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現役大学生起業家・廣瀬彩乃さん「サステナブル素材のスカーフで、誰かの背中を押したい」夢がかなうまで

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スカーフブランド「ROSEFFY(ロゼフィー)」代表の廣瀬彩乃さんは、名古屋外国語大学に通う現役大学生です。「大学を辞めてでも留学に行きたい!」という念願かなって、ロサンゼルスへの長期留学を決めるも、コロナの影響で急遽中止に……。打ちひしがれる廣瀬さんを救ってくれたのは、おばあさんがそっと首元に巻いてくれた1枚のスカーフでした。

きっかけは「おばあちゃんが巻いてくれた」1枚のスカーフ

――廣瀬さんがスカーフに注目したのはなぜですか?

きっかけは、祖母が私にスカーフを巻いてくれたことでした。高校生のころから留学に行きたくて、大学ではバイト三昧の毎日を送り、なんとか留学費用を貯めました。そして2年生のとき、ロサンゼルスに長期留学に行くことに。

でも出発直前、コロナの影響で、急遽行けなくなってしまって。絶望感と虚無感におそわれていた私の首元に、祖母がそっとスカーフを巻いてくれたんです。その瞬間がすごくうれしくて、ずっと心に残っていて……。それまではスカーフを買ったことすらありませんでしたが、普段のおしゃれにスカーフを取り入れるようになりましたし、私もこうして誰かの背中を後押しできる女性になりたいと思うようになりました。

――きっとおしゃれなおばあさまなんですね。廣瀬さんにスカーフを巻いて、元気付けてくださったんですか?

言葉で励ますというよりは、「きっとあなたに似合うから!」って、ラフに巻いてくれた感じです。そしてそのスカーフは、祖母が結婚するときに祖父からもらったものだったんですよ。なんだかすごくグッときて。こうやって、人の思いは受け継がれていくんだなあと感じた瞬間でした。

――そんな素敵なエピソードから、すべてが始まったんですね。

はい。そもそも私はどうして留学したいんだっけ、って改めて考えてみたら、海外とビジネスをしたいからだって原点回帰しました。もともとファッションに興味があったこともあり、スカーフでブランドを立ち上げようと心に決めました!

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スカーフを巻くだけで、オシャレ度がぐっと上がる

――理想のスカーフをつくるにあたり、まずはどんなことから始めたんでしょうか?

いろんなショップや古着屋さんを巡って、とにかくたくさんのスカーフを見に行きました。日常生活でも、私なりにスカーフを取り入れたコーデを毎日組んでみて、スカーフの魅力を研究しました。

スカーフは、巻き方1つとってもかなりのバリエーションがあるので、1本持っているだけでいろんな楽しみ方をできることがわかりました。例えば同じバッグでも、スカーフをさらっと巻くだけでオシャレ度がぐっと上がるし、個性も出せると気付きました。

――スカーフは、実用性もありますよね。

秋口なら、首元が寒いときにスカーフを巻けば、ほどよくあったかくなります! マフラーよりもかさばらないので便利です。夏なら、冷房が効きすぎてる室内の防寒や、日焼け対策にも使えますよ。それから、スカーフは柄がトレンドレスなのもポイントです。年齢を問わずずっと使えますから。

――毎日研究された中で、ROSEFFYのスカーフの方向性はどんなふうに決まりましたか?

市場には派手な柄と色のものが多かったので、ROSEFFYでは全世代が使いやすい、落ち着いた色のスカーフをつくろうと考えました。抑えめトーンのスカーフって、探してもあまり多くないと思います。

――デザインやカラーを考えるのは想像しただけでも楽しそうです! ROSEFFYを立ち上げてから今まで、苦労されたのはどんなところでしょうか。

すべて私がやりたくてやっていることなので、あんまり「苦労」とは感じません。振り返って大変だったなあと思うのは、スカーフの製造から発送まで、全部を自分でこなしたことです! 今思えば、もっと手際よくやれたかも(笑)。

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いちばんのこだわりは、サステナブルな素材

――ROSEFFYは、素材にもこだわっていますよね。どうやって探したんですか?

ファッション業界の悲惨な実態を描いたドキュメンタリー映画を観たことがあって。それからずっと、サステナブルな素材を使おうと心に決めていました。条件に合う素材をたくさん見て、さわって、ベストな素材を探した末、土に還る高級再生繊維「キュプラ」にたどり着きました。

キュプラは、本来廃棄されるはずの綿の未利用の部分を使用してつくられます。また、植物系の再生繊維は微生物によって分解されるので、焼却の際に有害物質が発生しません。機能性も肌触りもいいので、高級スーツの裏地などに使われている素材ですね。これを使ってスカーフをつくることで、人の目に触れる、表に出る素材に変えていこうと思ったんです。

――サステナブルは、とくに若い世代から注目されていますよね!

私たちZ世代の間では、「30年後の地球環境、やばいよね……」って話題に上がることがあります。私の妹や弟は小学校でSDGsについて習うらしく、時代が変わったなあと感じますね。SDGsをどう日常生活に取り入れる? と考えるのが当たり前になっていくんだろうと思います。

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――とはいえ、スカーフといえばシルクのイメージがあるので、ほかの素材を使われているのは意外でした!

シルクもすごくきれいな光沢があって素敵ですよね。でも、シルク100%じゃほかのブランドと同じになるし、私がやる必要はないかなと。1弾の商品はキュプラ100%でつくりましたが、第2弾ではキュプラ94%、シルク6%の配合にして、より使い勝手がよくなるように調整しました。これからも改良を重ねていきます!

――デザインを決めるのも、廣瀬さんが一人でやったんですか?

はい。デザインは、何十パターンか引いて考えました。また、色を決めるのも一苦労で。PCのデータで見る色と、実際に生地に落とし込んだときの色は違うんです。とくにキュプラは繊細な生地なので、思い通りのデザインや発色にするのが難しくて……。工場の方と一緒に試行錯誤しました。

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いざクラファンで発売開始、半日で目標金額達成!

――つくり方の次に、売り方はどうやって決めたんですか?

クラウドファンディング(クラファン)を選びました! スカーフで「人と人と地球をつなぐ」という私の思いが、いちばん伝わりやすいと思ったからです。いざやってみたら、半日で目標金額を達成しましたが、1人でも多くの方に想いを届けられるように、行動し続けました。SNSの文面だけでなく、自分の想いを声にして直接伝えていたのが、功を奏したのかなと思います。

大変だったのはむしろ、クラファンの開始日以前です。サンプルができあがったのは20216月、クラファン開始の4日前。急いで写真を撮って、サイトを整えて……めまぐるしかったです(笑)。

――そうして見事ローンチされたROSEFFYですが、手応えはありますか?

1から立ち上げた事業が形になって、私の思いや商品のコンセプトに共感してくれる人がたくさんいることを感じられて、本当に毎日充実しています。とくに、大事な人へのプレゼントに選んでもらえるとうれしいです。また、みなさんがスカーフをつけて笑顔になる瞬間を見るときは、幸せを感じます。

――仕事をするうえで「これは貫いてる!」というポイントはありますか?

絶対に、信念を曲げないこと! ROSEFFYによってどこの誰を笑顔にできるのか、ときどき立ち止まって考えて、初心を取り戻します。それから、ROSEFFYに関わってくれる方々にちゃんと感謝を伝えること。周りの人たちのおかげで私がいるし、ROSEFFYがブランドとして輝くことができると思っているので。

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「モチベーション」の概念は撤廃

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――効率よくお仕事を進めるためのマイルール、コツなどはありますか?

モチベーションという概念を撤廃することですね。毎朝TODOリストを書き出して、「モチベが上がらないから仕事ができない……」っていう状況をつくらないようにするのがオススメです。

コツがあるとすると、自分がいちばん作業しやすい場所を見つけて、そこで仕事することですね。私の場合はカフェで作業するのがはかどるので、いつもそうしています。

――今後の目標はありますか?

まずはROSEFFYを、100年残るブランドに育てたいです。それから、ファッション業界の課題をプラスに変えていく、パイオニア的存在にもなりたいです。

そして私自身の目標は、自分の夢をかなえて、みんなに夢を与えられる女性になること! これからも1つひとつ実績を積んで、起業家の後輩たちをサポートしていきたいです。

――起業を目指すパラナビ読者に、ひとことお願いします!

私の好きな言葉は「人は出会うべきときに出会い、ものごとは起こるべきときに起こる」。とにかくいろんな人と会って、出会いを大事にして、自分が自然に興味を持てることからできることから始めましょう。今日の自分がいちばん若いですから、見切り発車でやってみる勢いも大事だと思います!

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廣瀬彩乃(ひろせあやの)●名古屋外国語大学 現代国際学部 グローバルビジネス学科在学中。1999年生まれ。幼少期よりファッションへ興味を持ち、同時にアパレル産業が引き起こす環境破壊や悲惨な労働環境に問題意識を抱く。祖母からもらったスカーフに心を動かされたことがきっかけで、サステナブルスカーフブランド「ROSEFFY」を立ち上げる。人と人と地球をつなぐをコンセプトに、サステナブルファッションの普及に尽力中。

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さくら もえ
Writer さくら もえ

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