株式会社スペースデータは、新たなイノベーション創出を目指すコンテンツ配信拠点「宇宙スタジオ」の開局と、武井亜樹さん初の著書『自分だけの輝く人生のつくり方』の出版を記念したイベントを東京都港区・CIC Tokyoで開催しました。
武井さんは、恋愛リアリティ番組『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン3に参加し、3代目バチェロレッテとして注目を集めた東大卒の才女。経済産業省の官僚を経て、現在はフリーランスとして宇宙事業や女性活躍推進などに携わるユニークな経歴の持ち主です。
イベントには、同番組で共演した医師の坂口隆志さんと起業家の北森聖士さんがゲスト登壇しました。キャリアを築くベースとなる受験や、キャリアの歩み方、そして武井さんが情熱を注ぐ宇宙の魅力について語ったトークの様子を、たっぷりとお届けします。前編では、武井さんと坂口さんが受験のリアルについて実体験を元に赤裸々に語ります。
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武井亜樹×坂口隆志トークセッション「なぜ勉強するのか?受験のリアルとその先にある人生を語る」
イベントの第1部は「なぜ勉強するのか?受験のリアルとその先にある人生を語る」をテーマに、医師として働く坂口隆志さんとのトークセッションからスタートしました。日本の最高学府である東大と国公立医学部という難関を突破したお二人だからこそ語れる、受験のリアルに迫ります。
実はこのイベントが開催された9月12日は、宇宙飛行士の毛利衛さんが日本人で初めて宇宙に飛び立った日に由来する「宇宙の日」であり、武井さんの誕生日。登壇した坂口さんからサプライズで花束が贈られる場面もあり、会場からは大きな拍手が沸き起こりました。

田舎に生まれて「もっと世界を広げなければ」と必死だった
武井 私は、地元群馬県の公立高校の女子高から、東大の理系(工学部・航空宇宙工学科)を受験しました。私の高校で東大の理系に進む人は、ほぼいなかったです。そんな中での一番の試練は「高校在学中に海外留学をしたい」そして「東大を受験したい」という二つの夢の両立でした。
学校の先生からは「東大を受験するなら留学には行かないほうがいい」と反対されました。もし留学するのであれば、私立大学の国際学部のような進路が望ましい、と。
でも、先生が言っていることが“私にとっての正解”かはわかりません。先生に言われたことをそのままやって、もし自分の思い通りにいかない結果になったとしても、それを先生のせいにはできないと思ったんです。だから最終的には、自分がいいと思ったやり方でやり切りました。
坂口 書籍『自分だけの輝く人生のつくり方』を読ませてもらったのですが、亜樹さんは英語を学ぶことと大学の受験勉強において、ものすごくストイックでしたよね。その原動力は何だったのでしょうか?
武井 私は田舎に生まれましたが、もっと世界に出ていろんなことをしたいという気持ちがあって、ずっとうずうずしていたんです。でも地元の社会においては、私がやりたいことや私の性格は全然いいものとされませんでした。でもどこかに私が輝ける世界はある、たとえば、英語ができるようになったり東大に行ったりして社会に出て行ったら、きっと自分がいいと信じているものが正解の社会があるはずと、ずっと思っていました。
だから当時は、今ここで頑張らなければきっと一生後悔するし、大学や留学に行けるというのは人生の中でもすごく大きなチャンスだから、「絶対にここを掴まなきゃ!」と思って死ぬ気で勉強しました。高校3年生の頃を友達と振り返ると「怖かった」って言われるぐらい(笑)。それくらいメラメラしながら「もっと世界を広げなければ」と必死でしたね。

坂口 英語を学ぶにしても、一般的には大学に入ってから留学するほうが行きやすいルートにも関わらず、亜樹さんは周囲の反対がありつつも高校でそれを実現していますよね。英語の習得が早ければ早いほど、その後の大学生活やキャリアが広がっていくとか、人生の選択肢が増えると思ったからその行動に至ったと思うのですが、高校生でそれだけ先見の明があるなんて、すごいなと思いました。
武井 私は小さい頃から自分が周りに馴染めないと思っていたので、「社会の正解が自分の正解ではない」という考えがずっとありました。自分の性格や良さを一番わかっているのは自分しかいないとも思っていたので、感覚的に「今英語を勉強したほうがいいかも」とか「今は一人で受験勉強したほうがいいかも」と思ったら、もうやるしかなかったですね。
人と同じことをしていても、自分より賢い人には一生勝てない
武井 坂口くんは、受験で意識していたことなどはありますか。
坂口 さっき亜樹さんが言っていた「先生が言ってることが私にとっての正解かわからない」と通ずるものがあるのですが、僕なりにうまくいった方法としては、自分に最適化した勉強をすることですね。高校に進むと「僕より賢い人ってこんなにいるんだ、普通にこのまま同じことをしていても勝てないな」と思いました。その頃から才能の有無みたいなものは、嫌ほど実感していましたね。
僕は高校教育って、より多くの人をボトムから引き上げるために確立化された授業だと思っていて……ただその中で、同じことを同じ時間で教わって同じ宿題をしてきても、アウトプットできる力って人それぞれなんですよね。だから同じことをしていても、僕より賢い人たちには一生勝てない。

ですから、自分の弱いポイントを重点的にやったり、中学高校以外の勉強を始めたりして個人にフォーカスした知識を入れていかないと、己を高めることにおいては足りないのだとすごく意識していました。
ただ、僕が才能があると思っている人も、他の場所に置かれたら才能がないと思うこともあるはずです。結局は、自分の目標としているものに対して足りない部分を自分の中で言語化なり可視化して補っていくことが、受験においては大事だと思います。
あとは、さまざまな人と交流して気づきを得て自分に還元することは、自分にとって深い学びが得られますし、友達を巻き込んだほうが情報の取得はしやすいです。一方で、最後の最後に馬力で暗記するとか、テキストを1周するといった部分については個人戦だと思うので、情報は広く集めるけれど、努力の遂行は1匹狼でやるというスタンスでしたね。
ひとつの物事に血眼になって取り組む経験は、大人になってからなかなかできない

武井 次は、大学の必要性について話していきたいと思います。今は昔よりは学歴至上主義ではなくなっているものの、私自身はやっぱり大学、東大に行ってよかったなと思うんです。それは東大の教育そのものの話ではなく、大きくいうと「肩書き」の話です。
独立して自分がやりたいこと(宇宙事業や女性活躍推進)がまだ世の中で広まっていない中で、東大卒や元経済産業省という肩書きが、自分の間口をすごく広げてくれました。人から信用してもらって最初の扉を開けてもらう上で、大学というマイルストーンは大事なのだと、フリーランスになって実感しました。OG・OBの方に親しみをもってもらえる場合もあります。
坂口 僕の場合は医学部で、大学のカリキュラムを経て医師免許を取るのでちょっと特殊かなとは思いますが、大学では高校時代にできなかったような、部活を通じて縦社会を学んだり医学部の先輩と仲良くなったりしたことが、勉強以外の部分で成長に繋がったと思います。
では、一般的に大学4年間とはどのような時間だろう?と考えてみると、周りのみんなを見てみると「自分と向き合う時間」だと思うんです。さまざまな時間を過ごす中で、本当に自分が何がしたいかというのを見極める時間なのかな、と。
武井 「合法的に与えられた自分を知る4年間」ですよね。なんでもトライできるし、学生という肩書きもあるから、いろんなことをして失敗もいくらでもできる。

坂口 高学歴だと就職だったり、さっき亜樹さんが言っていたような有利に働く機会は日本においてはやっぱりあるので、迷ったら勉強したほうがいいんじゃないかと思います。努力するのは勉強でもスポーツでも芸術でもなんでもいいのですが、何かに打ち込むという時間があったほうが、人生において絶対に実りがあると思います。
PDCAを回す、つまり自分は何が得意でどうしたら成果を出せるのかを見つめる上で、受験はすごく役に立った経験でした。もし望む結果が得られなかったとしても、そこを目指すプロセスの中で得たものを自分の中で活かせる。だから受験には意味があると、僕は思いますね。
武井 確かにそうですね。あんなに血眼になって何かに取り組む経験を学生時代にしておいたのは、人生の中ですごく貴重な期間だったなと改めて思います。当時は怒りっぽいし、肌も荒れるしで大変だったんですけど(笑)、あれくらい努力してよかった。大人になればなるほど、やらなければいけないことが多すぎて「これだけ!」と集中することがなかなかできないから。受験は人として深みが出る、成長できる経験かなと思います。
>>後編では、武井亜樹さん×北森聖士さん(起業家)のトークセッションの様子をお届けします!
本イベントの様子は、YouTubeでもご覧いただけます
#1:【エリートの意外な過去】バチェロレッテ3で結ばれた2人が語る学校教育と受験のリアル【宇宙スタジオ開局記念】