Paranaviトップ ライフスタイル ジェンダー/フェミニズム 「女たちよ、頑張るなら今だ!」ジェンダーギャップ指数と「女性版骨太の方針2023」が示すチャンス

「女たちよ、頑張るなら今だ!」ジェンダーギャップ指数と「女性版骨太の方針2023」が示すチャンス

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「日本の女性管理職比率は世界133位」「2030年までに女性役員比率を30%に」組織で働く女性にとって、気になるニュースが飛び込んできました。なかなか変わらない社会にがっかりする前に、「どうすればこの状況を追い風にできるか?」を考えてみませんか。

「働く日本女性のリアル」をつきつけた2大ニュース

2023年6月、働く女性・働きたい女性にとって興味深いニュースが2つ発表されました。

1. 2022年度版「Global Gender Gap Report」発表

日本のジェンダーギャップ指数は、世界125位と過去最低を記録

2. 日本政府は「女性版骨太の方針2023」を発表

プライム上場企業に対し、女性役員比率の数値目標を設定

どちらも、日本女性の「今」をありありと伝える内容。「私たちはまだこんなところにいるのか」と冷や水を浴びせられたような気持になったのも事実ですが、ただ現実を憂いて愚痴を言っていても仕方がありません。

もっとやりがいのある仕事がしたい。
ジェンダー・バイアスを取っ払いたい。
「女性だから」とあきらめていたことにトライしたい。

そんな火種を心に抱えた女性にとって、「今こそ好機」。社会の問題意識を理解して、自分の「やりたい」と積極的に結びつけ、この状況を追い風にしていきましょう。

「会社は、“私たち”のことを血眼になって探している」

休日に女友達とお茶をしながら、趣味や仕事のことをおしゃべりしていたときのこと。その直前に発表されていた「女性版骨太の方針2023」に話が及びました。

「『2030年までに女性役員比率を30%』と言われても、その前に女性管理職を社内で育てないといけない。これまでのように、社外から女性弁護士や芸能人・アスリートを社外取締役に連れてくるのにも限界があるし批判されることもある。企業は、働きたい女性、管理職になりたい女性、役員になりたい女性を、これからますます社内外で必死に探すことになるよね。そう、会社は“私たち”のことを探しているってことだよ!

某企業でマネージャー職につき、社外の人脈も広い彼女は、同じ会社員でもヒラの私とは二段も三段も高い視座で、働く女性をとりまく環境を眺めています。

2022年度のジェンダーギャップ指数を見ても、女性管理職の比率は133位。ほかの先進諸国の数字と比較してかなり足を引っ張っています。女性役員の比率を上げるためには、その母体となる女性管理職の比率を上げなければなりません。女性役員比率30%を目指すのであれば、女性課長の数はさらにその倍以上は必要なのではないでしょうか?

そう考えると、「もっと責任のある仕事をしたい」「マネジメント・組織経営に関わりたい」「自分と家族の生活のために、もっと稼ぎたい」という意欲のある女性は、これからどんどん前に出ていくチャンスがあるのかもしれません。

「女性登用」には、ワークライフ・バランス向上施策が必須

とはいえ、「いや、出世には興味がないです」「家庭や趣味など、プライベートと両立してほどほどに働きたい」という女性も多いはず。「組織における出世」と「人間的な生き方を求めること」は同時に成立しない……そんな価値観からすると、「女性登用」の潮流も、半ばありがた迷惑に感じられるかもしれません。

しかしこれから求められていくのは、「特別にキャリア志向ではない女性」も、社会で立場を得ていけるようにすること。そうでなければ、女性役員比率30%というのは夢のまた夢です。

「女性版骨太の方針2023」にも、「ライフイベントとキャリア形成を両立できる組織づくり」がうたわれています。アンコンシャス・バイアスを解消し、ライフイベントに応じた多様な働き方を認めること、時代の変化に適応できるようにリスキリングの機会をもうけること。そんな取組みが、多くの企業・自治体でますます増えていくことが期待されます。

日々リアルに「壁」を感じている私たちが、ただ黙って耐えたり、「自分が頑張ればなんとかなる」と無理をしてメンタルダウンしたりするのは、社会の動きに逆流することです。「この制度に困っている」「こんな制度があったら助かる」ということを積極的に社内外で発信することが、逆に企業側を助けることになるのかもしれません。

「自分という存在が求められている」という自信

女性の中には、「女性活躍と言われると、ひとくくりにされているようで抵抗がある」と感じる方もいるでしょうか。また男性から見て、「女性を積極的に登用するのは逆差別ではないか」と思う向きもあるかもしれません。

確かに、「女性」といっても色々です。既婚・独身、子持ち・子無し、キャリア志向かプライベート重視か、都会派か地方派か……。そしてこれは男性も同じ。

当事者である私たちが心に留めるべきは、「女性が求められている」というより「(これまで日本経済界ではマイノリティだった)“私たち”の個性が求められている」という感覚ではないかと思います。

月に1回生理がある、子どもを産むことができる、といった女性ならではの要素ももちろん個性です。そして同時に、「効率よく仕事をして早く帰りたい」「親の介護にしっかり関わりたい」「自然の多い地方に住んで、リモートワークしたい」「スーツよりも着心地の良い服装でリラックスして働きたい」……そんな私たちの現実も希望も、また個性なのです。

今は、恐ろしいスピードで価値観がアップデート・多様化しています。多様化する社会のニーズにこたえるには、企業たち自身の価値観も同じく多様化しなければ太刀打ちできないでしょう。「女性役員比率30%」は、その一端でしかないはずです。

不安定な時代を生き抜く具体的なソリューションとして、社会が、企業が、「私」という存在を求めている。

そんなマインドセットで働くことが、自分の幸福度も上げていくはずだと信じています。

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梅津奏
Writer 梅津奏

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