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子どもを連れて淡路島へ。「他の人の基準に惑わされない」自分でありたい

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2018年、人材大手のパソナグループで働いていた4人の若手メンバーが東京から淡路島に移り住み、“農”を通じた持続可能な社会の実現を目指す「タネノチカラ」という新会社を設立。メンバーの1人で、3歳と5歳の男の子のママでもある奥田悠美さんは、旦那さんより一足先に淡路島に移住してきました。年末からは旦那さんも一緒に移り住み、お仕事をリモートですることになるのだそう。

土は汚いから嫌、という言葉にショックを受けた

コンサル会社のエンジニアからスタートし、金融のシステムや人材紹介営業というキャリアを積んできた奥田さん。25歳で結婚し、28歳で1人目の子を出産。29歳で2人目の子を出産しました。奥田さんが淡路島へ移住するきっかけとなったのは、子どもの何気ない一言でした。

「ある日、田植え体験に長男を連れていった時に、なかなか土に入ってくれなかったんです。なんでって聞くと、『汚いからやだ』って。私自身、新潟出身で自然の中にいるのが当たり前の環境で育ってきただけにすごくショックでした。東京にマンションを買って暮らしているうちに、子ども達には『土は汚いから触っちゃダメ』としか教えられてなかったんです」

直感的に、土を触ることの大切さを伝えなければと思った奥田さんは、「タネノチカラ」に参加。都内に買ったマンションも売り、当時、スタートアップに転職したばかりだった旦那さんを東京に残して、子ども達と淡路島にやってきました。旦那さんは月に1回程度、淡路島に遊びに来るそう。

「離れたことで、結果、パパにとっても子ども達とのコミュニケーションの時間が貴重なものになったように思います。東京にいるときは、子ども達と片手間にしか遊んでくれなかったんですけど、今は全力で遊んでくれます(笑)」

「人のせい」にしだしたら環境を変えるタイミング

移住前は土に触ろうとしなかった子ども達も、すっかり淡路の自然に慣れて、「すごい大きいバッタとかも捕まえてくるようになった(笑)」と話す奥田さん。

「畑が好きみたいで、最近では『ママのお仕事に一緒に行きたい』と言うようになりました。今までは、子どもの成長がよその家の子の成長との比較でしかわからず、うちの子は何かできていないんじゃないかという不安が常にありました。でも、今は純粋に子ども達の変化を楽しめていますし、将来どんな風に育つのかと考えるとワクワクします

「タネノチカラ」では、事業企画全般を担当している奥田さん。ほかのメンバー同様、仕事の内容に決まったルーティンはありません。経理や財務のような仕事をするときもあれば、動画の撮影・編集をしたり……。働き方もその時々で、自宅で仕事をしたり、途中で買い物に行ったり、自由に自分の時間の使い方を調整しています。奥田さんがやったほうがいい仕事があるときは、会社の仲間達が率先して子どもを迎えに行ってくれたり、遊び相手にもなってくれたりすることもあると言います。

「ここにくる前は、時短で働いて、家事もやって、という生活に対して『なんで私ばっかり』って、気づいたら会社や家族のせいにしていました。人のせいにしだしたら、それは自分の意思で動いていない証拠。そう思った時点で、関わる人や費やす時間、身を置く場所を自分から大きく変えるようにしています

自分がありたい姿があれば、惑わされない

「こうなりたい」よりも「こうありたい」を大事にしているという奥田さん。少し先の未来もどうなるかわからない世の中、「こうありたい」を基準にしていれば、社会がどう変わろうが自分は幸せでいられるはずだと話す奥田さんに、奥田さん自身は、どうありたいと考えているのか聞いてみました。

「ありたい姿は3つありますね。一つは、変わることに対して喜びを感じられる自分であること。もう一つは、自分の気持ちに素直であること。最後は、多様性を認識できる自分であること。目に見えることだけではなく、考え方一つとっても多様性があるということです。自分にとっては100点でも他人にとっては0点になることがあり得るということを忘れずにいたいなあと思います」

東京にいるときはお迎えが憂鬱だったという雨の日も、今では、「野菜がいっぱいお水もらえてよかったね」と子ども達と喜ぶことができているとか。その笑顔からは、自分の基準ができたことで、決して世の中の「当たり前」に惑わされない充実した幸せが感じられました。

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岡部 のぞみ
Writer 岡部 のぞみ

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