Paranaviトップ ライフスタイル 健康/美容 PMSの症状は200種類以上!? 辛い時間も賢く乗り切るための生活習慣&漢方の使い方

PMSの症状は200種類以上!? 辛い時間も賢く乗り切るための生活習慣&漢方の使い方

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多くの女性が悩んでいる生理の不調。実は、9割もの女性が生理前になんらかの身体の症状を訴えています。腹痛や胸の張り、イライラをはじめとした精神面の落ち込みなど症状は人それぞれ。PMS(月経前症候群)は生理の約1週間前から始まるもので、生理中の期間と足すと、女性は約半月もの間、ホルモンに振り回されて生きていることになります。

 

女性ホルモンの役割って?

卵の写真

毎月来る生理、わずらわしく思ったことがある人も多いのではないでしょうか。PMSとは女性ホルモンによって起こるもので、生理以外にも色々と重要な役割を担っています。この女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンの2種類があり、それらの分泌量の変化が生理周期、PMSに反映されています。

エストロゲンとは、卵子が入っている卵胞を育てて、排卵へと導くホルモンです。排卵(生理開始から約14日)前にピークを迎え、これが減少すると排卵します。また、受精した時に、受精卵のベッドになる子宮内膜を厚くする作用を持ちます。それ以外にも、女性らしい丸みを帯びた身体つきを作る、肌や髪の潤いをもたらす、骨の密度を強化するといった役割があり、女性がヘルシーでいるために重要なホルモンです。また、精神面にも作用し、自律神経を整えてくれます。集中力や記憶力を向上させる役割もあるので、パラキャリ女子には大事なホルモンですね!

一方、プロゲステロンは妊娠に備え、子宮内膜をさらに肥厚させ、基礎体温を上げたり、骨盤の血液を増やしたりするために血管を拡張させるホルモンです。排卵後に分泌はピークを迎え、妊娠が成立しないと一気に減少し、それにより子宮内膜が剥がれ、生理を迎えます。このホルモンが、栄養と水分を蓄えるためにむくみや体重増加を促し、妊婦さんが安静に過ごすように眠気を起こします。

PMSの具体的な症状とは?

PMSの症状は人によって様々。肉体的症状に出る人もいれば、精神的症状に出る人も。両方混合している人も多く、症状の範囲はなんと200種類以上もあると言われています。重症度も人によって違い、私の以前勤めていた病院でも、何人か入院案件にまでなってしまった方がいらっしゃいました。

主な肉体的症状は胸の張り、疲れやすい、頭痛、むくみ、体重増加、日中の眠気、下腹部の違和感、ニキビなど、多岐に渡ります。精神的症状は、怒りっぽくなる、些細なことでイライラしてしまう、ソワソワして落ち着かない、なんとなく不安、憂鬱な気分になる、突然涙が出てしまう、衝動性が強くなる、ぼーっとしてしまい集中力がわかないといったことが挙げられます。こういった症状から、会社内で上司とトラブルになってしまった、家族に八つ当たりが多くなって仲が悪くなるといった人間関係の問題に発展してしまうことも少なくありません。また、さらに際立って精神症状が強く、死にたいという気分になったり、不安や抑うつから日常生活に支障をきたしたりしている状態のことをPMDD(月経前不快気分障害)と言います。 

PMDPMDDともに月経の前に起こり、生理終了とともに軽減していくのが特徴です。約1週間前からと書きましたが、人によっては10日、長い方だと2週間前から続くため、調子がいいのは生理終わってからの1週間だけ、という方も見られます。

まずは生活習慣を見直そう!

ティーカップ

PMSは、東洋医学でいう『血』に大きく関連しています。「瘀血(おけつ)」と呼ばれる良くない血が体にたまり、血流が滞った状態になるため、血を巡らせ、人によっては血を補充することが必要になってきます。食材としては、黒豆やきくらげ、ナッツ類がいいでしょう。 

特に、ナッツは老化の天敵である酸化に効くビタミンEが豊富に含まれているため、私も常にカバンに常備しています。疲れやすかったり、なんとなくだるかったりするという方は、ほうれん草やニンジン、レバーなどを積極的に取り入れてみてください。どうしてもイライラが止まらないという方は、『気』が滞っている状態です。蕎麦や柑橘系の果物、ジャスミンティーなど気を巡らせる食材を摂取しましょう。 

また、良い睡眠をとることは自律神経を整えたり、免疫力を向上したりすることにもつながるので非常に大事なことです。忙しいからといって、睡眠時間を減らすということは避けてください。

 当たり前のことですが、適度な運動や湯船に浸かるといったことももちろん大事。血の巡りを良くしますし、自律神経を整え、精神面にも安定をもたらします。ただし、寝る前に過度な運動をすると、睡眠を妨げてしまうことにつながりますので、その時は軽いストレッチをお勧めします。そして、カフェインやアルコール、喫煙はPMSの悪化因子! 控えることをおすすめします。

時には薬をうまく使おう!

ピルの写真

生活習慣を改善しても、PMSの症状が改善しないという方は、お薬に頼るのも1つの手です。代表的なのは、ピル。ピルには避妊薬というイメージがあるかもしれませんが、PMSに対してもとても効果的です。低用量ピルには種類がありますが、作用機序(薬が医療効果を及ばす仕組み)は、女性ホルモンのバランスをうまく調整して、排卵を抑制するというもので、構成しているホルモン量により種類が異なります。その間、卵巣を休ませることにもつながりますし、ホルモンの関係でできるニキビにも効果があります。最先端のピルは、120日連続服用が可能で、年に生理が3回だけ、ということも可能になります。 

また、ピルにはなんとなく抵抗がある、妊活もしている、という方には漢方がおすすめです。有名なのは、女性三大処方と呼ばれる、「桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)」、「加味逍遙散(カミショウヨウサン)」、「当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)」です。それぞれ、体力がある人、普通、あまりない人というイメージで考えるといいでしょう。体力に自信があって、いつも元気、さらにニキビなどの吹き出物に悩んでいる人には、桂枝茯苓丸加薏苡仁(ケイシブクリョウガンリョウカヨクイニン)という漢方もおすすめ。これらの漢方は、体内に溜まった瘀血を取り除く、駆瘀血剤としての作用があります。

さらに「加味逍遙散(カミショウヨウサン)」は、柴胡(サイコ)が入り、高ぶった神経を沈ませ、精神を落ち着かせる作用がありますし、「当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)」には血を補う当帰が入っているため、悪い血を出して新しく血を補充する作用があります。最近は、ドラッグストアでも簡単に購入できますので、病院に行く時間がないという方もトライしてみてください。ただし、やはりいちばん適切なのは病院で自分に合う処方を見てもらうことです。婦人科でもいいですし、漢方内科や精神症状が強い人はメンタルクリニックでもいいでしょう。PMDDの方は、漢方に合わせて、抗うつ剤や抗不安薬も適応します。 

女性が常に付き合っていく女性ホルモン。毎月ずっと続くんだ……と諦める前に、できる対策をとってうまく付き合うことで、生理周期に振り回されずに、キャリアもプライベートも楽しみましょう!

 

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木村好珠
Writer 木村好珠

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