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上場企業役員の「男性育休」体験レポ。取ってみてわかった「夫婦で育児をスタート」させるメリット

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前回、育休取得前に男性育休の課題感などを話してくれた、トレンダーズ株式会社で執行役員を務める野中祥平さん。先日晴れて職場復帰された野中さんに、実際の育休取得中に感じたことや復帰されてからの生活など、生の声を聞きました!

ミルクはシフト制で2人の睡眠時間を確保

――まずは、無事出産・復職おめでとうございます! 早速、野中さんが実際に取得した男性育休の流れを教えてもらえますか?

はい。私は予定日の1週間少し前から休むことにしていたので、有休も併せて活用しました。ちょうど予定日1週間前に出産したので、そこから配偶者特別休暇を取得し、その後育休を取得という流れでしたね。トータルで1.5か月ほどお休みしていました。

――育休中の生活はどうでしたか?

実は子どもが産後数週間入院していたので、初期は妻の産後ケアに専念していました。その間は、家から出られない療養期間だったので、私が妻の分も3食用意していました。育休を取得していたからこそ、夫の私がゆったりとどっしりと余裕をもって過ごせたので良かったなと思います。

――予想外のことが起こっても、夫婦で話せる時間がゆっくり持てるのはうれしいことですね。お子さんが退院されてから生活は一変しましたか?

そうですね。息子が退院後は一緒に育児全般やっていました。妻に寝てほしかったので、交換シフト制を組んで夜中の3時、朝方6時のミルクを私が担当するなどして工夫していましたね。

のなさん育休

――ミルクのシフト制! 新しいですね。1日の流れを教えていただけますか?

6時のミルクで子どもと一緒に起きて私がミルクをあげて、妻が7~8時に起きてくるので、それまでは私が見ます。そして、一緒に朝食を食べて、洗い物など家事全般をします。9時のミルクは手が空いている方がして、1011時くらいに余裕があれば近所を散歩したり、どっちかが買い物に行ったりして、12時のミルク。そのあと自分たちのご飯を食べて、午後は少し空いているので、買い物に行ったり、出かけたり、整体に行ったり。交代でひとり時間を作ったりもしていました。17時前後にお風呂に入れて、その間にどちらかが夕飯を作って、18時くらいにご飯を食べて、子どもは運よくすぐ寝てくれるほうなので、また20~21時くらいは、フリータイムとして猫と遊んだりしていました。

――タイミングをずらしてお互いの睡眠時間を確保したり、フリーの時間がとれたりするのは2人で育児ができるからこそですね!

育児が始まって最初の2日間くらいは、2人で夜中も寝て起きて、を繰り返していたのですが、2人とも睡眠不足になりそうだったので、「どちらかはちゃんと寝よう」となり、時間をずらすようになりました。

――かなり早いタイミングでシフト制のシステムを構築したんですね!

そうですね。基本的にすべて一緒にできるようにしていました。料理は生まれてから1ヶ月は毎日私が作っていましたが、妻のほうが得意なので、だんだんと私がお風呂担当で、妻がその間に作るという感じになりました()

すれ違っても情報共有&話し合いで解決

――特に大変だったこととか、予想外だったことはありましたか?

育休期間中は仕事がほぼ0だったので、その空いた時間であれこれ考えたいなと思っていたんです。ですが、思っていたより小間切れの時間しかなく、両手があく時間がほとんどない。読書や考えごと、アイディア出しなどもできず、基本は受け身でドラマや映画を観たりしかできなかったことですね。意外と時間が取れないんだなっていうことが個人的には予想外でしたね。

のなさん育休

――やってみると意外とまとまった時間ってないですよね。気づいたらまた夕方になっている……。みたいな()

はい。意外と時間は全然なかったですね。ミルクあげて、おむつ替えて、たまに吐き戻すから着替えてってやっていたら、いつの間にかまたおなかが空いてまたミルク……。特に何も生み出さないけどなんか忙しいみたいな()。思ったよりも大変というよりは、あっという間に時間が過ぎていくという感じでした。あれをやろう、これをやろうっていうモードにはなれないかなと思います。かわりにミルク中にYouTubeをみたり、オーディオブックを聴いたりして「ながら学習」する力はつきました()

――確かに、「ながら学習」は育休中のママパパにはうってつけかもしれないですね。ほかになにか育児で工夫していたことなどありますか?

先ほどのミルクのシフト制と一緒に、夜中のミルクシステムを構築し、ベッドから出ないで授乳できるように哺乳瓶3本、魔法瓶でお湯と冷水のセットを用意して枕元に置いていました。あとは、オフィシャル情報や育児書に書いていない、SNSなどの生の情報も役に立ちましたね。私は面倒臭くてオフィシャルな情報しか勉強していなかったので、妻がいろいろと情報を仕入れていて夫婦で情報格差が生まれてしまって落ち込むこともありました()

――情報量とか「気づき」の差ってありますよね。

そうなんです。なので、向こうが当たり前って思ってやっていることに対して、それはどういう意図でやっているのか聞くようにしていました。そうすると私が持っていない情報に基づいて判断して行っていることもあったりするので気づきになったり。私はカーテンを閉めて寝たいタイプなんですけど、妻としては自然光で起こさせたいからカーテンを開けておきたいとか……()。育休期間中、喧嘩という喧嘩はなかったのですが、いろいろなギャップが生まれたので都度共有して軌道修正していました。

――でも、すれ違ったらちゃんと確認しながらコミュニケーションをとっているのが素敵ですね。夫婦の関係性に変化は感じましたか? 

より家族を意識するようになった気がします。もともと猫と僕と妻と3人家族だったところに生き物が4人になって、ファミリー感が出たというか。お世話対象が「猫」から「猫と赤ちゃん」になったので、「猫と僕」とか「猫と赤ちゃん」という交差する線が増えたことで、家族のつながりをより意識するようになった気がします。妻が猫と遊んでいる時も、楽しそうだなと思って見ていたり、猫もこっちに寄り添ってくる態度がちょっと変わったりしているので、私と妻の関係性はあまり変わっていないような気はしつつも、家族という単位を意識するようになりましたね。

のなさん育休

――家族のつながりっていいですね。

そうですね。あとは、育児の工夫としては、ミルクやおむつ替えの時間をアプリで記録してお互いの行動がわかるようにしたりしました。

――たしかに、2人で育児をするとなると細かい情報共有も必須ですね。

はい。ウンチが何回出たとか、夜中に起きて前回のミルクの時間を把握できたのもよかったですね。今までのデータが可視化できるので、「だんだん120ml飲めるようになってきたね」とかそういう共通の会話ができたのが良かったです。

――毎日近くで見ている人にしかわからない小さな喜びを夫婦でシェアができるっていいですね。野中さんは育休中の息抜きはどんなことをしていましたか?

アクアリウムを作り始めました。育休期間中に何か趣味を増やそうと思って調べたら、家で手軽にできる趣味の一つみたいな感じだったので。近所のホームセンターで、丸い水槽に、水草を植えて、砂を入れて、妻が買ってきてくれた金魚を一匹入れました。草は種をまくところから始めたんで、2〜3週間かけて水草を育てたあとに魚入れて、という過程も面白かったです。

アクアリウム

――赤ちゃん以外にも新しく育て始めたのですね()

はい。時間があったので種からやりました()。何か新しいことをしたくなって、草を育てようってなって、草を育てたなら、何か入れようよってなって、魚を入れました。アクアリウムの世界は奥が深くて、情報収集して考えながらつくる作業が楽しかったです。

――夫婦で趣味を持つって楽しそうですね。

夫婦でといえば、BTSにもハマりました。最初は妻が好きで私も隣で見ているくらいだったんですけど、いつの間にか一緒にハマってアルバムも買って毎日聴いています()

組織では「自分がいないととできないこと」を言語化

――楽しみや息抜きがあると、仕事も育児も頑張ろうってなりますよね。復帰されてからは、どんな感じで働かれていますか?

週3〜4日くらい出社してます。もともとは週1出社くらい割合にしていたのですが、赤ちゃんが泣いていても何もできない罪悪感がありますし、気になってしまうので日中は一旦育児から離れて仕事に集中して、早めに切り上げて帰ってくるほうが自分には合っているなと思って出社するスタイルにしています。あとは、新しく入ってくる人も多かったので、出社してできる限りコミュニケーションをとれたらと思っていました。リモートの日は、赤ちゃんが泣いていてもあまり音を拾わないZoomの設定とヘッドセットを使うなどしています。

のなさん育休

――今まで一緒に育児をしていただけに気になりますよね。育休明けで何か変わったことはありますか? 

ちょうど1ヶ月半くらい休んで、私がいない間どうだったかヒアリングをして自分がいないとできないことを改めて言語化して、自分が今後何に注力していくのか課題設定をして社長に報告しました。いないからこそ、気づけた会社の事業の課題もあり、40人くらいのチームですが、今後の組織や環境をどうしていくかを考えるいい機会になりました。

――今後、男性育休を増やすためにはどうしたらいいと思いますか?

取得した人が体験談を広げることは必要だと思います。私も本を読んで、自分とは環境は全然違うけど、いろいろなパターンがあることを知ることができたのは良かったと思っています。

あと、私としては社内の女性メンバーにもこういう取り組み方があるとか見てほしかったんで、週報で発信したり、男性だけではなく「女性側がどういう男性育休をとってくれるとありがたいのか」を考えるきっかけになれたらな思いました。パートナーに「取ってよ」と言うだけだとどう取っていいのかわからなかったり、それで喜ばれるのかが男性的にイメージができないことも多いと思います。「1ヶ月とるとどれくらい助かって、1週間だとあんまり助からない」とかも、わからなかったりますよね。

――女性側が男性育休の良さそうなパターンを知っておくことは大事ですね。初めてだとそれすらもわからないので、野中さんみたいに発信してくれる人が増えるとイメージしやすくなるかもしれませんね。

そうですね。あと私が育休をとる前のイメージでは、育休をまったくとらない人か仕事を完全にストップしてとる人かの2択に見えたので、今回自分がやった育休みたいに「基本は働かないけど時々オンラインで話せる」のような、0か100じゃない育休の取り方の事例とかももう少し普及してもいいのかなと思いました。

――そうですね。極端すぎて男性育休をとるのは勇気がいりますもんね。 

結果、その期間に何の相談もなくて逆に寂しかったんですけど()

――今回、実際に育休を取得してみて良かったことは何でしょう?

いちばんは一緒にスタートラインに立てたことはですね。妻のほうが情報収集してスピードが速いのでキャッチアップ大変なんですけど、「今日80ミルク飲めたね」とか、妻1人での育児ならうしろで見てるだけになってしまったであろう子どもの成長を一緒に喜べたりとか、「この問題はこうすると改善しそうだね」とか、夫婦で話しながら初期の育児を経験できたのは貴重な経験でした。

――スタートが違いすぎると、だんだん期待されなくなっちゃうパターンもありますよね。

妻の成長も横で見ながら、自分もそれを見よう見まねで一緒にできるように必死になれたので、本当にそこが一番の収穫だったと思います。育休とると決めなかったら組織の仕組み化も進められていなかったと思いますし、チームのみんなもすごい協力してくれたので本当に感謝しています。

のなさん育休

――いいことずくめですね。これから育休取得する男性やそのパートナーにアドバイスをお願いします!

育休をとってみてより思ったのが「ゴール設定」が大事だなということ。なんとなく「育休」というワードだと「育児を手伝う」雰囲気がありますが、産後クライシスや産後鬱などの「産後ケア」を含めると「手伝う」という意識では足りないんです。

私自身、前回のインタビューを受けた時点で男性育休が大事だとわかってはいたのですが、「奥さんをたくさん寝られるようにしてあげたい」とか「自分がここまでできるようにならなきゃいけないな」とか具体的なゴールを決めてからは、より自分がやるべきことが明確になって動きやすくなりました。妻と一緒に育児全般をやれていたおかげで、育休中には調乳もおむつ替えもお風呂も一通りできるようになって、いざとなったら妻が1人で出かけても1日、2日くらいは任せて! と言えるところまで成長できたのもうれしいことですね。


野中祥平(のなかしょうへい) ●トレンダーズ株式会社 MimiTV Div.執行役員。美容マーケティング&美容メディアの領域で、500万フォロワーを獲得する「Mimi4_TV」事業統括を務める。慶応SFC時代に勉強本出版、6万部発行。化粧品検定1級、プロコーチの資格を保有。『今は常識ではないけど近い未来に常識になること』を創りたい人を応援することを信念としている。

野中さんの「男性育休」第一弾の記事はコチラ

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杉森 有規
Writer 杉森 有規

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