こんにちは、教育ジャーナリストの佐野倫子です。「中学受験、どうしようかと迷っています」「塾に行かせたほうがいいのでしょうか」最近は、中学受験の本番シーズンということもあり、連日このような質問がインスタグラムに届きます。1~3年生のママからはこのふたつの質問が多く、間もなく塾では新学年スタートなので、そのことで情報を集めているご家庭も多いでしょう。
まだ受験すると決めたわけではない。でも、何もしないのは不安。そんな揺れの中で、塾の広告や周囲の話が目に入ってきますよね。まずは焦らず、中学受験の全体像を速習して検討するのがおすすめです。今回は、中学受験をすべきか判断するために知っておきたいことをまとめました。
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首都圏の中学受験率は2026年も18%前後

首都圏の中学受験率は18%前後で高止まりしています。5人に1人が受験する時代、と言われますが、見方を変えれば、8割以上は中学受験をしていません。それでも、周囲には中学受験のために通塾しているお子さんが多いような気がする……。そんな漠然としたもやもやを抱えている方は、ぜひ積極的に情報を集めてから検討しましょう。メリット、デメリットがわかったほうが判断できるというものです。
しばしばささやかれるのは、令和の中学受験は子どもの学力勝負であると同時に、家庭の運営力が問われる受験でもある、ということ。これは2024年に伴走を終えた筆者も多少、思い当たるところがあります。勉強を始めた頃はまだ10歳前後ですから、子どもに全体のスケジュールなど組めるはずもなく、どうしても情報収集や教材整理は親の仕事になるでしょう。

でも、巷で言われるような「中学受験の結果は親の責任が9割」などというのはちょっと極端すぎる言説だと思います。はじめは何もわからなかった子どもも、次第に自分なりに目標を持って勉強を始めますし、最後は到底親も解けないような問題を解くように。
そこまで力をつけていくのは、紛れもなく本人です。したがって、一番頑張るのも、大変なのも本人。当然、受験の結果は本人のものであり、親が9割も責任があると考えるのはちょっと失礼かな、と感じます。
ただ、その親の責任パートは、思ったよりも重く、パラキャリアの筆者は最後の1年は相当よぼよぼしていました……。ここらへんはきれいごとを並べるつもりはなく、それ相応に家庭のチームワークが求められます。
我が家に向いている塾とは?タイプ別特徴

さて、次に質問が多いのは、「どの塾に通うべきか」ということ。中学受験において、「どの塾が一番いいか」という問いに、正解はありません。大切なのは、「距離や経済的条件、子どもの性格と、その塾が合うかどうか」ということなので、当然、どの塾もグラデーション的にいい点と悪い点が出てきます。
その前提で、まずはざっくりと、タイプ別に塾の特徴を挙げます。
大手集団塾
大手塾の特徴は、体系化されたカリキュラム、豊富な情報量、母集団の大きさが挙げられます。競争環境の中で力を伸ばすタイプの子、ある程度自走できる子に向いています。
一方で、進度が速い、クラス昇降に一喜一憂しやすい、苦手単元でつまづきやすいという側面もあります。親がある程度は「成績管理」「教材の取捨選択」を担う必要があり、家庭の負担は小さくありません。
中堅塾・地域塾
最近増えているのが、少人数制、地域密着、面倒見を売りにした塾です。講師との距離が近く、子どもの性格や理解度を見ながら進めてくれる安心感があります。
ただし、情報量は少なめ、難関校志望校対策が大手に比べると細分化されていないというデメリットもあるでしょう。「難関校一直線」ではなく、幅広く学校を検討したい家庭には、現実的な選択肢です。
個別指導・家庭教師
「集団が合わなそうだから個別で」と考える方も多いですが、注意点もあります。個別指導は、苦手補強や集団塾授業でうまれた苦手単元のフォローには非常に有効です。
一方で、受験全体をリードしてくれるとは限らない、費用がかさみやすいという現実もあります。個別指導=安心、ではなく、何を補うために使うのかを明確にすることが重要です。
「とりあえず塾」は要注意!

取材で多く聞くのが、「よく分からないまま、周囲に流されて入塾した」というケースです。すると、思った以上に宿題が多い、親の関与が膨大すぎる、子どもが疲弊するといった事態に陥りやすくなります。
塾は生活リズムと家庭の空気を変えうる存在です。中学受験をするかどうか決まっていない状態で入る場合は、いつまで続けるのか、どの時点で決断するのか、期限についてしっかり話しあう必要があるでしょう。
教育関連支出はずっと続く!必ずセットで考える
塾費用は数百万円単位になることもあります。送迎や勉強管理など、低学年だからといって手がかからないとは限らず、家庭のルーティンを変え得る装置です。また、費用もかかるので、その点はしっかり検討してから始めたいですね。
中学受験費用として、3年間で塾や模試、交通費などを合わせて200万円~300万円ほどかかるはずですし、受験料や合格した学校の入学金・前期授業料で6年生の最後にはさらに100万円ほどかかると思われます。入学後も、交通費や部活、お小遣い、修学旅行の積み立てで少なくとも年間100万円以上は見ておく必要があるでしょう。
ざっと計算して、それでも私立中高一貫校に通わせたいかについては、始める前に吟味しておくのがおすすめです。
どんな子に育ってほしいか?長期的な視点を持って検討を
近年、中学受験の入試問題があまりにも難しくなっている、という話も取りざたされています。子どもの通塾開始も低年齢化傾向で、負担も相当のものでしょう。実際我が家も次男の受験はどうしようかと思案する日もあります。一方、私立高校の授業料無償化や補助金など、金銭面でのハードルが下がっている自治体もあります。ぜひお住まいの地の制度を調べてみてください。
検討する要素がたくさんあって、保護者はすでにそこから忙しい……同じ母としてその気持ちがよくわかります。ぜひ、資料や本、インターネットなどを駆使して、まずは中学受験の全体像をつかんだうえで検討してください。納得のいく決断ができたら、きっとそれが家族の正解だと思います。










