「ワーママって大変」と聞くたびに、気になることって沢山ありますよね。「働きながら子育て、実際はどんな生活?」……疑問は尽きません。この連載では、小・中学受験をテーマにした小説「天現寺ウォーズ」「御三家ウォーズ」の作者で2児の母である佐野倫子が、取材や実体験をもとに、働くママから寄せられた疑問について一緒に考えていきたいと思います。
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長男が年中さんの秋、ママ友に「ランドセルもう決めた?」と訊かれ…
みなさんは、「ラン活」という言葉を耳にしたことはありますか?
ランドセルを選んで購入する活動、つまり「親子にぴったりのランドセルをゲットする」ためのアレコレ。私がこの言葉をはじめて意識したのは、現在5年生の長男が年中さんの秋。情報通のママから「ランドセルもう決めた?」と訊かれたことはなかなか衝撃でした。
「ランドセルって、デパートでいつでも売ってるよね……?」と、私は昭和なイメージを抱いていましたが、最近ではランドセルも販売方法も多様化している模様。これから「ラン活」に参戦するかもしれない皆さんに、せっかく2回のラン活で得た、お子様にぴったりのランドセルを選ぶための予備知識とポイントを共有できたらと思います。
おおまかに工房系、大手専門メーカー系、ファッションブランド系
ランドセルは、作り手によって予約・販売時期や方法が異なります。
近年の「ラン活」ブームに拍車をかけたのが、比較的小規模な専門メーカー、いわゆる「工房系」と呼ばれる鞄メーカーの存在。「土屋鞄」や「鞄工房山本」などは、ランドセルに関して調べ始めると人気工房としてすぐに認識すると思います。
これらのランドセルは、注文を受けてから半年〜1年ほどかけて職人さんが縫製するところも多く、受注数に限りがあります。結果的に、入学式の1年ほど前に予約を締め切ってしまうところが出現しました。
また、テレビCMでもよく目にする「セイバン」や「ふわりぃランドセル」などの大手ランドセルメーカーも、近年では年長さんのゴールデンウィーク時期から商戦を盛り上げてくるので、ランドセルを検討する時期は少しずつ早まってきた経緯があります。
ファッションブランド系は、たとえば「ナイキ」や「ミキハウス」「ラルフローレン」などの有名ブランドが手がけるスタイリッシュなシリーズ。ロゴやカラーに特徴があるものも多く、「一目惚れでした!」とおっしゃる方もいる個性が魅力です。路面店や百貨店で、比較的オールシーズン手に入りますが、中には限定のため売り切れてしまうカラーやモデルもあります。
いざ、ランドセルを選ぶときの重要ポイント3つ
実際に背負ってみたフィット感
ランドセルの重量はコードバンなどの超高級素材で1400gほど、牛革で1200gほど、クラリーノ(合成皮革)で1100gほど、超軽量にこだわったモデルで1000gほどです。
しかし、私がラン活で気づいたのは、「実際に背負ったときの重量感は、フィット感やバンドの幅、固さなどに左右される」ということ。最近のランドセルはとってもよく研究されていて、肩当てがあったり、背中に凹凸があったり、底部分に傾斜板を入れて、重心が体に近くなるように設計されていたりと、工夫が施されています。
お子様の体型にも関係すると思いますので、ぜひ実物を背負ってみることをオススメします。
6年間背負うので、アフターケアがあると安心
大手メーカーや工房系の多くは、万が一壊れてしまったときに場合によっては無償修理や、修理期間中はランドセルを貸してくれるなどのサービスがついています。頑丈に作られているのでそうそう壊れないと思いますが、お子さんが毎日使うもの。金具周辺に不具合が起こることもあるので、ぜひ保証も確認してみてください。
価格も素材もさまざま
ランドセルの素材は、コードバン(馬革)、牛革、クラリーノ(合成皮革)が一般的。もっとも高額なのがコードバンで、10~20万円のものも! 革が希少なので、値段もお高くなります。すべすべ、ひんやりした感触が高級感を醸し出していました。少々、重めのモデルが多い印象です。
一般的なのは牛革で、耐久性に優れ、多少傷がついても風合いとなり、理想的でしょう。価格は幅広く、4~8万円がメインです。我が家の長男はこちらを選びました。デザインもたくさんでているので、きっと気に入ったものが見つかるはず。少々水分に弱いので、雨に濡れたらさっとふき取る必要があります。……もっとも我が家ではそんなことをした記憶はないのですが、5年経っても問題なく使えています。気になる方はカバーをつけるという手もあります。
そして人工皮革であるクラリーノ。3~7万円くらいがメインです。場合によっては同メーカーでも牛革より高額なモデルもありました。何回か売り場の方に質問したのですが「牛革とクラリーノはお好みで決めてOKだと思います」とのこと。軽量化モデルも多く、耐久性も抜群。我が家の次男は小学校が途中から移転予定で遠くなるので、軽さを重視してクラリーノにしました。水分も弾くし、加工が丈夫で1年経ってもぴかぴかです。
「ラン活」は年中さんの終わりごろからスタート
予備知識を頭に入れたら、あとは実物を見るのがおススメ。調べてみたところ、2023年の動きは、年中さんの最後、3月頃から展示会や予約が始まるところが多いようです。春休みなどの長期休暇に家族で選べるように、メーカー側も意識しているのでしょう。
例年、ピークは夏休み頃。この時期になると、工房系などでは予約を締め切ってしまうケースもあるので、インターネットで調べて気になるモデルがあれば、展示会やデパート、メーカー直営店を訪れてどんどん試着してみましょう。
ラン活、と言われるとなんだか構えてしまいますが、手に入れるのが大変なのは一部のモデル。心配しすぎず、ぜひ親子でせっかくの機会を楽しんでくださいね! 大丈夫、デパートにはたいてい通年でさまざまなメーカーがそろっていますし、ニトリやイオンのモデルはカラーバリエーションも豊富でお値段も3万円台から。選択肢はたくさんあるので、忙しい方は機会があれば早めにお子さんと一緒に覗いてみてくださいね。