Paranaviトップ お仕事 働き方 趣味だった落書きをチョークレタリングに!デンマークで出会った「完璧」を求めない私らしい働き方

趣味だった落書きをチョークレタリングに!デンマークで出会った「完璧」を求めない私らしい働き方

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2018年にお子さんを出産し、育休復帰のタイミングで転職とパラレルキャリアでチョークレタリングの仕事をスタートさせたという中丸友里恵さん。ママ業、会社の仕事、チョークレタリングを無理なく続ける秘訣はデンマークで学んだ「完璧」を求めない働き方にありました。

「才能がない」の思い込みを捨て、趣味だった絵をパラレルキャリアに

――パラレルキャリアを始めたきっかけは何だったのでしょう?

昔からものづくりに興味はあったものの、「自分には才能がない」と思い、手を出さずにいました。ですが、第1子を出産するときに、「自分らしく楽しく生きている姿を子どもに見せられる親でいよう」と決心してから、私にできることは何かと考え始めたことがきっかけです。もともと、大きな絵を描くのが得意だったので、学生時代はも黒板に大きく絵を描いたり、某テーマパークのアルバイトで、箒で地面にキャラクターの絵を描いたりしていました。そこで、家族の記念や子どもの記録を残すために、本格的に大きな黒板に絵を描いてみようと思うようになりました。

――「好き」を仕事にされたのですね。お子さんが生まれるタイミングで新しいことに挑戦できる行動力がすごいです。

もともと1つのことを極めるよりも、複数のことを同時にやりたいタイプなんだと思います。学生時代は、3つのサークルに入りながら、インターン、アルバイトの掛け持ちもしていました。社会人になってからも、夫の仕事の都合でデンマークへと移住し、日本の仕事をリモートワークで行いつつ現地ではベビーシッターをやったりもして、向こうでもパラレルキャリアでしたね(笑)。キャリア形成も「キャリアアップ」というよりも、「キャリアの幅を広げたい」と考えています。あとは、会社員で働きながら、NPOでも活動をしていた父の影響も大きかったのかもしれません。

――親子でパラレルキャリア…素敵です! アートの中でもチョークレタリングを選んだのはなぜでしょう?

もともと0から書くのは苦手なのですが、模写は得意という認識がありました。チョークレタリングは文字を書くのですが、ペンのレタリングとは違って書き順などもなく自由に書くことができるので、自分のスキルと必要なスキルがマッチしていると思いチョークレタリングを始めました。

――まずは何から始めましたか?

海外の作品の模写を始めてInstagramで発信してみました。初めは、人に見せることにとても勇気がいりましたね。初めて依頼されたときも、嬉しいけど私で良いのだろうか……。と自分に自信が持てませんでした。ですが、胸を張って自分を必要としてくれる人に応えよう!という気持ちで不安を消しました。
あとは、実際にチョークレタリングで活躍されている方のワークショップを受けたりもしましたね。当時からこまめに発信を続けたのが、今につながっていると思います。

自宅の壁一面を黒板に!デンマークで学んだ「挑戦しやすい環境」とは

――ご自宅にスタジオ(黒板)をつくってしまおうという発想がいいですね。

そうですね。夫の仕事の関係で、1年ほどデンマークに住んでいたのですが、そのときに通っていた学校に、みんながふらっとやってきて新しいプロジェクトが生まれたり、刺激しあえたりする場所があったんですよね。家をつくるにあたって夫婦で話し合い、そういう「モノづくりができる場所」がほしいよね。という話になり、自宅の1階に多目的室を作り、壁の一面を黒板にするという構想が生まれましたね。いろんなことに挑戦しやすい家にしたかったんです。

―― デンマークに行って「自分たちの暮らしに合った家」のアイデアを見つけられたのですね。

家だけではなく、考え方も変わりましたね。デンマークは「世界一しあわせな国」と言われているのは有名だと思いますが、現地の人にどうして幸せなのかと聞くと、「私たち幸せの基準が低いのよ~」と答えるんです(笑)。日本人は1つ幸せを感じたら、もっともっとと求め過ぎてしまって一生幸せになれない!みたいなところがあると思うんですけど、デンマークの人たちは、些細なことに幸せを感じることができる才能があるんだなと思って。小さなことに幸せを感じられたり、自分はこれでいいんだと認めてあげる事の大切さは、身にしみて感じましたね。

「完璧を求めない!」自分らしい幸せを実現する方法

――たしかに。何をもって「幸せ」と感じるかで幸福度はまったく変わりますよね。デンマークに行って働き方の概念も変わりましたか?

変わりましたね。デンマークの人って帰るのがすごく早いんですよ(笑)。15:30-16:00が通勤ラッシュなんです。日本では幼いころから「人に迷惑をかけちゃいけない」と教育されると思うのですが、向こうの人はその教育は受けないんですよね。だから、仕事が終わってなくて帰れない~!(みんなに迷惑かけちゃうから)ということもないんです。それぞれの個が尊重されているという印象でした。

仕事もパラレルキャリアの活動も家事も子育ても、やろうと思ったら時間はいくらあっても足りないし、やれていないことに焦ったり自己嫌悪に陥ってしまいます。なので、1日、1週間、1カ月、1年とやればOKなことをざっくりと決め、それだけはやる、それができたらOKというマイルストーンを置くようにしています。日本人って自己犠牲してでも完璧にするのが当然と考える人が多く、周りもそれを求めがちですよね。割り切るのはなかなか難しいと思いますが、自分らしい幸せを実現するためには、おすすめの方法です。

――自分の中でやるべきことの線引きができていれば、完璧にこなさなくては!という強迫概念がなくなりますね。実際、今のワークライフバランスはどうでしょうか?

大学時代から、ワークライフバランスの意識をしながらスケジュールを組み立てていていたので、実はそこまで変わっていないですね。ただ、私も平日は、8時~17時のフルタイムで働いている一方で、夫も働きながら大学院に通っていたこともあり、夫婦でパラレルキャリアをしているので、子どもが生まれてから育児と家事のシェアを工夫するようにしています。土日は、どちらかが忙しいときは、子どもと一緒にいる時間や場所を調整してバランスを取り合っています。

――今後の展望を教えてください。

レタリングで自分なりのスタイルをつくりたいですね。有名な方だと、文字を見ただけでその人の作品だとわかるようなオリジナリティがあるんですよね。私も自分だけが描ける文字を編み出したいなと思い、日々いろいろな作品をみたりしてインプット・ストックしながら考えています。

もうひとつは、自宅での作品の撮影会で、カメラや、スタイリングなどを得意な方にお願いできたらいいなと思っています。現状は、自分で描いて自分で撮影しているので。もし、パラレルキャリアをやっている人同士が得意なことを持ち寄ってコラボできたら、作品のクオリティも上がって、また新たに面白い発見が生まれる気がしてワクワクしますね。

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杉森 有規
Writer 杉森 有規

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