Paranaviトップ ライフスタイル 恋愛/結婚 「事実婚に致命的なデメリットはなかった」共働き・子どもありの夫婦の選択

「事実婚に致命的なデメリットはなかった」共働き・子どもありの夫婦の選択

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婚姻届を出さずに、パートナー同士が結婚の意思を持ちながら共同生活を営む事実婚。夫婦同姓となる法律婚とは異なり、結婚後もそれまでの姓を名乗りたい場合の1つの選択肢となります。でも、事実婚による実生活でのデメリットはないのでしょうか。2018年9月に事実婚をした江口さん、高木さん夫妻に、事実婚における親子関係やパートナーとの関係について話を聞きました。

事実婚を選ばない“致命的な”デメリットがなかった理由

――お2人は事実婚になって2年半。日常生活において、何か不便に感じることはありますか?

江口さん 正直、日常生活でデメリットは感じていないですね。たとえば、子どもを保育園に迎えにいっても「〇〇(子どもの名前)のパパ、ママ」と呼ばれますし、親の名字が違うことで周囲から何か言われることもありません。

子どものことでいえば、親権は高木で子どもの姓は高木です。そこで母子の親子関係が証明されます。私は名字が違うけど、認知をすることで親子関係が証明されている。親子関係は法的に保護されているので、大きな不都合はありません。

ただ、パートナー間に少し制約があります。例えば、事実婚では、配偶者控除などの税法上の扶養は認められません。また、事実婚のパートナーには相続権が認められていないため、法定相続人になれません。仮に私が亡くなった場合、遺産を受け取る際の税金が、子どもは相続税ですが、高木には贈与税がかかります。そのため、法律婚なら受けられる相続税の配偶者控除などが適用されません。

とはいえ、遺言書を作成していれば遺産をパートナーにも渡すことができます。税法上の扶養に入れないことも、共働きなら大きな問題ではないでしょう。

ほかにも、民法で規定された細々した法律婚であれば得られる権利や優遇措置があることも事実です。けれども、デメリットと考えられるいずれのことも、私たちにとっては事実婚を選ばない致命的な問題ではないと考えました。

ちなみに、最近では生命保険の保険金の受取人に、事実婚やLGBTQのパートナーを指定できる保険会社もあります。世の中の流れを受けて、こうした保険商品なども変わっていくこともあるかもしれません。

高木さん 私も普段の生活で不都合に感じることは特にないですね。ほかにライフプランに影響を及ぼすことといえば、住宅ローンで収入合算によるローンやペアローンを選べないことでしょうか。

――その場合、どういった不都合があるのでしょうか?

江口さん 住宅ローンを組む際、収入合算によるローンやペアローンは、多くの銀行で法律婚を条件にしています(※)事実婚では単独名義しか選べず、希望額を借りられない可能性があります。

※編集部注)2020年に千葉銀行や三井住友銀行が事実婚や同性パートナーも住宅ローンを組めるよう対応を始めたと発表するなど、変化の動きも出てきた。

高木さん 私は結婚したら家がほしいと思っていたので、「もう普通に結婚すればいいじゃん!」って不機嫌になったこともありました(笑)でも今は、あのとき買わなくてよかったと思っています。そもそも、家をほしいと思っていたのも、私の周囲では「就職して子どもができたら、家を買うのが当たり前」だったからなんです。その属性とは違う人たちと話していたら、「私は別に家は買わないよ」という人ももちろんいて。

大切なのは、ほかの人がこうしているからではなく、自分が今後どういうキャリアを積んでいきたいのか、子どもをどういった場所で育てたいのか、ですよね。そうしたことを考えるなかで、今私に必要なのは、家じゃないなと気づいて。私は事実婚を選んだことで、「本当にそれって必要なの?」と、世の中の見方が柔軟になった気がします。

――高木さんは、当初お子さんに名字が違うことの影響も心配されていました(前編より)。それについては、現在はどのように考えていますか?

事実婚夫婦

高木さん もし将来子どもに聞かれても、「うちはお父さんとお母さんで名字が違うんだよ。そういうのもいいんじゃない?」と話すくらいかなぁと今は思うようになりました。

江口さん 夫婦別姓の知人で、子どもが成人された方がいるんですけど、話を聞いたら、別姓が当たり前の世界。その子からすると、むしろ「なんで名字が一緒なの?」と疑問に思うそうです。

高木さん 子どもが名字を江口にしたいならそれでもいいし、私たちとしてはそんなにこだわりはないですね。

江口さん 今は別姓で育った人がマイノリティかもしれないけど、今後もっと増える可能性はでてきます。そうすれば、「なんで名字が違うの?」という質問自体も出なくなるかもしれませんね。

パートナーと対等な関係を築くために、大切なこととは

――最後に、お2人がパートナーとの関係を築く上で大切にされていることを教えてください。

江口さん 将来の不安やいろんな問題は、事実婚でも法律婚でも一緒だと思います。ただ、私たちは事実婚という一種の不利な状況にいる自覚があるからこそ、身の回りの家事や子育て、資産や今後の生き方などについて、情報共有や話し合いを積極的にしているのかなと思います。

事実婚夫婦・高木さん仕事風景

高木さん 私も同じですね。パートナーの存在は大切だし、その人とどういう関係をつくるか。私は事実婚によって、「高木萌子」であるという自覚が相手と対等の立場でいる自立を促しているようにも感じます。

以前、あるスポーツ選手に試合などで自分を鼓舞する方法を聞いたことがあったのですが、その人は自分の名前をフルネームで口にすると答えていました。そうすることで、それまでの自分の練習や努力、周囲の人から力をもらえると話していたんです。

自分の名前って、それまでの人生の証ですよね。私は「高木萌子」らしい生き方をしたいし、その自分のあり方はイメージが湧く。でも名字が変わったら、なんだかちょっと違うなって思うんです。

もし今後、選択的夫婦別姓が認められたら、法律婚することも1つの選択肢です。どこまでいっても、事実婚は不安定な状態は変わらないので、やはり、法的な仕組みとしてパートナーシップができることはいちばん望ましいです。絶対に法律婚はイヤだというわけではなく、自分たちにとって納得のいく制度になっているかどうかが大事だと考えています。 でも、いちばん大切なのは、自分の人生は自分のものだし、自分がどうありたいのか。法律婚だろうと事実婚だろうと、常にパートナーと対等な関係を努力してつくっていくことだと思います。

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南澤悠佳
Writer 南澤悠佳

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