Paranaviトップ お仕事 起業/独立 「気づいたら、“手帳以上の手帳”ができあがっていたんです」安藤美玖さん流・プロジェクト成功の秘密

「気づいたら、“手帳以上の手帳”ができあがっていたんです」安藤美玖さん流・プロジェクト成功の秘密

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「昨日より今日のわたしが輝く手帳」をコンセプトに、新事業「Me手帳」をスタートした安藤美玖(以下、みく)さん。2022年10月にはクラウドファンディングを実施し、開始から24時間で目標額の300万円を達成(!)、12月現在で総額1300万円超と大成功を収めています。「Me手帳」は、いろいろな問いやワークを通して自分の心に向き合い、自信を持って自分のための人生を歩めるようになるという斬新な手帳。今回、みくさんが見つけたプロジェクトの進め方やチームの作り方、そして「Me手帳」成功の裏側を聞きました。

アナログの良さを生かした手帳を作ろうと思った

――みくさんがMe手帳を作り始めたきっかけは何だったんですか?

私は昔から、頭の中を整理したいとき「紙に書く」ことでスッキリさせてきました。自分の目標をはっきりさせたいとき、実現に向けた道筋を見つけたいとき、モヤモヤの正体がわからないとき……デジタルよりもアナログの力を借りて、人生に向き合ってきました。

自分の心と向き合い、理想の未来を叶えていく。それを叶えるいちばんいい形が、手帳だったんです。手帳といえば、スケジュール管理用のツールというイメージですよね。そうじゃなく、「自分の心と向き合い、自分らしく生きていくヒントが見つかる」をコンセプトにした新しい手帳を作りたいと思ったんです。

――手帳を通して、自分の人生を生きられる人を増やしたいという思いだったんですね。

はい。さらに、手帳を使ってくれる方々同士のつながりを生み出したいなと。私の中で転機になったのは、2021年に女性向けオンラインキャリアスクール「ICORE」(イコア)を創業したことでした。ICOREは少人数向けのスクールなので、もっと多くの方に、つながる楽しさを届けられたら……と、どんどん夢が膨らんでいきました。

とはいえ、手帳の作り方なんてまったくわからなくて。メーカーに問い合わせて、個人でも手帳を作れるんだと知った瞬間「やってみよう!」と決意しました。改めて思い返すと、2022年は激動の1年でしたね。Me手帳やICOREを通して、私のやりたいことがどんどん具体化されていった1年でした。

――みくさんは、書くことを今も続けているんですか?

はい! 何かモヤっとしたときや中長期のスケジュールを立てるときは、必ず紙に書いて整理しています。「書く」という動作が入るからか、リアリティが湧いてきて、夢が実現するスピードが加速するんです。

実際、ハーバード大学に「目標を紙に書いている人」「目標はあるが、紙には書いていない人」「そもそも目標を立てていない人」それぞれの10年後を追跡した研究があります。「目標を紙に書いている人」は、それ以外の人たちの約10倍の年収を得ていたそうです。納得!

仲間と一緒なら、高い山にも登れると思った

安藤美玖さん

Me手帳がこちら!シチュエーションを選ばない、シンプルで洗練されたデザイン。

――大成功を収めた、Me手帳のプロジェクト。初期はどんなステップがあったのでしょうか。

私が最初に立てた数値目標は「Me手帳を、1,000人に届ける」でした。でも不特定多数の1,000人に私の考えに共感してもらい、手帳を手に取ってもらうのはすごく難しい。どうやったら実現できる? と考えた結果、「仲間とチームを組もう!」と思いました。みんなと一緒なら、高い山に登れるんじゃないかなと。

――1からチームを組むのは難しいですよね。どうやって人を集めたんですか?

2021年12月、SNSでフォロワーさんに「どんな手帳がほしい?」「スケジュール管理、どうしてる?」ってアンケートを取りました。それと合わせてチームメンバーを募集したところ、120人以上が応募してくれて。その中から、私の弱みを補えるスキルがあり、かつ近い価値観を持っていそうな20人に声をかけてチームを組みました。

20人の選定は苦労しましたが、候補者のみなさんに「どんな手帳にしたい?」「ビジョンに共感してくれている?」など、プロジェクトに対する意気込みや個人の向かいたい未来をヒアリングして決めました。これが、Me手帳チームのスタートです。

――初対面の20人をマネジメントするなんて、リーダーの力量が問われますね……!

正直、「大変なことになっちゃった、どうしよう!」と思いました(笑)。当時の私は、マネジメント経験がほぼ0。一気に20人、しかもほぼ全員が初対面という状態からチームを作り上げるって、すごく難しいことでした。

とりあえず、20人を4つのチームに分けて、それぞれのチームでリーダーを任命して進めていきました。私はマネジメントと、SNSなどでの情報発信に注力。そうして走り出したのが、20222月のことでした。

メンバー全員が「自分を主語にして考える」チームを目指した

安藤美玖さん

チームメンバーとは、1対1でこまめにコミュニケーションを取りながら進めてきました!

――マネジメントする中で、みくさんが大事にしたのはどんなことですか?

最優先したのは、全員が主体性を持って関わってくれる関係性作り。全員が自分を主語に「私のMe手帳」って思ってくれるようなチームを作って、絶対に全員で最後まで走り切ろう! と決めました。逆に、メンバーに「みくさんのプロジェクト」って思われたら、失敗するなと思いました。

具体的には、メンバー一人ひとりの話を傾聴するところから始めました。Me手帳への思いはもちろん、どんな人生を歩みたいか、どういう風に生きていきたいかじっくり聞いて、Me手帳との共通点を探りながら、みんなの強みを引き出していきました。コーチングのスキルがここで生きたなあと思います。

――難しい局面はありませんでしたか?

一部には「私、あんまり貢献できていないかも」と自信をなくしちゃう子や、周りとのスキルの差を感じて疎外感を持ってしまうメンバーもいました。そういうメンバーには、少し難易度の高い役割をお願いして、責任の幅を広げるように工夫しました。誰でも、与えられた役割を全うすることで自分の価値を見出していけるかなと。

その後はこまめに連絡を取って、何か壁に当たっていないか? タスクの目的が見失われていないか? などを確認していました。一貫して「フラットな組織にすること」を強く意識していたことが、メンバーの主体性につながったと思います。結果的に、20人全員で走りきることができました!

クラファン終了後、1週間ベッドから起き上がれなかった

安藤美玖さん

仲間と一緒にやり遂げたからこそ、得られたものがたくさんあります!

――2022年2月にチームを組んでから、ずっとハードな毎日だったんじゃないでしょうか?

週に6日、朝9時に始業して、終業は深夜12時という生活でした。永遠に走り続けるランナー状態(笑)。Me手帳の購買者さんに直接お礼を伝えることだけは、絶対に欠かさずやりました。

忙しい中でもモチベーションを維持できたのは、完全に仲間のおかげですね。みんなが、私以上にMe手帳を自分ごと化して、主体的に関わってくれたので、逆に力をもらう日々でした。

――心身にストレスを感じたことはありませんでしたか?

すべてが終わってから「セルフケアが全然足りていなかった!」と気づきました。クラファン終了後は1週間くらい、ベッドから起き上がれなくて(笑)。生まれて初めて「スマホもPCも見たくない……」という感情になりました。ずっと全力で突っ走り続けて、完全にバッテリー切れした感じです。

アドレナリンが出ているときこそ、意識してセルフケアしないとダメですね。私は週に1日はちゃんと休みを取っていましたが、毎日の息抜きもないがしろにしちゃいけないとつくづく感じました。反省点です!

――みくさんの、責任感の強さが伝わってくるエピソードです。

私はある意味、リーダーっぽくないリーダーだと思います。Me手帳のプロジェクトでは、リーダーとしてわざと弱いところを見せて、みんなに自己開示するようにしていました。そもそもMe手帳のコンセプトは「自分の心と向き合う」。だからまずは、リーダーが心の鎧を脱ぐのが大事かなと。

苦手な分野は「私にはできないから、誰かお願い!」ってさらけ出して、オープンな状況を作るのが大事だと思います。せっかくのチームだから、一人ひとり違う良さや強みを100%生かしたいし、感謝を伝え合いたい。これこそが、チームである醍醐味だとも思うんです。

何よりも仲間を信じ切ることが大事だと気づいた

安藤美玖さん

Me手帳では、セルフコーチングや7つのオリジナルワークを通じて、理想の未来に近づいていきます。

――1年前までマネジメント未経験者だったとは思えない、みくさん流・リーダー論ですね。

私実は、誰かに仕事を頼むのが苦手なんです。誰かと一緒にやるよりも、自分1人で片付けるほうが手っ取り早いから(笑)、全部自分でやっちゃう派でした。でも、全部を自分でやるなんて絶対無理だし、何よりも仲間を信じ切ることが大事だって、Me手帳を通して気づけました。チームにとっても私にとっても、成長の鍵はここにあったと思います。

――メンバーのみなさんからの声は、どんなものがありましたか?

フォトグラファーとして活躍しているメンバーから「人間として自信がついた」と言われたのが印象的でした。ほかの仕事で以前、「私自身ではなく、写真撮影のスキルだけを求められている」と感じて、落ち込んでしまった経験があるそうです。今回、Me手帳のプロジェクトでは、自分の存在そのものが求められていると感じて、自己効力感が上がったと。

ほかには「このプロジェクトを走り切れた達成感は何にも替えがたいです」「初めて、自分の強みがわかりました」というメンバーもいました。

――今後、どう展開していきますか?

Me手帳を使ってくださるみなさんの「愛あるつながり」を、もっと強く太くしていきたいです。Me手帳は、自分らしく生きるためのアイテムであり、かつ同じ考えを持ち共感しあえる人たちとつながるきっかけでもあるんです。

「何を買うか」は、つまり「何に共感したか」の現れですよね。クラファンが成功したのも、みなさんが共感してくださったから。逆に、手帳を大量生産して不特定多数の方々に届けることは考えていません。「手帳だけど手帳じゃない何か」として、独自の存在になっていけたらと思います。

安藤美玖(あんどうみく)●1991年、愛知県生。大学卒業後、株式会社デンソーへ入社。夫の海外駐在でキャリアを失い自分の今後の働き方に悩む。ライフステージの変化において人生やキャリアを諦めたくないと一念発起し、帰国後は本業の傍ら4つの複業を経て独立。女性がライフステージの変化においても自分の人生を諦めず、自分らしい生き方・働き方を追求できる世の中を創りたいという思いから、2021年に女性向けオンラインキャリアスクール株式会社ICOREを創業。TEDxNagoyaU・大学のキャリア授業など講演家としても活動。国内最大の音声プラットフォームVoicyにて「アラサー女性の元気が出るラジオ」配信中。

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さくら もえ
Writer さくら もえ

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