパラキャリを実現しているりょかちさん。パラキャリをスタートするきっかけは「Twitterで自分の写真がバズったこと」だったという珍しいキャリアの持ち主です。パラキャリで本を出版するほど活躍しているにもかかわらず、「IT企業での仕事は辞めたくない」と断言する理由とはーー。りょかちさん流「キャリア差別化戦略」から自撮りのコツまで、じっくり聞いてみました

1つのバズから始まった、パラキャリ人生

――IT企業社員と、ライターのパラキャリをしているりょかちさん。IT企業ではどんなお仕事をされているんですか?

マーケティングやブランディングの仕事をしています。入社して、まずはアプリ開発の部署に配属されました。開発の専門知識はまったくなかったのでびっくりしましたが、IT企業に勤めるならやってみたかった仕事だったので、やらせてもらえて単純にうれしかったですね

――もともと、IT企業を目指していたんですか?

いえ、書くことが好きなので、ライターを目指していました。学生のころからメディアで記事を書いていて、文章を通じて読者の毎日を少し変えるような仕事をしたいと思ってました。でも、いざ就職活動をしてみると、スマホアプリに携わる仕事も面白いなと思って、IT企業に軸を変えたんです。文章を書くのとはまた違ったアプローチで、たくさんの人の毎日を変えられるところに、やりがいを感じています。

――「りょかち」としての活動は、何が始まりだったんですか?

ある日、なんとなく自撮りしたら盛れたので、Twitterに載せてみたんです。そしたらすごくバズった! というのがそもそもの始まりです(笑)。でも、ただ自撮りする若い女性なんて山ほどいるので、「自分じゃなきゃダメなこと」をやろうと思いたちました。ほかの人と何らか差別化しようと考えた末に、「自撮り×ライティング」という能力の掛け合わせを思いついて、「自撮り女子の気持ち」というブログを書き始めました。

パラキャリだからこそ「1+1=3になれる」。自撮ラー、りょかちさん流の“差別化キャリア戦略”

「自撮りがうまいだけ」じゃ生き残れない

――す、すごい。差別化のことまで考えて、パラキャリを始めたんですね。

はい。「自撮り」だけじゃどうしてもパイが小さくて、一発屋にしかなれないと感じたんですよ。それにちょうどそのころ自撮りブームがピークに達していて。飽きられないためには、自撮りがうまいだけじゃなく、SNSや若者の文化について表現できる人にならないといけないと思いました。「自撮り女子の気持ち」記事は、いざ世の中に出してみたらすごくたくさん読まれて。ある日、幻冬舎さんからオファーをいただいて、webメディアで連載することになりました。それが2016年のことです。

――幻冬舎から声がかかったときは、どう思いました?

「ついにキタな!」って感じでした(笑)。ある程度、声をかけられることを目指してやっていたので。当時は今と違って、若者の流行りやマインドセットについて書ける人はあまりいなかったので、その能力も希少価値があったんですね。

――りょかちさんは今や、アドタイなど名だたるメディアで連載をもっていますよね。それらは、どうやってスタートされたんですか?

地道に、営業をかけたんです。複数の媒体に、知り合いのつてで担当者を紹介してもらって、企画書を持っていきましたよ。幻冬舎の連載で実績があったので、書かせてもらえたところも多く、ありがたかったです2017年には幻冬舎から『インカメ越しのネット世界』という書籍も出してもらいました

パラキャリだからこそ「1+1=3になれる」。自撮ラー、りょかちさん流の“差別化キャリア戦略”

パラキャリで「1+1=3」の人生に

――すごい! とんとん拍子ですね。

それでも、昨日の私よりも今日、明日の私が何かしらアップデートしていないと飽きられちゃうんじゃないかなって……毎日焦ってました。当時まだ25,6歳で、若かったからかな(笑)。でも、軸がブレることなくパラキャリできたのは、IT企業での本業があるからでした。報酬にこだわらず、やりたい仕事に取り組めたので。

――連載を持ったり書籍を出すほど活躍していたら、IT企業を辞めて独立する選択肢もありますよね。

そうですね。でも会社を辞めないいちばんの理由は、「どっちの仕事も面白いから」です。IT企業の仕事とりょかち個人の活動にはそれぞれ違った面白さがあるし、お互いにシナジーを生んで「1+1=3」の状態を作れています。だから、どちらかを辞めて「1=1」に戻るなんて、もったいなくてできません!

パラキャリだからこそ「1+1=3になれる」。自撮ラー、りょかちさん流の“差別化キャリア戦略”

「会社以外の居場所」があるという安心感

――個人の仕事の面白さって、どんな部分ですか?

「これだ!」って思ったら、誰の承認もいらずどんどん突き進めるところですね。逆に会社で働く面白さは、周りから刺激をもらえるところ1人じゃできないこともチームで実現できますし、単純に個人でやるよりも大規模な仕事をできます。会社の人間関係から、エッセイのネタを見つけることもあります。

――なるほど。シナジーが生まれているというのはどのあたりですか?

私、意外かもしれませんがメンタルが激弱なんです(笑)。とくに新卒のころは、仕事がうまくいかなくて凹むことがたくさんありました。神戸の大学を出たので、東京には弱音を吐けるような友達も少なくて……。一方、個人でやっている「りょかち」活動はノリノリで。こんな私でも社会の役に立てるなって、メンタルを保ってました。

よく、学校で友達とうまくいかない子どもに「ほかの居場所を作ってあげよう」といわれますが、これは大人にも通じることだと思います。会社のほかにも居場所があれば気持ちが楽になるし、逆に「会社が世界のすべて」になってしまうと、つらい瞬間があると思います。誰もがメンタルが強靭なわけじゃありませんから。

――逆に、パラキャリしていて大変なことはありますか?

単純に、時間がないことですね(笑)。社会に出て5年経ちますが、土日まるまるゆっくり休んだことはありません。私は趣味=ライティングという人間なのでまったく苦になりませんが、土日はひたすら寝たいとか、ゆっくりするのがいちばんの幸せ! という人には、パラキャリはハードルが高いかも。

パラキャリだからこそ「1+1=3になれる」。自撮ラー、りょかちさん流の“差別化キャリア戦略”

「お金のためだけ」にパラキャリするのは難しい

――りょかち活動しているときと、IT企業で働いているときで、気分は違いますか?

名義を使い分けているのは、いわばそれぞれ違う人格でやっているからです。最初に自撮り画像でバズったころ、SNSで「りょかち=キラキラキャピキャピした若い女の子」というイメージを持つ方がすごく多くて(笑)。それは現実の私とかけ離れていますが、これはこれでいいかと受け入れて、本当の自分とは違うキャラを楽しんでいます。

――りょかちさん一押しの、自撮りのコツを教えてください(笑)!

コンプレックスなところは、わざとフレームアウトさせましょう。私の場合、頭はわざと見切れるように撮ってます。自撮りでは、写ってない部分は存在していないのと同じ(笑)。髪の毛や小物で隠すのもいいですね。それから、角度を研究してみてください。だいたい上斜め30°くらいにカメラを置くのがコツです!

――最後に、パラキャリしたい女子たちにアドバイスをお願いします!

まずは、自分の好きなことや得意なことを生かしてできることを考えてみましょう。お金ほしさにパラキャリを始める人もいますけど、いざスタートすると相当忙しくなりますから、好きなことじゃないと自分が辛くなっちゃうと思います。逆に言えば、休日やプライベートな時間をお金のためだけにささげるのはもったいない。まずは得意なことから始めてみて、それを発信し続けていれば、そのうち誰かとつながって、幅が広がっていくと思います。お金のことはいったん置いておいて、いつかやりたいと思うことや趣味を軸にして、自分の世界を広げてみることをお勧めします!

パラキャリだからこそ「1+1=3になれる」。自撮ラー、りょかちさん流の“差別化キャリア戦略”

りょかち●1992年生まれ。京都府出身。神戸大学卒。SNSに自撮りをアップし続ける「自撮り女子」として注目を浴びる。現在では、自撮りのみならず、若者やインターネット文化について幅広く執筆するほか、若年層に向けた企業のマーケティング支援も行う。著書に『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎刊)。

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さくら もえ
Writer さくら もえ

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