Paranaviトップ お仕事 働き方 星野リゾートの温泉旅館「界 出雲」で鈴木奈美さんが惚れ込んだ、衝撃的においしい島根の日本酒たち&とろとろ温泉の魅力

星野リゾートの温泉旅館「界 出雲」で鈴木奈美さんが惚れ込んだ、衝撃的においしい島根の日本酒たち&とろとろ温泉の魅力

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一度は泊まってみたい、星野リゾートの温泉旅館「界 出雲」。縁結びの神様「出雲大社」のある島根県にあり、美肌の湯で有名な温泉や、地元の伝統芸能「石見神楽」の上演が魅力の憧れ宿として知られます。ここで惚れ込んだ日本酒の魅力を広めたいと、「日本酒BAR」の企画やスタッフ全員の「しまね地酒マイスター」合格を目指して奮闘しているのが鈴木奈美さんです。日本酒への「好き」という気持ちを軸に活躍する鈴木さんの、生き生きしたキャリアについて伺いました。

ANA→ブライダル業界→リクルート、と転職

――日本酒を語る時の鈴木さんの目がすごくキラキラしていて、日本酒への深い愛を感じます。昔から日本酒が好きだったんですか?

いえ、日本酒を好きになったのは、実は星野リゾートに入ってからなんです。それまではむしろ、ワイン派だったんですよ(笑)。出身が、兵庫の灘や京都の伏見と並んで「日本三大酒どころ」といわれる、広島の西条で。周りは、度を越して酒好きの人ばかり(笑)。学生時代は吹奏楽部に入って、歴史的な酒まつりの前座に出ました。

――そうだったんですね! 星野リゾートに入るまでは、どんなお仕事をされていたんですか?

専門学校卒業後、広島空港でANAのグランドスタッフをしていました。母がお好み焼き屋を営んでいたのと、学生時代に接客のアルバイトをしていたこともあって、ずっとサービス業に就きたいと思っていたんです。グランドスタッフの接客はすごく楽しくて充実していました。

少し経って結婚という人生の節目で、働き方を変えたいなと思ったことがきっかけで、ブライダル業界に転職しました。結婚したときに受けたブライダルのサービスが印象的だったんですよ。

――航空とはいろいろ違うと思いますが、ブライダル業界はどうでしたか?

これが天職かなと思うぐらい楽しかったです! でも、接客やサービス業だけでなく、もっと広い視野を持っておきたいと思うようにもなって。リクルートの知り合いに相談して、「じゃらん」の営業職に転職しました。

――天職と思えた接客から営業へ転職されて、どうでしたか?

リクルートでは正味2年働きましたが、本当にいい職場で。社内では戦略的な働き方を、社外のクライアントであるホテル・旅館の方々からは経営者目線を学べたと思います。それまでは顧客目線でしか宿泊を語れなかったけど、ビジネスの観点を知ることができました。

島根県の星野リゾート「界 出雲」で鈴木奈美さんが愛を注ぐ、衝撃的においしい日本酒たち&とろとろ温泉の魅力

「玉櫻」の酒造にて、蔵元のみなさん。右から2人目が鈴木さん。

やっぱり接客をやりたい!思いを強くして星野リゾートへ

――リクルートでは、具体的にどんなお仕事を担当していたんですか?

担当は中国地方で、当時地元で周辺エリアへの影響が大きい宿のブロジェクトをやらせてもらっていました。気合いを入れて「1年で売り上げ数億円!」という目標を立てまして(笑)。実際に目標の9割程度まで数字を積み上げられたことで自信がつきましたし、その宿の接客も素晴らしくて、惚れ込みました。現場を見ているうちに、私もこんな接客の世界に身を置きたいと思うようになっていきました。

――やっぱり接客が天職だったんですね(笑)。星野リゾートへの転職のきっかけになったんでしょうか。

はい。自分のやりたいことを改めて知りましたね。それで、上司に「正直、接客業に戻りたいんですが……」と相談したところ「ああ、やっぱりな」と言われました(笑)。その上司に「きみにぴったりな転職先があるよ」と勧められたのが、「星野リゾート」だったんです。中途採用していることも初めて知ったぐらいでしたが、受けてみたら採ってもらえて。着任したのが「界 出雲」でした。

――それまでに、島根とはご縁があったんですか?

いえ、まったく縁もゆかりもありませんでした。今から8年前、「界 出雲」に転職して初めて島根県の玉造温泉に来たんですが、ここはすごいなと思いました。縁結びの神様「出雲大社」も有名ですが、玉造は温泉街そのものが楽しいですし、歩いていて浄化されるんです。地元の神々がいらっしゃる”気”が感じられて気持ちがクリアになるというか。水も空気もきれいで、温泉はとろとろ。湯質にもがっつり惚れました。

島根県の星野リゾート「界 出雲」で鈴木奈美さんが愛を注ぐ、衝撃的においしい日本酒たち&とろとろ温泉の魅力

地元のお酒が勢揃いする宿内の「日本酒BAR」

島根で出会った日本酒「死神」の衝撃的なおいしさ

――そして運命的な日本酒との出会いもここで?

はい。島根で外食をすると、どこのお店でも日本酒のラインナップが多いんです。そんな日々でたまたま出会ったのが、加茂福酒造の「死神」というお酒でした。泥臭いまでの芳醇な香り、おいしさに衝撃を受けました。

それまでは、日本酒を飲む時も、ワインのようなとにかく飲み口のいいものを好んでたんです。島根で「死神」のくせになるような味に出会って、日本酒に興味を持つようになりました。ほかのお酒も全部個性があって楽しい上に、お酒が食事とすごく合うんです。

――衝撃のおいしさに、出会ってしまったわけですね。

そうですね。さらに、星野リゾートの社内スクールに蔵元の方をお招きするイベントで國暉(こっき)酒造の「八塩折の酒」を飲んで、完全に日本酒の世界に落ちました(笑)。この時のことは、今でも思い出します。

それからは、お客様に島根のお酒をおすすめする時の熱量がぐっと高くなりました。こんなにおいしいものを知らずに帰ってしまわれるなんてもったいない。日本酒の魅力を、たっぷり共有したい! という気持ちですね。

――それで、館内で「日本酒BAR」を作る企画を立ち上げたんですね。

お客様から「食後にお酒を飲める場所がほしいな」という声をいただいていたこともあって、界 出雲の館内で飲める場所を作りたい! と使命感にかられたんです。

それ以外にも、「日本酒発祥の地」として日本酒コンテンツを打ち出していこうという方針が決まり、2017年の秋から本格的にスタートしました。スタート直後は、菰樽(こもだる)に囲まれた座敷の空間「日本酒BAR」に立ち寄って、地酒の飲み比べをしていただく内容でした。2020年には、36種の日本酒の案内や、酒造からの動画メッセージを配信したり、好きな日本酒を客室で飲んでいただいたりするイベント「地酒のんじょーかね滞在」を実施しました。

――2020年秋といえば、コロナでお酒の提供は大変だったんじゃないですか?

当初考えていた「日本酒BARに集まって、みんなで飲もう」というコンセプトは、感染対策を踏まえた修正が必要でした。日本酒の魅力がしっかり伝わるように、蔵元を周って紹介動画を撮り、それを見ながらお部屋で日本酒を楽しんでもらうというふうに切り替えました。

島根県の星野リゾート「界 出雲」で鈴木奈美さんが愛を注ぐ、衝撃的においしい日本酒たち&とろとろ温泉の魅力

雰囲気たっぷりの「日本酒BAR」で、地元の味をゆっくり味わえる(イメージ)

地元の日本酒は、無条件でその土地の食べ物に合う

――鈴木さんは「しまね地酒マイスター」を取得されていますが、これはどんなものですか?

日本酒をおすすめする際の知識取得のために取った資格です。たまたま、しまね地酒マイスターの主宰の方に資格用のテキストを見せてもらったところ、接客のときにお客様にお話するような内容がきれいに体系立ててまとめられていたんです。

お酒に詳しいお客様に、経験値の低いスタッフが説明するのは、ただでさえ説得力に欠けます。生半可な知識で半端に解説すれば、界 出雲の全体が否定されることにもなりかねません。「日本酒BAR」のスタッフ全員が資格取得者になろうと、みんなで勉強しました。今では、しまね地酒マイスターが37名、うちゴールドマイスター7名になりました。

――チーム一丸となって高め合うのって、素敵ですね! 鈴木さんの今後の目標は何ですか?

夢とか目標はともかく、毎日楽しく生きてます(笑)。夢は、フランスのボルドーでワイナリーを1週間かけて回ること。そんな旅を計画していましたが、コロナで当分難しいですね。2020年は、島根の30蔵元すべてを2日間で回って、本当に楽しかったです。

目標は、すごく大きいんですが、みなさんが自分の出身地を紹介するときに「こんな日本酒がある地域です」と言えるような世界になるといいなと思います。日本全国、地元に根付いたお酒があって、それは地元の食材に無条件に合うんです。そんな日本酒の魅力を、もっと多くの方に知ってもらえればと思っています。そういえば、月山という山が島根県にも山形県にもあって、同じ名前の日本酒もあるんですよ。飲み比べしたら、味わいが全然違っていたので、面白い発見でした。機会があれば、ぜひみなさんも、さまざまな日本酒の味わい比べをしてみていただければと思います。

鈴木奈美(すずきなみ)●1977年、広島県東広島市出身。幼少期から日本各地を旅してまわり、旅行が趣味に。高校生の時に空港職に憧れてエアラインコースのある専門学校へ。卒業後は広島空港のグランドスタッフとして約5年の勤務を経てブライダル業界へ転職。約10年間、ウエディングプランナーとしてキャリアを積みつつ、フェアの企画運営も手掛け、県内初のエコウエディング導入などで活躍。その後、営業職に挑戦すべく、リクルート社の企画営業を約2年務めたが、2014年に再び接客業のプロを目指して星野リゾートへ転職。界 出雲で顧客対応のほか広報の業務も担う。現在は宿の周辺地域を巻き込んで、地元の日本酒のよさを広める企画を温め中。

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小野アムスデン道子
Writer 小野アムスデン道子

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