フリーランスでライター、インバウンドアドバイザーそしてウェブサイト編集長といくつもの顔を持つ小野アムスデン道子さんは、東京と家族のいるオレゴン州ポートランドの2拠点生活5年目。今、新型コロナで日米間の移動はもとより、旅行系の取材も難しい局面ですが、制限のある暮らしの中でどう豊かに生き抜くかを発信し続けたいといいます。「パラレルキャリアは人生のリスクヘッジ」というキャリア観や生き方を2回にわたって聞きました。
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フリーランスでも大事なパラレルキャリアのリスクヘッジ
――多彩な現在のお仕事について教えてください。
まず、ライターとして国内外の旅の魅力をオンラインや雑誌に執筆していますが、その中では食や文化に関しての発信も重視しています。女性向けメディアでは、スパや旅先美容についても多く取材しています。海外メディアと一緒に取材をすることも多いことから、日本の自治体に対してどうやったら海外から観光客に来てもらえるかというインバウンドアドバイザーをすることも。また、元々編集者でメディア全体を作っていた立場なので、依頼されて書くだけでなく自分で発信する手段を持ちたいと思い、シンガポールにいるフリーランスライターの友人と2人で、40代から上質に生きる道を考えるためのウェブサイト【W LIFE】を立ち上げて、編集長を務めています。どれも自分にとっては大切な仕事で、いわばフリーランスのパラレルキャリアという感じですね。
――フリーになられる前はどんなキャリアでしたか?
リクルートで「SUUMO」の前身である『週刊住宅情報』で編集部門に入り、編集長も務めました。不動産と建築系の分野が長かったですね。その後、モデルルームコーディネートなどインテリア系を担当している時に出産。関連の出版会社に戻り、『ロンリープラネット』という英語の旅行ガイドブックの日本語版の立ち上げを担当してから、旅行系メディアに入ることになりました。フリーランスは、自由である反面、収入が保証されているわけではありません。なので、一つのクライアント、一つの仕事、一つの収入源だけではなく、パラレルに考えておく必要があります。収入源という意味では、不動産関連の仕事に関わっていたので、割と早い時期に不動産ローンを利用してマンションを購入していて、自分で住んだ後は人に貸していたのが、よかったです。
経済的自由を得るための手段を考えておこう
――経済的自由は人生を自由に生きる上で重要ですね!
はい。企業に勤めている時は、企業が担保になってリバレッジが効く(ローンを借りやすい)人が多いですよね。将来、レンタルして収入源の一つとして考えるのなら、交通や生活利便性、一人暮らしかファミリーかなど住む人の視点で物件を選ぶことと、ローンの返済は年収の20%以内を目安にすることが大事です。近辺の物件を比較して、妥当な価格なのかのチェックも忘れずに。
――2拠点生活になったきっかけは?
子どもの高校進学に合わせて、アメリカの夫のホームタウンであるポートランドへ。公立小からインターナショナルスクールに進学しましたが、やはり大学もアメリカで考えるなら高校から行ったほうがいいと思って。その頃のメインの仕事がトラベルライターだったので、アメリカ国内も取材。あちらでは一戸建てなので、庭の手入れなど日本とは違う日々の過ごし方をしています。それで、日本に戻った時に国内やアジア、ヨーロッパなどに出張という生活になりました。
——トラベルライターはどこでも仕事できそうですね!
アメリカから戻って翌日パリというようなハードスケジュールの時もありましたが、非日常を伝えるのがトラベルライターの仕事なので、国内外を問わずいろいろんなところに行って様々な体験はできますね。乗馬、ダイビングなど何でもトライ。ただ、楽しかった! ではダメで、行ってみたい気持になってもらうのはもちろんですが、どうやったら行けるのか、安く楽しめる方法や体験する価値を表現するためにものすごくヒヤリングもします。
生活に制限のあるなかで、発見や気づきのある生活を
——今、どんな風に過ごしていますか?
今回の新型コロナの感染拡大は、衝撃的なことでした。アメリカの家族と離れているのも辛いですし、早く自由に旅ができるようになるのを心から願っています。旅は、日常から離れた自由な気分、発見や気づきが魅力。今はこの発見することの楽しみを忘れない毎日を心がけています。毎朝、オンラインヨガをやって、農場から取り寄せた野菜で料理と今までにない暮らし方をいろいろ試す一方で、将来の旅の情報を集めています。
小野アムスデン道子●住宅情報誌編集長を経て、「ロンリープラネット日本語版」を手がけたことをきっかけに観光ジャーナリストに。日米2拠点生活をパラレルにこなし、同時に世界中を巡る取材で旅を基軸にしたライフスタイルについて執筆。40代からの上質な生き方を提案するウェブサイトマガジン【W LIFE】編集長でもある。