Paranaviトップ お仕事 起業/独立 第3子出産と同時に会社を設立!「食で地域のご縁をつむぐ」YUKARI代表取締役・渡部久美子さんの挑戦

第3子出産と同時に会社を設立!「食で地域のご縁をつむぐ」YUKARI代表取締役・渡部久美子さんの挑戦

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1歳、5歳、8歳。男の子3人のママであり、YUKARI代表取締役として活躍している渡部久美子さん。食支援・地方創生・食産業支援・メディア・ECと幅広い事業を展開しているYUKARI、なんと渡部さんが「3人目を出産した月」に設立した会社なんだとか。「会社に依存しない生き方をしたくて、当時の彼氏、今の夫と一緒にパラキャリを始めました」と振り返る渡部さんに、みなぎるパワーの秘訣を聞きました。

起業を目指す、彼の背中がカッコよくて

――そもそも渡部さんが起業を目指されたのは、なぜだったんですか?

10年ほど前に今の夫に出会い、刺激を受けまして(笑)。大学卒業後、新卒で入社したソフトバンクで、3000人ほどいた同期のうちの1人が彼でした。大企業の中で出会ったこと自体にも縁を感じますが、彼が「いつかは会社をやめて起業したい」といって、いろいろ活動していたんです。私はソフトバンクが大好きだし、正直「起業なんて危ないんじゃないの?」と思っていましたが、「会社だけに依存する生き方はしたくない!」といって頑張る彼の背中がすごくカッコよかったんですね。

――刺激しあえる、素敵なパートナーシップですね。

はい(笑)。私からソフトバンクという超有名ブランドを取ったとき「渡部久美子」には何が残るのかなって、ふと考えたんです。それで、私もソフトバンクでの仕事を頑張りながら、個人事業主としていろんなプロジェクトに携わっていくようになりました。同時に、彼と一緒に事業セミナーに参加して、独立の準備も進めましたね。

――パラレルキャリアで独立の準備をされたんですね。相当、忙しかったんじゃないですか?

ビジネスには、時間もお金もたくさんかかります。だから、スモールスタートでトライ&エラーができるように、毎日7.5時間の週5日、ソフトバンクで働きながら頑張ることができました。ソフトバンクの就業規則にはしっかり従いながら「今を生きるための仕事がソフトバンク、未来を生きるための仕事が個人事業主」という気持ちでやっていましたね。彼とのお付き合いも続き、29歳で結婚して、30歳で1人目を、33歳で2人目を出産しました。

第3子出産と同時に会社を設立!「食で地域の縁をつなぐ」YUKARI代表取締役・渡部久美子さんの挑戦

プライベートはもちろん、仕事の面でも支えあってきた、最強のパートナーです♡

ワークとライフは「分けないのがコツ」

――とんとん拍子に見えますが、一方で子育てをしながらのパラレルキャリアは大変そうです。どうやってこなしていたんですか?

「ワークライフバランス」っていいますが、私の場合は、ワークとライフを分けないでやるのがうまくいくコツでした。長男を連れてセミナーに参加したり、育児も家事もなるべく夫と一緒にやったり。人生は1パターンしかないんだから、自分のやりたいことを目一杯詰め込んでやりきりたい! というのが私の哲学です。

――なるほど! その後、YUKARIを起業されるまでにはどんな経緯があったんですか?

個人でプロジェクトを受けて1つずつ取り組んでいくうちに、お世話になっている実業家の方から「もう、法人化できるレベルだよ」「次のステージを目指したら?」って背中を押されることが増えて。すべてを1人で抱えていたらすぐ限界がくるし、チームを組むことでいろんな可能性が広がるかなと思って、会社設立を決心しました。昔、祖母に言われた「何ごともご縁を大切に」の言葉がずっと心の中にあったので、社名は「YUKARI」にしました。そして設立に至ったのが、2020年1月のことです。

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福島県は、桜の名所がいっぱい。自然豊かな磐梯は子育てにもぴったりです!

食を軸に「4つの事業」を手広く展開

――YUKARIは、4つの事業を手がけていますね。

はい、「食」をベースにした4つの事業があります。飲食店と幹事をマッチングするプラットフォーム「food back」、食を中心に人が集まって新しい価値や文化を創造する発信拠点として「UTAGE」を運営するメディア事業、オンラインショップ「MADOKA」のEC事業、地方移住や多拠点生活のコンサルタントや官民共創のプロジェクトをする地方創生事業です。

――2020年1月に設立とのことで、コロナの影響をもろに受けられましたね。

まさにそうなんです。例えばECサイトの「MADOKA」は、同志である外食企業の方と「コロナでみんな大変な状況だから、お互い助け合って何かできないかな?」と話したのがきっかけで生まれました。これまで「food back」やクラウドファンディング、オンラインサロンを通して地道につないできた、飲食店とのご縁を生かして立ち上げました。

――スタッフは何人くらいいるんですか?

スタッフは約50名で運営しています。スタッフのほとんどが社会人インターンで、皆さんさまざまな会社でパラレルワークをされています。中には、一週間のうち数時間だけサポートしてくれる方もいて、それぞれがそれぞれにとってベストな関わり方をしています。スタッフには、1つの会社にいても経験できないことをしたり、ベンチャー立ち上げの苦悩や挑戦など普段見られない世界を覗いてみたりして、たっぷり楽しんでほしいですね。今もスタッフを募集中ですよ(笑)。

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「人生の3rd stage」を楽しみぬきたい

――先ほど、渡部さんは福島県にいらっしゃると伺いました。なぜ福島なんですか?

2021年4月、個人で、福島県磐梯町の「地域プロジェクトマネージャー」に就任したんです。たまたま友人が地域おこし協力隊として磐梯町にいて。遊びに行ったら、町長が「子どもや孫が住み続けたいと思う町をつくりたい」とアツく語っていらしたところにぐっときました。そのあと、これもご縁なのですが、総務省が民間と自治体のブリッジ人材として地域プロジェクトマネージャーを創成したんです。磐梯町も募集をかけていたので、応募して、採用されたという流れです。今はリモートワークと磐梯町役場への出勤の、ハイブリッド型で働いています。

――ご家族があって、お子さんもいて、移住に踏み切るのはすごいですね。

もともと移住には興味があったんです。私は今38歳ですが、もともと40歳からを「人生の3rd stage」と位置づけていて。40歳になったら地方移住しようと考えていたんですが、せっかくの磐梯町とのご縁に乗っかろうと、移住を決意しました。ちょうど三男が生まれたタイミングでもあって、地方で子育てするのも素敵だねって、夫も賛成してくれました。それまでは、仕事をどんどん広げていろんなプロジェクトに関わることにとにかく夢中だったんですが、子育てをもっと全力で楽しみたいなと思う自分が出てきたという感じです。

第3子出産と同時に会社を設立!「食で地域の縁をつなぐ」YUKARI代表取締役・渡部久美子さんの挑戦

――心境の変化があったんですね。YUKARIの経営に加え、個人でも地域プロジェクトマネージャーとしてまさにパラキャリされている渡部さん。そのメリットを感じることはありますか?

1つのところにずっといると、その世界が世の中のすべてみたいに過信しちゃいますよね。でも、いろんなところに身を置くことで違う世界が見えるし、日々自分の未熟さを実感します。私の場合はYUKARIと磐梯町ではそれぞれ違う役割をいただいていて、吸収することも違います。忙しくてももっと上を目指したい人には、パラキャリがぴったりだと思います。

――「人生の3rd stage」では、何に焦点を当てるんですか?

今年38歳でスタートした「人生の3rd stage」は、三男が高校を卒業する16年後、私が55歳になるまで。とりあえずこの16年は、子育てに時間も気力もお金もたっぷりかけたいです。事業を起こすということは、社会の役に立つためのビジョンを描いてそれを形にしていくこと。人生も同じようにビジョンを持って、ずっとわくわくしながら謳歌していきたいです。

食を通して、ご縁をつむぐ。YUKARI

渡部久美子(わたなべくみこ)●父親の仕事の関係から、小学校5校と中学校2校に通う経験をし、高校・大学では、弓道やアート活動に勤しむ。大学卒業後、ソフトバンク(旧:ソフトバンクBB株式会社)に入社し、女性では異例のスピード出世をする。第2子の育児休暇後、第二のステージアップを志し退社。個人事業主での新規事業企画、PMやBPRコンサル、イベントプロデューサーの経験を経て、株式会社YUKARIの代表取締役に就任。2021年4月日本初の磐梯町地域プロジェクトマネージャーに就任し、就任を機に、磐梯町へ家族移住する。プライベートでは、忍者とレンジャーのような息子2人と、会社設立と同月に出産した第3子の子育てに奮闘中。等身大での経営を大切にしており、育児との両立に苦労する自分をさらけ出し、スタッフと一致団結のチームワークプレーを大切にして、現代の女性リーダーに希望を与える存在となっている。

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小野アムスデン道子
Writer 小野アムスデン道子

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