2019年11月1日に栃木県那須に開業した「星野リゾート リゾナーレ那須」は、日本初のアグリツーリズモリゾート。その土地の農体験や自然体験、文化交流を楽しむのが特徴です。星野リゾートに入社して3年目の林 夏菜子さんは、かねてから農業に興味があり、野菜作りなどをしていたほど。このコンセプトを見て、新規開業時での異動希望を出したのでした。
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縦割りではなく「マルチタスク」の星野リゾート
――これまでの星野リゾートでのキャリアと農業との関わりを教えてください。
「星野リゾート 磐梯山温泉ホテル」で勤務していました。星野リゾートでは、「マルチタスク」といって「縦割り」でなくスタッフが多様な業務を掛け持ちするのが特徴です。フロント業務や客室清掃、配膳サービスにアクティビティサービスなど複数の業務を1人でこなすことで生産性も上がります。個別のスキルではなく全体を評価しますが、なかでも私は客室清掃についての責任者になり、業務改善などにも取り組んでいました。
元々、長野出身で、実家は農家ではありませんが、裏に祖父母の畑があって、家で食べる野菜などはそこからもらっていました。やはりそんな野菜はおいしくて、星野リゾートに入社してからはポットでナスなど作ったりしていて、野菜作りができる機会があればいいなと思っていたんですね。
――会社自体がパラレルキャリアの場みたいですね。
はい。一通り基本をこなせるようになると、興味・関心のある業務に挑戦することができる環境があります。2年間やって、責任のある立場にもなった客室清掃の次に何をやろうかなと考えていたところに、この「星野リゾート リゾナーレ那須」が開業スタッフを求めていて、異動希望を出したんです。今後のキャリアは客室清掃がメインになるかもと思っていたら、希望の農業体験「ファーマーズレッスン」の担当になれました。
サービス業をしながら、もっと野菜作りを
――ファーマーズレッスンはどんなことをするのですか?
アグリガーデンという畑で、地元農家にアドバイスいただいた有機農法を行っていて、収穫物はリゾートでもお出ししています。ファーマーズレッスンは、野菜やハーブの種まき、耕耘(こううん)、肥料作り、収穫などの一部をお客様にも体験していただくアクティビティです。今日は、レタスの種まき体験をグリーンハウスでしていただいています。
――都会では土に触ることもないので、とても新鮮です!レッスンで工夫されていることは?
最初は、グリーンハウスで作っている作物の数をクイズで出したりして、まず興味を持っていただけるよう工夫しています。後は、体験しながら農業を知ってもらうことですね。種をまく土に最初に水をかける時は、「触ると柔らかいね」とか「こんな小さなポットで苗にして植え替えるんだね」とか、口に出すようにしています。
――今後、やりたいことはどんなことですか?
ファーマーズレッスンは、お子様の反応もよいので、夏には収穫した野菜をそのままレストランの「SHAKI SHAKIシャキシャキ」で食べていただくとか、農家さんと一緒に田んぼづくりにもトライしたいですね。そして、私自身ももっと野菜作りをしたいです。トマトのわき芽を取るのが好きで、得意なんです。そうすることで主軸のトマトが大きく育つんですよ。
本当に楽しそうに野菜づくりを語ってくれた林さん。リゾートを去る時には、いつのまにかフロントの制服に着替えて、笑顔でお見送り。農業×サービス業、社内でパラレルにいろんな仕事に取り組んでいる林さんの笑顔は輝いてました。
星野リゾート
リゾナーレ那須