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会社員から独立・起業、会社経営から新興国の支援まで…笠井誉子さんが「人生をかけてやりたいこと」

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reクラーレットの代表取締役を務めながら、NPOの理事長や新興国の女性支援などたくさんのパラキャリを実践している笠井誉子(たかこ)さん。徳島県在住ですが、活躍の舞台は日本を飛び出して、中央アジアのキルギスにまで広がっています。会社員から独立し、シングルマザーとして2人の子どもを育てながら「自分の気持ち一つで行動してきた」という笠井さんに、自分の思いを実現していく秘訣を聞きました。※写真右が笠井さん

「飛び込み営業が好き!」営業の仕事は天職

――幅広い活動をされている笠井さん。起業される前から、営業の仕事をしているんですか?

専業主婦から営業職になって、営業歴は今年で25年目です。私が20代前半の頃は、今のように女性がキャリアを積んで活躍する時代じゃなくて。パラナビ読者のみなさんには信じがたいと思いますが、「女性が4大卒で就職すると結婚できない」「女性は25歳を過ぎたら、売れ残りのクリスマスケーキ」なんていわれていた時代でした(笑)。私も短大を出て庶務として就職し、24歳で結婚していったん仕事を辞め、出産しました。

――うわあ、すごい時代ですね!

24歳で1人目、26歳で2人目の子どもを生んで専業主婦をしていましたが、その毎日があまりに退屈だったのと、世間から取り残されている辛さがあって、仕事をしたいと思うようになりました。長男が小学校に上がったタイミングで、時間の融通が効きやすい営業職を選んで社会復帰したんです。

――営業の仕事はやりがいがある一方で、ハードな面もありそうです。

私はとにかく、人と会って話すのが好きなんです。とくにやりがいを感じたのは飛び込み営業ですね。「初めまして」からスタートし、心を開いてもらえるのを心理戦のように感じて楽しみました。

――その後、独立してreクラーレットを創業したきっかけはなんだったんですか?

父も兄も経営者という一家で育ったので、自分も40才をめどに起業したいとはずっと思っていました。独立すれば、時間の面でもお金の面でも裁量が大きくなりますし。そんなある日、知り合いの方から「そろそろ会社を辞めて独立しようと思っているんです」と話したら、「2013年の4月以降に創業支援の補助金が出るらいしいよ」という情報をいただいて。ベストタイミングだ! と思い切って申請してみたところ、無事にその補助金に採択されて、独立しました。

――いきなり独立するのは、怖くありませんでしたか?

わりと安定した形で独立できたので、不安はありませんでした。この時から初めて、本当に自分が人生をかけてやってみたいことをしっかり考えるようになりましたね。最初はやっぱり私の天職である営業で、世の役に立ちたいと思いました。今reクラーレットでは、営業や広報のサポート、女性向け商品・サービス・イベントの企画開発などを中心にやっています。

会社員から独立・起業、会社経営から新興国の支援まで…笠井誉子さんが「人生をかけてやりたいこと」

向かって一番左が笠井さん

「自分へのごほうびと思って」カンボジアに飛んだ

――笠井さんは、新興国の女性や若者たちへの支援活動もされているそうですね。

世界に目を向けるようになったきっかけは、2015年に東京で開催された「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」(※)に招かれたことです。世界中から集まった女性リーダーたちの話を聞いて新興国の現状を知ったことで、一気に世界に視野が広がったんです。それまで日本国内、とくに徳島のことしか見えていませんでしたから。それで漠然とアフリカへ行ってみたいなと思うようになったんですが、さすがに敷居が高くて……
※World Assembly for Women in Tokyo, 略称:「WAW! 2015」。世界各国、日本各地から女性分野で活躍するトップリーダーが出席し、女性の活躍促進のための取り組みについて議論した

――何の手がかりもなしにアフリカに飛ぶのは、少し勇気がいりますね。

そんな思いでいた2016年、海外で活躍する人を表彰するグローバルフォーラムがあって。その時表彰されていた香川県の男性のことを知って、海外で仕事をしてみたいと相談したところ、社会人インターンとして2カ月間、カンボジアで受け入れてもらえることになりました。当時私は51歳でしたが、それまで海外には旅行でしか行ったことがなくて。知り合いがいるのは心強かったし、これまで頑張ってきた自分へのプレゼントだと思ってカンボジア行きを決めました(笑)

会社員から独立・起業、会社経営から新興国の支援まで…笠井誉子さんが「人生をかけてやりたいこと」

フットワークの軽さを強みに、キルギスに渡ったのが転機

―ーすごい行動力ですね……!その2カ月間、ほかの事業やご家族はどうされていたんですか?

ほかの事業は、なんとか都合をつけました。子どもたちはもう成人して働いていましたので、育児というステージではなくなっていましたし。私にそれなりに経済力があったので、自分の意思さえあれば自由に行動できる環境だったのがよかったです。

――カンボジア以外の国にも行ったんですか?

カンボジアから帰ってきたあと、徳島県の国際交流センターで出会った老紳士がすごく面白い方で。ある日「あなたに僕の仕事を手伝ってほしいんだけど、中央アジアのキルギスに行ける?」と聞かれて、勢いで「はい!」と答えてしまったんです(笑)。そうして初めてキルギスに行ったのが2019年のこと。それをきっかけに、中央アジアへの支援をするようになりました。

――フットワークの軽さがすごいですね(笑)!具体的にはどんなことをされたんですか?

現地の日本語学校で、日本で働きたいという人たちの来日をサポートするために説明を行いました。コロナ禍で日本語学校は解散になってしまいましたが、徳島の高校に来たいという生徒がまだ何人か待機していて。いざ来日した時に住んでもらえるように、私も今年の2月まで住んでいたマンションを引き払って、一軒家を買って引っ越しました(笑)。

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自分1人じゃなくて、みんなで一緒に歩いていきたい

ーー女性リーダーの支援、育成でJWLI(日本女性リーダー育成支援事業を行うJapanese Women’s Leadership initiativeの略)と繋がっているそうですね。

公益財団法人ジョイセフがやっている「ホワイトリボンラン」というイベントがあって。5年前にそれを徳島でやりたいというお話をいただいてからご縁があるんですが、そこで知り合った女性に「笠井さんはJWLIにぴったりだから、ぜひ入ってみて!」と勧められたんです。そのとき初めてJWLIを知って、合宿型リーダーシップ研修「JWLI Bootcamp」が名古屋で開催されると聞き、2019年に参加したのが最初です。3日間カンヅメ状態でやったJWLI Bootcamp、充実していて刺激的で、楽しかったですよ。ちなみに「次回のJWLI Bootcampは徳島で」と打診をいただいていて、2022年7月に開催予定です。

――四国からも、JWLIに参加される方は多かったんですか?

四国からJWLIに参加したのは、私が初だったそうです。JWLIには四国からの応募が少ないので、これからは四国の女性リーダーを発掘していきたいと思っています。いろんな分野で活躍する女性たちへの応援が、四国全体にもっと広がっていったらと思います。また四国の4県は、強く繋がっているように見えて実は横の繋がりが薄いので、これを機に連携したいですね。

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ーー会社員からの独立、reクラーレットの起業に始まり、海外へ、女性へと支援の対象をどんどん広げていかれているんですね!笠井さんの夢を教えてください。

やりたいことはいっぱいありますが、海外の学生のホームステイ受け入れをもっと組織的に運営したいですね。経済的に余裕のある人たちだけじゃなく、例えばひとり親の方々に海外の学生と一緒に住んでもらうような仕組みで、多文化共生の機会をつくれたらと思います。

――笠井さんみたいに活躍するために、大事にすべきことは何でしょうか?

私はいつもいい出会いに恵まれていてラッキーなんですが、まずは自分の思いを受けとめてくれる人たちを巻き込んで、一緒に歩いていくこと。私も、痛い経験や辛い思いをたくさんして、「自分1人よりも、みんなで一緒に歩いていくほうがいい」と思い知ったんです。自分だけで突っ走っても、結局最後にひとりぼっちになっちゃいますから。何をするにしても、周りのみんなと一緒にチームになることで初めて、利益と幸せの両方を追求していけると思います。

Bootcampプレイベント あなたも世界を変えるイノベーターになる!

2021年8月3日(火)20〜22時、JWLI Bootcamp2022のプレイベントがオンラインにて開催されます。全米「全米ナンバーワンビジネススクールで教える起業家の思考と実践術」と題して、バブソン大学・山川恭弘先生によるスペシャルワークショップを実施。女性リーダー、起業家のみなさん、ぜひ参加してみてください! 参加はこちらのpeatixから。

笠井誉子(かさいたかこ)●徳島県出身。Uターンで東京から地元へ戻り、専業主婦から営業職としてキャリアを再開。その後、シングルマザーとして働きながら2人の子どもを育て、20134月に独立起業。20144月、女性のキャリア支援を行う特定非営利活動法人徳島の働く女性を元気にする会と女性の起業支援を行う「花咲ねーさん企業組合」を創設し、徳島県女性起業塾をスタート。2017年からは世界に目を向け、海外での社会人インターンを経験。その後、新興国の妊産婦支援やフェアトレード、SDGsの普及啓発の活動も行う。また世界と日本を繋ぐ架け橋として、中央アジアの若者の就学や就業の支援を行っている

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小野アムスデン道子
Writer 小野アムスデン道子

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