Paranaviトップ お仕事 起業/独立 webデザイナーからオーナーパティシエへ、華麗な転身。小島和美さんが見つけた「自分の居場所」

webデザイナーからオーナーパティシエへ、華麗な転身。小島和美さんが見つけた「自分の居場所」

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東京メトロ南北線の白金台駅から歩いて3分ほど。住宅が並ぶ一角に「上糖舶来」というキュートなスイーツショップがあります。季節のフルーツを使ったタルトケーキやフルーツサンド、カラフルなメレンゲ菓子などが並ぶこのショップは、フードプリンターを使ったユニークなオーダーケーキでも有名。オーナーパティシエの小島和美さんは、なんとデザイナーからパティシエに転身した経歴の持ち主です。どうやってスイーツショップを開くに至ったのでしょうか。

手に職をつけるため、未経験OKなデザイン会社に就職

――フルーツタルトに、クッキーやメレンゲもいろいろ!かわいくておいしそうなスイーツばっかりですね。いつオープンされたんですか?

オープンは2020年6月です。もともとパティシエとして、パーティや結婚式用にオーダースイーツを作っていたんですが、コロナでほとんど0になって。ネット販売を始めようと思い立ち、腰を据えてお菓子作りをできるところを探した結果、ここに出会ったんです。勝算はありませんでしたが、徐々に「上糖舶来」のブランドを発信していこうと思ってスタートしました。

――ブランドの発信は、webデザイナーならではの発想ですね。キャリアの最初からデザイナーをされていたんですか?

地元・香川県で最初に就職したのは気象協会です。天気予報や大気調査などをやっていて、毎日定時に終わる、刺激の少ない仕事でした。お天気お姉さんになろうと気象予報士を目指したものの、2回試験に落ちまして(笑)。自分の目指しているのはここじゃないのかも? と思って、まずは手に職をつけようと、未経験でもOKなデザイン会社を探したんです。入社する時に初めてMacを買ったレベルです。でも即戦力として雇われたので、やりながら覚えて、2年間勤めました。

――完全未経験なのに即戦力!好奇心が旺盛なんですね。

はい。力がついてくるとだんだん物足りなくなってきて、もう少しハイレベルな仕事をしたいと思って、不動産の広告をデザインする会社に転職しました。そこで数年働くうちに、これからは紙よりもwebのほうがいいなと思うようになり、さらにwebデザインの会社に転職したんです。

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華やかなカップケーキも。

「働く=会社に勤めること」という考えはなかった

――その後に、デザイナーとして独立されたのはなぜだったんですか?

20代の終わり、チームリーダーを任されるようになったころ、「独立しよう!」と思ったんです。実家が自営業だったからか、「働く=会社に勤める」というイメージがあまりないんですよね。「自分が何をやりたいか見極めて、いつか独立するために働いてる」くらいの気持ちでした。

でも、お世話になった会社に迷惑をかけて嫌われるような辞め方はしなくないなあと思っていたところ、ちょうど尊敬する社長が交代することになって。それをきっかけに、31歳で女性向けのweb通販会社を起業しました。

――時間をかけて準備したんですね。

はい、かねがねタイミングを狙っていました。よくいう「幸運の女神は前髪しかない。一瞬でつかめ!」という言葉通りの感じでした。その意味では、運がよかったというのもあると思います。

――その後、香川から上京してきたわけですね。

香川の高松で、小さい仕事からコツコツやっているうちに、東京からも仕事も入るようになってきて。起業して2年目で、夫と2人で会社ごと上京してきました。仕事を広げるためにSNSなどで同業者の仲間をどんどん増やして、人脈を広げました。Web業界は同世代の人が多いので、友達が増えるにつれて仕事も増えていきました。

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季節のフルーツを使ったケーキは、華やかさもバッチリ。自分へのごほうびにもぴったりです。

デザイナーの仕事つながりで、お菓子作りの面白さを知った 

――そして、お菓子づくりとの出会いはどこで?

上京前から長く担当していたwebサイトが、レシピコーナーを持っていて。「小島さん、料理が得意なら記事を書いてよ」と言われたのが、お菓子作りを始めたきっかけです。私は、お菓子作りはあんまりよくわからないなあと思ってプロの教室に習いにいってみたら、すごく楽しくて。それで、webデザインの仕事は続けながら、洋菓子と和菓子を両方習える夜間のスクールに3年間通い、師範をとりました。

――webデザインの仕事よりも、お菓子作りが楽しくなっていったんでしょうか。

はい。最初は気分転換程度に始めたお菓子作りでしたが、目に見えるモノを作って人に喜んでもらえるのはうれしいし、素敵な仕事だなと思うようになりました。だんだん、周りの友達からも「お菓子作りを教えて!」と頼まれるようになっていきましたね。

――気分転換だったというお菓子作り。どうやってプロになったんですか?

学校で学んだお菓子作りを教えていたものの、やはりプロとの隔たりは大きくて。一度ちゃんとショップで修行してみようと、webデザインの仕事を1年休職して、スイーツショップを探しはじめました。その時々でいちばんやりたいことに飛び込むのが、私には合ってるのかも(笑)。

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サクサク、しゅわしゅわのメレンゲたち。可愛さにうっとり♡

――修行先は、すぐ決まりましたか?

いえ、まったく(笑)。その時すでに38歳で、プロの現場はまったくの未経験。履歴書を20ぐらい送って、面接にこぎつけたのは3社ぐらいでした。最終的に、大手の製菓メーカーと、表参道にある小さな個人店の2つに受かったんです。

――大手と個人店、正反対の2択ですね!

材料をどこからどうやって仕入れて、どんなふうにケーキを作ってお客さんに売るのか、一連流れの全部を知りたいと思って、個人店の方に1年間勤めることにしました。経済的・体力的にはきつかったですし、19歳の子が大先輩という環境でしたが、周りと仲良くなれたし何より仕事が楽しかったですね。

自分としてはケーキのデコレーションに苦手意識があったので、アメリカの製菓ブランドがやっている学校にも通いました。これはのちのち、オーダーケーキを作るための基礎になったなあと思います。

webデザイナーからオーナーパティシエへ、華麗な転身。小島和美さんが見つけた「自分の居場所」

接客力を生かしたオーダーケーキは、小島さんの強みになりました!

接客力と発信力は、デザイナー時代の賜物

――パティシエとしての仕事に、過去の経験が生きたと感じることはありますか?

パティシェって職人気質なところがあって。オーダーケーキに必要な「接客」の力に自信がないという人は多いんです。その点私は、webデザイナー時代に毎日お客さんと打ち合わせを重ねていて、接客はまったく苦じゃありません。私にはオーダーケーキを担当する素質があると気づいて、居場所を見つけた気持ちになりました。

例えば「ケーキで海を表現してほしい」とオーダーされたら、ただ青い食材を使うだけじゃだめ。貝殻のかたちを作ってみたり、クッキーで砂浜を作ってみたり……いろんな表現をしなくちゃいけないんです。もちろん予算とも調整が必要ですし、webデザインの経験はしっかり生きてますね。オーダーされるのはケーキだけじゃなくて、パーティーで大勢に配るお菓子にも広がっています。

――接客力は、webデザイナー時代の賜物ですね!

はい。それから、パティシエにはデジタルが苦手な人も多い中、私はSNSが好きで。作ったケーキをよくSNSで発信してました。それでどんどん広まって、表参道のお店での修行が終わる頃には、友達からオーダーケーキの注文をもらうようになっていました。

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経験は1つも無駄にならない!思い立ったらやってみよう

――修行を経て、実際に自分のお店をスタートされました。これから、どんなお菓子づくりをしていきたいですか?

「これが上糖舶来!」という、ほかにはないお菓子をたくさん作りたいですね。今、力を入れているのは「カラフルメレンゲ」。果汁などフレッシュな素材を使って、ちょっと変わったフレーバーを作ったり、ハロウィンに合わせて「お化けメレンゲ」を作ったりと工夫しています。

――ケーキやフルーツサンドで、とくにこだわっているのはどこですか?

まずは旬の、とびきりおいしいフルーツを使うこと。それから、生クリームでなくカスタードクリームを使っているところです。ケーキ屋でしか食べられないフルーツサンドだと思います。それから、フードプリンターを使ってイラストを描くオーダーケーキもやっていて、かなりユニークな商品だと思います!

――小島さんがパティシエとして、今感じているやりがいはどんなところですか?

会社員として組織の中で働いていると、自分がどう評価されているかって実感しづらいですよね。でもパティシエという仕事は、「上糖舶来のお菓子が好き!」と言ってくれるお客さんがいたり「おいしいケーキをありがとう」って言われたり、わかりやすく評価してもらえるのがやりがいになります。もちろん、Googleとかの口コミにひどいことを書かれるみたいな怖さもありますけど。

――デザイナーからパティシエへと転身を遂げた小島さん。まったく違う道に飛び込むのはちょっと怖いという人もいますが、どうしたらいいでしょうか。

人生で学んだことは、1つも無駄になりません! お菓子作りだって、ただ腕がいいだけではダメなんです。私がオーダーをくれるお客さんをたくさん持てたのは、webデザイナーとしての経験があったから。働き方は画一的じゃなくていい時代です。私も最初は、デザイナーとして働きながらお菓子作りを始めましたし。思い立った時には行動してみるのが大事かなと思います。

上糖舶来 ホームページはこちら!

小島和美(こじまかずみ)東京都港区白金台にある菓子店「上糖舶来」オーナーパティシエ。 元デザイナーのセンスを活かしたデザイン性の高いスイーツに定評がある。季節の生ケーキやカラフルなメレンゲ、ボトルクッキーが好評。

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小野アムスデン道子
Writer 小野アムスデン道子

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