エレガンスでしなやかなイメージがある、フランス人女性。その美しさはビジュアルだけではなく、インテリジェンス(知性)にこそ現れているのだそう。今回は第1弾の記事に続き、フランスの哲学学者・Emma Careniniさんに、フランス人女性がなぜエレガンスとされるのか、その秘密について教えてもらいました!
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「フランス人女性=エレガンス」といわれる理由
――フランス人女性のエレガンスさは、世界中からよく注目されています。その理由は何だと思いますか?
フランス人女性に華やかなイメージがついて、世界からスポットライトを浴びていることは、とてもうれしく思います。でも私は、フランス人女性がほかの国の女性たちよりも魅力的な外見をしているというわけではないと考えています。それに、女性の魅力は決して、外見だけで判断できるものではありません!
フランス人女性の魅力は、自己認識や文化的なところにあります。彼女たちは、自分が周りにどのような印象を与えるかを考えて、常々工夫して、自分の見せ方を試行錯誤しているんです。これは、家庭や周りの環境から、無意識に影響を受ける部分です。
一言で言うと、「フランス人的な品の良さ」でしょうか。「これを満たしていればOK」という条件はとくにありませんが、フランス人女性特有のスタイルであり、魅力です。ちなみにラテン語の「エレガンス(elegans)」の語源は、「美しい」ではなく、「elire(ていねいに注意深く選択する)」だといわれています。
フランスの「エレガンスさ」がこれほど有名になったのは、文化が美意識と融合して、1つのものに昇華されているからでしょう。飾りすぎず、派手すぎず、フランス人のスタイルはとても洗礼されていて、軽やかです。
フランス人女性のエレガンスは、自己認識に基づいた、色気のある落ち着いた雰囲気からにじみ出るものです。抑圧されて生まれるものではなく、また無理に上品ぶるということでもありません。
哲学は、人の幸せを追求する学問
――Emmaさんの専門である哲学は、どうも難しそうです……。どんなところが面白いのでしょうか?
哲学は正直なところ、若い人々に多く好まれる学問ではありません。哲学は日常生活とはかけ離れた、理解しにくいものだと捉えられがちだからです。
でも本当は、哲学は「みんなが楽しめるもの」なんです!
哲学は、人間の幸せを追求している学問です。哲学を学ぶことで、思考を深め、説得力を持った議論にまとめあげ、ほかの意見に対して反論する力を身につけることができます。
過去の哲学学者たちから、私たちが学べることはたくさんあります。私たちは誰でも、哲学の理性的な考えを持つべきだということ、一時的な感情によって衝動的に行動すべきではないということを学べます。これで、フランス人女性のようなエレガンスさ、知的さに、少し近づけるのではないでしょうか。
私はこのYouTubeチャンネルで動画を配信して、みなさんの哲学に対するイメージを変えていきたいです。同時にハリウッド映画のことも発信して、哲学をもっとわかりやすい、身近な存在にしていきます!
SNS時代だからこそ「倫理観」について考えてみよう
――今、地球環境の問題が深刻化しています。一方で、IT技術が発展してSNSが私たちの生活に深く入り込んでいたりと、たくさんの変化があります。そんな中で、哲学は私たちに何をもたらしてくれるのでしょう?
私たちは今、大きな変革期にいますね。ITの進化に関連して、人文学の観点から、「倫理観」について考え直す必要があると思います。
例えば、遺伝子組み換えのテーマは、私たちのアイデンティティーの形成に影響してきます。人間は医学や技術の発展によって、記憶や意識を失っても、肉体は生き続けられるようになりました(脳死)。このことに対しては、「人間の尊厳」「倫理」の観点から、いろいろな議論がなされています。
いずれAIが人間を支配する……という話を聞いたことがあるでしょうか? IT技術の発展は、時として恐ろしいものです。それに対して哲学は、人々に、思考力そして「変化への気づきと希望」を与えます。
私が今回パラナビ読者のみなさんにお伝えしたいことは、「哲学という学問は、この世界の光と闇について考えるための力を与えてくれる、希望なんだ」ということです。
Emma Carenini●南フランス・グラッセ出身。パリのソルボンヌ大学哲学科を卒業後、現在は哲学の学者として、パリにて教鞭を執りつつ、本の執筆活動を行う。さらに、哲学を若者により身近に興味を持ってもらうため、YouTuberとしてハリウッド映画を哲学の視点で解説する動画を配信。お気に入りの場所は、南フランスとモナコのカジノ・ド・モンテカルロ。