Paranaviトップ ノウハウ 制度/法律 法律 意外と知らない「著作権」の基本。誰が・いつまで・どのように活用できるのかおさらいしよう

意外と知らない「著作権」の基本。誰が・いつまで・どのように活用できるのかおさらいしよう

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デザイナーやライターなど、いわゆるクリエイターとは切っても切り離せない「著作権」。名前は知っているけど、難しそうだし、正しい内容はよくわからない……という方も多いのではないでしょうか。前回の記事では、著作物に何が含まれて何が含まれないのか、中身を整理してお伝えしました。今回は、この「著作権」を誰が・いつまで・どのように活用できるのか、具体的な内容を解説します!

著作権の保護期間は「生存期間+死後70年間」?

著作権の保護期間は、日本を含む多くの国では原則として、著作物を創作したときに始まり、生存期間+死後70年間です。

著作権の保護期間

※正確には、死後の翌年の1月1日から起算して70年(70年後の12月31日)までとなります。

なお、例外として「無名・変名の著作物」「団体名義の著作物」「映画の著作物」などのように、著作者の生存期間を定義しにくいものについては、公表後70年になるというケースもあります。いずれにせよ著作権保護期間としては、「70年」という数字を1つの基準として知っておくといいと思います。

手に入った権利は、いろいろな形で利活用できる

上述したように、クリエイターは、創作した瞬間に多くの権利を手に入れます。ここでは、創作によって生まれている権利の束をどのように利活用していけるのかを見ていきましょう。

権利を譲渡する、利用権を付与する

著作権は、創作した物(著作物)を、独占的・排他的に利用する権利です。そのため、著作物はクリエイター本人が自由に利用できます。その利用方法にはさまざまな形があり、自分で使うことにとどまらず、「著作権の一部の利用の許諾をする」ことや「著作権の一部を譲渡する」ことも考えられます。

「著作権の一部の利用の許諾をする」「著作権の一部を譲渡する」

このように、著作権は持っている本人が自由に利用することが可能です。

権利侵害を止める

著作権を持っている人が独占的・排他的に利用できるということは、原則として著作権者の許諾等のない利用があった場合には、それを止めることができます。具体的には、許可していない著作物の利用を止めるように主張する「差止請求」や、利用されて被った損害についての「損害賠償請求」が考えられます。

著作権者の許諾等のない利用があった場合には、それを止めることができる

著作権の使い方を、もっと知ってほしい!

著作権は「権利」です。 そのため、権利を持っている人は、その著作権を自由自在に使うことが可能です。たとえば、有名なところだとスタジオジブリは全作品の場面写真を提供し、「常識の範囲でご自由にお使い下さい。」としています。このような方法を参考にして、自分の漫画は全て「二次創作OK。SNSで公開してもいいよ」とすることで、より多くの人に認知され、オリジナル作品の購入が増えることなどが見込まれます。

最近のTwitterで、連載漫画の一部が公開されているのは、漫画家や出版社などの著作権者がその権利の一部を譲渡ないし利用権を付与してプロモーションに利用しているケースといえます。

権利者は著作権を自由に使えるので、もっともっといろんな権利の使い方を想像し、実行してもらえたらなと思います。

他の人の創作を使う場合の注意点

著作権者は、著作権の利用を許可または譲渡することで、他の人にその著作権の一部を利活用してもらうことができます。

これは立場を反対にして考えてみると、クリエイターが他の人の著作物を利活用する場合には、原則として著作権者の許諾が必要、ということになります。

他の人の著作物利用の思考フロー

他の人の著作物を利用する場合、どのような思考フローをたどればいいかを見てみましょう。

他の人の著作物利用の思考フロー

他の人の著作物を利用したい場合には、これらをチェックしていくことで、適法な利用が可能になります。

著作者と著作権者が違うケースもある

著作者」と「著作権者」、漢字1文字違いですが、この2つの言葉は明確に意味が異なります。「著作者」は、著作物を創った人、「著作権者」は、著作権を持つ人をそれぞれ意味します。

まず、創作した瞬間は「著作者」と「著作権者」は同じ人になります。

「著作者」は、著作物を創った人、「著作権者」は、著作権を持つ人

しかし、上述したように、著作権は譲渡することができます。譲渡した場合、著作者と著作権者が異なることになります。

譲渡した場合、著作者と著作権者が異なる

著作者であっても、著作権者ではない場合、著作権を使えない場合があるということですね。具体例としては、出版するに際して出版社に複製権を譲渡した場合、著作者は自分の描いた漫画やイラストであっても自由に複製(コピー)することはできません。

一方で、著作権を譲渡しても、著作者人格権(著作者が有する人格的・精神的利益を保護するための権利)は著作者に残ったままとなります。そのため著作権者であっても、著作者人格権を侵害するような行為はできません。具体的には、著作者の意に反する形での改変をすることはできません(同一性保持権、著作権法20条)。他にも、著作者人格権には、公表権(同法18条)や氏名表示権(同法19条)があります。

このように「著作者」と「著作権者」を分ける意味はあるのですが、インターネット上ではこれらが混ざった状態で議論されていることも多いというのが現状です。「著作者」と「著作権者」を分けて理解しておきましょう。

許諾なく著作物を利用できる場合

著作物に該当するか保護期間内か否かを検討した後、許諾なく利用できるかどうかを検討していきます。

著作権法はいくつか例外的に、著作権者の許諾なく著作物を利用できる場合を定めています。これは、あらゆる創作での他の著作物の利用に際して著作権者の許諾を得ることは現実的ではないばかりか、この世界の文化的な発展を過度に妨げることにもなりかねないからです。

まずは、全体像を見てみましょう。

許諾なく著作物を利用できる場合

※より詳細に知りたい方は、文化庁のWebサイト「著作物が自由に使える場合」を参照してください。

ここでは、著作権法上に定められた例外を羅列しました。次回は、特にクリエイターから質問も多く、よく問題となる「引用」「営利を目的としない上演」「公開の美術の著作物等の利用」について詳しく見ていきましょう。

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山田邦明
Writer 山田邦明

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