独立や起業、副業などをして、いざ、お金を稼ごうと思った時に避けて通れないのが、法律や契約、税金……といったビジネスに関する知識。当たり前のようにこなさなければいけない一方で、なんだか難しく感じられて苦手な人も多いはず。ですが、「知らない」や「できません」と面倒くさがっていては、自分の可能性を狭めることになるかもしれません。それだけでなく、無用なトラブルに巻き込まれてしまうことも……。この連載では、そうしたビジネススキルに関する基本の「き」を、クリエイター専門の『しろし法律事務所』代表の山田邦明さんに解説してもらいます。
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法律ってなんだかモヤモヤする?
法律がモヤモヤするって感覚、ある意味ではすごく正しいと思います。というのも、「白」「黒」とハッキリ分かれていると思われがちな法律ですが、実は図のように曖昧な部分がすごく多いのです。
このように法律だけで考えても、白と黒にハッキリ分かれるわけではありません。グレーの部分は皆さんが思っている以上にたくさんあります。また、そこに慣習や雰囲気や倫理などもともと曖昧なものが加わることで、全体として曖昧になっているというのが現状です。
法律でNGとされているものは全部ダメ?
必ずしもそうとは言えないのが、難しいところ。
その例としては、同人誌が挙げられます。同人活動は、著作権などの面からすると侵害となるケースが多いですが、著作権者が見逃しているまたは黙示に許諾している場合が多くあり、それによって存在が許されていたりします。
法律でOKなものは絶対に大丈夫?
これも難しくて、法律的にOKでも炎上などして非難が集まり、問題になるケースはよくあります。
たとえば、漫画の構図やコマ割りなど。それらは一般的に著作権が生じないため、パクっても著作権法上違法にはなりません。ただし、構図やコマ割りのパクりによって炎上して、場合によっては著者の謝罪、出版物の回収などもありえることは皆さんもご存知かと思います。
法律ではNGでも見逃されて許されているケース、法律ではOKであっても炎上して批判されてしまうケース。創作活動の良し悪しは法律だけで判断できない場合が多くあります。まずは「法律」が白黒つかない曖昧であるという実情をいったん受け止めて、自分の創作を公開した際、どのようなことが起こり得るのかを想像する力をつけていくことが大切です。
法律では白黒ハッキリ決まらない
まずは、「法律がそもそも曖昧なもの」ということをしっかりおさえてください。
それをおさえることができたら、「法律でこう決まっているから」みたいに言ってくる人の言葉を鵜呑みにすることがなくなります(僕の感覚的に、そういうこと言ってくる人はだいたい何かを隠してます)。
ちょっと大げさなことを言いますが、この「法律が白黒はっきり決まらない」ということを知っているだけで、法律的な問題を読み解く能力が格段に上がります。ほとんどここだけでいいんじゃないか?ってくらい重要です(周りにも教えてあげてください)。
とはいえ、これだけだとスッキリしないと思うので、次回はフリーランスや副業で自分が働いたアウトプット、作品の権利についてみていきます。
みんなが知っているようで知らない、「著作権」の世界。おもしろいのでお楽しみに。