Paranaviトップ ライフスタイル 恋愛/結婚 「普通の結婚」への違和感、「事実婚」を選んだ理由

「普通の結婚」への違和感、「事実婚」を選んだ理由

SHARE

Twitterでシェア Facebookでシェア LINEでシェア

結婚前の姓をそのまま名乗り続けたい……。パートナーとの結婚を考えた時、そう考える人は少なくないのではないでしょうか。民法では、夫婦は婚姻時に夫または妻の姓のどちらかを名乗るよう規定しています。しかし現状は、女性が姓を変えるケースが96%にものぼります(平成28年度 人口動態統計特殊報告「婚姻に関する統計」の概況より)。もし夫婦別姓を望むのであれば、その選択肢となるのが婚姻届を出さずに、パートナー同士が結婚の意思を持ちながら共同生活を営む「事実婚」です。その選択肢を選んだ人は、どのような経緯でそうしたのか。2018年9月に事実婚をした江口さん・高木さん夫妻に伺いました。

姓の変更は、アイデンティティの否定にもなりうる

――2人が事実婚を選んだ理由を教えていただけますか?

江口さん 私自身が、現在の法律婚に違和感を抱いていたからですね。私は以前から、ジェンダー不平等などに対して、問題意識を持っていました。その1つが、結婚時の夫婦同姓です。現在はどちらかの名字にせざるをえませんが、女性が男性側の姓にするケースが9割以上ですよね。

姓はその人のアイデンティティの問題でもあります。私自身がそれを侵害されたくないという気持ちがあり、もし自分が結婚するにしても、自分が嫌だと思っていることを相手にしたくないと考えていました。法律婚を否定するわけでは決してありませんが、別姓でいられるありかたとして、事実婚を選びました。

――高木さんも、もともと事実婚に関心があったのでしょうか?

高木さん 私の場合は、そうした考えをもとから持っていたわけではなく、事実婚に対しては賛成でも反対でもありませんでした。子どもの頃は「〇〇君と結婚したら、私は〇〇萌子になるんだ」と夢見ていたくらいですから(笑)。

結婚前から江口の考えは聞いていましたが、それでも授かり婚ということもあり、「普通に結婚するのかな」とも思っていました。そもそも親も事実婚を認めてくれるのだろうか……と。いざ話してみたら、私の親も「2人のことだから」と、驚くほどあっさり認めてくれましたね。

少し心配していたのは、子どもに対してデメリットはないだろうか、ということでした。親子関係がどうなるのか、子どもには名字が違うことをどう伝えたらいいのかなと。そうした部分は、事実婚について調べたり話を聞いたりすることで、問題なさそうだなと思いました。

江口さん  事実婚は、婚姻届を出さない婚姻関係をすべて指します。法律婚という国によって定められた形式と違い、私たちにとって、事実婚は対等なパートナーシップを築きながら、夫婦別姓を実現するための1つの手段だと捉えています。

いろんなカタチがある中で、自分たちの関係に責任を持つためにも、法律婚と同じくらいの制約や義務を設けようと考え、「事実婚に関する契約公正証書」をつくりました。

公正証書をつくるのにかかった時間と費用

事実婚夫婦

――公正証書の作成には、どれくらいの時間と費用がかかったのでしょうか?

江口さん  私たちの場合は、期間は4カ月ほど、費用は行政書士の方に十数万円、公証役場に出すのに数万円かかりました。事実婚をされていて、かつそのサポートをしている行政書士の方に相談に行ったのが、2018年5月。事実婚に関する契約公正証書の雛形はすでにあり、その内容を理解し、どの条項を入れて削るかを判断していきました。

婚姻届は国が作った結婚のパッケージですが、公正証書は自分たちで必要な内容をカスタマイズするイメージですね契約書が完成して公正役場に出したのは9月で、そのタイミングが事実婚の成立となります。ただ、契約書の効力は5月を起点に発揮するようにしていたので、契約書上の結婚記念日は5月です。

高木が妊娠中で無理のないペースで進めたことや、遺言書を作成したのもあり、時間がかかりましたが、早い人だと相談から1〜2カ月で契約書を作成できると思います。

公正証書

江口さん、高木さん夫妻が作成した公正証書による事実婚の契約書はnoteでも公開中。 参考:江口さんのnote

高木さん  正直、こうした手続きは面倒に感じると思います。私も「法律婚なら、婚姻届1枚を出せば済む話なのに……」と思いました。一方で、私は遺言による寄付(遺贈寄付)の仕事に携わっていたのもあり、法律婚をしていても遺言書を残さないことによるトラブルを多く目にしていました。面倒でも、そうした手続きの必要性も知っていて。

結婚におけるトラブルでいえば、結婚後にパートナーに貯金が一切なかったという話を耳にすることもありますよね。そうした聞きづらい内容も、公正証書をつくる過程で、お互いの情報がオープンになります。法律婚でもそういうことを話すのはもちろんできますが、私は公正証書をつくることによって、自分たちの関係性や、自分が今後どう生きていきたいのかを意識するようになりましたね。

江口さん 最近、事実婚を考えているという相談を私も高木も受けることがあるのですが、やはり女性からの相談のほうが多いんです。人の価値観の問題でもあるので、男性側の理解が進まないと実現が難しいんですよね……。事実婚という、あえてマイノリティな状況に自分を追い込む選択肢は選びづらいですから。

だけど、世の中にはいろんな生き方や価値観があります。さまざまな家族のカタチがあることへの理解が広がり、そうした選択をする人も暮らしやすいような制度が整うことを望んでいます。

江口さんのnoteではさらに詳しく事実婚の契約内容を公開中

SHARE

Twitterでシェア Facebookでシェア LINEでシェア

Keyword

南澤悠佳
Writer 南澤悠佳

VIEW MORE

パラナビオンラインサロン
Page Top