Q.「フリーランスになってギャラ交渉をしたいけど、どうすればいいか悩んでいます」(はなさん)
A.「相場やスキルで決めるのは落とし穴!? “投げ銭”方式で気持ちがラクになりました」
こんにちは。「パラキャリお悩み相談室」の連載を担当している坪井安奈です。2013年に新卒で入社した出版社を退職し、編集者/タレント/企業広報としてパラレルキャリアを始めてから9年。(坪井さんのインタビュー記事はこちら!) この連載では、私がこれまで感じてきたパラレルキャリアの実情や経験を赤裸々にお伝えしたいと思います。
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「依頼者に予算があるか、ないか」で分けて考える
さて、今回はズバリお金に関するお悩み。
お金の交渉って、気が引けますよね……。実は、私もすごく苦手です。でも、最近自分の中で考えを整理してだいぶ苦手意識がなくなってきたので、今回はその考え方についてお話しします。
報酬を決める際、まず話題に出やすいのが「相場」です。でも、私はこの考え方が第一の落とし穴ではないかと思っています。
そもそも、はなさんはフリーランスとしてどういう働き方を理想に掲げているでしょうか?
私の場合は、「坪井さんだからお願いしたい」と思われる存在になることが目標です。そのため、世の中の相場(つまり平均)で自分の価値を決められるのは悔しいですし、平均以上に提供できるものがあるからこそフリーランスとして独立したという自負もあります。
では、自分のスキルと照らし合わせて高い報酬を提示すればいいのか? ――いいえ、違います。
私は、「坪井さんだからお願いしたい」=「報酬が高い」とは考えていないんです。では、どうやって報酬を決めるかというと、相手の“体力”(=予算)によって決めます。具体的には、依頼者に十分な予算が「ある場合」と「ない場合」に分けて考えるようにしています。
すべての会社から同じ金額をもらおうとしなくてOK
報酬は、スキルや能力だけで決まるものではありません。よく転職活動で「給与はスキルではなく、場所で決まる」と語られることがあります。同じスキルでも、業界や会社など環境を変えるだけで給与が大幅にアップするケースがあるという話です。
私は、これはフリーランスも同じだと考えています。同じ仕事内容でも、予算的にその金額を払える会社と払えない会社がある。そういった時に、私は払えない会社から無理にぶん取ることはしたくない派です。
その時は交渉成立したとしても、相手の期待値が上がりすぎたり、後から不満につながったり……お互いに気持ちよく継続的な関係を築きづらくなると思うからです。逆に、予算が十分にあって「これだけお支払いします」と言ってくださる場合は、その金額を頂戴します。
ちょっと変かもしれませんが、ある意味“投げ銭”のような感覚に近いかもしれません。「100万円、払うよ」と言っていただくのもありがたいですし、「今、所持金1000円しかないけど500円払います」というのも、私としてはとても嬉しいこと。
例はちょっと極端ですが、すべての会社から同じ金額をもらおうとしなくていいんだって思えると、私の場合はとてもラクになれました。
相手の体力(予算)を見極めて判断しよう
相手の体力(予算)をどうやって知るのか? という点ですが、依頼をいただく時はだいたい「いくらでお願いできますか?」か「〇〇円でお願いできますか?」のどちらかでしか聞かれません。
前者の場合は、まずは希望の金額をお伝えし、やりとりする中で温度感を探ります。後者で希望に満たない金額の場合は、「なぜ、自分に依頼してくれたのか?」「どんな面白い仕事ができそうか?」などを加味して判断します。
ただ、誤解してほしくないのは、熱意があれば金額が安くてもいいと言っているわけではないですし、高ければ何でも受けるというわけでもありません。仕事も、最後は人と人との関係。単純に私は、「一緒に仕事をしたい」と思ってくれた人と気持ちよく面白く仕事をしたい、そういうスタンスを大事にしているだけです。
(仕事選びの基準については過去に書いた記事「仕事を受けすぎてパンク寸前!上手い断り方や仕事選びの基準を知りたい」があるので、そちらもぜひ参考にしてみてください)
もちろん、私とは違って、相場より安い金額で数にフォーカスして受注したり、決めた額以外はすべて断るなどのやり方もあると思いますし、どれも正解だと思います。
はなさんもぜひ、「フリーランスとしてどういう働き方をしたいか?」「何を重視したいか?」を改めて考えてみて、自分に合った方法を模索してください。
坪井安奈(つぼいあんな)●パラレルキャリア9年目。新卒で入社した小学館を25歳で辞め、ベンチャー企業やスタートアップ、海外(シンガポール)法人などで働いた後、個人事業主として独立。現在は、編集者/タレント/企業広報をツールに、伝え手として活動中。