毎朝「ああ、起きたくない……」「今日が始まっちゃった」と思いつつ、渋々起き上がっている。そんなあなたも今日から実践できる「明日が楽しみになるコツ」があります。何から始めたらいいのか、プロコーチのひろ兄さんにレクチャーしてもらいました!
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「なんとなく嫌〜な気持ち」を具体的にしてみよう
――ひろ兄さん! 最近、なんとなく不安な気持ちになって、朝起きるのが辛いんです。
冬から春には、そういう方が増えますね。漠然とした不安がどこからきているのか考えて、自分の気持ちを整理するのが有効です。例えば仕事が原因なら、何がどう変化したら仕事が楽しくなるのか、自分の気持ちがワクワクするのか……一度ゆっくり考えてみましょう!
――例えば仕事内容が嫌だとか、人間関係が辛いとか、そういうことでしょうか。
そうです。例えば仕事の人間関係が原因だとしましょう。馬の合わない上司がいるとか、同僚のあたりがキツいとか、高圧的な人が多いとか、周りが優秀すぎて劣等感があるとか、そもそも集団行動が苦手とか……人それぞれ、いろんなことが「朝起きられない」の原因になるんじゃないかなと思います。
doingじゃなく「being」を考えよう
――ふんわりしたネガティブな気持ちを、具体化してみるということですね。
そうです! 自分は、どういう環境や人間関係、状況に対して、どんな感情を抱く人間なのか。これを理解するのが、第一歩です。
例えば、「なかなか職場の人たちに本音を言えない……」「本音を言おうとしても、つい隠していい子ぶっちゃう」という悩みがあるなら、その原因がどこにあるのか考えてみましょう。一人でも本音を言える相手がいるなら、言えない相手の特徴をつかむのもいいですね。相手の性格はもちろん、一つひとつの言葉の選び方や話すときの表情など、いろんな原因があると思います。
――ひろ兄さんが普段コーチングするときは、どんなふうに探っていくんですか?
手がかりとして、少し漠然とした方法をとることが多いです。例えば、「朝起きたとき、目の前に広がっている色は?」とか。グレーなのか、鮮やかな赤か、爽やかな青か、落ち着いた茶色か……。その時の精神状態によって、本人が思っている以上にガラリと変わります。コーチは相談を受けるプロなので、話してみるのはとても有効ですよ!
――朝起きるのが辛いときは、「こうしなきゃ」「ああしなきゃ」「急いでやらなきゃ」って、いろんなものに追われている気がします。
ありがちなのが、「doing=何をするか」ばかり考えすぎて、それで頭がいっぱいになってしまうことです。まずは「being=自分のありたい姿、生き方の理想」は何なのか、自分と相談してみましょう。
その後に、何をすべきか考えるという順番がいいと思います。繰り返し練習して、自然にそういう思考ができるように癖をつけると、だんだん生きる辛さが減っていくと思います。
自己理解に効く「CAPS理論」
――「being」を考えるとき、自分のことがわからないと迷子になりそうです。どうやって自己理解したらいいんでしょうか?
コーチングの世界では、人を4つのタイプに分類した「CAPS理論」というのがあります。「自己主張」と「感情表現」の強さを軸に、4分類するものです。
- プロモーター 自己主張も感情表現も強い。人の注目を集める盛り上げ役や、みんなの人気者といったタイプ。
- コントローラー 自己主張は強く、感情表現は抑えめ。結果を出す、リーダー的なポジションの人。
- サポーター 自己主張は抑えめだが、感情表現はしっかりする。調和や、人に貢献することを大事にするタイプ。
- アナライザー 自己主張も感情表現も抑えめ。正しさを大事にする理論派で、マイペースな人が多い。
――自分が4タイプのうちどれなのか、自分自身で判断するのは難しいかもしれません。
自分では客観的に見られない部分も多いと思うので、できれば友達やパートナー、家族など近しい人と一緒に考えてみてください。ほかの人からもらうコメントが、そのまま自己理解につながるので面白いですよ。自分では気づかなかったところに気付けます。
――自分や気になる相手がどのタイプなのかわかると、コミュニケーションが楽になりそうです。
そうなんです。例えば、相手がコントローラーなら、結論から単刀直入に話すのがよさそうだなとか、アナライザーにはこちらが何を求めているか、理論的にわかりやすく話そうとか。そうやって、少しでもストレスの少ない環境をつくっていけたらいいですよね。
完璧主義から抜け出そう
――性格やタイプのほかに、自分の「今の状態」を受け入れるという視点もありますよね。
そうなんです。いい悪いではなくて、とにかく自分の現状を受け入れること、つまり自己理解が大事です。例えば職場の人間関係に対して「嫌だな」「逃げたいな」って思ったとしましょう。その気持ちをマイナスに捉えて追い出すんじゃなく、「今の私は、そういう考え方なんだな」って受け止める。それから、原因をじっくり分析していきましょう。
――といっても、なかなか難しいです!
ポイントは「そのままを受け止める」ということです。自分の生き方や考え方、暮らし方を無理に変える必要性はないし、「みんなに好かれる私」を目指す必要もありません。逆に、自分のことを「何でも・誰にでも」話せるようになる必要だってないんです。
――そう考えると少し、気持ちが楽になりそうです。
上には上がありますから、理想を追いかけてばかりじゃ毎日苦しいですよね。気持ちの持ち方もコミュニケーションの取り方も、「これが私なんだ」と思えれば、辛さや不安は薄まっていくと思いますよ。それが自信とか、自己肯定感につながるんじゃないでしょうか。
「朝起きたくない!」あなたは、もしかしたら意外と自分のことを過大評価してるのかも。理想がすごく高かったり、他人と比べてすべてを手に入れようと頑張っていたり。まずは完璧主義から抜け出して、今の自分を冷静に見てみる。パラキャリ女子は毎日忙しいと思いますが、そうやってじっくり考える時間を意識的に作れるといいですね。
棚橋浩之(たなはしひろゆき)●関西学院大学( 体育会サッカー部)を卒業後、東証一部上場大手人材紹介会社にて4年半勤務。 約2000人のキャリアサポートと製造業を中心としたベンチャー〜大手企業の採用コンサルに従事。 ロンドン駐在にアサインされるも「やりたいこと」実現のため退職。 退職後、インタビュアーという肩書きで世界一周をしながら、各国で活躍する経営者、 子育てされているママさん、などの『人生』インタビュー、学生向けイベントを開催。 コロナの影響で日本へ一時帰国し、プロコーチとして活動。 (総有償セッション時間約450時間) パーソナルコーチングだけではなく、ふうふやカップル、チームに対して行うシステムコーチング(2人以上の関係性)、司会なども行う。