頑張り屋さんなパラナビ読者には、「最近、お仕事ちょっと燃え尽き気味……」なんて人もいるようです。時間がたっぷりある年末年始、「なりたい自分ってなんだっけ?」に立ち戻って、自分と向き合ってみるのはいかがでしょうか? ライフコーチの棚橋浩之さん(ひろ兄さん)に、コーチングについて、また自分らしさを取り戻す方法について聞きました。
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最高の自分になるためには、自己認識力を高めよう
――最近流行っているコーチングですが、何をするものなんでしょうか?
僕のようなプロのコーチが受講者一人ひとりに寄り添って、「最高の自分自身になるためのサポート」をしていきます。よく聞かれるのがカウンセリングとの違いですが、カウンセリングはマイナスの状態を0にするためのもので、主に過去の出来事を振り返りながら進めていきます。
一方でコーチングは、0の状態からプラスに引き上げるためのものです。みんなの「なりたい自分」に近づくよう、未来に向けて支援していきます。医療ではないので、うつなど精神的な病気と診断されている方は、カウンセラーの方にお話を聞いてもらってください!
――「なりたい自分に近づく」って、具体的にどういうことですか?
決まった答えや用意された正解がないのが今の時代です。その中で幸せに生きていくためには、自分のことを誰よりも理解して、周りに左右されない生き方をすることが、「自分らしく生きる」ことにつながります。
そして、そのためには「自己認識力」を高める必要があります。コーチングを通して自分の内面と向き合い続けることで自己分析、自己理解ができるようになり、自分の「ありたい姿」の解像度が上がっていくイメージです。
――コーチに話しながら、気付くこともありそうです。
はい! 話しながら見えてくることもあれば、コーチからフィードバックを受けて気づきにつながることもあります。それで「ああ、私にはこういう感情もあるんだな」とか「あのとき、実はこう感じてたんだな」って腹落ちできます。これがつまり、自己理解が進むということ。心のモヤモヤが晴れたり、前向きになれたりします。
コーチングは、職場でも有効です。部下や後輩に前向きに仕事をしてもらうためには、その人の頑張りが自身のキャリア形成や達成感にどうつながっていくのか、一緒に考えて、道筋を示してあげることが大事。そこにコーチングの力が生きると思います。
誰しも「自覚していない感情」を持っている
――ひろさんは普段、いろんな方のコーチングをしていますよね。現場では、どういう会話のキャッチボールがあるんでしょうか?
とにかく傾聴して、受講者の方の過去をひもといています。未来には、必ず過去が関係してきますので。そのうえで、「そのときどう思ったか」、つまり「感情」に焦点を当てて話を引き出すようにしています。
感情を言語化してもらうのが難しそうなときは、「色で例えると?」「天気で例えると?」「動物に例えると?」と質問を繰り返して、いろんな角度から表現してもらい、もらった答えを深堀りしていくのが僕のやり方です。例えば、今の気持ちが「色でいうとグレー」「天気でいうと曇り」「なんとなく不安……」なのであれば、どうしてそう思うのかじっくり探っていきます。
――どうして不安な気持ちになっているのか、自分でもよくわからないことってありますよね。
よく聞くお悩みです! もしかすると、昔の経験がトラウマになってるのかも。「以前も、似た気持ちになったことはある?」と聞いて、過去のことを引き出していくと、背景が何かしら見えてきます。誰にでも、自覚している感情と自覚していない感情がありますが、自覚していない感情をひもといていくのがコーチの役目です。
20〜30代のあるある「仕事に燃え尽きちゃった病」
――これといったトラウマはないけど辛い……という人も多いんじゃないでしょうか?
はい。とくに20〜30代に多いのは、「何のために仕事を頑張ってるのか、わかんなくなっちゃった」パターンですね。がむしゃらに仕事を頑張ってきたけど、燃え尽きていわゆるバーンアウトになっちゃったり、SNSで周りと比べて凹んじゃったりして、自分を見失う人が多発しています。
――リアルです……! そういう話を包み隠さず伝えるには、信頼関係が必要ですよね。
まさにそうで、コーチングにおいていちばん大事なのは信頼関係です。コーチを信頼していないと本音なんて話せませんよね。そういう環境づくり、空気づくりも含めて、コーチの腕の見せどころです。自分で自分をコーチングすることもできますが、他者でありプロであるコーチと対話すると確実に効果が出るし、その時間の濃度も濃くなります。
――家族や親友には話せないことでも、第三者には逆に話せるというのはよくわかります。
経営者の方に多いですが、感情を整理するためにコーチを使うのもアリです! 誰だって、100%完璧な状況なんてありえないので、心の中に渦巻いているネガティブな感情を吐き出すことは大事です。「ネガティブなことを言う」=「ダメなこと」とされがちだけど、必ずしもそうじゃないと思います。無理に自分の中に溜め込まず、吐き出す場所をつくりましょう。
年末年始にやってみよう!自分自身の振り返り
――年末年始にゆっくり休んで、自分を振り返りたいです。一人でできるおすすめのやり方を教えてください。
最初にやってほしいのは「過去・現在・未来の言語化」です。「過去」は、子どものころから今まで自分が何をしてきたか、どんな出来事があってどんな気持ちになったか、ターニングポイントはどこだったか、そこで手に入れた価値観はどんなものか、などを言語化してみてください。真っ白な紙に書くとやりやすいですよ。
「現在」について考えるなら、ぜひ「人生の輪」を使ってみて。人生は「仕事・キャリア、お金・経済、健康、家族・パートナー・恋人、人間関係、学び・自己啓発、遊び・余暇、物理的環境」の8つでできています。このそれぞれについて、自分で自分に10段階評価してみて、その評価をした理由について考えてみてください。例えば「6」つけたなら、どうして6をつけたのか、残りの4は何を達成すれば埋まるのかじっくり考えてみるんです。言語化してみることには大きな意味がありますよ!
そして「未来」は、人生の輪の8項目に沿って考えます。半年後、5年後、10年後、60歳のとき、どれくらい数値を上げていきたいか、そのためには何をすべきか、考えて書き出してみてください。妄想でもOKで、とにかく具体的にイメージすることが大事です!
「うまく毒を吐き出す方法」3つ
――つい、不満やモヤモヤを溜めこんでしまいがちで困っています。小さな毒を毎日ちょこちょこ出す方法を教えてください!
オススメは3つあります! 「ジャーナリングする」「散歩する」「メデティーション・瞑想する」です!
ジャーナリング
「書く瞑想」と言われているジャーナリングです。テーマは自分で決めてよくて、「○○についてどう思うか」「この一週間でやりたいこと」から「○○さんについて」「理想の彼氏像」まで、なんでもアリです。そのテーマに沿って、思うことを延々書き続けると、いろんなワードが出てきますよ。例えば「毎朝10分間やる」って決めたら、毎朝テーマを決めて、ストップウォッチで10分測って、やってみてください。詳しく知りたい方は、ネットでHowToを調べてみるといいですよ!
散歩
晴れた日には、ぜひ家の周りをお散歩してみてください。仕事を始める前、朝の時間だと生活リズムも整っていいですね。日光を浴びると、脳内で幸せホルモンの「セロトニン」が分泌されて幸福度が上がり、毒素を吐き出すのに有効といわれています。
メディテーション、瞑想
今注目の、瞑想です! 何も考えずに心を落ち着かせるためにやることが多いけど、雑念が入ってきたとしても大丈夫。無理に取り去ろうとしなくてOKです。それが自分なんだと、ありのまま受け入れてあげて。毎日5分でもいいので、習慣づけてみるといいと思います。心を落ち着かせるやり方はいろいろあります。基本は座禅を組んで背筋を伸ばして、息を鼻から深く吸って口から吐き、呼吸に集中します。自分の楽な姿勢でやりましょう。
仕事の燃え尽き(バーンアウト)は防止できる
――先ほども話に上がりましたが、燃え尽き症候群(バーンアウト)防止策はあるんでしょうか?
そもそも、適度に毒を吐くこと自体がバーンアウト防止になります。それから、自分の好きなことや得意なことをやる時間を増やすのが有効だと思います。仕事が楽しいならそれでいいし、趣味でも遊びでも、なんでもOK。例えば月に1回は小旅行に行って自然を感じるとか、月2回は友達とおいしいご飯を食べるとか、決めるのもいいですね。
――東京の虎ノ門に、新しいスペースをオープンしましたね!どういうコンセプトなんですか?
「脱デジタルで身体性を取り戻す」をコンセプトにした空間です! よく名前を聞かれるんですが、あえて名前はつけていなくて。みんなが感じたままに、自由に呼んでもらえたらと思います。概念的には、「深」です。対話や内省、プロダクトで五感を刺激しながら、自分自身をより深めていってほしいという想いが込められています。禅の概念を取り入れた深い対話をできる空間、一人で心を落ち着かせて内省できる空間の2つがあります。本を読んだり手紙を書いたり、香りをかいだり、いろんな使い方をしてもらえると思います。念のため、デジタルを使える作業部屋も用意しています!
月15,000円(税込)の会員予約制なんですが、1日8,000円(税込)で単発利用もできますので、詳細はHPをご覧ください。行ってみたい方、興味のある方は公式LINEに登録すると、使い方がわかる仕組みになっています。アクセスは予約した人にだけお伝えしていますが、東京メトロ日比谷線の神谷町駅から徒歩30秒です!
棚橋浩之(たなはしひろゆき)●関西学院大学( 体育会サッカー部)を卒業後、東証一部上場大手人材紹介会社にて4年半勤務。 約2000人のキャリアサポートと製造業を中心としたベンチャー〜大手企業の採用コンサルに従事。 ロンドン駐在にアサインされるも「やりたいこと」実現のため退職。 退職後、インタビュアーという肩書きで世界一周をしながら、各国で活躍する経営者、 子育てされているママさん、などの『人生』インタビュー、学生向けイベントを開催。 コロナの影響で日本へ一時帰国し、プロコーチとして活動。 (総有償セッション時間約450時間) パーソナルコーチングだけではなく、ふうふやカップル、チームに対して行うシステムコーチング(2人以上の関係性)、司会なども行う。