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複業で始めた「コーチング」がキャリアの軸に。鈴木麻理子さんが人生3回目の転職を決めたワケ

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複業として数年取り組んできた「コーチング」がキャリアの軸にーー。人材大手のビズリーチなどで事業企画や人事の経験を積んだ鈴木麻理子さんは、コーチと利用者のマッチングプラットフォームをメイン事業とするスタートアップ「mento」への転職を決めました。自身3回目の転職にかける思い、そしてキャリアチェンジを決意するほどに鈴木さんを魅了した、コーチングの魅力とは……?

安定を手放す不安より、ワクワクのほうがずっと大きい!

――コーチングを軸として、今年8月に新しいキャリアをスタートされたそうですね。

はい。Visionalグループを退職し、mento」に移りました。コーチングって、経営者やいわゆる「意識高い系の人たち」がやるものと誤解されがちですが、そうじゃないんです。誰もが日常的にコーチングを受ける環境になれば、もっとみんなの毎日が豊かになる。そういう世の中にしていきたいです。

コーチングとの出会いは2017年。ビズリーチで、人事部門のマネージャーをしていたときのことです。マネージャー向けの研修の一環で、プロコーチのコーチングを受けられる機会がありました。

――コーチングのどんなところを魅力に感じたのでしょうか

そのコーチングセッションの中で、自分の人生にとって大事なものが何なのか気づくことがあり、衝撃を受けました。うすうす気づきつつもずっと目を背けてきた課題と向き合うことができたんです。もちろん、その問題がすぐに解決したわけではありません。でも、自分の内面とまっすぐ向き合う勇気が持てて、人生がより充実した! という感覚がありました。抱え込んでいた問題も自分の一部であり、私らしさなんだなと思えて、すっきりしたのも覚えています。自分らしさを探求し、自信を持って意思決定できるように伴走してくれるところが、コーチングの魅力だと思います。

それで「私と同じような悩みを抱えている人たちにも、コーチングの存在を知ってほしい! 自分らしさを受け入れて、主観的に幸福な状態でいられる人を増やしたい!」と思うようになりました。業務外の時間にコーチングスクールに通って勉強し、2021年初頭にプロコーチの資格を取りました。

――それにしても、mentoへの転職は大きな決断だったのでは?

2021年の秋にmentoを知って、私自身がコーチとして登録し、複業として活動していました。でも、私一人が世の中に提供できる価値は限られています。コーチングの魅力を広めるためには、mentoのようなマッチングサービスが有効。私もその力になりたいと思いました。

また、Visionalグループで新規事業に関わった経験が大きな糧になっています。もう一度、自分が心から共感する事業づくりにチャレンジしたいなあと思っていたところ、mentoから声をかけてもらったので、ジョインを決めました。新しい挑戦を前に、今とてもワクワクしています!

――Visionalという、業界大手の「安定」を手放すことに、抵抗はありませんでしたか?

「自分が成したいこと・チャレンジしたい領域はここだ!」という直感を信じることにしました。このご縁に飛び込まないと、いずれ後悔するのではないかと思ったんです。“安定”は、相対的な概念ですよね。それよりも自分らしい意思決定をしようと思いました。

人生の幸せってつまり、「ああ、幸せだなあ」と思える時間の総量だと思います。だから私らしい意思決定を積み重ねて、毎日を大事に、健全に過ごしていきたい。そう思い、コーチングでキャリアを積んでいく決断をしました。私もこれまで、他人と比べてできていない部分に苦しんだことは、何度もあります。情報量が多い今の時代、特にそうなりがちですよね。でも私は、苦しさじゃなくて幸せのほうに目を向けたい。こう思えるようになったのも、毎月プロコーチのコーチングを受けたからかもしれません(笑)。

その場で価値を発揮できるという、企業研修の面白さ

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mentoの仲間たちと(鈴木さんは右から2人目)。

――鈴木さんは過去にも、2回転職されています。まずは新卒で三井住友海上保険に入社されました。

私が大学を卒業したのは、就職氷河期の終わりごろ。三井住友海上保険に5年半ほど勤めました。そのときに受けた外部研修で大きな気づきがあり、自分と同じように一生懸命頑張って働いている人の成長に貢献できるような仕事に関わりたい! と思い、当時まだ100人規模のベンチャーだったインソースに転職したんです。

小難しい理論は入れず、実践的な内容を大事にするインソースの理念に共感しました。いわゆるキャリアアップはまったく考えておらず、それよりも心からやりたいことに突き進みたい! と思ったことを覚えています。

――入社してみて、どうでしたか?

職種は一貫して営業でしたが、保険とは商品の性質がまるで違います。インソースでは研修を導入してくれたお客さんの現場に同行することが多く、実際に研修を受けた人が喜んでいたり、「実践するイメージが湧きました!」と言ってくれたりするのがうれしかったです。

それに、保険は不測の事態に備えるものなので、価値を発揮するのは「何か悪いこと、想定外の何かが起きたとき」。企業研修は、その場ですぐに価値を発揮できるという面白さもありました。

家事と育児だけの毎日が物足りず、フリーランスに

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北海道の星野リゾート「トマム ザ・タワー」にて。仲良し親子!

――それほどやりがいを感じていたインソースを、退職されたのはなぜでしたか?

出産がきっかけです。もともとは育休を経て復職する予定でしたが、産後にふと20代を振り返ってみると、我ながら働き詰めだったなあと(笑)。少し違う生活をしたいと思い……インソースは本当にいい会社で大好きだったので、悩みましたが退職を決めました。 

でもしばらく経つと、家事や育児だけで過ぎていく毎日が、だんだん物足りなくなってきたんです。私、きっと心から仕事が好きなんですね(笑)。それでフリーランスとして、市場調査のサポート業務を始めました。

――フリーランスで! すごい行動力ですね。

面白い仕事でしたが、在宅で事務職のフリーランスですから、大人と会話する機会がとても少ないんです。私は誰かとコミュニケーションすることが好きなので、それができない息苦しさがありました。例えば納期のプレッシャーや日々のちょっとしたつまづきも、1人で解決しないといけないのが辛く。環境を変えようと派遣社員に登録したところ、派遣された先がビズリーチの事業企画部だったんです。

働きはじめてすぐにビズリーチのことが好きになって、手を挙げて正社員になりました。その後、人事企画部に異動。人事は未経験ながら、急成長する組織の中で貴重な経験を積むことができました。インソースでの経験も社員向け研修などで生かすことができ、仕事を通じて「第一線で頑張っている人たちが能力を最大限発揮できるように支援したい」という私が大事にしている思いも、少しは発揮できたのかなと思います。

そして20215月、傘下のビジョナル・インキュベーションに異動。HRBPとして、1030人規模の事業部に寄り添って機動的に動く面白さを知りました。現場のことが解像度高く見えるし、人事を長期・短期の両方の視点で考える経験を、Visionalという1つのグループ内でさせてもらえたのはとても貴重な経験でした!

プログラミングという新しい世界に飛び込んだ結果、見えたもの

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娘さんと、イベント「東京レインボープライド」に参加!

――ビズリーチにいた当時、コーチングに出会われたわけですね。さらにもう1つ、このころ「ノンプロ研」(ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会とも出会われたとか。

プログラミングに挑戦しようと思ったきっかけは、ルーティンワークを自動化・効率化したいと思ったことです。調べたところ、GASGoogle Apps Script)という言語が便利らしいと知って。素人が原理原則を理解しないまま部分的にかじるよりも、詳しい人に体系的に教えてもらって学ぶほうがずっと効率的だろうと思い、ノンプロ研への入会を決めました。

ノンプロ研は、学ぶ意欲を持って自ら学ぶ人たちが集まる場。わからないことがあれば講師や仲間たちが親身になって教えてくれるので、超初心者でも安心して飛び込んでいけました。学ぶことの習慣づけもでき、簡単なツールは自分で作れるようになりました。食わず嫌いせずに、自発的に新しい世界にチャレンジしてみて本当によかったです!

――大人が200人以上集まって、日々勉強する……すごい組織ですね。

皆さんとにかく勉強熱心で、その姿勢に触発されますね。学ぶ原動力をもらえますし、家庭でも職場でもない「サードプレイス」を持つことは刺激になると思います。また、人は組織や他人との関係性の中で学び、成長していくものだと改めて感じました。

――別会社への異動に、コーチングに、プログラミングに……ともりもりですが、家庭のことはどうやって回していたんですか?

時間的は限られていますから、すべてを完璧にこなすのは無理だと割り切りました。夫婦での分担はもちろん、ベビーシッターや家事代行など、外部をうまく頼りながら切り抜けました。

――鈴木さんの、今後の目標を教えてください!

まずはmentoで、コーチングを通じて、夢中に生きられる人を増やしていきたいです。そしてこれからも、副業としてコーチングを続けていきます。1つのコミュニティだけに属していると視野が狭くなりがちだけど、複業で全然違う環境に身を置くことで吸収できることはすごく多いので。私なりに、私らしいやり方で、貢献していけたらと思っています。

鈴木麻理子(すずきまりこ)●大学卒業後、三井住友海上火災保険株式会社、株式会社インソース(社会人向け研修事業)、フリーランス(市場調査)を経て、2017年に株式会社ビズリーチに入社。ビズリーチ事業の事業企画を経験した後、人事企画部に異動。人事企画・人材開発・組織開発のマネージャーを経験し、2021年5月、Visionalグループで新規事業開発をしているビジョナル・インキュベーション株式会社 社長室へ異動し、人事・採用・管理系全般を担う。2022年8月に、個人・法人向けコーチングサービスを運営している株式会社mentoへ入社。小学生の娘を持つ一児の母。

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さくら もえ
Writer さくら もえ

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