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46歳、2児の母フリーランス、大学院に行ってみたい!「ふんわりした夢」を激務の中でリアルにするまで

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こんにちは。中学生と小学生を持つ、作家・教育ジャーナリストの佐野倫子です。今回は「アラフィフになって働きながら大学院に通ってみたい」というふんわりとした思いつきを、リアルにするまでの顛末を書きたいと思います。

2児の母、東大に通う

いつの間にか、真夏の様相を呈している2025年6月の東京。2児の母、作家、教育ジャーナリスト、編集者……何足履いているのかよくわからないわらじに、もうひとつの種類が加わりました。今年の春から東京大学大学院情報学環教育部というところで研究生をしています。

大学というところに足を踏み入れるのは20年振り以上!しかも通うのは天下の東大、本郷キャンパス。いまだに「お、おじゃまします……」という気持ちで通学しています。

行ったことのある方も多いかもしれませんが、東大の本郷キャンパスは文京区にあり、本郷三丁目、東大前、根津駅からアクセス至近、緑豊かな素敵なキャンパスです。そこに日本の頭脳、みたいなピカピカの若者が勉強にキャンパスライフにと、青春を謳歌しています。

「こ、ここに46歳の母ちゃんが通っていいのか……どう見ても『息子が東大志望なので下見にきてしまいました』という感じよね!?」

と自意識過剰気味に最初は足を踏み入れていましたが、3ヶ月が経った今、ズウズウしく生協にも学食にも顔を出し、PCなんか開いちゃったりして、挙動不審ではなくなってきました(笑)。

働きながら、子育てしながら、学校に通う。

そんな無謀なチャレンジは、ほんの些細な妄想から始まりました。

週末もろくに休めないのに大学院は無謀!?

「うわ、やっぱり大学の図書館って蔵書が凄いなあ、便利~」

調べものがあり、ジェンダーに関する本をまとめて読みたいと思った2024年夏の私は、とりあえず大学に行けばそういう本あるんじゃない?と思いつき、打ち合わせの帰りに通りかかった早稲田大学の図書館に行きました。卒業生なので、身分証を呈示すれば閲覧することはできるというので、さっそく入場。すると学生だった20数年前よりもずっときれいに使いやすくなっていて、そこでたくさんの学生が熱心に勉強をしていました。

蔵書も素晴らしく、予定していなかった本もたくさん読み漁り、大満足。何より、学生の熱気を感じられてとても心楽しい数時間でした。

「えーこれ、すごく楽しい」

そういえば私、何かを教えてもらうのが凄く好きなんです。

「本を読むのもいいけれど、日頃の会話ではなかなか出てこないようなトピックを先生に教えてもらったり、ディスカッションする時間が欲しいなあ」

子どもが塾に行く時間を気にしながら図書館を後にするとき、そんなふうに思いました。それはなかなか素敵な思いつきに思えたし、数日経っても、数週間経っても、心に余韻を残しました。

――ふうむ、よく社会人大学院、というのも聞くし、もしかしてちょっと通えるところ、あるんじゃない?

そう考えた私は、ときどきウェブサイトで大学院、社会人、などとキーワードを入れては検索をするようになりました。知人のなかでそういう経験があるひとにも話を聞き、どうやらすごく大変だけど、時間に融通が利けばやれる可能性はある、とのこと。

フリーランスとしてライターや編集、著述業をしていますから、時間の融通は利くと言えば利く。ただ、貧乏暇なし、いただいた仕事は基本的になるべくお引き受けしているので、とにかく忙しく飛びまわっていますし、中学生と小学生の息子たちはまだまだ猛烈に手がかかる。

大学院に行ったらお金もかかるだろうし、そもそも受験とかどうやればいいのやら……。本を読むのは苦ではないけれど、学術的な論文を書いた経験はなく、卒論が最後。今思えばあれはレポートの域を出ません。

「うん、無理無理。だいたいアラフィフに足をつっこんでいる今、学校に通うよりほかにすることあるよね?」

そう思って、PCで検索してはパタンと閉じる、みたいなことを繰り返していました。

そんなある日、大学院に通っている友人とランチをして、「大学院どう?忙しいよね?」と思い切って聞いてみました。すると、「入ってみたけれど、卒業するのは難しいかも。でも入ってよかったと思うし、すごく楽しいよ!予備校に通って対策したから半年くらいの勉強で入れたよ。まずは説明会に行ってみたら?」とアドバイスをくれたのです。

予備校!?私は慄きました。まさか、大学院入試のために予備校があるとは……。

検索すると、確かに志望校別に研究計画書を添削してくれたり、筆記試験の対策をしてくれたり、羨ましいような内容。でも料金も中学受験塾と遜色ない金額がかかりそう。

「よし、母ちゃん、これは無理。スパッとあきらめよう。ここに通うお金も時間もない。この分は子どもたちにかけてあげたほうがいい。私がもし大学院に通うとしたらば、授業料が安い国立オンリーで塾なし」

もうそこはスパッとあきらめて(?)、そう腹をくくりました。

現実的に考えて、今は自身のキャリアの中でもありがたいことに充実していて、仕事を断るのは本意ではありません。そうなると、通えるのは週2〜3回。レポートなどは睡眠時間を削るとしても、それが限界に思えました。もちろん終日大学院にいる、というのも不可能。せいぜい数時間か半日ずつを週2回か。……そんな大学院、あるのか!?そして、打ち合わせや取材を考えると、絶対にキャンパスは都心である必要があります。

そうなると、私が知っている大学は東大しかありませんでした。

まあ、とにかくちょっと調べよう。そう思って、いろんな研究科のウェブサイトを見ていきます。コツコツ全部見ていくと、興味があるメディアや情報、教育、格差、そんなキーワードにヒットするのは東京大学大学院情報学環という新しい学府。どうやら社会人にも門戸を広く開いているみたい。新しくて学際的な学びを掲げているここならば、もしかして可能性、あるかも!?

ウェブサイトを見ると、ちょうど翌週に説明会があります。

「これは行くしか!そうよ、空気を読まないで行ってみて、違ったら帰ってくればいいし!」

深夜のおかしなテンションで、私は東京大学大学院入試説明会なるものに申し込んでしまいました。

……さて、行ってみると、冷や汗の連続の1日となったのです。

——続きは、次回をお楽しみに!

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佐野倫子
Writer 佐野倫子

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