Q.「複数の仕事を受けた時、すべてに120%で応えたいけど、パワーバランスが難しいです」(みかさん)
A.「まずはライン決め!100%と20%を分けて考えてみて」
こんにちは。「パラキャリお悩み相談室」の連載を担当している坪井安奈です。2013年に新卒で入社した出版社を退職し、編集者/タレント/企業広報としてパラレルキャリアを始めてから9年。(坪井さんのインタビュー記事はこちら!) この連載では、私がこれまで感じてきたパラレルキャリアの実情や経験を赤裸々にお伝えしたいと思います。
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パラキャリの唯一の懸念点は、つい「働きすぎること」
さて、今回のお悩みは「複数の仕事を受けた時のパワーバランスが難しいです。クライアントからは120%を期待されるけど、自分としてはワンオブゼムの仕事でもある……どう管理していますか?」というもの。
この気持ち、すごくよく分かります。仕事が1つであれば気合いでなんとかなるものの、パラキャリだと限られた時間で何にどのくらい注力すべきか、私もモヤモヤする時期がありました。
私が思うパラキャリの唯一の懸念点は、つい「働きすぎること」。
パラキャリの目的は人それぞれですが、疲労困憊してネガティブなモードになってしまっては意味がありません。
今回は、クライアントから求められる120%を「100%」と「20%」に分けて、それぞれのポイントをお伝えします。
120%のうち「100%」について考えよう
まずは、120%のうちの「100%」の仕事について考えていきましょう。
これは私自身が失敗した経験もあって声を大にして言いたいのですが、仕事を受ける前に最も重要なのは、クライアントが「私に何を求めているのか」「私の何にお金を払っているのか」を明確にしておくことです。
「そんなの当たり前だよ」と思うかもしれませんが、実は意外とここから双方に「ズレ」が生じていることが少なくありません。
契約形態にもよりますが、どのくらいの期間で何を達成すべきなのか、KPIを設定することがとても重要。そして、それに見合った時間や金額で仕事を受けるのが理想的です。
もちろん、クライアントはあわよくば100%以上を期待しますし、私も喜ばれると嬉しくなるタイプなので「絶対100%以上で応えるぞー!」とつい鼻息が荒くなってしまうのですが(笑)。やる気ばかりが先走って、「100%」の状態をイメージできていないのは危険です。
まずは、「100%」の最低ラインを具体的に把握しましょう。
とはいえ、これは理想論。実際には、クライアントからの依頼がフワッとしていることが多いのも事実。実はクライアントの担当者(依頼者)も、会社から言われている目標を達成するために何をお願いすべきかが分からずに困っているケースが結構あります。
そんな状況で「いつまでに何を達成することを想定されていますか?」「何をKPIに設定しますか?」と投げかけても、相手を詰めるような形になってしまいます。なので、そういう雰囲気を感じたら私は「まずは目的を整理してすべきことを洗い出しながら、その中で具体的なアクションを決めていきますか?」と提案してゆるりと契約をスタートさせ、本格的に走り出すまでにコミュニケーションを取って、「具体的に私がやることとしては、○○○と●●●でよいですか?」と確認するようにしています。もし、その時に大きなズレがあればお互いに契約内容を見直します。
本当は仕事を受ける前にここまで握れていたら素晴らしいですが、そこにこだわりすぎるとせっかくの受注を逃しかねないので、その辺りは相手を見ながら柔軟に対応しているのが正直なところです。
「これはサービスの+20%」と伝えよう
続いては、120%のプラスαの「20%」の仕事について考えましょう。
クライアントが求める「100%」を達成できたら、余力次第でプラスαの働きをすることは我々の自由です。120%で返せたら自分も気持ちが良いですし、信頼も高まり継続的な関係を築けて理想的ですよね。
ただ、その際に気をつけたいのは「これはサービスの+20%ですよ」ということを相手にきちんと知らせておくことです。
もちろん、このままの言い方はしません(笑)。
言い方は難しいですが、たとえば「これは普段は受けていないんですが、応援したい気持ちが強いので今回はやらせていただきます」と伝えたり、関係性次第では「じゃあ今回はオマケでやりますね!」と言っちゃうこともあります。
こんなにサラッと伝えただけで「なんの意味があるの?」と思うかもしれませんが、なぜこれが大事かというと「100%」の再確認をすることにも繋がるからです。
自分としては「+20%」でやった仕事が、相手は「100%」の中のことだと思っていたら地獄です。なので、「これはプラスαですよ」と言葉にすることで、「100%はもう完了してますよ」ということも暗に伝えます。
ここでコミュニケーションに違和感があれば「100%」の認識がズレているかもしれないので、早急に擦り合わせることでトラブル防止にも繋がります。
また、仮に相手が「+20%」の仕事だと認識したとしても、それに価値を感じるかどうかは別問題です。
せっかくサービスでやっても、相手が求めていないのなら意味がありません。私は「これはサービスですよ」と伝えた時の相手の反応を見て、喜んでくれていそうならその後も継続、あまり価値を感じていなさそうならその後は別の「+20%」に変えてみたり、「100%」で終わるようにしています。
せっかく一緒に仕事をするのなら、感謝し合ってスッキリとした気持ちで取り組みたいところ。「ちゃんとクライアントの役に立てているかな?」「金額分の仕事をしてもらえてるのかな?」とお互いに不安になってはもったいない。
「100%」と「20%」を切り分けて考えることで、気持ちも時間もメリハリがつきやすくなると感じます。ぜひ、みかさんも試してみてください!
坪井安奈(つぼいあんな)●パラレルキャリア9年目。新卒で入社した小学館を25歳で辞め、ベンチャー企業やスタートアップ、海外(シンガポール)法人などで働いた後、個人事業主として独立。現在は、編集者/タレント/企業広報をツールに、伝え手として活動中。