“腸活”という言葉、耳にしたことはありますか? 腸活をすることで心にも体にもさまざまないい影響が期待できます! 腸は「第二の脳」と呼ばれていて、腸内環境を整えることには大きなメリットがあるんです。今回は腸に焦点を当てて、腸活をすべき理由から、具体的なやり方まで解説します。誰にでもできる、カンタンな「腸活・6つのポイント」を抑えれば、あなたも明日から「腸美人」になれるかも!
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腸内フローラって何?「腸内細菌の3種類」とは?
私たちの腸内には約500〜1,000種類、約100兆個の細菌が存在しています。重さにして約1〜2キログラムといわれているので、結構な量ですよね。これらの細菌がバランスを変えながら、私たちの腸の中に住んでいます。そして腸内環境を決めているのは、この細菌たちの種類と割合です。
腸内に棲んでいる細菌は、菌種ごとに塊になっており、それぞれが並んで咲くお花畑(flora)にみえることから「腸内フローラ」と呼ばれています。腸内フローラは人によってバラバラです。同じ人でも、食べるものやストレスなどさまざまな要素によって、腸内フローラのバランスは変動します。
腸内細菌の種類は3つ、善玉菌・日和見菌(ひよりみきん:健康な人には害のない菌)・悪玉菌です。そしてこれら腸内細菌の理想的な比率は、順に「2:7:1」といわれています。
善玉菌は名前の通り、いい菌です。腸の細胞を元気にして腸内環境を整え、外から入ってくる病原菌などを退治します。一方、悪玉菌は毒素を出し、腸内を病原菌が好む状態にします。そして日和見菌は、健康な状態では善玉菌の味方をし、腸内環境が悪くなると悪玉菌の助けをします。
健康な腸内では、善玉菌が優勢な状態となっています。ただし、悪玉菌も肉類などのタンパク質を分解し便として処理・排泄するという、私たちにとってなくてはならない存在なんです。ですから、3種類の菌の割合をちょうどいいバランスで保つことがポイントです。
腸が性格まで左右するって、本当?
カナダのマクマスター大学が世界的科学誌『Nature』に載せた実験で、マウスの腸内細菌を入れ替えると性格が変わるという結果が出ました。実験では、臆病なマウスと好奇心が旺盛で活発なマウスを選び、高さ5cmの台の上に乗せ、そこから降りるまでの時間で警戒心を測りました。臆病マウスは、なかなか台から降りず5分後にやっと降りてきます。一方、活発マウスは17秒で台から降りてしまいました。
そして測定後、活発マウスの腸内フローラと臆病マウスの腸内フローラを互いに移植し合いました。3週間後、活発フローラを移植された臆病マウスは台から早く降りるようになり、逆に臆病フローラを移植された活発マウスは警戒心が強まり、台にいる時間が大きく伸びました。この実験結果から、腸内フローラが脳に由来する神経因子を変化させるという可能性が考えられるようになりました。
他にも、自閉症のマウスの腸内フローラを変えたところ症状が軽減したという研究や、うつ病患者に多く存在する腸内フローラがあるとの指摘もあります。腸内の状態が、心理状態にもかなりの影響をもたらすのではないかといわれているんです。
「腸と脳」には、深い関係がある
「腸は第二の脳」という言葉があります。セロトニンという物質、聞いたことがあるでしょうか。セロトニンは“幸せホルモン”とも呼ばれる物質で、不足するとうつなどの精神疾患にかかりやすくなるといわれています。実際、抗うつ薬はこのセロトニンに作用するものもあります。
そして実は、体内にあるセロトニンの約90%が、腸(粘膜)に存在しています。腸にいるセロトニンは、脳が腸を動かす指令を出す際に使われています。「腸脳相関」といって、腸と脳は互いに常にコミュニケーションをとって連動しているのです。
実際、緊張するとお腹が痛くなる、ストレスがかかると下痢をしがち……という人、多いのではないでしょうか。また、メンタルの状態によって腸の状態が悪くなる「過敏性腸症候群」という病気があることも、納得ですね。
腸活はいいことだらけ!4つの効果
腸の大事さがわかったところで、「腸活」にはどんな効果があるのか見ていきましょう。
- 免疫力を高める
口から摂取した食物は胃腸を通り消化・吸収されますが、腸には食物のほかにもさまざまな細菌やウイルスが侵入しています。腸はこれらの敵から身を守る必要があるため、免疫機能が備わっています。免疫に関わる細胞の6〜7割以上は腸に存在しています。ですので、腸は最大の免疫器官! 免疫力をアップするためには、腸を健康な状態に保つことが欠かせません。
- ダイエット効果
腸がしっかり動くことで便秘解消、それに伴って代謝アップを狙えます! 逆に腸内に悪玉菌が多いと、腸がさらに悪玉菌の成長を促すようシグナルを送るようになってしまい、悪循環に。
- 美肌効果
よく言われるとおり、便秘は美肌の大敵! 腸内環境を整えて便秘が解消すれば、体の中の老廃物が自然に排出されて、美肌に一歩近づけます。
- メンタルが安定する
先ほどもお話した通り、脳と腸は密接に関係しています。脳と腸は相互的に情報伝達、指令を出して共有しています。まだ研究段階ではありますが、腸に悪玉菌が増えることで腸粘膜に炎症が起き、その炎症が血流に乗って脳にまで炎症が広がるのではないか、とも指摘されています。
実際、うつ病の患者さんはそうでない人に比べ、腸内のビフィズス菌や、善⽟菌である乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)の量が少ないという研究結果もあります。腸と脳は、本当に密接な関係で結ばれているんです。
具体的な腸活方法、6つのポイントがこちら
最後に、誰でも明日から手軽にできる腸活の方法をお伝えします。こちらの6つ。
- 朝、コップ1杯の水を飲む(冷たすぎるものは要注意)
- 乳製品を食べる(善玉菌の生存期間は約3日。毎日取りましょう)
- 発酵食品を食べよう
- 間食はアーモンドやクルミなどのナッツにしよう
- 適度な運動をしよう
- 質のいい睡眠を取ろう
まずはどれか1つからでも、自分にできそうなことをやってみてくださいね。腸活は、体にも心にもいいことだらけ! 健康な腸を手に入れて、健やかな春を過ごしましょう!