大手企業が続々と副業を解禁する中、社員の副業を認めるだけでなく、一部の先進的な企業の中には副業人材を社外から募集するところも出てきました。ワイヤレス・ブロードバンドサービスを中心とした通信事業を展開しているワイヤレスゲートもその一つ。2020年8月より、新規事業領域などにおいて、副業人材の募集をスタートしました。さらに同社では新たに恵比寿にあるシェアオフィスも開設。こうした画期的な取り組みの背景や期待する効果について同社管理本部の石塚有希子さんに聞きました。
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「創造性あふれる社会」を目指すためには副業人材が必要
――まずはワイヤレスゲートさんがどういう事業をしている会社なのか、簡単に教えていただけますか?
当社グループは、主に2つの事業で成り立っています。一つは、個人向けに「ワイヤレス・ブロードバンド事業」を行っておりまして、複数の通信事業者からWi-Fiスポット、あるいはWiMAXやLTEといった無線通信インフラを借り受けて、ユーザーのニーズに応じた無線通信サービスを家電量販店や携帯電話販売店等を通じて提供しております。
もう一つは、法人向けの「ワイヤレス・ビジネスドメイン事業」というものです。連結子会社であるLTE-X社が提供する様々な「セキュリティサービス」およびワイヤレス・ブロードバンド事業で保有するプラットフォーム、インフラやそのノウハウ等をほかの通信事業者や法人へ提供することで収入を得ております。
――上場していて、売上規模も100億以上とかなり大きい会社かと思っていたのですが、社員数が20名程度だとか。びっくりしました!
はい。単独では社員数20名、連結でも25名と少人数なんです。私も10年くらい前に入社したのですが、その時は10名もいませんでした。少数精鋭なので、いろいろな業務を兼務している人も多いですね。
――人数が少ないと忙しすぎたりはしませんか?
もちろん繁忙期にはそれなりに忙しさはあります。ですが、当社では創業以来、あまり残業せずに効率的に仕事をしようという風土があるんです。代表が、ワークライフバランスを保って、オンとオフをはっきりさせようという考え方なのも大きいですね。
また、女性の比率が多いというのも一因かもしれません。20名中、15名が女性。今のところ産休育休からの復帰率も100%です。
――そんな少数精鋭の企業ですが、今回、副業人材の募集に至った背景について詳しくお聞かせください。
当社では、「ワイヤレス・ブロードバンドサービスを通じて、より創造性あふれる社会の実現を目指す。」という経営理念を掲げています。そして創業以来、その経営理念に基づいて、ワイヤレス・ブロードバンドサービスを中心とした通信事業を展開してきました。
ですが、今後さらに成長を遂げるためには、通信業で培ってきた自社社員の知見だけでは限界があります。個人個人がもっと創造性を発揮させて社会課題を解決していくためにも、外部の様々なバックグラウンドを持つ人材の知見を融合させることが必要だと考え、副業での人材募集をスタートしたんです。
新たな知見が入ることで、既存事業の改善にも
――副業ではどういった職種の人を募集しているんでしょうか?
新規事業プランナー、戦略プランナー、ECデジタルマーケティングの3つの職種で募集しています。新規事業プランナーが5〜6名、戦略プランナーとECデジタルマーケティングは2名ほど採用する見込みです。
副業の方には、私たちから提供する情報をもとに、新規事業プランを考えていただいて、アイデアを提案するところからトライアルの実行まで担っていただきたいと思っています。
――副業というと、エンジニアやデザイナーなど専門性の高い人に声がかかるイメージですが、今回の募集ではもっと幅広い業界の人を募集されているんですね。
そうですね。まずは第1段階として、幅広い業界やバックグラウンド、ライフスタイル、年齢の方達と一緒に事業を作ることを想定しています。すでに集まっている人の中には、学生の方や子育て中の方もいるんですよ。現段階では、集まる人たちの属性は、遠ければ遠いほどいいと思っていて、そうした人たちの化学反応に期待しています。
これから、事業の展開や方向性がある程度固まってきたら、エンジニアやデザイナー、セールスといった専門性の高い人たちの募集も考えています。もちろん全員副業での募集で、コンスタントに行っていく予定です。
――稼働や報酬はどれくらいのイメージでしょうか?
月に4回程度(4〜5時間/回)で3ヶ月くらいを想定しています。細かいスケジュールなどは個別に相談して、調整していますね。
そうした基本の稼働時間で計算して、報酬は20万円/月程度を考えておりますが、もちろんプラスアルファの成果を出していただけた方には追加でお支払いすることも考えています。
――副業で募集するメリットはどういったところにあるのでしょうか?
副業のメリットとして、必要なタイミングでノウハウのある方にお手伝いいただけるので、事業成長のスピード感が格段に上がるなと考えています。
また、新たな知見が入ることで、既存領域の業務改善もできますし、既存社員のスキルアップやモチベーションの向上にもつながりますよね。私自身もすごく刺激を受けていて、ただ与えられた仕事をこなすだけでなく、大きい視野を持って能動的に業務に取り組んでいきたいと思うようになりました。
通信事業をしているからこそ、「新しい働き方」を加速させられる
――シェアオフィスの開設を同時にしようとしたのはなぜですか?
コロナで在宅勤務を進める会社は増えたと思いますが、家族や子どもと同居していて自宅で仕事がやりづらいという人もいます。働き方の選択肢を増やすためにも、本社勤務と在宅勤務に続く3つ目の選択肢として、シェアオフィスを取り入れました。
もともと、当社で提供しているのが公衆無線LANとWiMAXを組み合わせたサービスなので、カフェでもどこでも場所を問わず働ける通信のインフラが揃っているという強みもあります。
シェアオフィスは8月からスタートしたのですが、とても好評です! 当社は、横浜方面や埼玉方面から通勤している人が多く、恵比寿はちょうど真ん中だったので、利便性も抜群。天王洲の本社オフィスも見晴らしが良く広々としているのですが、ここはなんといっても東京タワーが見える眺望の良さで気分が上がりますね。
――働く人材や場所、働き方もどんどん新しくなっていっている感じがしますね!
会社全体として次のステージに移行しているという感じはしていますね。アクションしながら考えているというか。
また、こういった実験的な取り組みができるのも、当社ならではだとも思います。全員が、思い思いの場所から仕事をするのに、通信環境による足枷がない。個人の通信環境に依存せず、結果的に会社側が在宅に最適な通信環境を用意しているというのは大きなアドバンテージですね。おかげで、全員がプロダクトを消費者目線で見ることができています。
――副業では、どういった人に来てもらいたいですか? また、その人たちと今後どういう事業をやっていきたいと考えていますか?
経歴や専門性、スキルも一応見るのですが、それよりも事業の魅力や社会的な意義に共感してくれる人がいちばんですね。副業の方たちは、私たちが細かく管理するわけではないので、内発的動機付けがハッキリしていることが何よりも重要です。
当社の経営理念は、先ほども申し上げたように「ワイヤレス・ブロードバンドサービスを通じて、より創造性あふれる社会の実現を目指す。」ということです。ですが、「ワイヤレスブロードバンドサービス」自体がインフラのように当たり前のものになった今、「創造性あふれる社会」を実現するための手段としては、それ以外の事業も考えていい時期に来ているんだろうなと思います。
今年はコロナがあったことで、多様な働き方が強制的に進み、企業の競争環境も激変しています。だからこそ、受け身ではなく意思を持ってアクションした人がポジションを取れるチャンスでもあります。大企業にいて、やりたいことができずに悶々としている人も、このプロジェクトに参加してくれたら、その思いが実現できるかもしれません。
そうやって、今まで眠ってきたような人材が働き方を変えていけば、創造性あふれる世界を作っていけるんだということを、この取り組みを通じて示していきたいです。副業の皆さんと、日本の未来を変えるような事業をやっていきたいですね。
また、女性目線で新規事業を企画したり、戦略を考えたりする視点も求めています。ご興味をもっていただいた方はぜひ当社ウェブサイトからご応募いただければと思います。お待ちしております!